DMGP8th DAY2:ジャッジインタビュー 山田 侃生氏
かつてデュエル・マスターズの競技シーンを牽引していたCS運営チーム『Team静岡CS』。現在は活動を休止しているものの、主催の“Thunders#36”松浦 元気、ジャッジの“ジェニー”大塚 蒼らはいまだ健在。公式大会を支える認定ジャッジの一員として、GP8thにも駆けつけている。
そしてこの2日間、ジャッジマネージャー補佐を務めた“punte2723”こと山田 侃生もまた、『Team静岡CS』の出身だ。松浦らと同じく、今でもGPや超CSの運営に携わっている。
彼がイベントの運営に関わることになったきっかけ、そしてジャッジとして目指すものを聞いた。
・活動地域:静岡県
・資格取得時期:2016年4月(第1期)
・ジャッジレベル:2(シルバー)
・運営参加イベント:静岡CS、2018年度日本一決定戦、GP1st~GP8th、超CS in熊本、超CSⅡ in金沢、2017年度関西エリア予選、2018年度東海エリア予選など
「主催の松浦に、やってみない? と声をかけられたことがきっかけでした。
最初に与えられた役割はカメラマン。当時はフィーチャー卓にカメラを設置して対戦を録画する文化があったんですけれど、そのカメラの面倒を見ていました。
静岡CSのスタッフを続けられた一番大きな理由は、会場の近さかな。家から5分ぐらいの場所で開催されていましたから。(遠方の)浜松市で開催! なんて言われたら、モチベーションを維持するのが大変だったかもしれません」
2人の出会いは、2006年に遡る。山田が公認大会に出た時、友人から紹介されたのが松浦だった。山田が中学1年生、松浦が高校2年生の時である。
彼らの付き合いは、もう10年以上にもなる。
松浦の下で静岡CSの運営に携わり始めた山田は、2015年春の第5回静岡CSからフロアジャッジとして活動するように。同年夏のGP1stにも、ジャッジとして参加した。
そうして経験を積んだ彼は、いつしか静岡CSでジャッジマネージャーを任されるまでになっていた。
「2016年春に第7回静岡CSを開催したんですけれど、そのちょっと前ですかねぇ。ふっと思ったんですよ。
俺は暇だし、誰よりも会場に近い。じゃあ、俺がみんなの分のバインダーを事前に準備したら役に立つんじゃないの?って。そんな考えが頭に浮かんだんです」
当時の静岡CSでは、ジャッジ全員に作業工程表などを挟んだバインダーを支給していた。バインダーを準備するとは、資料を事前にバインダーに挟み、配布できる状態にしておくことを指す。
小さなことかもしれない。だが、誰もが気づけることではないのも事実だ。
「そのあたりから、どうしたら楽をできるかについて考えるようになりましたね。
自分は接客業で働いているんですけれど、ジャッジ業務にもそこでの経験が活きていると思います。マネージャー的な部分で言えば、誰かに仕事を任せる時とか。その人の傾向を見て、サポートの要否も考えなきゃいけない」
そこまで言って、彼は苦笑する。
「いやー……なんで俺、上から語ってるんだ。そんな大したヤツでもないのにね」
飾らないスタンスの山田。実際、第7回静岡CSが転機になったのは間違いないようだ。
最初は「こうした方がいい?」と主催の松浦に意見を求めてから改善を進めていた彼だったが、すぐに「こうしていい?」へと質問は変わり、最終的に「やっておいたよ」という報告になった。そして、静岡CSのジャッジマネージャーを任されるに至る。
活動の場は、CSだけではない。公式大会にはGP1stからずっとジャッジとして参加し、GP6thからはジャッジリーダーだ。昨年、シルバージャッジに昇格もした。
けれど、立場や肩書きを前面に押し出すことは是としない。
「シルバーと言っても、ブロンズと能力的に明確な差があるわけじゃない。高い能力を持ったブロンズジャッジだっていますよ。
シルバー昇格の面接では“シルバーになりたいか?”と問われ、“自分にやるべきことがあるなら昇格したい”と答えました。目立ちたくてジャッジをやってるわけじゃないですから、使命があるならと」
ともすると、消極的な発言にも見える。もちろん、山田が言いたいのはそういうことではない。
「やる気はある、ありますよ。なんだろうな、そうじゃなくて……。
うまく言えないんですけれど、山田ってヤツが言ってるから間違いないだろうって、周囲のジャッジから思われる存在にはなりたくないんです。肩書きが付くことで権威を持ってしまって、そうなるのはダメ。根拠なく納得させちゃいけませんから」
なぜ、このポジションに認定ジャッジが配置されるようになったのか。
「ジャッジマネージャーの中嶋さんによれば、次世代にマネージャーのスキルを相続するためとのことです。特定の人間にノウハウが集中するのはリスクが大きいから、技術と知識を共有し、出来る人間を増やしていきたいと仰っていました。
補佐は、大会全体の状況を把握してトラブルの芽を事前に摘み、マネージャーを支えるポジションです。必要なのは広い視野、そして気配り」
山田は、2日を通して補佐を務めた。業務内容は多岐に渡る。
「マイクや音響設備の設置、slackを使った作業時間の記録……細かい作業を多く担当しました。裁定関連以外は全部、という感じです。
フロアを歩き、ジャッジたちの様子を確認していた時間もあります。彼らの前で乱れた椅子を直して、こういうところにも目を配ってほしいと無言で教えたりとか。口で言うよりも、率先して行動し手本を示した方が伝わりやすいと思っています。
裁定を出すだけがジャッジの仕事じゃない。参加者の望みを考え、全員に笑顔で帰っていただけるような行動を心がけてほしいですね」
多くの認定ジャッジと同じように、昔の山田は競技プレイヤーだった。だがCSやGPの現場で経験を積むうちに、ジャッジ業務に惹かれた。今ではプレイヤーとしては一線を退き、ジャッジ専業で活動するようになっている。
彼をのめり込ませたジャッジの面白さとは、何か。最後の質問に対し、山田はこう答えた。
「ジャッジとして活動する時って、誰に対しても敬語を使うことになっているでしょ。それって、普段とは違うじゃないですか。違う自分を演じることは楽しいし、楽しんでほしい。
ジャッジ業務がよく分からないって人には教えます。みんなと一緒に楽しみたいですね」
筆者が山田と初めて会ったのは6年前のこと。そのころはまだ長髪で、Magic: The Gatheringのプレインズウォーカーに引っ掛けて「島田のサルカン」と呼ばれていたことを鮮明に覚えている。
それから幾度か、筆者が主催したCSにスタッフとして参加していただいた。一緒にイベントを運営して、彼の適応力の高さに驚かされた。
さしたる打ち合わせがなくとも、簡単な指示から主催者の求めるものを読み取り、的確に実行する。単に裁定を理解しているだけのジャッジではない、目の前の変化し続ける状況に対して臨機応変に対応できる人物なのだ。
人を見る目も確かで、ジャッジマネージャー補佐として声がかかったのも頷ける。
その心に秘めた熱意は飄々とした立ち居振る舞いによって隠されているものの、ともに現場で活動した人間には漏れなく伝わっていることだろう。
今回のGP8thでは、DAY2のヘッドジャッジに静岡CS主催の松浦が就任。その補佐には、松浦の薫陶を受けた大塚が就いた。
既に書いた通り、ジャッジマネージャー補佐にはおやつCSの運営として経験を積んだ若山、松浦と同じく静岡CS出身の山田が配されている。カバレージチームにも多くのユーザーが加わった。
デュエル・マスターズ出身者がGPを率いるリーダーとして活躍する日は、そう遠くないのかもしれない。
そしてこの2日間、ジャッジマネージャー補佐を務めた“punte2723”こと山田 侃生もまた、『Team静岡CS』の出身だ。松浦らと同じく、今でもGPや超CSの運営に携わっている。
彼がイベントの運営に関わることになったきっかけ、そしてジャッジとして目指すものを聞いた。
ジャッジプロフィール
・年齢:25歳(1993年度生まれ)・活動地域:静岡県
・資格取得時期:2016年4月(第1期)
・ジャッジレベル:2(シルバー)
・運営参加イベント:静岡CS、2018年度日本一決定戦、GP1st~GP8th、超CS in熊本、超CSⅡ in金沢、2017年度関西エリア予選、2018年度東海エリア予選など
松浦との出会い、静岡CSへの誘い
山田のCS運営としてのキャリアは、2014年春の第3回静岡CSから始まった。「主催の松浦に、やってみない? と声をかけられたことがきっかけでした。
最初に与えられた役割はカメラマン。当時はフィーチャー卓にカメラを設置して対戦を録画する文化があったんですけれど、そのカメラの面倒を見ていました。
静岡CSのスタッフを続けられた一番大きな理由は、会場の近さかな。家から5分ぐらいの場所で開催されていましたから。(遠方の)浜松市で開催! なんて言われたら、モチベーションを維持するのが大変だったかもしれません」
2人の出会いは、2006年に遡る。山田が公認大会に出た時、友人から紹介されたのが松浦だった。山田が中学1年生、松浦が高校2年生の時である。
彼らの付き合いは、もう10年以上にもなる。
松浦の下で静岡CSの運営に携わり始めた山田は、2015年春の第5回静岡CSからフロアジャッジとして活動するように。同年夏のGP1stにも、ジャッジとして参加した。
そうして経験を積んだ彼は、いつしか静岡CSでジャッジマネージャーを任されるまでになっていた。
CSのジャッジマネージャーへ、そしてシルバーレベルへ
ジャッジマネージャーを任されたきっかけは、元をたどればちょっとした意識の変化にあったのだと山田は振り返る。「2016年春に第7回静岡CSを開催したんですけれど、そのちょっと前ですかねぇ。ふっと思ったんですよ。
俺は暇だし、誰よりも会場に近い。じゃあ、俺がみんなの分のバインダーを事前に準備したら役に立つんじゃないの?って。そんな考えが頭に浮かんだんです」
当時の静岡CSでは、ジャッジ全員に作業工程表などを挟んだバインダーを支給していた。バインダーを準備するとは、資料を事前にバインダーに挟み、配布できる状態にしておくことを指す。
小さなことかもしれない。だが、誰もが気づけることではないのも事実だ。
「そのあたりから、どうしたら楽をできるかについて考えるようになりましたね。
自分は接客業で働いているんですけれど、ジャッジ業務にもそこでの経験が活きていると思います。マネージャー的な部分で言えば、誰かに仕事を任せる時とか。その人の傾向を見て、サポートの要否も考えなきゃいけない」
そこまで言って、彼は苦笑する。
「いやー……なんで俺、上から語ってるんだ。そんな大したヤツでもないのにね」
飾らないスタンスの山田。実際、第7回静岡CSが転機になったのは間違いないようだ。
最初は「こうした方がいい?」と主催の松浦に意見を求めてから改善を進めていた彼だったが、すぐに「こうしていい?」へと質問は変わり、最終的に「やっておいたよ」という報告になった。そして、静岡CSのジャッジマネージャーを任されるに至る。
活動の場は、CSだけではない。公式大会にはGP1stからずっとジャッジとして参加し、GP6thからはジャッジリーダーだ。昨年、シルバージャッジに昇格もした。
けれど、立場や肩書きを前面に押し出すことは是としない。
「シルバーと言っても、ブロンズと能力的に明確な差があるわけじゃない。高い能力を持ったブロンズジャッジだっていますよ。
シルバー昇格の面接では“シルバーになりたいか?”と問われ、“自分にやるべきことがあるなら昇格したい”と答えました。目立ちたくてジャッジをやってるわけじゃないですから、使命があるならと」
ともすると、消極的な発言にも見える。もちろん、山田が言いたいのはそういうことではない。
「やる気はある、ありますよ。なんだろうな、そうじゃなくて……。
うまく言えないんですけれど、山田ってヤツが言ってるから間違いないだろうって、周囲のジャッジから思われる存在にはなりたくないんです。肩書きが付くことで権威を持ってしまって、そうなるのはダメ。根拠なく納得させちゃいけませんから」
山田から見たジャッジマネージャー補佐
ジャッジマネージャー補佐に認定ジャッジが就くのは、GP7thからだ。7thでは若山1人だったが、今回は定員の増加もあってか若山と山田の2人が就いている。なぜ、このポジションに認定ジャッジが配置されるようになったのか。
「ジャッジマネージャーの中嶋さんによれば、次世代にマネージャーのスキルを相続するためとのことです。特定の人間にノウハウが集中するのはリスクが大きいから、技術と知識を共有し、出来る人間を増やしていきたいと仰っていました。
補佐は、大会全体の状況を把握してトラブルの芽を事前に摘み、マネージャーを支えるポジションです。必要なのは広い視野、そして気配り」
山田は、2日を通して補佐を務めた。業務内容は多岐に渡る。
「マイクや音響設備の設置、slackを使った作業時間の記録……細かい作業を多く担当しました。裁定関連以外は全部、という感じです。
フロアを歩き、ジャッジたちの様子を確認していた時間もあります。彼らの前で乱れた椅子を直して、こういうところにも目を配ってほしいと無言で教えたりとか。口で言うよりも、率先して行動し手本を示した方が伝わりやすいと思っています。
裁定を出すだけがジャッジの仕事じゃない。参加者の望みを考え、全員に笑顔で帰っていただけるような行動を心がけてほしいですね」
多くの認定ジャッジと同じように、昔の山田は競技プレイヤーだった。だがCSやGPの現場で経験を積むうちに、ジャッジ業務に惹かれた。今ではプレイヤーとしては一線を退き、ジャッジ専業で活動するようになっている。
彼をのめり込ませたジャッジの面白さとは、何か。最後の質問に対し、山田はこう答えた。
「ジャッジとして活動する時って、誰に対しても敬語を使うことになっているでしょ。それって、普段とは違うじゃないですか。違う自分を演じることは楽しいし、楽しんでほしい。
ジャッジ業務がよく分からないって人には教えます。みんなと一緒に楽しみたいですね」
筆者が山田と初めて会ったのは6年前のこと。そのころはまだ長髪で、Magic: The Gatheringのプレインズウォーカーに引っ掛けて「島田のサルカン」と呼ばれていたことを鮮明に覚えている。
それから幾度か、筆者が主催したCSにスタッフとして参加していただいた。一緒にイベントを運営して、彼の適応力の高さに驚かされた。
さしたる打ち合わせがなくとも、簡単な指示から主催者の求めるものを読み取り、的確に実行する。単に裁定を理解しているだけのジャッジではない、目の前の変化し続ける状況に対して臨機応変に対応できる人物なのだ。
人を見る目も確かで、ジャッジマネージャー補佐として声がかかったのも頷ける。
その心に秘めた熱意は飄々とした立ち居振る舞いによって隠されているものの、ともに現場で活動した人間には漏れなく伝わっていることだろう。
今回のGP8thでは、DAY2のヘッドジャッジに静岡CS主催の松浦が就任。その補佐には、松浦の薫陶を受けた大塚が就いた。
既に書いた通り、ジャッジマネージャー補佐にはおやつCSの運営として経験を積んだ若山、松浦と同じく静岡CS出身の山田が配されている。カバレージチームにも多くのユーザーが加わった。
デュエル・マスターズ出身者がGPを率いるリーダーとして活躍する日は、そう遠くないのかもしれない。
TM and © 2024, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY