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山形超CSⅢ 準決勝:ミノミー vs. かつん


今、デュエル・マスターズ界で最も旬な男といえば、このミノミーだ。
彼の代名詞的な存在となった『水魔導具』は当初《卍 新世壊 卍》の設置ターンの遅れがそのまま敗北に直結することから、競技プレイヤーにあまり支持されなかった。

ミノミーは自身の活躍で競技シーンの認識を改めさせると共に、ここまで14,000余のポイントを積み上げてきた。

そんな彼と並んで、この山形の会場で旬を迎えているのは『水闇自然デッドダムド』。
予選突破者の1/3を占めた“ダムドの海”を、ミノミー自身もここまで五度対峙しながら渡ってきている。
そして、この準決勝が通算六度目の邂逅となる。使い手はかつんだ。

かつんは長きにわたり競技シーンで活躍するプレイヤーで、初めて結果を残した大会ともなれば7年前にまで遡る。
その初戴冠となったチーム戦CSでチームを組んでいたのはなんと、今大会でヘッドジャッジを務める“Thunders#36”こと松浦 元気氏と、Lv.2ジャッジとして大会運営の中核を担う山田 侃生氏であった。

かつんはやや自嘲的に「このダムドを組んでからまだ2日しか経ってない」と話した。
だが、7年前の『《蛇手の親分ゴエモンキー!》型Nエクス』は大会の前日に構築され、かつんはそれを本番で堂々とプレイして勝利をもぎ取っていたという。

松浦氏も太鼓判を押す、かつんの吸収力をもってすれば「2日」といえども当然舐めてはかかれない。
そのことは、準決勝まで勝ち上がってきた結果も証明している。


Game 1

先攻:かつん
先攻のかつんはまず《SSS級天災 デッドダムド》をチャージしてマナの色を揃えるが、2ターン目の動きはなく、このゲームの初動はミノミーに譲った。
ただ《卍 新世壊 卍》ではなく、それを探す《堕呪 ゴンパドゥ》だ。

かつんは3ターン目に《天災 デドダム》を着地させ、ミノミーの3ターン目は先ほどの《堕呪 ゴンパドゥ》で手に入れた《卍 新世壊 卍》
ここから優秀なカードが揃う『デッドダムド』と大前提をクリアした『水魔導具』の鍔迫り合いが始まる、と誰もが思っていた。かつん以外は。

かつんの4ターン目、5に伸びたマナから《超次元リバイヴ・ホール》を唱えて《時空の英雄アンタッチャブル》《時空の喧嘩屋キル》をばら撒くと、《天災 デドダム》の攻撃時に侵略宣言


《超奇天烈 ギャブル》《超奇天烈 ギャブル》

捲られた《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》を横取りすると、2体目の《超奇天烈 ギャブル》能力からも《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》
これを手札補充が行える魔導具呪文たちと悩みながらも唱え、2回分のエクストラターンを獲得する。

ミノミーのシールドから状況を覆すカードは現れず、水闇自然のカラーリングにあるまじき実質の先攻4ターンキルで、かつんが最初のゲームをものにした。


ミノミー 0-1 かつん


前述の松浦氏を筆頭に、競技シーンに長いこと関わっているプレイヤーにはジャッジなど裏方の仕事を担っている者も少なくない。筆者もそのうちの一人である。
だが、かつんは一貫してプレイヤーに専念している。その理由を尋ねた。

「裏方の仕事に興味が無い訳ではないんです。でも日本一決定戦に出ることが夢なんです。叶えるまではプレイヤーの一本です」

ここは超CSの準決勝。
一途に追い求めた夢は今、手の届く距離にある。


Game 2

先攻:ミノミー

1ゲーム目と変わらずミノミーは《堕呪 ゴンパドゥ》から《卍 新世壊 卍》を回収し、かつんは《天災 デドダム》からスタートする。
変わったのは、今度はミノミーが先手というところ。

《堕呪 ギャプドゥ》《堕呪 シュノドゥ》と立て続けに魔導具呪文を唱えるミノミー。
かつんは攻めの足掛かりを作ろうと、ミノミーが《堕呪 カージグリ》を持っていないことに賭けて《超次元リバイヴ・ホール》から《勝利のリュウセイ・カイザー》を着地させる。
だが無情にも≪卍獄ブレイン≫に続けて唱えられる《堕呪 カージグリ》


《禁断機関 VV-8》を召喚したかつんだったが、それ以上の行動はできず。

贅沢にも6マナで《堕呪 ゴンパドゥ》を3連打したミノミーが《卍 新世壊 卍》の「無月の門99」から《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》で先に時空の制御権を奪い、《堕呪 ウキドゥ》の連打でシールドに残る希望もかき消される。
あとは呼び出された2体の《凶鬼卍号 メラヴォルガル》と≪卍 ギ・ルーギリン 卍≫がかつんを蹂躙するのみ。


ミノミー 1-1 かつん


北海道に住む弟が前年度のランキングで102位だったため「東京は北海道よりずっと多くCSが開かれる。東京に住んでいる自分がランキングを走らないのはもったいない」と考えて今年度からCS行脚を始めたというミノミー。
『水魔導具』という最良のパートナーと出会えた彼は14,000余ものポイントを積み上げて日本一決定戦出場権を争う上位ランカーに肉薄し、ポイント倍率8倍のこの超CSでも既に2,000ポイントの上積みを確定させている。

これが「勢い」のある人間というものなのか。あるいは濃密な経験の賜物なのか。
衝撃的な形で1ゲームを落としたものの、一切の動揺も見せずに落ち着いたプレイで取り返してみせた。

この熱い熱いミノミーの夏は、まだ終わらない。


Game 3

先攻:かつん

後手ながら、3本目にしてついに2ターン《卍 新世壊 卍》に成功したミノミー。かつんの初動は再び《天災 デドダム》だ。
ミノミーは《堕呪 バレッドゥ》でドローを進めつつ《》を墓地に送り込む。

かつんはこれまた再び《超次元リバイヴ・ホール》を唱えると《時空の英雄アンタッチャブル》《時空の喧嘩屋キル》と並べる。
《天災 デドダム》がプレイヤーへの攻撃を宣言すると、今度は1枚だけの《超奇天烈 ギャブル》が侵略。

《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》は……ない。

《卍 新世壊 卍》を解体できる《堕呪 エアヴォ》も見えなかったため《堕呪 ゴンパドゥ》を横取りして手札を整えつつ2枚のシールドをブレイクした。

盾は3枚に減らされたが、最大の危機は逃れた。
ミノミーは、続いて盤面のプレッシャーを打ち消すため《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》をディスカードして、選ぶことのできない《時空の英雄アンタッチャブル》を除くクリーチャーを焼き払う。

横並びの圧力を排除されたかつんは、続く脅威として《禁断機関 VV-8》を召喚。
対するミノミーは《堕呪 カージグリ》を唱えて《卍 新世壊 卍》の下へ2枚目の魔導具呪文を送り込んだ。

ターンを貰ったかつんは、しばし自分の手札を見ながら取り得るプランを模索する。


そしてこのターンは《禁断機関 VV-8》の封印解除ではなく《テック団の波壊Go!》を唱えて《卍 新世壊 卍》を作り直させることを選択。
返すミノミーは改めて《卍 新世壊 卍》を出し直すと、残る4マナで《堕呪 ウキドゥ》《堕呪 バレッドゥ》と唱えた。 ……のだが。

そのプレイを見たかつんに、明らかな焦りの表情が浮かぶ。
それもそのはず、ミノミーは《堕呪 ウキドゥ》を唱えて自分の3つのシールドのひとつを確認し、迷わず元に戻したのだ。それも、《禁断機関 VV-8》がいる前で。

『水魔導具』には《堕呪 カージグリ》《堕呪 エアヴォ》のような単体除去のシールド・トリガーも入っているが、エクストラターンを絡めて過剰な数のアタッカーで攻撃されてしまうと、それらでは心許ない。
ミノミーが《堕呪 ウキドゥ》を唱えたときの態度は、より強力なトリガーを想起させるものであった。

それは《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》か、あるいはスーパー・シールド・トリガーを持つ《堕呪 ギャプドゥ》か。
ミノミーの公開領域に《堕呪 ギャプドゥ》が1枚もなかったため、かつんはジャッジに依頼して《堕呪 ギャプドゥ》の正確なテキストを確認する。

開きかけている無月の門を閉じ、宿願の扉の前に立つためにはどうすればいいか――

勝負の分かれ目で必死にケアの手段を探るかつんの指先は、微かな震えを纏っている。
受けるミノミーは夕凪の水面のように、ただ静かにかつんの宣言を待つ。

かつんは《堕呪 ギャプドゥ》の割り切りを決断し、《超次元リバイヴ・ホール》から《勝利のガイアール・カイザー》をプレイすると、少しでも《光牙忍ハヤブサマル》の確率を下げようと、残った2マナで《悪魔妖精ベラドンナ》を手札破壊モードで召喚。
《勝利のガイアール・カイザー》《蒼き団長 ドギラゴン剣》へと革命チェンジし《天災 デドダム》を呼び出しながらミノミーの残るシールドを全てブレイクする。

トリガーしたのは《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》
もちろん《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》が捨てられるが、かつんの狙い通りに生き残った《時空の英雄アンタッチャブル》がプレイヤーへの攻撃を宣言し……


ミノミーはしっかりと受け止め、かつんの猛攻を凌ぎ切った。

満を持して唱えられる《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》、そして呼び出された《凶鬼卍号 メラヴォルガル》たちがシールドを溶かし尽くす様を見届けて、かつんは右手を差し出した。


ミノミー 2-1 かつん

Winner:ミノミー


試合後、ミノミーの口から漏れ出した「危なかった……」という言葉と安堵の表情は偽らざる本音なのだろう。
ただ、大きく浮わついたり、逆に緊張を切らした様子はなく、既に最後の戦いの準備はできているように見える。

躍進の夏の集大成に、一番の舞台で愛する『水魔導具』の最強を叫ぶ。
そんな大望の実現まで、残す壁は後たったの1枚。


一方で、敗戦直後のかつんはただただ茫然としていた。
逃した魚の大きさを思えば致し方のないことだが、それでも観戦していた友人が歩み寄るとすぐに気を取り直してプレイングの検討に入った。

かつんの夢は叶うのか、それまでにいくつ壁を越えればよいのか……
それらはすべて神のみぞ知るところだ。

ただ、私たちに分かることもいくつかある。

痛恨の敗戦で灰になるようなショックを受けるほど、勝利への執着心に身を焦がしていること。
挫折から立ち上がる力強さを持っていること。

そのようなプレイヤーはきっと、挑戦が報われるときまでその足を止めないこと。
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