デュエル・マスターズ

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DMGP1st 決勝戦:垣根 vs. 市川

その勝負が歴史を刻む。

初の公認グランプリとなったグランプリ-1stは、そのコピーにふさわしく歴史に残るイベントとなった。

あるテーブルでは、トリガー1枚の差での逆転につぐ大逆転劇が。

あるテーブルでは、自身のプレイミスに嘆き、敗北を省みる姿が。

あるテーブルでは、相性差を覆した「冴えたプレイ」での勝利が。

あるテーブルでは、練り込んだ秘密兵器が相手の思惑を覆す姿が。

デュエル・マスターズというゲームを愛し、そして、プレイのスキルとデッキを練り込んだプレイヤーたちが集まり、すべてのテーブルが目を離せない熱狂的な対戦となっていた。

14年目に突入しようとするデュエマが持つ歴史の熱狂と、デュエマで真のトーナメントプレイをしたいという待望が、この八王子の地で、新たな歴史を刻んだのだ。

真剣にゲームに打ち込む、そんな単純な事が、複雑で素晴らしい物語をうみだしたのだ。

だが、まだグランプリは終わっていない。この決勝戦の勝者が「初代グランプリ王者」として真にデュエマの歴史に名を刻むことになる。
その歴史的瞬間の目撃者となるべく集まった観衆の中で、ふたりのプレイヤーがシールドをならべ、手札を5枚用意する。

Game 1


ジャンケンで先手は市川。市川は後手垣根のチャージした 《終末の時計 ザ・クロック》 を確認する。

互いにマナをチャージするだけのターンが続き、ファーストアクションは、垣根4ターン目の 《パクリオ》 となる。

垣根は 《音感の精霊龍 エメラルーダ》 が2枚と 《ヘブンズ・ゲート》 《奇跡の精霊ミルザム》 という手札から、 《奇跡の精霊ミルザム》 をシールドへと埋める。返すターン、市川は 《音感の精霊龍 エメラルーダ》 を召喚し、《奇跡の精霊ミルザム》 をシールドから回収する。

続く垣根のターン。 《電流戦攻セブ・アルゴル》《イオの伝道師ガガ・パックン》 を呼び寄せる。呪文に依存した市川のデッキにはこれがきつい。さらに、マナチャージだけで終了した市川へと 《パクリオ》 を召喚。今度も 《音感の精霊龍 エメラルーダ》 《ヘブンズ・ゲート》 《奇跡の精霊ミルザム》という手札から、 《奇跡の精霊ミルザム》 をシールドへと送り込む。

機能不全気味となり、またもマナチャージでターンを返す市川に対して、垣根は 《龍覇 イメン=ブーゴ》 を呼び出し、 《邪帝斧 ボアロアックス》 を装備させ 《飛散する斧 プロメテウス》 をバトルゾーンに呼び出し、 《ドンドン吸い込むナウ》 を回収する。そして、ターンエンドに «邪帝遺跡 ボアロパゴス» に龍解する。

市川は2体目の 《音感の精霊龍 エメラルーダ》 を召喚すると、シールドをチェックして、再び元に戻しターンを終了。

垣根は 《ドンドン吸い込むナウ》 で自身の 《パクリオ》 を手札に戻すと、再召喚。

市川の 《埋没のカルマ オリーブオイル》《ヘブンズ・ゲート》 が2枚という手札から、 《ヘブンズ・ゲート》 をシールドへと送り、«邪帝遺跡 ボアロパゴス» の能力で 《天真妖精オチャッピィ》 を呼び出して、墓地の 《ドンドン吸い込むナウ》 をマナへと回収する。

市川は引き当てた 《サイバー・I・チョイス》 を召喚し、能力は未使用。対する垣根もターン開始時に «邪帝遺跡 ボアロパゴス» を龍解させない。続いて召喚された 《飛散する斧 プロメテウス》 でマナゾーンに置かれたカードの中には《無双恐皇ガラムタ》が。これを回収すると、 «邪帝遺跡 ボアロパゴス» の能力で 《次元流の豪力》 をマナゾーンから呼び出し、 《勝利のリュウセイ・カイザー》 を超次元ゾーンから呼び出す。

市川は 《転生スイッチ》《勝利のリュウセイ・カイザー》 へとプレイするが、これは最後のあがき。

«邪帝遺跡 ボアロパゴス» が龍解し、 《無双恐皇ガラムタ》 が召喚されると、市川は投了を宣言した。

垣根 1-0 市川
《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》 の殿堂で、イメンループは死んでしまったのか?

否。元々、ポテンシャルの高かった 《龍覇 イメン=ブーゴ》《邪帝斧 ボアロアックス》 の組み合わせは、ループコンボ時代の副産物として、シールド・トリガーを気にせずフィニッシュに繋げられる 《無双恐皇ガラムタ》 を得て、ループコンボをサブプランとして本来の圧倒的な展開力を背景に殴り切るデッキとして再構築された。

デュエマのデッキの歴史を語る上で、デッキの再構築については避けては通れないだろう。

新たなカードの登場で、突然、思いがけないデッキが強力なデッキとして浮上し、そして殿堂によってキーカードが規制されたコンボであっても、コンボデッキが練りこまれる中で掘り下げられたポテンシャルの発見によって、新たなデッキとして生まれ変わる。

そうして、デュエル・マスターズのデッキ構築の技術は蓄積されていった。

今、デッキ再構築の最先端にいるのが垣根の使う新型イメン=ブーゴだ。

ループに頼らずとも、トリガーデッキ相手に殴りきれるポテンシャルをGame 1で見事に発揮してみせた。

だが、これで終わる市川ではない。

Game 2


ファーストアクションは、後手垣根の 《霞み妖精ジャスミン》 。対して、市川は3ターン目もカードのプレイはなし。だが、垣根の3ターン目も2枚めの《霞み妖精ジャスミン》 をプレイするにとどまる。

4ターン目、長考した後に、市川は 《サイバー・ブック》 をプレイ。対して垣根は 《電流戦攻セブ・アルゴル》 から 《イオの伝道師ガガ・パックン》 を呼び出す。

市川は、増えたマナを支払いながら2回めの 《サイバー・ブック》

ここで、7マナに到達した垣根は 《龍覇 イメン=ブーゴ》 を召喚して、 《邪帝斧 ボアロアックス》 を装備する。そして、その能力で 《鳴動するギガ・ホーン》 を呼び出すと、 《無双恐皇ガラムタ》 を手札にいれ、ターン終了時に«邪帝遺跡 ボアロパゴス» を龍解させる。

このままでは 《無双恐皇ガラムタ》 によって敗北が見えている市川。だが、市川には起死回生の一撃があった。

手札から 《イオの伝道師ガガ・パックン》 のコスト増量をものともせずプレイされる 《ポジトロン・サイン》 、そして当然のように山札トップにいる《ヘブンズ・ゲート》

《音感の精霊龍 エメラルーダ》《奇跡の精霊ミルザム》 。今日、この会場で数えきれないほど繰り返されたコンボが発動し、市川は6枚のシールドから 《サイバー・I・チョイス》 《ヘブンズ・ゲート》 《龍脈術 水霊の計》《転生スイッチ》 《ヘブンズ・ゲート》 とトリガーさせる。

そして 《奇跡の精霊ミルザム》 を手札に戻した 《転生スイッチ》 が新しい《音感の精霊龍 エメラルーダ》 を、そして 《ヘブンズ・ゲート》《奇跡の精霊ミルザム》 《音感の精霊龍 エメラルーダ》 をもうワンセットバトルゾーンに出すことで、コンボが再び発動する。そして、この中には 《フォース・アゲイン》《転生スイッチ》 《ハイドロ・コミューン》 が含まれており、 《フォース・アゲイン》 によって 《奇跡の精霊ミルザム》 のウルトラシールド・プラスが、 《音感の精霊龍 エメラルーダ》 のシールドを手札に戻す効果がまだ残っている状態で再利用される。

そして、 《サイバー・I・チョイス》《転生スイッチ》 によって 《光霊姫アレフティナ》 へと生まれ変わり、 《ハイドロ・コミューン》 がエンジェル・コマンドで宣言されることで、3体の 《音感の精霊龍 エメラルーダ》《奇跡の精霊ミルザム》 が手札に戻される。

市川は、ここから再びトリガーを発動させ続け、7回分の 《音感の精霊龍 エメラルーダ》 のシールドを埋める能力を使い回し、見事10枚のシールドという《光霊姫アレフティナ》 の特殊勝利条件を達成したのだった。

垣根 1-1 市川
市川のデッキのキーカードである 《ヘブンズ・ゲート》

初出は2005年12月発売の第16弾 「転生編 第3弾 魔導黙示録」。今回のトップデッキたちのキーカードの中では屈指の歴史を持つカードである。

白凰の切札として鮮烈な印象を与えたこのカードは、少年たちの憧れとなった。

でも、それは憧れで、最前線のトーナメントで戦えるデッキだったかと言われると、決してそうでは無い時代が長かったように思える。

だが「光のブロッカーを2体出す」というシンプルなこのカードは、新しい光のブロッカーが登場するたびに強化されるというTCGの根本を体現したようなカードだった。

そして、今。 《音感の精霊龍 エメラルーダ》《奇跡の精霊ミルザム》 のコンボという枚数とマナのアドバンテージを途方も無いほど獲得するコンボによって、ついにトップデッキの座に踊りでたのだ。

グランプリ開催が発表された時、闇単ヘルボロフ・火自然モルトNEXTとともに、メタゲームの三角形を構成するところまでのぼり詰めた。トップデッキとなれば対策も回避もされてしまうが、それでも会場のいたるところで 《音感の精霊龍 エメラルーダ》《奇跡の精霊ミルザム》 は使われ続けたのだ。

しかし、市川はそれで満足しなかった。

対策されている 《ヘブンズ・ゲート》 をそのまま使っても、勝ち抜くことは難しいと考えたのだろうか。 《音感の精霊龍 エメラルーダ》《奇跡の精霊ミルザム》 を除くほとんどのカードをトリガーにし、その2枚のバトルゾーンに出た時の能力を使い倒して 《光霊姫アレフティナ》 でのエクストラ・ウィンを目指すデッキを新たに構築してきたのだ。

市川の考えが正しかったかどうかは、今、決勝の席を戦っているという結果が証明している。

Game 3


先手の垣根は1ターン目から 《トレジャー・マップ》 をプレイ。さらに2ターン目にはループのキーカードである 《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》 をマナゾーンへとチャージする。

市川が3ターン目までノーアクションだったのに対して、垣根はさらに 《天真妖精オチャッピィ》 でマナを増やしつつ、 《トレジャー・マップ》 で隠れたキーカードである 《霞み妖精ジャスミン》 を手に入れる。ここで、垣根のマナは6マナ。

4マナ揃ったところで市川は 《クリスタル・メモリー》 をプレイ。返しのターン、7マナに到達した垣根は 《龍覇 イメン=ブーゴ》 をバトルゾーンに出し、 《邪帝斧 ボアロアックス》 を装備させる。そして、 《次元流の豪力》をマナゾーンから呼び出し、市川を足踏みさせる 《勝利のリュウセイ・カイザー》 をバトルゾーンへと。

市川は4マナでは勝利につながるアクションを起こすことができない。 《サイバー・ブック》 をプレイし、ターンを返す。

垣根は 《天真妖精オチャッピィ》 をプレイし、マナゾーンから 《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》 をバトルゾーンに呼び出し、墓地からマナにカードを置く。

これが、 《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》 のスペースチャージを両方発動させ、手札の 《霞み妖精ジャスミン》 が1マナで召喚されては1マナふやし、墓地から回収される。

これこそが、イメン=ループ。

市川 「デッキの中に、 《無双恐皇ガラムタ》 って残ってますか?」

垣根 「あります」

垣根 2-1 市川

ゲームが行われれば、勝者と敗者がうまれる。

だが、勝敗があるからこそ、真剣にゲームに打ち込むことが物語となるのだ。


試合が終了し、垣根が席をたった後、市川が筆者に尋ねた。

「僕と同じデッキを使っていた人っていましたか?」

筆者は、すべてのデッキを見れたわけではないが、少なくともトップ64以上には同じデッキはいなかったと答えた。

それを聞いた市川ははこころなしか満足気な表情を浮かべた。
誰もが選択しなかったデッキを使って、準優勝をいう結果をだした。

それだけで、市川はデュエマの歴史に名を残し続けるだろう。



今日、デュエル・マスターズの新しい歴史が始まった。

でもそれは、まったく新しい歴史ではなく、これまでのデュエル・マスターズの歴史の積み重ねを土台としてうまれた新しい歴史だ。
その戦いが歴史を刻む。

1190人が、それぞれの歴史を持ち寄り、真剣勝負をした先にあるからこそ、この優勝はより素晴らしく、そして、新たな歴史に相応しいものになった。

おめでとう、垣根!

初代グランプリチャンピオン!

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