DMGP9th 準々決勝:アーチー(三重) vs. てぇし(東京)
試合前に「ここまで来たら勝ちたい…」と溢したのはてぇし。聞けばデュエル・マスターズは6月に復帰したばかりだという。
そんなニューフェイスを迎え撃つのは数々の戦場を乗り越えてきた三重県1位のアーチーだ。
彼等はこの試合でどんなドラマを見せてくれるのだろうか。
Game 1
先攻:てぇし3ターン目に《サイバー・チューン》から動くてぇしが墓地に落としたのは《邪眼教皇ロマノフⅡ世》。
彼がベスト8まで共に勝ち上がってきたデッキは『ロマノフワンショット』だ。ひとたび《邪眼教皇ロマノフⅡ世》が着地すれば相手を倒すまで回り続ける可能性を持つコンボデッキである。一方で、ここまで動きのないアーチーのマナで一際異彩を放っているカードが《アクア・メルゲ》だ。
私が知っている《アクア・メルゲ》活躍の場は《盗掘人形モールス》《疾封怒闘 キューブリック》と合わせて無限ドローをしていた時代にまで遡る。だが主要カードの相次ぐ殿堂入りにより《アクア・メルゲ》の栄光の時代は幕を閉じた。
そんな《アクア・メルゲ》を再びプレイヤー達から注目を浴びるこの舞台へ呼び戻した相棒がアーチーのマナに置かれる。
《MEGATOON・ドッカンデイヤー》だ。
すかさずてぇしは効果を確認する。突然見慣れぬカードを目の当たりにしたてぇしだったがマナに埋められている《アクア・メルゲ》とのコンボに気付いたようだ。納得した表情でカードを返したてぇしは続くターンで≪「本日のラッキーナンバー!」≫をプレイ、まだ全貌の見えぬデッキが相手ではあったが冷静に「4」を宣言し堅実に次のターンを迎えにいく。動きを制限されたアーチーは苦悶の表情を浮かべ「4か…」と言葉を漏らす。思考を巡らせた末に《早撃人形マグナム》をセットしターンを返す。
安全に蘇生呪文を撃てるターンまで歩ききったてぇしは≪法と契約の秤≫をプレイし《邪眼教皇ロマノフⅡ世》を現世に呼び起こす。
「頼む…」と縋るように捲った5枚の中には《フォース・アゲイン》!
そのまま山札を掘り進め《水上第九院 シャコガイル》をバトルゾーンに送り込み最後の1枚を引いて大事な1本目を先取した。
アーチー 0-1 てぇし
このゲームでアーチーは1枚もカードを使用せずに相手のワンショットを見届けた。
そこにプレイングの介入する余地はないように見えただろう。だが、彼はしっかりと大局を見据えて行動していた。
『≪「本日のラッキーナンバー!」≫で「4」を宣言されたターンには2ゲーム目以降のことを考えていたのだ。あそこの状況ではまだ自然文明のカードが公開領域になかったので情報を隠すために《早撃人形マグナム》を置いた』
このプレイングをして得られる勝率は1%にも満たないかもしれない。しかし、アーチーは情報の持つ価値を知り、最終的な勝利を見据えて現状の自分に取れる最適解を選んだ。
私はそこに彼の強さの一端を垣間見た。
Game 2
先攻:アーチー2ターン目に《フェアリー・ライフ》を唱えたアーチーのマナゾーンには《MEGATOON・ドッカンデイヤー》《生命と大地と轟破の決断》が集まりコンボパーツのコンプリートまで《アクア・メルゲ》を残すのみとする。
てぇしも負けじと《サイバー・チューン》から《邪眼教皇ロマノフⅡ世》を2枚墓地に落とし蘇生対象の準備を終わらせる。《アクア・メルゲ》が見えないまま5マナを迎えたアーチーは≪逆転のオーロラ≫を発動し全てのシールドを選択する。
マナに送られた5枚の中には最後のピースである《アクア・メルゲ》が存在した。
そのまま勢い良く《生命と大地と轟破の決断》を唱えバトルゾーンに《アクア・メルゲ》と《MEGATOON・ドッカンデイヤー》が揃い、《アクア・メルゲ》の効果を起動する度にGR召喚が行われる。
《ツタンメカーネン》《予知 TE-20》《ダダダチッコ・ダッチー》……次々とGRクリーチャーが集結するが自壊ギミックの核となる《早撃人形マグナム》をマナから出せる《マリゴルドⅢ》が登場したのは2枚目の《予知 TE-20》が降り立った後であった。
このループは《早撃人形マグナム》の効果で《ツタンメカーネン》でドロー効果をストックし、《予知 TE-20》効果を使い回しデッキトップに《永遠の少女 ワカメチャ》を持ってくることで完成する。
だが《予知 TE-20》を使い回せなくなってしまったアーチーは《アクア・メルゲ》の効果でデッキを掘り進めるしかなくなってしまった。
1枚、また1枚とデッキが薄くなっていったが、ついに《永遠の少女 ワカメチャ》をしっかり引き込みデッキを回復させることに成功、たまりにたまった《ツタンメカーネン》の効果を処理して2本目を制した。
アーチー 1-1 てぇし
「フィーチャー卓での試合は緊張する。GRの順番もあまり良くなくて焦った……」と振り返るアーチーと「勝ちたい……」と呟くてぇし。両者とも最後の1本に悔いを残さないよう感情を吐き出し、冷静さを保とうとしているようであった。
Game 3
先攻:てぇしゲームはてぇしの≪ウォズレックの審問≫から動き出す。アーチーの初動を遅らせようとするものの提示された手札には2枚の《霞み妖精ジャスミン》、当然次ターンのアーチーは《霞み妖精ジャスミン》でブーストし勝利への準備を進める。
《サイバー・チューン》で後を追うてぇしだが《邪眼教皇ロマノフⅡ世》が見当たらない。《蝕王の晩餐》《水上第九院 シャコガイル》を落とすに留まる。
更にコンボパーツを揃えて勝利を近付けたいアーチーがここで引いてきたのは《神秘の宝箱》だった。
念入りに山札を確認しシールドに何が埋まっているのかを把握していくアーチー。全ての把握を終えマナに《アクア・メルゲ》を持ってきて残すパーツは《生命と大地と轟破の決断》ただ1枚となった。
てぇしは≪「本日のラッキーナンバー!」≫で「5」を宣言して延命をしながら《邪眼教皇ロマノフⅡ世》の着地まで凌ぎきることを選択、まずは1発目の≪「本日のラッキーナンバー!」≫を唱える。
返しのターンでアーチーに《レインボー・ストーン》で《生命と大地と轟破の決断》を持ってこられるも≪法と契約の秤≫から≪サイバー・K・ウォズレック≫を蘇生、ふたたびの≪「本日のラッキーナンバー!」≫で足止めをしながら《サイバー・チューン》でデッキを掘る。が、まだ《邪眼教皇ロマノフⅡ世》は姿を現さない。
すでに準備が完了しているアーチーはそのままターンを返す。次の自分のターンが回ってくることを信じて。
≪「本日のラッキーナンバー!」≫の在庫が途切れてしまったてぇしはこのターンに解答となるカードを持ってこなければならない。だが、ドローしたカードは解答札ではなかった。覚悟を決め≪サイバー・K・ウォズレック≫を召喚し墓地から《エマージェンシー・タイフーン》《蝕王の晩餐》を選択。この2ドローに《邪眼教皇ロマノフⅡ世》がなければてぇしの勝ち筋はほぼなくなる。
2枚、デッキの上からカードを掴み確認するとそこには《邪眼教皇ロマノフⅡ世》が居た。
そのまま墓地に落とし《蝕王の晩餐》で蘇生。お互いに自分の勝利のために祈り、てぇしはカードを捲った。
《》
《》
《エマージェンシー・タイフーン》
《水上第九院 シャコガイル》
《戒王の封》
以上の5枚のカードがめくれ、一度はてぇしの前に姿を見せた《邪眼教皇ロマノフⅡ世》だったが、二度目の顕現は幻と消えた。
ようやく≪「本日のラッキーナンバー!」≫の枷が外れたアーチーは《生命と大地と轟破の決断》から《アクア・メルゲ》、《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を呼び出しGR召喚。今度は1体目から《マリゴルドⅢ》を呼び出し《早撃人形マグナム》によるループを決めて準決勝進出を決めた。
アーチー 2-1 てぇし
Winner:アーチー
試合後、両者はがっちりと握手を交わし互いの健闘を讃え合う。私はこの光景が堪らなく好きだ。
「あそこまでやって負けるのは仕方ない。アーチーさんの記事を参考に調整したデッキだったから悔いはない」そう語るてぇしの想いを背負い、アーチーは準決勝へと進んで行く。
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