DMGP2023-1st Day2(オリジナル)準決勝:デデ vs. 出戸ももぐま
ライター:金子 幹(鐘子)
撮影者:後長 京介
ここまで勝ち上がってくれば最後までこの会場に残りたいのもまた選手の性だろう。
先に席に着いたデデははるばる鳥取からこの幕張の地に来訪したという。
デデとしばし話していると、相対する三重からの刺客出戸ももぐまも席に到着し、互いに挨拶を交わす。
さて、ここで両者のデッキに軽く触れておこう。
デデが用いるのは【水魔導具】。
超CSⅢで優勝したミノミーに続き、先のDMGP2022では上田秋斗がこのデッキタイプを用いて優勝を果たした息の長いデッキタイプ。
無論本日にいたるまでの間に採用カードはめまぐるしく変わってはいるが、《卍 新世壊 卍》を軸としたコンボデッキとして見るなら、環境に居座る長さはデュエマの歴史を見ても随一の長さだろう。
そういった経緯を重く見られたのか、フィニッシャーの一角である《ガル・ラガンザーク》が今年3月20日に殿堂入りを果たし、弱体化は免れない…はずだったのだが、なんとこの準決勝卓にまで残っているというから驚きだ。
かたや出戸ももぐまが使用するのは【水闇自然ジウォッチ】。
もはや現代デュエル・マスターズの代名詞ともいえる《天災 デドダム》をはじめとするリソース基盤、《とこしえの超人》といった軽量メタクリーチャー、後詰として最優といって過言でない《CRYMAX ジャオウガ》に加え、そこに《流星のガイアッシュ・カイザー》+《終末の監視者 ジ・ウォッチ》を加えた圧倒的安定感のあるデッキタイプ。
ここまで勝ち残ってこれたこともうなづける洗練されたリストだ。
さあ、ここまでくればもはや多くの言葉はいらないはずだ。
この準決勝の一部始終を早速お届けしよう。
Game 1
先攻:出戸ももぐま 先攻はじゃんけんで勝った出戸ももぐまから。1、2ターン目と大きな動きはない様子。
相対するデデの2ターン目。
手札から開かれたのは《卍 新世壊 卍》。 とはいえ、それも想定済みだと言わんばかりに軽快に出戸ももぐまは、返しのターンに《天災 デドダム》を繰り出し着実にリソースを伸ばす。
当然、《卍 新世壊 卍》を展開するだけで有利な状況ではあるが、それ1枚で勝てるわけではない。
4枚の魔導具呪文、《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》、《「無月」の頂 $スザーク$》をはじめとするドルスザクを全て揃えた上で初めて「無月の門99」は必殺の一撃となるためだ。
しかし、次の3ターン目のデデのプレイに先ほどまで冷静に盤面を確認していた出戸ももぐまも表情がこわばる。
デデが唱えたのは《堕呪 ゾメンザン》からの《堕呪 ゴンパドゥ》。 全カードプールの中でも1コストの魔導具呪文は《堕呪 ゾメンザン》のみ。
つまるところ、3ターン目には基本的に2コストの魔導具呪文+《堕呪 ゾメンザン》でしか《卍 新世壊 卍》に2枚魔導具が置かれることは通常ないのだ。
当然この行為が意味するのは4ターン目、最速の《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》の起動だろう。
もはや一刻の有用もないと悟ったデデは次ターンに《終末王秘伝オリジナルフィナーレ》で更にリソースを伸ばす。
たった4ターン目にして絶望の淵に立たされた出戸ももぐま。
……後はデデが運悪く、2コストの魔導具呪文を2枚、ないしは《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》を持っていないことを祈るのみ。
しかし現実は非情であった。
デデの4ターン目、《堕呪 ゴンパドゥ》から《堕呪 ゾメンザン》が繋がると、ターン終了時におよそ最速の《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》が唱えられる。
そして出てきたのは《「無月」の頂 $スザーク$》2体に《ガル・ラガンザーク》の計3体!? もはやこれ以上の展開はないだろうという布陣。当然《「無月」の頂 $スザーク$》が出戸ももぐまのハンドリソースを刈り取る。
しかし、ここさえしのぎ切ればまだ芽があると判断した出戸ももぐま。
このターンの終了時、冷静に《流星のガイアッシュ・カイザー》を盤面に送り出す。
とはいえ、デデは一切の容赦なく詰めに出る。
《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》による追加ターン。《堕呪 カージグリ》で《流星のガイアッシュ・カイザー》をバウンスすると、2体の《「無月」の頂 $スザーク$》が出戸ももぐまの命を狙う。
一気呵成とばかりに出戸ももぐまのシールドが割られていく。
あわや、と思った次の瞬間、2体目の《「無月」の頂 $スザーク$》の攻撃時……出戸ももぐまのシールドからは《B.F.F. モーメント》! なんとかなったか!?と慌てて手札を数えるものの…足りない。
そう、《「無月」の頂 $スザーク$》のハンデスにより手札の枚数が《ガル・ラガンザーク》のコスト8に届かなかったのだ。
ここまでくれば後は怖いものは何もない。
そのままデデの《ガル・ラガンザーク》がダイレクトアタックを決め、Game1の勝者はデデと相成った。
デデ 1-0 出戸ももぐま
流石と言わんばかりの引きから繰り出されるデデの最速「無月の門99」。
鮮やかな展開に魅せられ、観戦側としても息を飲む間もなくGame 1が終わっていたのだから恐ろしい。
とはいえまだ出戸ももぐまも終わったわけではない。
Game 2に向け、入念にシャッフルする両者。ただ勝利のみを求める2人の姿がそこにはあった。
Game 2
先攻:出戸ももぐま今回の先攻はGame 1を落とした出戸ももぐまから。
Game 1と同様に1、2ターン目には大きなアクションはない。
気になる後攻2ターン目のデデのプレイ。
デデが2マナをタップし、展開されたのは…… 《卍 新世壊 卍》だ。
出戸ももぐまの顔に緊張が走る。
それも無理はない。先のGame 1と全く同じ展開を目の当たりにしているのだ。
さらにこの後3ターン目のデデの動きもまた出戸ももぐまにとって正に悪夢であった。
3ターン目にデデが唱えたのは《堕呪 ゾメンザン》と《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》の呪文面の2枚。
一気に《卍 新世壊 卍》の下に2枚の呪文が溜まり、またもや窮地に立たされる出戸ももぐま。
しかし、ここで何も手を打たない判断はできない。
幸い《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》の呪文面は手札のリソースは増えないため、4ターン目に出戸ももぐまは一縷の望みにかけて《絶望と反魂と滅殺の決断》をプレイする。
選ぶモードは「手札破壊」を2回。これでデデの水魔導具の供給源を絶とうとする算段のようだ。
やや考えてデデの手札から捨てられたのは《「無月」の頂 $スザーク$》と《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》。
……どちらも【水魔導具】にとっては、墓地に合ってもなんら問題ないカードだ。
どこまで"持って"いるんだとばかりに半ば諦念するように仰天する出戸ももぐまはターンを返す。
デデは当然とばかりに持っている《堕呪 バレッドゥ》を2回唱えると、この準決勝、2回目の「無月の門99」が開かれた。
とはいえ、今回盤面に出たのは先ほど墓地に捨てられた《「無月」の頂 $スザーク$》1体のみ。 このターン終了時、Game 1同様に《流星のガイアッシュ・カイザー》が出戸ももぐまの場に出るも、これはデデの追加ターンの2枚目の《卍 新世壊 卍》を展開した上での《堕呪 カージグリ》に取られてしまう。
盤面が先ほどのように強固じゃない以上攻撃するか悩む場面ではあるものの、デデは長期戦にする意味はないと判断し、冷静に《「無月」の頂 $スザーク$》で攻撃をしかける。
出戸ももぐまのトリガーは……ない!
デデの目論見は功を奏し、なんとかターンは返ってきたものの、出戸ももぐまの盤面は0枚、かつシールドは2枚しかなくなってしまった。
このターン、マナを十分に伸ばし切れておらず6マナしかない出戸ももぐま。
《環嵐!ホールインワン・ヘラクレス》でデデの墓地の《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》を山札に返すのみにとどまる。
……そして次のターンが本準決勝最後のターンとなるのだった。
マナを貯め、6マナ。
《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》の呪文面を唱える。 残り4マナ、《堕呪 バレッドゥ》。 そして最後の2マナで《堕呪 ゴンパドゥ》を唱え……2枚目の《卍 新世壊 卍》の門が開かれた。 見事だ、と言わんばかりに盤面を凝視する出戸ももぐま。
《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》から2体目の《「無月」の頂 $スザーク$》と《ガル・ラガンザーク》がデデの盤面に降り立ち、ここで出戸ももぐまは潔くデッキに手を置いた。
デデ 2-0 出戸ももぐま
Winner:デデ
果たして2ゲーム中10ターンにも満たない間に《卍 新世壊 卍》の「無月の門99」を3回開いたデデ。
圧倒的な引きもまた、彼がここまで勝ち上がってきた要因に違いない。
そう、今日の彼は"持って"いるのだ。
その運命力を信じ、本日、そしてDMGP2022-1stの最後の試合に向けて、デデは決勝へと向かうのだった。
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