DMGP8th DAY2 決勝第4回戦:じゃきー vs. かずー
3,458人ものプレイヤー達が一堂に会したGP8th、DAY2。
その中には、様々な人間がいる。
半年に一度のデュエマの祭典だからと初めてのグランプリを楽しみに来た者、
数少ない大舞台だからとこの日のために綿密に調整を重ねてきた者、
毎週出ているCSの延長線上の大会としてこの戦いに赴く者。
その一人一人全てが違う趣意でこの祭典に参加しているのだろうが、その全てが「デュエマの歴史に自分の名を刻みつけたい」という想いを持って戦いを繰り広げてきたのだ。
そしてそれは、“既に名を刻んだ者”であっても例外ではない。
そんな“天門のカギを持つ者”として日本一に輝いた男、じゃきーは「デュエルマ・スターカップ」のロゴの入ったポロシャツに身を包み、このTOP8を賭けたフィーチャーテーブルに座っている。
同じ中部の調整グループ「yamada pros」の仲間たちと調整した『ジョーカーズ』を手に、もう一度その名を刻まんとしているのだ。
だが対面に座る“ループの貴公子”ことかずーも、古くはCSで数多の強豪としのぎを削ってきた横浜の古豪だ。
その二つ名の通りの『水単ムートピア』と共にここまで駆け上がってきた彼の目は、たとえ相手が“天門のカギを持つ者”であろうと、憶することを知らない。
「デュエマの歴史にその名を刻みつけたい」。
その想いがより強いのは、果たしてこの二人のうちどちらか。
先攻:じゃきー
先手のじゃきー、後手のかずー共に2ターン目までをマナチャージのみで終える立ち上がり。
そこからじゃきーは少し考え、3ターン目《ポクチンちん》を召喚してターンを返した。
対するかずーはまたもマナチャージのみでターンを終える。
普通のデッキであれば「事故」と言いたい所だろうが、ことかずーのデッキは『水単ムートピア』なのだ。
本当に事故っているのか、手札にコンボパーツを溜め込んでいるのか。
判断が出来ない分、その握られた手札は異様な存在感を放つ。
だが、その手札の中身が何であろうとじゃきーは自分の動きを通すしかない。
4ターン目にじゃきーは《パーリ騎士》を召喚。
引きは芳しくないが、何も無ければ次のターンに《ジョット・ガン・ジョラゴン》を召喚出来るように準備を整えた。
だがそれを見逃すかずーではない。
ターンが渡り、かずーが勝負に出た。
マナチャージをし、《ガード・グリップ》→《ガード・グリップ》→《時を戻す水時計》と握っていた手札を次々解き放っていく。
そして唱えた呪文が3回である事を確認すると、このデッキの主役、《超宮兵 マノミ》を2体召喚!
手札を4枚増やし、更に引いてきた《超宮兵 マノミ》を召喚する。
『水単ムートピア』の理想的な動き。これにはじゃきーも苦笑するが、ここでかずーの動きが一瞬止まる。
そして次にプレイしたのは、≪卍獄ブレイン≫。
合わせて6枚増やした手札だが、ここで一番必要な《セイレーン・コンチェルト》を引くことが出来なかったようだ。
これで呪文が4回。・・・・《シンクロ・スパイラル》も、無い。
手札から更に《超宮城 コーラリアン》を2体召喚し、ゆっくりとそのままターンを返した。
《次元の嵐 スコーラー》の召喚まで繋がらなかった事で一命は取り止めたじゃきーだが、盤面を全てバウンスされ、苦しい状況が続く。
マナも伸ばせていないため、5ターン目も《ポクチンちん》を召喚するのみだ。
無傷でターンが帰ってきたかずー。
一応の1コストドロー呪文を2発唱えた後、残りの3マナをタップし、意気揚々と≪「本日のラッキーナンバー!」≫を発動!
この宣言“3”により≪7777777≫が封じられ、最早じゃきーの命は風前の灯になってしまった。
頼みの綱は、4枚の《バイナラドア》と《光牙忍ハヤブサマル》のみ。
ここからじゃきーの必死の祈りが始まる。
シールドに飛び込む1体目の《超宮城 コーラリアン》。
1枚づつ必死に祈りながらシールドを捲るじゃきー。だがトリガーはない・・・!
さらに2体目の《超宮城 コーラリアン》が追撃をかける。
まだだ。まだ祈りが足りない。捲る手を止め、十字を切るじゃきー。
これを返せるのなら、神にでも何でも縋る。
そして目を見開き、同時にシールドを開いた。トリガーは・・・・・
ある! 《バイナラドア》!
《超宮兵 マノミ》が1体デッキの下に送られる。が、まだだ。まだかずーの攻め手は消えていない。
残り2体のうち片方の《超宮兵 マノミ》が最後のシールドにアタックする。
ここだ。ここが正念場だ。頼む。
フィーチャーテーブルに集った「yamada pros」の仲間たちも、固唾を飲んで見守る。
大きく身を屈め、テーブルの端まで引き寄せた最後のシールドを下からゆっくり確認するじゃきー。
通るか、通らざるか。“通れば勝ち”という状況で、必死に祈るのはかずーも同じだ。
だが、その必死さ、そのほんの少しの差が、勝負の明暗を分ける。
次の瞬間、素早く、そして思い切りじゃきーが叩きつけた。
Sトリガー、2枚目の《バイナラドア》!!!
ギャラリー、そして実況席からも沸き起こる歓声。当のかずーですら笑うしかない。
“天門のカギを持つ者”は、“ドアのカギ”をも持っていたのだ。
そして最後の《超宮兵 マノミ》をデッキ下に送られたかずーは、攻め手を失ってしまいターンを返す。
奇跡的に掴んだ逆転のチャンス。
6ターン目、じゃきーは少考し、《バイナラドア》を1体手札に戻して《ジョット・ガン・ジョラゴン》を召喚。
そのアタックから《ガヨウ神》→《アイアン・マンハッタン》→≪キング・ザ・スロットン7≫へとバトルゾーンに出た時の効果を繋げる。
3枚のシールドがブレイクされ一気に殴り切るための道筋が整うが、あろうことかこの≪キング・ザ・スロットン7≫の効果で《光牙忍ハヤブサマル》を捲ってしまう。
これには思わず苦い顔を見せるじゃきー。
そしてこれは、逆にかずーの最大のチャンスとなった。
《時を戻す水時計》があれば勝ち・・・・・!
先程の逆転をひっくり返す、奇跡の逆転返しが決まるのか。
同じ轍は踏まない。今度こそ掌を合わせ必死に拝むかずー。
このまま押し切れ。攻撃を宣言しながら改めて十字を切るじゃきー。
「頼む・・・!」立場こそ違えど、最早想う事は同じだった。
そして2枚のシールドがゆっくりと開かれる・・・・
だが先程と違い、そのシールドは手札に吸い込まれていく。
勝利の女神が最後に微笑んだのは、じゃきーだった。
TOP8とTOP16。
他にも勝ち負けでの順位の差はあれど、とりわけDMGPにおけるこの差には天と地程の差がある。
自分の勝利が形として残るGP版《超戦龍覇 モルトNEXT》を手に入れられるか、手に入れられないかが掛かっているからだ。
じゃきーやかずーが必死に祈るのも頷ける。
だからこそ負けてしまったかずーの喪失感たるや想像を絶するものだろうと思ったが、意外にも負けた瞬間こそ悔しがれど、その後の受け答えではとても毅然としていた。
冷静に考えれば、それも当たり前だ。
確かに負けるのは悔しい。それもこのタイミングで負けるのは特に。
だが、それだけだ。
別にここで負けたら死ぬ訳じゃない。
このDMGPというデュエルマスターズの祭典も、これで最後という訳でもない。まだまだ続くのだ。
”歴史に自分の名を刻む”チャンスは幾らでも残っている。
そしてそれは、歴戦の古豪であるかずーが立ち直るには十分すぎる理由だった。
「次のGPや超CSも参加しますか?」という筆者の質問に対してはっきりと「参加したいです」と答えたかずー。
そして、そのかずーに今回の“名を刻む”チャンスを渡されたじゃきーは「yamada pros」の仲間の祝福を背に受け、次の戦いへ臨む。
WINNER:じゃきー
その中には、様々な人間がいる。
半年に一度のデュエマの祭典だからと初めてのグランプリを楽しみに来た者、
数少ない大舞台だからとこの日のために綿密に調整を重ねてきた者、
毎週出ているCSの延長線上の大会としてこの戦いに赴く者。
その一人一人全てが違う趣意でこの祭典に参加しているのだろうが、その全てが「デュエマの歴史に自分の名を刻みつけたい」という想いを持って戦いを繰り広げてきたのだ。
そしてそれは、“既に名を刻んだ者”であっても例外ではない。
そんな“天門のカギを持つ者”として日本一に輝いた男、じゃきーは「デュエルマ・スターカップ」のロゴの入ったポロシャツに身を包み、このTOP8を賭けたフィーチャーテーブルに座っている。
同じ中部の調整グループ「yamada pros」の仲間たちと調整した『ジョーカーズ』を手に、もう一度その名を刻まんとしているのだ。
だが対面に座る“ループの貴公子”ことかずーも、古くはCSで数多の強豪としのぎを削ってきた横浜の古豪だ。
その二つ名の通りの『水単ムートピア』と共にここまで駆け上がってきた彼の目は、たとえ相手が“天門のカギを持つ者”であろうと、憶することを知らない。
「デュエマの歴史にその名を刻みつけたい」。
その想いがより強いのは、果たしてこの二人のうちどちらか。
先攻:じゃきー
先手のじゃきー、後手のかずー共に2ターン目までをマナチャージのみで終える立ち上がり。
そこからじゃきーは少し考え、3ターン目《ポクチンちん》を召喚してターンを返した。
対するかずーはまたもマナチャージのみでターンを終える。
普通のデッキであれば「事故」と言いたい所だろうが、ことかずーのデッキは『水単ムートピア』なのだ。
本当に事故っているのか、手札にコンボパーツを溜め込んでいるのか。
判断が出来ない分、その握られた手札は異様な存在感を放つ。
だが、その手札の中身が何であろうとじゃきーは自分の動きを通すしかない。
4ターン目にじゃきーは《パーリ騎士》を召喚。
引きは芳しくないが、何も無ければ次のターンに《ジョット・ガン・ジョラゴン》を召喚出来るように準備を整えた。
だがそれを見逃すかずーではない。
ターンが渡り、かずーが勝負に出た。
マナチャージをし、《ガード・グリップ》→《ガード・グリップ》→《時を戻す水時計》と握っていた手札を次々解き放っていく。
そして唱えた呪文が3回である事を確認すると、このデッキの主役、《超宮兵 マノミ》を2体召喚!
手札を4枚増やし、更に引いてきた《超宮兵 マノミ》を召喚する。
『水単ムートピア』の理想的な動き。これにはじゃきーも苦笑するが、ここでかずーの動きが一瞬止まる。
そして次にプレイしたのは、≪卍獄ブレイン≫。
合わせて6枚増やした手札だが、ここで一番必要な《セイレーン・コンチェルト》を引くことが出来なかったようだ。
これで呪文が4回。・・・・《シンクロ・スパイラル》も、無い。
手札から更に《超宮城 コーラリアン》を2体召喚し、ゆっくりとそのままターンを返した。
《次元の嵐 スコーラー》の召喚まで繋がらなかった事で一命は取り止めたじゃきーだが、盤面を全てバウンスされ、苦しい状況が続く。
マナも伸ばせていないため、5ターン目も《ポクチンちん》を召喚するのみだ。
無傷でターンが帰ってきたかずー。
一応の1コストドロー呪文を2発唱えた後、残りの3マナをタップし、意気揚々と≪「本日のラッキーナンバー!」≫を発動!
この宣言“3”により≪7777777≫が封じられ、最早じゃきーの命は風前の灯になってしまった。
頼みの綱は、4枚の《バイナラドア》と《光牙忍ハヤブサマル》のみ。
ここからじゃきーの必死の祈りが始まる。
シールドに飛び込む1体目の《超宮城 コーラリアン》。
1枚づつ必死に祈りながらシールドを捲るじゃきー。だがトリガーはない・・・!
さらに2体目の《超宮城 コーラリアン》が追撃をかける。
まだだ。まだ祈りが足りない。捲る手を止め、十字を切るじゃきー。
これを返せるのなら、神にでも何でも縋る。
そして目を見開き、同時にシールドを開いた。トリガーは・・・・・
ある! 《バイナラドア》!
《超宮兵 マノミ》が1体デッキの下に送られる。が、まだだ。まだかずーの攻め手は消えていない。
残り2体のうち片方の《超宮兵 マノミ》が最後のシールドにアタックする。
ここだ。ここが正念場だ。頼む。
フィーチャーテーブルに集った「yamada pros」の仲間たちも、固唾を飲んで見守る。
大きく身を屈め、テーブルの端まで引き寄せた最後のシールドを下からゆっくり確認するじゃきー。
通るか、通らざるか。“通れば勝ち”という状況で、必死に祈るのはかずーも同じだ。
だが、その必死さ、そのほんの少しの差が、勝負の明暗を分ける。
次の瞬間、素早く、そして思い切りじゃきーが叩きつけた。
Sトリガー、2枚目の《バイナラドア》!!!
ギャラリー、そして実況席からも沸き起こる歓声。当のかずーですら笑うしかない。
“天門のカギを持つ者”は、“ドアのカギ”をも持っていたのだ。
そして最後の《超宮兵 マノミ》をデッキ下に送られたかずーは、攻め手を失ってしまいターンを返す。
奇跡的に掴んだ逆転のチャンス。
6ターン目、じゃきーは少考し、《バイナラドア》を1体手札に戻して《ジョット・ガン・ジョラゴン》を召喚。
そのアタックから《ガヨウ神》→《アイアン・マンハッタン》→≪キング・ザ・スロットン7≫へとバトルゾーンに出た時の効果を繋げる。
3枚のシールドがブレイクされ一気に殴り切るための道筋が整うが、あろうことかこの≪キング・ザ・スロットン7≫の効果で《光牙忍ハヤブサマル》を捲ってしまう。
これには思わず苦い顔を見せるじゃきー。
そしてこれは、逆にかずーの最大のチャンスとなった。
《時を戻す水時計》があれば勝ち・・・・・!
先程の逆転をひっくり返す、奇跡の逆転返しが決まるのか。
同じ轍は踏まない。今度こそ掌を合わせ必死に拝むかずー。
このまま押し切れ。攻撃を宣言しながら改めて十字を切るじゃきー。
「頼む・・・!」立場こそ違えど、最早想う事は同じだった。
そして2枚のシールドがゆっくりと開かれる・・・・
だが先程と違い、そのシールドは手札に吸い込まれていく。
勝利の女神が最後に微笑んだのは、じゃきーだった。
TOP8とTOP16。
他にも勝ち負けでの順位の差はあれど、とりわけDMGPにおけるこの差には天と地程の差がある。
自分の勝利が形として残るGP版《超戦龍覇 モルトNEXT》を手に入れられるか、手に入れられないかが掛かっているからだ。
じゃきーやかずーが必死に祈るのも頷ける。
だからこそ負けてしまったかずーの喪失感たるや想像を絶するものだろうと思ったが、意外にも負けた瞬間こそ悔しがれど、その後の受け答えではとても毅然としていた。
冷静に考えれば、それも当たり前だ。
確かに負けるのは悔しい。それもこのタイミングで負けるのは特に。
だが、それだけだ。
別にここで負けたら死ぬ訳じゃない。
このDMGPというデュエルマスターズの祭典も、これで最後という訳でもない。まだまだ続くのだ。
”歴史に自分の名を刻む”チャンスは幾らでも残っている。
そしてそれは、歴戦の古豪であるかずーが立ち直るには十分すぎる理由だった。
「次のGPや超CSも参加しますか?」という筆者の質問に対してはっきりと「参加したいです」と答えたかずー。
そして、そのかずーに今回の“名を刻む”チャンスを渡されたじゃきーは「yamada pros」の仲間の祝福を背に受け、次の戦いへ臨む。
WINNER:じゃきー
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