超CSV新潟 決勝Round 4:ユウキング/わいきん vs. ウン・ココス
ライター:原田 武(たけじょー)
撮影者:堀川 優一(アノアデザイン)
ユウキング/わいきん「今日マジで暑いし……緊張するわ」
ウン・ココス「僕フィーチャー初めてっすよ、ヤバい」
さてはお互い顔なじみか、という筆者の予想とは裏腹に、彼らは今日知り合ったばかりだという。
ウン・ココス「予選で一回当たってて………その時は3ターンサガで負けました」
どうも予選ラウンドで彼らは一度激突し、その際はユウキング/わいきんの圧倒的勝利に終わったようだ。だからこその談笑だったのだろう。試合の間は超えるべき壁であっても、戦いの後には語り合える相手になる。デュエル・マスターズの魅力の一つだ。
そして予選を勝ち抜いた彼らは今、フィーチャーマッチという最高の舞台で再開した、というわけだった。これに胸を躍らせずして、なんとするのか。
ユウキング/わいきんが再びの勝利を飾るか、ウン・ココスが逆襲を果たすのか。
今、リターンマッチの幕が上がる。
Game
予選順位から先行となったのはユウキング/わいきん。《蝕王の晩餐》をチャージしてターンエンド。試合前の会話の通り、彼のデッキは【サガループ】のようだ。ウン・ココスは《ドンドン火噴くナウ》チャージでターンを終える。こちらは十中八九【ザーディクリカ】であろう。 ユウキング/わいきんの2ターン目は《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》。スタートダッシュをしっかり決めて《邪神M・ロマノフ》を捨てる。
対するウン・ココスは《灰燼と天門の儀式》をチャージしてターン終了。手を合わせ、祈る。
彼の使う【ザーディクリカ】は【サガループ】対策として一般的な《とこしえの超人》を不採用とし、自分の動きに一貫性を持たせた構築だという。ベスト16まで駆け上がってきた戦績が、そのチューンアップの強さの証明だ。
だが、それ故にウン・ココスが今できることは祈ることのみ。先行3ターン目《絶望神サガ》というあまりにも大きすぎるリスクに、真っ向から立ち向かう他に道はない。
運命を分ける、【サガループ】の3ターン目がやってきた。
ユウキング/わいきん、勢いよくドロー。 ユウキング/わいきん「うお!」
突如上がった大声に、その場にいた全員の視線が釘付けになる。
ウン・ココス「マジで……?」
まさか、マジなのか。
この大舞台で、しかも本日2度目のツモ。そんな無法がまかり通るのか。
答えはすぐに明かされた。
マナチャージ、3マナタップ、《絶望神サガ》。
「このクリーチャーが出た時、または自分のターンのはじめに、カードを1枚引き、自分の手札を1枚捨てる。」
1枚引き、1枚捨てる……2枚目の《絶望神サガ》を。 ウン・ココス「マジか……」
マジだった。
先行3ターン目サガループ、成立。
まずは山札を掘り進め、《蝕王の晩餐》《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》《勝熱と弾丸と自由の決断》といった必要パーツをきっちりと墓地に送ったユウキング/わいきん。《龍素記号wD サイクルペディア》の効果を無限にストックするループの証明の後、《蒼神龍ヴェール・バビロニア》の効果を無限回使うことでウン・ココスの手札と山札を完全に掌握した。「相手の手札を1枚見て、1枚山札の下に送って1ドローさせる」を繰り返すことで、理論上は相手の手札と山札のすべてを見抜き、望む手札になるまでこれを続けることができるのだ。 手札に3コスト以下のカードを集約してそれらを《サイバー・K・ウォズレック / ウォズレックの審問》の呪文側で全て墓地へ送り、更に≪サイバー・K・ウォズレック≫で奪った《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》でウン・ココスの墓地をリセット。《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》では対策できない《ヴィオラの黒像》などのカウンター手段すらもケアしてみせた。
仕上げに《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》と《勝熱と弾丸と自由の決断》を雨アラレと浴びせ、シールドへとクリーチャーを殺到させるユウキング/わいきん。その歩みを阻むものは何一つなかった。
WinnerR ユウキング/わいきん
ユウキング/わいきん「一応手札にイザナギ(《蒼狼の大王 イザナギテラス》)あったからそれ出すつもりだったんだけど、トップで2枚目のサガ来ちゃったわ」
なるほど、思わず声が出るのも納得である。
一方、2試合連続でなすすべもなかったウン・ココスだが、その表情は晴れやかなものだった。
ウン・ココス「流石にこれはしょうがないっす。てか強すぎ!絶対優勝してください、頑張れ!」
悔しさを滲ませつつも、笑顔で勝者を送り出す。そのエールに、ユウキング/わいきんも笑って答えた。
ユウキング/わいきん「頑張るわ。今日の俺最強かもしれない!」
―――その言葉が真実だと証明されたのは、それから数時間後のことである。
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