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DMGP9th:決勝ラウンド メタゲームブレイクダウン ミッツァイル躍進、ダムド後退の中で ~見えない敵を討て!~

 GP9thも全8ラウンドの予選が終わり、TOP128が確定した。
 8月に行われてた超CSⅢでは、ご存じの通り天災の如く現れた『デッドダムド』が上位を席巻した。
 では、9月下旬に発売された「零誕!魔神おこせジョルネード1059!!」は環境にどんな変化をもたらしたのか。
 その環境については、言葉で説明するよりもまずはTOP128の分布を見てもらう方が分かりやすい。

■赤緑青ミッツァイル:38
■緑青ジョラゴン:13
■赤単ブランド:12
■黒緑青デッドダムド:12
■赤青クラッシュ覇道:6
■緑単tミッツァイルループ:6
■青黒カリヤドネ:4
■メルゲドッカンデイヤー:4
■赤白ミッツァイル:4
■青魔道具:3
■ロマノフワンショット:3
■モルトNEXT:3
■オボロティガウォック:2
■墓地ソース:2
■ドルマゲバロムクエイク:2
■赤青ミッツァイル:1
■緑単tカエルBジャック:1
■白青アルファリオン:1
■青ゼロジョルネード:1
■白黒緑ツインパクト:1
■ズンドコエンジオン:1
■ドラガンザーク:1
■ネロティウス:1
■レッドゾーン:1
■赤青バスター:1
■赤緑ハキリ:1
■ビッグ轟破天:1
■緑ユニバース:1
■白ゼロサヴァーク:1


1.赤緑青ミッツァイルの躍進と、デッドダムドの後退

 超CSⅢに於いては圧倒的な実力で他を寄せ付けなかった『デッドダムド』が、新環境では一歩後退。代わりに躍進したのは、マナドライブの力を得た『赤緑青ミッツァイル』であった。


 新規に登場したマナドライブ5、6のGRクリーチャーたちは、バトルゾーンに登場するだけで莫大なアドバンテージを生み出す存在だった。3ドローをする《天啓 CX-20》、マナゾーンから展開できる《マリゴルドⅢ》、GRゾーンを実質10枚に圧縮する《続召の意志 マーチス》……。彼らによって、《BAKUOOON・ミッツァイル》は召喚しただけで爆発的なリソースを獲得することが可能になり、《》の力を借りながら《単騎連射 マグナム》《音精 ラフルル》によるフィニッシュを比較的容易に行ってしまう。
 そして何より、その強さの源泉は展開からフィニッシュまでを「1ターンの間に」出来てしまうこと。
 展開で1ターン、フィニッシュで1ターンであれば盤面の処理に勝る『デッドダムド』の餌食になるところだが、《》《Wave ウェイブ》《知識と流転と時空の決断》といったカードが簡単に盤面を作ってしまうため、《BAKUOOON・ミッツァイル》召喚までのタイムラグがない。
 よって、『デッドダムド』には比較的有利といえる存在であり、それはイコールで『デッドダムド』自身の一歩後退へと繋がった訳でもある。

 もっとも、『デッドダムド』が弱いのかと言えばそんなことはない。


 8-0で予選全体1、2位となった白梟ZweiLanceの使用は『デッドダムド』であった。ともに昨シーズンの日本一決定戦に出場したプレイヤーだ。その実力者たちが、このデッキを評価しているということだろう。
 相変わらず盤面を制する力は絶大で、今後の環境次第ではいつトップに返り咲いてもおかしくはないだろう。


2.赤単の圧倒的戦果とジョラゴンの復権

 他に既存のアーキタイプで大きな戦果を上げたのは『赤単ブランド』だ。
 《単騎連射 マグナム》《音精 ラフルル》を擁する『ミッツァイル』系統の躍進が予想される中で、「シールドトリガーで逆転する」という展望を期待する事は難しい。加えて、環境は『デッドダムド』『ミッツァイル』というような中速以降に寄っていくことは明白だった。即ち、各デッキは序盤を凌ぐトリガーを搭載することが少なくなった。
 それは結果として、3ターン目までにゲームを決着付ける『赤単』にとっては美味しい状況だったのだ。
 『赤青クラッシュ覇道』こそ苦手な相手ではあるが、先攻さえ取ってしまえば全く勝てない相手でもない。
 そして何より、新規に登場した《“魔神轟怒”ブランド》の存在は多くの赤単使いに勇気を与えた。


 超天フィーバーの効果によって超過打点を形勢することが容易になり、GRゾーンからこのカードを繰り出せば、劣勢の状況を巻き返すことや、多少のシールドトリガーを貫通するだけの力を発揮することが出来た。
 ゲルネウス《知識と流転と時空の決断》によってわずかに頂点を掴み損ねたものの、今日以降もこのアーキタイプは、デッキを選択する上で常に頭にチラつく存在になるだろう。

 また、昨シーズン日本一に輝いた『ジョラゴン』も第一線へと返り咲いていたようだ。《ガヨウ神》の殿堂は余りにも痛手であり、デッキタイプそのものが終わったかのように思われていた。しかし、《アイアン・マンハッタン》の効果が環境的に強力なことに加え、《》の防御性能や《ジョリー・ザ・ジョルネード》の展開力を得たことによって、安定性は失ったものの別ベクトルでの強さを手に入れた。
 特に《ジョリー・ザ・ジョルネード》《ゴッド・ガヨンダム》によるドロー、《バイナラシャッター》による除去と痒いところに手が届くGRクリーチャーの召喚を期待でき、マスターJトルネードも《》+何か、と現実的なラインで起動が可能だ。


 『ジョラゴン』には愛用者も多い。《ジョリー・ザ・ジョルネード》の力を得て生まれ変わった彼らがどのように活躍するか、注目である。




 さて、ここまで取り上げてきたデッキは全て「始まる前に想定できた」メタゲーム上に存在していたデッキたちである。

 だが、頂点に輝いたデッキはそのどれでもなかった。
 GPの開始時点では「見えない」デッキが数多く存在し、そして彼らの存在は環境に、上位の顔ぶれに大きな影響をもたらしたのである。


3.見えない敵を討て! ~各陣営の秘密兵器~

 GPは年に二回の大型大会である。この大会に向けて、各プレイヤーたちは密かに新規アーキタイプを作成していた。

 発売前から話題となっていた《生命と大地と轟破の決断》は、やはり強力なカードだった。これを用いたオリジナルデッキが、晴れてお披露目となった。


 みすみが作成した『緑単tミッツァイルループ』は緑単の歴史を踏襲したような王道のループであり、ランキング1位(10/6時点)のあーくんや、ベスト16となった養分丸が使用した。
 これは《生命と大地と轟破の決断》から《侵革目 パラスラプト》《バロン・ゴーヤマ》を繰り出し、《バロン・ゴーヤマ》から《カラフル・ナスオ》を発射することによって大量のマナを作り出すことでスタートする。


 《ツタンメカーネン》《バクシュ 丙-二式》という二種のGRクリーチャーをフィニッシュに使うことでメインの枠を削減していることも特徴だろう。“美しさ”という評価軸に於いて、このデッキに勝るものはなかっただろう。

 もう一つ、が作成しアーチーをベスト4へと導いた『メルゲドッカンデイヤー』は、これぞコンボデッキというような、デュエル・マスターズの可能性を感じさせるデッキだ。


 《神秘の宝箱》《レインボー・ストーン》といったカードからマナゾーンを整え、≪逆転のオーロラ≫からの《生命と大地と轟破の決断》《アクア・メルゲ》《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を繰り出すことでコンボがスタート。ドローとディスオードを連続することで、GR召喚自体が任意の回数可能となる。
 最終的にはGR召喚した《ツタンメカーネン》《早撃人形マグナム》で破壊することで《ツタンメカーネン》が無限にGR召喚出来るようになり、自身は《永遠の少女 ワカメチャ》《アクア・メルゲ》でディスカードすることによって山札を回復するというループデッキだ。

 両者に共通しているのは、ループが決まらなくてもビートプランがあるということ。『緑単tミッツァイルループ』であれば《BAKUOOON・ミッツァイル》から繰り出した打点で攻めることが可能で、『メルゲドッカンデイヤー』であれば、GRゾーンにある2体の《ソニーソニック》《“魔神轟怒”ブランド》によって、瞬間的に16打点生成することが出来る。
 ビートプランがあるループデッキが強いのは、《龍覇 イメン=ブーゴ》などでお馴染みであろう。

 そして、そうした幾多の「見えない敵」を乗り越えた上で優勝したのが、『青黒カリヤドネ』である。


 イヌ科が「(チーム)マラかっち総員の結集」と評したこのデッキは、≪魔導管理室 カリヤドネ≫によるループデッキだ。序盤に《ブラッディ・クロス》《ブラッディ・タイフーン》といった小型の墓地肥やし呪文を連打し、≪魔導管理室 カリヤドネ≫の早期着地を目指す。一度着地してしまえば再度呪文を唱えられるため、2体目の着地も容易になってくる。
 ループのギミックについては別の場所に説明を譲るが、ループでありがなら《次元の嵐 スコーラー》を絡めてビートも出来るというのは、前述した二つのデッキと共通している。

 ここで挙げたデッキはいずれも強力なものであるが、『青黒カリヤドネ』が優勝出来た要因を幾つか考察しておきたい。

 このデッキは《音奏 プーンギ》等の呪文対策カードや《ポクタマたま》といった墓地対策に阻害されてしまうが、そうした弱点を補うだけの強力なカードが採用されていた。
 それが《》だ。

 現環境においてこのカードは非常に強力な一枚で、例えば≪「本日のラッキーナンバー!」≫で「4」を宣言すれば『赤緑青ミッツァイル』のGR召喚を大幅に制限出来る。実質的に追加ターンを得るカードになるのだ。加えて、前述した二つのループデッキに強いカードであることもポイントであり、「5」を宣言することで《生命と大地と轟破の決断》や≪逆転のオーロラ≫を止めることで有利に立ち回ることが出来る。

 もちろん予選開始時点で知られていなかった『メルゲドッカンデイヤー』の対策に採用した訳ではないのは明らかだが、「見えない敵」にも作用するこのカードは恐ろしく強かった。準決勝、3位決定戦に於ける『青黒カリヤドネ』と『メルゲドッカンデイヤー』の試合でゲームを決したのは、≪「本日のラッキーナンバー!」≫だったのは間違いないだろう。

 また、前者二つのデッキとのもう一つの違いは『赤単』に一定の耐性があることだ。それは、このデッキが一定枚数のトリガーを採用出来ているところにある。
 『緑単tミッツァイル』は≪リーフストーム・トラップ≫のみ、『メルゲドッカンデイヤー』に関しては受けを完全に切っている都合上、『赤単』の攻撃を凌ぐのはほぼ不可能であるのに対し、『青黒カリヤドネ』は《》自身の呪文面の≪ハーミット・サークル≫がトリガーであり、加えて《イェーガー a.k.a. 噴射》《スパイラル・ゲート》《レスキュー・タイム》、そして《知識と流転と時空の決断》らが積まれている。もちろん『赤単』であればそれを乗り越えるだけの速度がある。それでもイヌ科が決勝で決めた2枚の《知識と流転と時空の決断》は記憶に新しいだろう。そういった離れ業も実現しうるのがこのデッキなのだ。

 いずれにせよ今大会は従来のアーキタイプに加え、GP用に開発された新規アーキタイプの活躍が目立つ大会でもあった。

 デュエル・マスターズには、無限の可能性がある。
 その可能性の中から強力なデッキを作り上げて次のGPで頂点に輝くのは、果たして。

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