DMGP2024-2nd Day2 :事前メタゲーム総括記事 オリジナル編
ライター:清水 慎之佑(のすけ)
天下夢双!!デュエキングDreaM 2024発売から現在に至るまでに開催されたオリジナルのCSでも新たに登場したカードが多くの結果を残している。事前段階ではアドバンスのカードが多いと思われていたが、しっかりとオリジナルのCSに於いても爪痕を残していた。
今回のDMGP2024-2nd オリジナルでも大きな活躍を見せるだろう。
本記事では今大会の参加者に向けて、天下夢双!!デュエキングDreaM 発売後のメタゲームや新規のデッキタイプ、注目のデッキについて解説していく。
先日行われたDTL後期第1節に於いてもフォーマットこそ違えど強化されたデッキの動きを見る事ができるだろう。
まだ観ていないプレイヤーの方は要チェックだ。
今大会のフォーマットはオリジナルの個人戦、皆様にとっても馴染み深いものだろう。
特徴としてはチーム戦と異なり勝率にブレが発生しやすく、予想外のデッキやローグ(予想外)耐性が高いデッキが勝ち上がりやすい。
この前提を踏まえ、先日行われた超CSⅦ広島の結果を見ていく。
優勝 【火光闇ファイアー・バード】
2位 【光自然ドリーム・メイト】
3位 【火光闇ファイアー・バード】
4位 【水闇自然COMPLEX】
予想外のデッキは1つ、最強が3つと非常に分かり易い結果となっている。
そしてこの時点の環境構造から逸脱することなく今回のGPを迎える事となった。
ファンタジーBESTの脅威
このDMGP直前の10月末時点、最強は変わらず【火光闇ファイアー・バード】である。しかし、この2か月で間違いなく環境には新しい風が吹いた。
9月に発売した「ゴールド・オブ・ハイパーエンジェル」に収録された《ヨビニオン・マルル》を基盤に据えた強力なビッグマナである【水闇自然マルル】は勿論のこと、強力なS・トリガーである《逆転の影ガレック》の登場により強化された【ゼーロループ】【マーシャル・ループ】も多くの活躍を見せている。
そしてこの環境の王者となっているのがファンタジーBESTから変わらず【火光闇ファイアー・バード】、次いで《冥土人形ヴァミリア・バレル》を採用した【水闇COMPLEX】という構図である。
この構図は9月時点から大きく変化を見せておらず、読者の皆にも馴染み深い物となっている。
しかしここまでの話を踏まえると違和感がある話だが、CS環境における【火光闇ファイアー・バード】と【水闇COMPLEX】は以前と比較して数を減らした。
そういった中でも常に意識は上記の2デッキに向いている為、【火光闇ファイアー・バード】と【水闇COMPLEX】に抑圧されていたデッキたちが勝ちやすいフィールドが出来上がりつつある。
今回のGPはデュエキングの発売から1週間後に行われる。
1週間という期間は、この環境が変わるのではなく寧ろこの状態を加速させるものだと考える。
この混沌とした環境で迎えるGPにおける王者【火光闇ファイアー・バード】【水闇COMPLEX】から紹介する。
火光闇ファイアー・バード
火光闇ファイアー・バード サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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前環境の王、【火光闇ファイアー・バード】は変わらずに玉座を守っている。
動きやリストも以前の物と全く変わらず、《ハッター・ルピア》《龍后凰翔クイーン・ルピア》のメクレイドや《アリス・ルピア》を用いた展開、《ハンプティ・ルピア》によるハンデス(手札破壊)とメタ(妨害)カードを用いてマウントを取り続けるビートダウンである。
誰が言ったか
「上手い【火光闇ファイアー・バード】は誰にも止められない。」
この言葉の通り王道にして最強であるこのデッキは文句なしの優勝候補と言って良いだろう。
水闇COMPLEX
水闇COMPLEX サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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このデッキ最大の主張点は【火光闇ファイアーバード】に有利であるという点だ。
《DARK MATERIAL COMPLEX》や《アーテル・ゴルギーニ》《飛翔龍 5000VT》を始めとした強力無比なカードのみで構成されている事もあり、デッキパワーも非常に高い。
S・トリガーの枚数も多く、生半可なビートダウンであればシャットアウトできる。
その一方キルターンが比較的ゆっくりしている事もあり、【光水ヘブンズ・ゲート】【火光水ゴスペル】【火自然バイク】などには不利が付く。
有利不利はハッキリしており、上記のような厳しいマッチアップを如何に躱すか、そして割り切れるかが今大会で【水闇COMPLEX】で勝ち抜くカギになるだろう。
水闇自然マルル
水闇自然マルル サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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【水闇自然マルル】はゲームスピードが加速した現代デュエル・マスターズにおいては非常に珍しいビッグマナに分類されるアーキタイプだ。
2ターン目に呪文のマナ加速⇒3t《ヨビニオン・マルル》から《天災 デドダム》を出す。
という強力無比な動きを持ち、4tで7マナに到達する。
これにより《ロスト・Re:ソウル》や《CRYMAX ジャオウガ》といった強力な7マナ域のカードを4tにぶつける事が可能になる。
《流星のガイアッシュ・カイザー》が採用されているという事それ自体が強みでもある。
手札枚数を維持しながらリソースを拡充する事が得意なデッキタイプである為、対面していても非常に圧があるカードである。それにより動きそのものに制約をかける事ができる為、見た目以上の強さを誇る。
デッキの性質は前環境の【闇自然アビス】に若干似通っている部分があり、得意とするプレイヤーも多い。得意とするプレイヤーが多いという事は使用するプレイヤーも多い事が容易に想像される。
我々が思っている以上に対戦相手として立ちはだかる事が増えるだろう。
火光水ゴスペル
火光水ゴスペル サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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【水闇自然マルル】【水闇COMPLEX】を始めとしたデッキに有利なデッキとしてここ1か月で大きく評価を伸ばしたデッキである。
大型大会の風物詩になりつつあるこのデッキだが、今回のGPでも大きな活躍が見込まれている。
「ゴールド・オブ・ハイパーエンジェル」にて登場した《最期の竜炎》の登場も躍進に影響している。
【火光水ゴスペル】は採用コストが平均して高い事もあり、除去の範囲はほぼ全てのエレメントになる。
これにより目の上のたんこぶであった《流星のガイアッシュ・カイザー》にも対応できるようになり、失った分のリソースは《水晶の王 ゴスペル》によって回収する事ができる為デメリットもさほど気にならない。
立ち位置が非常によく、フィニッシュ方法も安全である事からDMGPのような大型大会に適したデッキであると言えるだろう。
今回のGPで一番良く見かけるコンボデッキになるだろう。
光水天門
光水天門 サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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練度の高い【火光闇ファイアー・バード】には若干の遅れを取り、【水闇自然マルル】には大きく不利が付いてしまうが、その他のデッキにはめっぽう強い。
《聖霊超王 H・アルカディアス》や《∞龍 ゲンムエンペラー》といった非常に強力な封殺カードが採用でき、ローグへの耐性も非常に高い。
様々なデッキと相対するDMGPにおける有力株と言えるだろう。
光自然ドリームメイト
光自然ドリームメイト サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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こちらも【火光闇ファイアー・バード】に並んでファンタジーBESTの猛者である。
《お目覚めメイ様》によるEXWIN(特殊勝利)を主体としたアグロ~ミッドレンジに分類される。
2t~3tの押しつけが非常に強力で、早期着地した《料理猫のプワソン》を返せるデッキは非常に少ない。踏み倒しを多用する関係上《流星のガイアッシュ・カイザー》が、パワーラインが低いクリーチャーが主体な為《飛翔龍 5000VT》が直撃してしまうゲームが厳しい。
その為【水闇自然マルル】と【水闇COMPLEX】に不利が付いてしまうことが非常にネックであり、現環境においては向かい風である。
闇単アビス
闇単アビス サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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《邪魂龍 ジャビビルブラッド》登場以降の【闇単アビス】はそれまでの《アビスベル=ジャシン帝》を用いたミッドレンジ~コントロールとは大きく異なる。
その実態は《漆黒の深淵 ジャシン帝》《百発人形マグナム》を用いた4~5t起動のループデッキである。
《アーテル・ゴルギーニ》を召喚したそのターンに勝つ、という夢のような事が構築単位で可能になっている事もあり、非常にフィニッシュターンがわかりにくい。
このフィニッシュターンがわかりにくいというのがミソであり、対戦相手が動きを把握しておらずにリソースを補給している間に突如ループに入るというケースが良く見られる。
VS【水闇COMPLEX】【水闇自然マルル】の相性がすこぶる良く、その他5ターン以内に決着がつかないマッチアップには軒並み有利が付くという特異なデッキタイプである。
この性質は今回紹介した中でも特に大型大会に向いており、今回のGPでは勝ち馬になれる可能性を秘めたアーキタイプと言えるだろう。
水闇自然ゼーロ
水闇自然ゼーロ サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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2022年頃にお馴染みだった【水闇自然ゼーロ】でお馴染みだった《砕慄接続 グレイトフル・ベン》の枠が「ゴールド・オブ・ハイパーエンジェル」に収録された《逆転の影ガレック》に置き換わり、《闇王ゼーロ》のプレイターンにそのまま勝利する事に重きを置いたタイプに進化した。
各種ルーターで墓地を肥やしたのち、《深淵の憤髄 ファウン=テイン》から《困惑の影トラブル・アルケミスト》を始めとした闇のリソースカードをリアニメイト(墓地から場に出す)する事で《闇王ゼーロ》を撃つことが可能になった。
以前と違い事前に盤面を用意する必要がなくなり、《飛翔龍 5000VT》のケアを自在に行えるようになった。《飛翔龍 5000VT》が刺さるデッキとしてこれは非常に大きな点であり、そういった箇所の認知の遅れから発生する初見殺しも含め大きな強みと言えるだろう。
こちらもループフィニッシュを狙えるデッキである事から、GPでの活躍が期待されている。
零自然ゼニス
零自然ゼニス サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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4ターン目にはおよそ《蠅の王 クリス=タブラ=ラーサ》の着地が可能である為、呪文を主体とするデッキには優位に立ち回る事ができる。
その一方、受けの枚数とクリーチャーデッキへの耐性に乏しく【火光闇ファイアーバード】【水闇COMPLEX】には厳しい戦いを強いられる。
《黙示録の水晶》は非常に強力で、クリーチャーデッキへの立ち回りを一任されている。使うことができれば強力で、意識をしていない状態でプレイされると一気にリソース差をつけられてしまうことから、対面する際は分割でクリーチャーを出す意識で立ち回る。
下基盤の太さ、再現性の高さからローグ耐性はあるもののデッキの性質を選ぶ点から勝ち馬になるには構築単位で意識を寄せる必要がある。
「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」に収録された《水晶のセレナーデ》も採用の余地がある事から、まだまだ拡張性に富んだデッキであると言えるだろう。
アニメ「Duel Masters LOST~追憶の水晶~」の放送が始まったこともあり、ここから更に人気が加速するアーキタイプだと考えられる。今回のGPも、今後の競技環境でも見かける機会が増えるだろう。
最後にふたつ、今回のデュエキングの影響を強く受けたアーキタイプを紹介しよう。
火光自然ボルシャック
火光自然ボルシャック サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」にて新たに登場した《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》がボルシャックを再び競技環境に呼び戻した。
出す事さえ叶えば勝ちに直結するが、難易度が非常に高い《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》の射出難易度を大幅に下げる最高の革命チェンジ元として《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》が採用されている。
最速3t《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》の大量展開を受け止められるデッキはそうそうなく、非常にパワフル且つ強力なデッキとなった。
メタゲームにおいては所謂【火光闇ファイアーバード】と【水闇COMPLEX】を避ければ強いデッキの典型と言えるだろう。
また、他のドラゴンデッキと違い《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》のような封殺が上手く積めない為、基本的に相手の受け札とは真正面からぶつかる必要がある。
このような点はメタゲームが読みにくいDMGPのような大会での評価は落としてしまう。
だが非常に人気のデッキタイプであることは間違いなく、多くの使用者がいる事が予想される。
零ジョーカーズ
零ジョーカーズ サンプルデッキ DMGP2024-2nd オリジナル構築 |
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低コストのクリーチャーを横並びさせる関係上《飛翔龍 5000VT》が非常に重たかったが、《ベイビーポンの助》でこの部分が一気に改善し、遅いデッキに対して強いというジョー篇から変わらぬ役割を遂行しているデッキとして立場を確立している。 このデッキはオリジナルで「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」の新規収録を使用可能なアーキタイプになる。
《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》はジョーカーズであればG・ゼロの条件達成が容易なこともあり運用が行いやすい。
《王道の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》と組み合わせる事で呪文とクリーチャー両方を止める事ができる為、特殊な受け札が無い限りは突破が可能になる。
種族人気も高く、見かける事も増えるだろう。
終わりに
以上が今回のDMGP2024-2nd day2オリジナルの注目デッキだ。メタゲームは変わらず【火光闇ファイアー・バード】【水闇COMPLEX】を中心としたものになると考えられる。「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」発売後の初のDMGPとなる本大会、【火光闇ファイアー・バード】が玉座を護るのかデュエキングで生まれた新時代のデッキが玉座を奪うのか、新旧入り混じる戦いが今から楽しみで仕方がない。
この記事が読者の皆様がDMGPに参加する際、または配信やテキストカバレージをご覧になる際の一助となれば幸いである。
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