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金沢超CSⅡ Round 7:せいな vs. S.S

 GP3rdにおける赤白ジョバンニが旋風を巻き起こして以来、WINNERSが持ち込むデッキは一種のブランドとなった。

 大型大会のたび、プレイヤーたちから噂が立つほどに完成度が高いデッキを持ち込む彼ら。
 あるときはパタ@いっせーが練り込んだクローシスバスター、あるときは《クイーン・アマテラス》を初めて搭載したバッシュギヌス。
 パタ@いっせーをはじめとした高レベルのプレイヤー集団、彼らが使うデッキはいつだってセンセーショナル、且つ、強力なものばかりだ。

 そんな彼らが今回選択したのは…… 赤青白ドギラゴン剣。
 《絶対の畏れ 防鎧》まで搭載しゲームスピードを極限まで遅め、《アクアン・メルカトール》などのリソースカードでゲームをコントロールする、高速ビートながらもロングレンジを見据えた構築。
 この構築、ここまで5-1ラインに4人ほどを送り込んでいるという。

 そしてそれを作ったのは…… 今回フィーチャーテーブルに呼んだS.S。
 その対面には全く同じデッキを持ち込むGP2nd、そして2016年度全国王者のせいな。

 「師匠、よろしくお願いします!!」と冗談めかしながら言うせいな。
 対戦準備中も談笑が絶えない2人、最終戦の緊張を吹き飛ばすほど。
 この2人のやり取りから感じ取れるのはWINNERSという店の雰囲気。

 そして、これから筆者が思い知るのは…… WINNERSという調整グループのレベルの高さ。

 WINNERSが信じて使うS.S謹製の赤青白バスター。
 まずは1人。決勝トーナメントにそれを送り込む方を決める。

先攻:S.S

 《タイム1 ドレミ》をチャージしたS,Sに対し…… せいなの顔はどうにも晴れない。少し考え、《ドンドン吸い込むナウ》をチャージ。
 2ターン目はお互い《タイム1 ドレミ》と無難なスタート。
 S.Sはドギラゴン剣ミラーマッチではもはやおなじみとなった《異端流し オニカマス》。「ですよねー」と苦笑いするせいな。
 もちろんメタカード多めのS.S謹製バスター、せいなもしっかりメタカードは持ち合わせている。《絶対の畏れ 防鎧》を召喚してエンド。

 ここでS.Sは《アクアン・メルカトール》
 《プラチナ・ワルスラS》を失い、リソースが重要な赤青白バスターにおいてソリューションとなった強力ドローソースを、この構築ではしっかり採用している。
 これが《龍装者 バルチュリス》《蒼き団長 ドギラゴン剣》を回収。
 それに対し、せいなは《ゼンメツー・スクラッパー》でS.Sの盤面を一掃。
 《異端流し オニカマス》が退いたが、手札に《龍装者 バルチュリス》はなく、もっと言えば3ターン目にマナに置いてしまっている。そのままエンド。

 S.Sは《絶対の畏れ 防鎧》《異端流し オニカマス》
 再びの《異端流し オニカマス》の拘束がきついせいな、チャージなしで《異端流し オニカマス》
 序盤の攻防の末、お互いに《絶対の畏れ 防鎧》《異端流し オニカマス》と1枚のカードでは突破できない鉄壁の布陣を作り上げる。このまま長期戦にもつれこみそうだ。

 S.Sはチャージなしで《ドンドン吸い込むナウ》《“龍装”チュリス》を加え《絶対の畏れ 防鎧》をバウンス。
 と、ここでS.Sが《絶対の畏れ 防鎧》で1点。盤面で《絶対の畏れ 防鎧》に対処できるカードはなく、短期決着を望んだようにも見えるが……
 これは《“龍装”チュリス》素出しでそのまま戦闘破壊。
 シールド1枚と《絶対の畏れ 防鎧》をトレードした格好。やや博打にも見えるこのプランだが……
 S.Sの引きが噛み合う。トップで引いた《熱湯グレンニャー》から《絶対の畏れ 防鎧》!「鬱陶しい……」とせいながぼやく。

 とはいえ、この盤面において主導権を握っているのはリソースで勝るせいな。
 《Dの牢閣 メメント守神宮》を貼りつつ、そのままDスイッチ!
 全国大会でdottoが使用して以来、赤青軸のドギラゴン剣ミラーにおけるキーカードとなったこのカード。当然ロングゲームを見据えるS.S構築にも搭載されている。
 次のターンには相手の場から《異端流し オニカマス》《絶対の畏れ 防鎧》を消しつつ、《蒼き団長 ドギラゴン剣》を走らせることができる。このまませいなが押し切る……


 ことはできなかった。
 《アクアン・メルカトール》から《Dの牢閣 メメント守神宮》、そして《ゼンメツー・スクラッパー》回収!
 残りのマナは…… 3マナ!!



 回収した《ゼンメツー・スクラッパー》を放ち、《異端流し オニカマス》を排除しつつ《Dの牢閣 メメント守神宮》を利用した殴り返しに待ったをかける。
 その上S.Sの手札には《Dの牢閣 メメント守神宮》。せいなもそれを確認しつつ、熟考を始める。

 行われたプレイは《音精 ラフルル》セットから《Dの牢閣 メメント守神宮》貼り換え。
 これだけでは返しの《Dの牢閣 メメント守神宮》には対応できないが、そもそも相手が8マナを保持しようとしているところ。もう《絶対の畏れ 防鎧》は機能しない。
 DスイッチでS.Sの小型は止められるが、返しに予定調和の《Dの牢閣 メメント守神宮》
 S.Sは少し考え《Dの牢閣 メメント守神宮》Dスイッチを選択。《“龍装”チュリス》をタップする……

せいな「読んどったで」
 このやり取りにおいて、S.Sはせいなの掌の上にいた。その手札からは3枚目の《Dの牢閣 メメント守神宮》
 「まあ公開領域に(《アクアン・メルカトール》で見えた《Dの牢閣 メメント守神宮》が)あったしな……」とS.Sも納得のカウンタープレイ。盤面の主導権をS.Sに渡さないどころか、そのままマウントを奪い取らんばかりの一撃。
 さらに余った3マナでB・A・D《“龍装”チュリス》。今までせいなを苦しめてきた《異端流し オニカマス》が今度こそ排除される。

 《Dの牢閣 メメント守神宮》スイッチを受けたS.Sは《龍装者 バルチュリス》召喚でエンド。
 とはいえ、せいなも決め切ることはできず《“龍装”チュリス》アタック《蒼き団長 ドギラゴン剣》を殴り返しで使用。《絶対の畏れ 防鎧》を討ち取りながら《熱湯グレンニャー》を呼び出しワンドロー。


 せいなが先に《蒼き団長 ドギラゴン剣》を呼び出し、S.Sはリソースも切れかけてガス欠気味。
 除去の応酬、《Dの牢閣 メメント守神宮》の貼り換え合戦、完全にマウントが渡ったタイミングはただの1度もない。
 48枚ミラーマッチ、白熱のシーソーゲームを制したのは……



 S.Sだった。

 ターンが渡ったS.S、まずは3マナでずっと撃つタイミングを伺っていた《ゼンメツー・スクラッパー》でブロッカー化した《熱湯グレンニャー》を除去。
 からの《龍装者 バルチュリス》がアタック。つまりトップで引いたのは……
 《蒼き団長 ドギラゴン剣》!!
 そして1枚減ったシールドに《蒼き団長 ドギラゴン剣》から呼び出した《熱湯グレンニャー》が突撃、《音精 ラフルル》にチェンジしつつ《龍装者 バルチュリス》が舞い戻る!!

 互いにリストを知っているということは、もちろん《終末の時計 ザ・クロック》などのストップトリガーが採用されていないことを知っている。この過剰打点が通ることだってわかっている。
 だからこそS.Sは《蒼き団長 ドギラゴン剣》を引いた瞬間勝ちを確信して迷いなくプレイしたし、せいなはその段階で諦めとも納得とも取れる表情を見せた。

 WINNERSの全員が信頼した構築。そのメインビルダーが本戦進出を確定させた。

WINNER:S.S


 ドギラゴン剣ミラーのロングゲームはかなりプレイが出る勝負。事実この試合、多数の分岐点があった。
 もし3ターン目にせいなが《龍装者 バルチュリス》を置いていなければ…… そもそもロングゲームが発生せず、せいなが序盤の《龍装者 バルチュリス》で押し切れていた。
 中盤S.Sの一見無謀に見える《絶対の畏れ 防鎧》でのアタック…… それは相手の《“龍装”チュリス》を釣り出し《絶対の畏れ 防鎧》を出しなおさせないため。
 《絶対の畏れ 防鎧》が出なければ、次のターンS.Sがトップで《ゼンメツー・スクラッパー》を引いたときに勝つことができたというのだ。

 結果論とはいえ、語ることも学ぶこともあまりにも多い。
 だが、その議論などやり尽くしたほどにやってきたからこそ、彼らはWINNERSと名乗ることができる。

 この勝利で6-1となったS.Sは当然予選突破。
 この敗北で5-2となったせいなだが、無事オポネントで予選突破。
 S.Sが作り上げた構築の、そして彼らの強さの証明。それはまだ始まったばかりだ。
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