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DMGP2023-1st Day2(オリジナル)決勝Round 2:みれう vs. たかりんB

ライター:高橋 穂(北白河)
撮影者:後長 京介


 3825人参加の大盛況となった今回のグランプリも、本選1ラウンド目までの行程を終えた今や残るは64人。

 特に予選ラウンドの選別は厳しく、9ラウンドの長丁場を8勝1敗にまで抑えないと勝ち抜きが確定しない(7勝2敗ラインはかなり厳しいオポネント差が必要)……という厳しい戦いが要求される。

 そんな中、無敗のままここまで辿り着いたプレイヤーがほんの一握り存在する。その一人が、みれうだ。

 先日の最強位決定戦でも3位を獲得するなどトップクラスのプレイヤーとして名高い彼をここまで勝利に導いてきた愛機が、【水闇自然オービーメイカー】だ。

みれう《十番龍 オービーメイカー Par100》というカードが幅広い対面に刺さるので、いろんなデッキが存在するGPのような環境に強いんですよね」

 ここまでは通り一遍のデッキ選択理由だが、トッププレイヤーの選択理由にはその先がある。

みれう「【アポロヌス】のような速攻デッキには弱いんですが、そういうデッキは(やや不安定なので)2回戦目までにある程度消えてくれるのも見越しました」

 DMPランキングで上位を確保しているみれうには、2回分の不戦勝(Bye)の権利がある。環境だけにとどまらず、GPにおける自身の立ち位置も加味した「勝つためのデッキ選択」には舌を巻くばかりだ。

 逆にサブマリン(序盤で一度敗北した状態)から勝ち星を重ねてここまでやってきたのが、たかりんB

 彼が駆る【4c邪王門】は、友人から預かったカードも活かして組んだというコミュニティの想いが詰まったものだ。

 たかりんB「(他にも候補のデッキはあったが)ランダム性が強すぎず、練度で考えた時に最も自信のあるデッキを選びました。(GPに多い)幅広い相手を見れる、一番丸い選択肢だと思っています」

 試合後に語ってくれたデッキ選択理由は、奇しくもみれうのものと一致する。

 ここまで自らのデッキ選択とプレイングを成就させて勝ち抜いてきた二人だが、この先に進めるのは一人だけ。

 どちらの選択がより正しかったのかが、試される時が来た。

※撮影時のみマスクを外しています。 先攻:みれう

 「よろしくお願いします」の声とともに手札を一瞥するやノータイムで《Disジルコン》をマナに送るみれうに対し、かなり逡巡したのち《天災 デドダム》を埋めるたかりんB。

 続くターンの《》《一王二命三眼槍》というそれぞれのチャージによって、お互いのデッキが【水闇自然オービーメイカー】と【4c邪王門】であることが判明する。

 3ターン目。《キユリのASMラジオ》チャージからの《Disメイデン》を召喚して効果で《天災 デドダム》を埋めるみれうのムーブは、もちろん「次のターンに2枚目の《キユリのASMラジオ》撃つよ」の予告サイン。

 対するたかりんBも《天災 デドダム》召喚からマナに《天災 デドダム》、墓地に《百鬼の邪王門》を埋めるムーブで「こっちも備えがあるぞ」とサインを送り返す。

 返すみれうのターンに放たれたのは、予定調和の《キユリのASMラジオ》。ラジオから響く妖精の声に誘われてやって来るのは、《Disジルコン》と…このマッチアップのカギとなる《とこしえの超人》

 《百鬼の邪王門》を完封するこの小さな巨人(と、それを守る2体のブロッカー)をどかさなければ、【4c邪王門】の動きは大きく制限される。この2デッキの相性が【水闇自然オービーメイカー】有利とされる理由の一つだ。  これにより考えることがとたんに増えたたかりんB。ターンが帰ってきた後も、手札と盤面を眺めて熟考は続く。

 最終的に彼が選んだのは、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》の召喚だった。  出た時効果で《百鬼の邪王門》を手札に加えつつ《とこしえの超人》をバウンス、そしてマッハファイターで《Disメイデン》に攻撃する際に《》へと革命チェンジ!

 これは《Disジルコン》にブロックされるも、呪文ロック効果によって次のターンにさらなる《キユリのASMラジオ》で詰められるパターンは封じることに成功した形となる。

 こうしてひとまず凌いだたかりんBだが、みれうの手は止まらない。

 ラジオがダメなら直接出せとばかりに《天災 デドダム》《原始 サンナップ》《Disジルコン》とデッキを掘りつつ大量召喚!フィニッシャーこそ引けなかったようだが、最後に《とこしえの超人》を出し直すといつの間にか戦況はみれうが取り戻している。

 こうなると苦しいのはたかりんB。すでに盤面には大量のクリーチャーが並んでおり、手を拱いていれば《十番龍 オービーメイカー Par100》《∞龍 ゲンムエンペラー》を引かれた瞬間に敗北が確定する。なんなら、小粒クリーチャーで6回殴られるだけでもゲームが終わりかねない。

 かといって、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》からの革命チェンジなどで打点を用意して殴るにも《とこしえの超人》やブロッカーたちが邪魔で致死打点の形成はかなり厳しい。まさに八方塞がりの状況だ。


 この状況を打開し得る手段は、実はすでにたかりんBの手に握られていた。しかも、直接勝ちへと至る手段が。しかしこれはあまりにも大きな賭けとなる。


 ここでじっとしていても状況は好転しないと考えたからか、それともそのカードこそが友人から預かった「魂の一枚」だったからか。いずれにせよ、たかりんBは迷わずその可能性にオールインした。

 6マナを捻って飛び出たのは、殿堂入りカード《黒神龍ブライゼナーガ》  この5枚のシールドの中に《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》が眠っていれば、邪魔な《とこしえの超人》をふたたびバウンスしたうえでシールドが0枚になり、革命0でスピードアタッカーがつく。そして攻撃時に手札に抱えた《百鬼の邪王門》の鬼エンド&《蒼き団長 ドギラゴン剣》のファイナル革命→《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》の出し直しによるバウンスなども絡めて全力で致死打点を形成。そして勝つ。

 これが、たかりんBの見出した勝機だ。

 文字通り捨て身の覚悟を持って行われたこの賭けに、敗北の可能性を反射的に悟ったみれうの視線が一瞬釘付けになる。  土壇場で描いたこの夢を実現するべく、たかりんBは祈るように手を合わせてから5枚のシールドを確認していき……


そのまま、手札に加える。


 シールドから《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》が舞い降りることはなく、劇的な逆転勝利は幻となった。

 それでも一太刀を浴びせんと≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫の攻撃時に《時の法皇 ミラダンテⅫ》に革命チェンジし、ファイナル革命で次のターンの召喚を封じながら3打点を叩き込むたかりんBだったが……

 《》の呪文側がトリガーして《天災 デドダム》が落とされると、そこで攻めはストップしてしまう。

 全てのシールドを失ったたかりんBは、ダメ押しの《キユリのASMラジオ》から2体の《とこしえの超人》が出てきたのを見届けると、小粒クリーチャー四体による波状攻撃を(手札に1枚しかない《一王二命三眼槍》を見せつつ)その身で受け止めた。

Winner:みれう

みれう「ここまでで一番ピンチだった…」

 試合終了からほどなくして、彼はそう呟いた。

 結果のみを見れば突然勝ちが転がり込んできたように見えるみれうだが、たかりんBの選択の理由は確かに伝わっていた。

 ここまで危なげなく勝ち抜いてきた彼に冷や汗をかかせたこの賭けの威力は絶大だったと言えるだろう。

 感想戦に興じるたかりんBも、悔しさこそあるだろうがその選択に後悔の色は見せない。

 見た目以上の紙一重の戦いを制したみれうが、無敗のまま次の戦いへと足を進めた。

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