超CSⅤ新潟 Round 3:のすけ/浅果七美P vs. 涙腺コルク
ライター:秋山 大空
撮影者:堀川 優一(アノアデザイン)
【水闇自然ジャオウガ】の【サガループ】に対する主な勝ち筋は、以下の通りである。
序 《ドアノッカ=ノアドッカ / 「…開けるか?」》の呪文側+《絶望神サガ》でループに入られないように《とこしえの超人》等を並べる。
破 次に、攻撃できるクリーチャーを並べながら状況に合うカードを探す。
急 最後に、過剰打点と《CRYMAX ジャオウガ》で殴り切る。
可能であれば、≪ドアノッカ=ノアドッカ≫がトリガーしてもループに入られない数の妨害を並べておくのが望ましい。
もし妨害クリーチャーを除去され続けたなら、相手の手札はそこまで多くないだろう。
《絶望と反魂と滅殺の決断》を引けていれば妨害クリーチャーを補充できるし、相手の手札が少ないなら削り取ってゲームを引き延ばすこともできる。
引けていなくてもゲーム途中に並べた他のクリーチャーと《CRYMAX ジャオウガ》で殴り切ればいい。
手札を増やすことは不得手だが、減らさないことは得意である。
こちらの手札が切れる頃には、相手のトリガーを考慮しても《CRYMAX ジャオウガ》で殴り切るのに十分な盤面が整っているはずだ。
では、「こちらの手札が先に切れ」、「場に妨害が無く」、「殴らなければならない」が「殴るには心許ない」状況が来たらどうするか?
答えは簡単。
「そんな状況を簡単に作れる【サガ】は環境に存在しない」である。
少なくとも今までは。
【サガループ】。言わずと知れた現環境の王者とも言えるデッキ。
このデッキは、DMGP2023-1stから更に進化を遂げ【ダンタルサガ】と呼ばれる境地に到達した。
以前までの【サガループ】と比べてループからフィニッシュまでの証明に手間がかかるようになっているため、相応の練度が必要になるが、不安定だった対【火単】を克服しており、ロングゲームの安定感も段違いである。
今回フィーチャーされたのすけは、今期のDMPランキングで千葉県2位、全国11位に至るまで【サガループ】を使用しており、彼のCSレポートから滲み出るほどに練度も折り紙付きだ。
対するは、【水闇自然ジャオウガ】を使用する涙腺コルク。
妨害カード群と安定したデッキ基盤、そして強力なゲームエンド能力を持つ《CRYMAX ジャオウガ》でゲームを作る、お馴染みとなった強力なデッキ。
既に公認CSで多くの結果を残しているが、大型大会には初登場の【ダンタルサガ】。
改めて、その実力を見てみよう。
Game
先攻:のすけ
《龍装者“JET”レミング/ローレンツ・タイフーン》の呪文側からスタートするのすけ。
先攻3ターン目《絶望神サガ》ループの態勢だが、涙腺コルクの《リツイーギョ #桜 #満開》が間に合う。
3ターン目、早速《絶望神サガ》が登場し、2枚目の《絶望神サガ》を墓地へ。
そして《絶望神サガ》を入れ替えターン終了。
《リツイーギョ #桜 #満開》がループを妨げるが、【ダンタルサガ】の強みはここにある。
《絶望神サガ》1枚からループ出来るため、以前の【サガループ】と比べて《絶望神サガ》を無理にキープしておく必要がない。
場の《絶望神サガ》でプレッシャーをかけつつ手札の入れ替えを続け、総合リソースの勝負に持ち込めるのだ。
涙腺コルクは、《極楽鳥》《とこしえの超人》と更に盤面を広げるが、のすけは≪「…開けるか?」≫で《とこしえの超人》を退ける。
墓地に2枚目の《絶望神サガ》があるものの、《リツイーギョ #桜 #満開》が除去できないのすけ。
一方、涙腺コルクも手札が枯渇しつつあり、場の《絶望神サガ》のプレッシャーが重くのしかかる。 状況を好転させるべく、涙腺コルクは《キユリのASMラジオ》をプレイ。
場に出たのは《Disメイデン》と《とこしえの超人》。《天災 デドダム》ほどではないがリソースを伸ばすカードと、のすけへの更なる妨害札のセットだ。
しかし、毎ターン《絶望神サガ》で手札の入れ替えを行っているのすけの手札の質は言うまでもないだろう。
《勝熱と弾丸と自由の決断》で《とこしえの超人》と、面倒だった《リツイーギョ #桜 #満開》を同時に山札の下へ送る。
妨害札がいなくなった涙腺コルクの手札は、ドローを含めて2枚。一方、のすけの盤面には《絶望神サガ》。
《CRYMAX ジャオウガ》と《Disメイデン》だけでは、勝利までの打点はギリギリ。【ダンタルサガ】に入っている大量のシールド・トリガーを考えると、分の良い賭けではない。
だが、相手はもうループの準備が整っている。ここで走らざるを得ない。
マナをチャージ、《極楽鳥》タップを含めて《CRYMAX ジャオウガ》を召喚。
攻撃時に《絶望神サガ》を破壊しながらシールドをブレイク。
《Disメイデン》の攻撃が通れば涙腺コルクの勝利だが…… シールド・トリガー≪ドアノッカ=ノアドッカ≫、≪エマージェンシー・タイフーン≫。
《Disメイデン》が破壊され、のすけにターンが回って来る。
のすけのターン、《蒼狼の大王 イザナギテラス》から《冥界の不死帝 ブルース /「迷いはない。俺の成すことは決まった」》の呪文側を唱えループスタート。
《絶望神サガ》で山札が残り2枚になるまでデッキを掘り進め、蘇生対象を変更。
効果で出た《蒼狼の大王 イザナギテラス》、《龍素記号wD サイクルペディア》、《サイバー・K・ウォズレック / ウォズレックの審問》が《蝕王の晩餐》を使いまわし、効果のストックを溜める。
このループによって好きな回数クリーチャーを墓地から出し、好きな回数コスト4以下の呪文を唱え、自分の山札の順番を好きに固定できる。
のすけは、大量に並んだクリーチャー全てに《勝熱と弾丸と自由の決断》の効果を付与すると、4体の≪氷牙レオポル・ディーネ公≫で涙腺コルクにとどめを刺した。
Winner:のすけ
今までの【サガループ】であれば、涙腺コルクはもっと余裕を持って《CRYMAX ジャオウガ》までの道筋を組み立てられたはずだ。
だが、のすけは執拗な妨害クリーチャーの除去と場の《絶望神サガ》のプレッシャーによって、《CRYMAX ジャオウガ》での攻撃を強要させた。
妨害クリーチャーの枯渇、場の《絶望神サガ》、手札の除去や除去と使いまわす《龍素記号wD サイクルペディア》。これらを同時に対処することは、《絶望と反魂と滅殺の決断》でも不可能だ。
相手の「手札が先に切れ」、「場に妨害が無く」、「殴らなければならない」が「殴るには心許ない」状況を作る。
これが、【ダンタルサガ】の【水闇自然ジャオウガ】に対する主な勝ち筋である。
のすけ「(他のデッキと比べて)頭一つ抜けてますよね」
「今までの【サガループ】よりも受けが強いので、《CRYMAX ジャオウガ》で走られても、トリガーが何もないことはあまりないと思ってプレイしてました。急いでマナに水を3枚用意したので、≪エマージェンシー・タイフーン≫からの《疾封怒闘 キューブリック》もありますし」
「《リツイーギョ #桜 #満開》を除去するのが面倒なので、《絶望と反魂と滅殺の決断》を引けていればもうちょっと楽出来たと思います」
2ヶ月以上【サガループ】に向き合い続けているのすけ。流石とも言えるゲームメイクで、危なげなく勝利を掴んだ。
8月4日の殿堂発表も控え、環境の区切りと言える時期が近付いてきている。
未だタイトル獲得には至っていない【サガループ】だが、今回こそ、あるかもしれない。
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