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超CSⅣ宮城 決勝Round 3:ユミヤ vs. 霧時雨/とも

ライター:高橋 穂
撮影者:堀川 優一

 あれほどいた参加者も、今やわずかに32人。開始時の5%以下まで絞られた。

 これからのさらなる激戦を感じてか会場の空もにわかに色が変わり、《鋼龍 クシャルダオラ》強化のアナウンスが流れつつある中。

 フィーチャー卓では、驚くほど和やかにシャッフルが行われていた。

 ファイティングポーズ撮影の際も一時期流行った「片方だけハートを作る」ポーズでおどけて見せるのは、環境屈指のコントロール・コンボデッキ【MDWチョイス】を駆る霧時雨/とも

霧時雨/とも「殿堂施行前ということもあって【JO退化】と【グルメ墓地ソース】が増えそうなので、それに有利が取れるデッキを探しました。直近でも身内が勝ってますし、自分で回しても感触が良かったのでいい結果が出そうだな、と」

 不利対面はループやコンボくらいで、それ以外のアグロやミッドレンジには強く出られる……とも後に語った霧時雨/とものデッキは、相当な環境研究とコミュニティ内での努力の末の逸品のようだ。


 対して、【アナカラーハンデス】とともにここまでやってきたユミヤのデッキ選択理由はシンプル極まりないものだった。

ユミヤ「一番使い慣れてるから」

 【デッドダムド】【ダークネスコントロール】と長年にわたって環境に合わせて進化を続けてきたデッキだけに、はにかみながらの短い言葉に確かな自信が伺える。


 片や環境の予測を、片や自身の腕前を信じてここまでやってきた二人が手にしているのは、何の因果か両方ともコントロールデッキ。

 「このゲームを楽しむぞ」と言わんばかりの表情の二人だが、このゲームが終われば勝者と敗者という絶対的な壁で分かたれることになる。

 どちらが対戦相手をコントロールしきり、ベスト16に足を進めるのか。

 会場外を吹き始めた嵐とともに、ゲームは始まった。
先攻:ユミヤ  最初に動いたのは、先攻2ターン目のユミヤ。《悪魔妖精ベラドンナ》のブーストで加速に成功し、2ターン続いてチャージのみの霧時雨/ともに差をつける。

 さらに3ターン目、先攻の利を活かして《天災 デドダム》《飛ベル津バサ「曲通風」》というムーブを決めると、返しに出てきた霧時雨/ともの《天災 デドダム》はただの1ドローつき生物まで弱体化してしまう。

 とはいえ後が続かないユミヤはじっくり考えつつも次のターンをチャージのみでスキップ。その隙に霧時雨/ともは《神徒 メイプル-1》にて《絶望と反魂と滅殺の決断》《特攻人形ジェニー》の手札から《絶望と反魂と滅殺の決断》を落として一方的なゲームを許さない構え。

 そしてここから壮絶なハンデス合戦が始まる。

 ユミヤが《特攻人形ジェニー》→墓地からの《絶望と反魂と滅殺の決断》《特攻人形ジェニー》《悪魔妖精ベラドンナ》を釣る動きで3ハンデスを決めると、霧時雨/ともは《霊宝 ヒャクメ-4》でマナを伸ばしながら手札を落とす……という応酬が繰り広げられ、6ターン目の終わりには両者の手札はすでに空になっていた。

 こうなれば、(両者ともマナは十分であることから)いかに有効牌を引けるかが勝負となる。  ドローを確認してそのままターンエンドを宣言したユミヤに対して、《Disアイ・チョイス》を引き当てた霧時雨/ともはキーパーツの《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》に辿り着く!  墓地のクリーチャーこそまだ少ないが、そこさえクリアすればすぐにでも大量蘇生からの特殊勝利にすら繋がるビッグムーブだ。

 ゲームに制限時間を突き付けられたユミヤだが、ここは慌てず《有象夢造》。墓地に《SSS級天災 デッドダムド》を落としつつ、《悪魔妖精ベラドンナ》を蘇生させてブーストを狙う。

 一刻も早く墓地を肥やしたい霧時雨/ともは、ターンが帰って来るや《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》のDスイッチを起動。ウルトラ・セイバーで《天災 デドダム》《Disアイ・チョイス》を破壊して即蘇生することで、墓地を肥やしつつ《霊宝 ヒャクメ-4》をマナから繰り出してハンデスを行うとともに盤面を強化する。

 ユミヤにも(全体除去ののち)《悪魔妖精ベラドンナ》《特攻人形ジェニー》《堕魔 ドゥポイズ》等の蘇生を許すが、お互い手札のない今となっては痛くもない。

 さらに《天災 デドダム》を追加して墓地を肥やし、あとは2枚目の《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》《砕慄接続 グレイトフル・ベン》といった切札が効果を発揮すれば勝利は目前……というところまで漕ぎつける。

 しかし、ユミヤもさるもの。《絶望と反魂と滅殺の決断》でハンデスと盤面固めを行い、マナから《虹速 ザ・ヴェルデ》を繰り出して《SSS級天災 デッドダムド》を2枚同時侵略させると、先ほど固めた霧時雨/ともの盤面は着実に削れていく。

 盤面が崩壊する前に切札に辿り着きたい霧時雨/ともだが、ドローは芳しくないようで《Disアイ・チョイス》《SSS級天災 デッドダムド》を殴ってスレイヤーで退場させることしかできない。

 この隙に《Disジルコン》《天災 デドダム》で山札を掘り続けてターンを返すユミヤ。ここまで探しているなら、いつ切札を引いてもおかしくない。

 出来ればゲームを決めるフィニッシャー、最低でもハンデスを引きたい霧時雨/ともだが、引けず。5枚のシールドと2体の《霊宝 ヒャクメ-4》の防御の元、ターンが帰って来るのを祈るしかない。

 だが、勝負のクライマックスは目前まで迫っていた。  11ターンに及ぶ長い戦いの末についにユミヤの手から降臨したのは、《CRYMAX ジャオウガ》

 シールドを3枚まで焼却し、《天災 デドダム》の上に再び《SSS級天災 デッドダムド》を2枚侵略させて《霊宝 ヒャクメ-4》を除去すると、霧時雨/ともを守るのはわずかなシールドのみ!

 並んだ小粒を絡めての一斉攻撃でブレイクされたシールドの中にあれほど霧時雨/ともが待ち望み、今では有効札にならない《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》があったのを見届けると、《CRYMAX ジャオウガ》のダイレクトアタックが長いゲームに終止符を打った。

Winner:ユミヤ

霧時雨/とも《ディスタス・ゲート》が来なかったー!」

 ゲーム終了とともに残った山札を裏返し、そこにどっさり詰まった《ディスタス・ゲート》《砕慄接続 グレイトフル・ベン》を示す霧時雨/とも。確かにこれが引けていれば、あるいはトリガーしていればまだゲームは続いていたかもしれない。

ユミヤ「実はこっちも(【MDWチョイス】が)どういうデッキなのか分かってなくて……プレイ遅くてごめんなさい」

 あれほど熾烈なコントロール対決をしていたにもかかわらず、感想戦を進める彼らの表情には笑顔が戻っている。

 お互いの引いたカードをフルに使い切る総力戦を、きっと彼らはコントロールの使い手として確かに楽しんでいたのだ。

 「そのまま優勝してください!」という霧時雨/ともの元気な声に見送られ、ユミヤはベスト16に駒を進めた。

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