DMGP2024-1st スペシャルインタビュー:原 伸吉氏
ライター:川﨑 大輔
撮影:後長 京介
大型大会の配信をみていれば、だれもが一度は聞いたことがあるだろうセリフ。
タカラトミーTCG事業部部長、原 伸吉氏だ。
最近ではすっかり実況でもお馴染みとなった原氏に時間をいただけたので、実況とDMGPの歴史について少し話を聞かせていただいた。
これはただの一本のインタビューだし、DMGPの歴史を語る史学だが、その言葉に込められているのは間違いなく「デュエマを売る側」としての矜持、美学だ。
飛び込み営業こそがカードゲームだ!
--「本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます」原「いえいえ」
--「それではまず、原さんの自己紹介をお願いしてもいいですか?」
原「あ、はい。タカラトミーのカード事業部部長の原です。デュエル・マスターズの販売におけるタカラトミーの担当部分の責任者と考えてもらっていいです。2016年からこちらの部署で仕事をさせていただいてますね。」
--「それなんですが、実際は2016年より前からデュエル・マスターズには関わっていらっしゃいますよね?」
原「あー、そうですね。実際にカードの方に配属されたのは2013年です。はじめの2年間くらいはお店を回ってデュエル・マスターズの情報を集めて会社にフィードバックするという仕事をしていました。当時はいわゆるTCGの専門店さんとのつながりが今と比べるともう少し薄かったんですよね」
--「なるほど。タカラトミーさんとしては元々いわゆるおもちゃ屋さんとのつながりは強かったと思うのですが、新たにうまれたTCG専門店という業態に対してはまだまだラインが少なかったと」
原「そういう感じですね。で、TCGを今後も販売していくにはそれではいけないということで、新たにできたチームの……一応、チームリーダーとして配属されました」
--「とはいえ、それまで存在していなかったまったく新しいお店とつながりを作っていくって、言うのは簡単だとは思うのですが実際にはどういう感じでつながりを作っていったんですか?」
原「それは完全に飛び込み営業でしたね。それこそ、今DMGPの主催をしてくださってるインスパイアさんや、アークライトさん、超CSの主催をしてくださってるネクストワンさん、ファンフェスの主催をしてくださってるドラゴンスターさん、皆さん当時僕が飛び込み営業して、その後関係を築かせていただいた会社さんですね」
--「それはすごいですね!じゃあ、もう今、デュエマの大型イベントが数々開催されているのも、専門店さんにデュエマの商品が多く置かれているのも言ってしまえば全部原さんのおかげってことですか」
原「いやいや、待ってくださいよ(笑)。それは当然、お話を聞いてくださった各社のみなさんと、そしてそこで『置きたい!』って思う商品を作ってくださった原作各社と当時のメンバーのおかげに決まってるじゃないですか。……あ、でもDMGPの開催って話で言えば、DMGP1stあったじゃないですか」
--「2015年に開催された最初のDMGPですよね」
原「そうですそうです。で、それを開催する時に当時『こういう大きな大会を開かなきゃいけない』って後藤に……」
--「後藤ってカミ神王子の後藤さんですか」
原「はい。彼は今の部署に配属される前にさっき言った僕のチームに所属していたので、元上司として相談を受けたんですね、当時は別の部署だったので。で、『こういう大きな大会を開かなきゃいけないんだけど大きい会場は無いか』って突然相談されたんです」
--「後藤さん、結構突然大き目の相談してくる人でしたもんねあの頃は。僕もDMGP1st開催一週間前か二週間前くらいに『なんとかテキストカバレージをやりたいがどうにかならないか』って相談されて急遽用意した記憶があります」
原「『こうしたらよくなるはずだ!』ってことにまっすぐなのが彼のいい所でありかわいいとこですね。で、その相談をされた時にインスパイア社長の梅本さんに『八王子にこんなに大きいホールができたんだよ』って話を聞いていて、じゃあ、そこでやったらって話になりまして……で、その後、さらに大きな大会をするって話で相談させてもらったら?とインスパイアさんを紹介して、そこから今のDMGP主催をお願いする流れにつながっていったのかなとは思ってます」
--「開催が2015年ですから、話自体は2014年くらいですよね」
原「そうですね。なのでもう10年近い付き合いをDMGPでもさせていただいてる感じになりますね」
--「そして、2016年に移動して……マーケティング担当ってことでいいんですよね?」
原「はい。当時は課長でしたが、2017年に部長にならせていただいています」
--「デュエマのユーザーには原さんは部長のイメージ強いかもしれないですけど、当時のWIXOSSのユーザーには原課長のイメージの方が強いかもしれませんね」
暗躍こそがカードゲームだ!
--「さて、それでは……ちょっとタカラトミーさんのマーケティングって、実際に何をやってる仕事なのかっていうのを……できれば読んでる方にもわかりやすく説明していただけますか?」原「いや、それはなんていうか、端的に説明するのが難しいのはわかってるじゃないですか(笑)そんないじわる言わないでくださいよ」
--「いや、そこをなんとか……本当に具体的な内容とかではなく……おそらく、この記事を読んでる方も含めて、『ゲーム開発をやっているウィザーズ・オブ・ザ・コースト』『メディア展開をやっている小学館』そして『販売・マーケティングをやっているタカラトミー』のこの3社の仕事ってパッと区別がつきにくいんだと思うんです。あと、まぁ……なんというか実際はこうきっちりとわかれて別々の仕事をやっているというよりは、そこを踏まえて各メンバーが横断的に仕事をしてチームとしてデュエマを作っているわけで……」
原「実際、中にいてもわからないことありますからね(笑)」
--「なので、そこを踏まえて実務的にはどうかっていうのはちょっと置いておきつつ、『これがタカラトミーの仕事だ!!』みたいな部分を端的に教えていただければなと……」
原「原作各社さんにも色々協力してもらってはいるんですが……端的に言えば我々の仕事って販売回りなので……簡単に言えばどうすればデュエル・マスターズが今よりもっと売れるようになるかを日夜考えている部隊と思ってもらっていいと思います」
--「そこでどのようなことを考えているかを少しでいいので教えていただけますか?」
原「そうですね……当然まずはユーザー数を増やすためにはどうするかみたいなことを考えますし、そこから、大会をより増やそうとか、CMを作ったりとか……あと、最近ですとX(旧Twitter)やYouTubeのようなSNSでどのようなことをするか、みたいなことを考えていますね」
--「そこで具体的にどのように動いていらっしゃるかは細かい話になってしまうので別の機会にさせていただくとして、つまり、ユーザーから見える部分で言えばイベントと宣伝・広告を担当されているということでいいですか?」
原「あと、当然ながら商品の供給という部分も担当させていただいています。なので先ほどの話にもあったように店舗様との関係を築いていくというのも我々の大きな仕事ですね」
--「イベント宣伝・広告店舗様との関係が、タカラトミーさんの仕事の三本柱というわけですね」
原「そうですね。その三本柱について考え続けて、開発をされている原作の3社(WotC・小学館・WHC)に色々とデュエマをより良い方向にするための提案をさせていただいているっていう感じです」
--「そうやって様々な提案をすることで原作の3社を陰で操り、よりよいデュエマのために暗躍しているのが原さんだってことでいいですかね?」
原「暗躍って(笑)」
観戦こそがカードゲームだ!
--「さて、そんな感じで色々暗躍したりでお忙しいはずの原さんが、なぜ、DMGPの実況をしているのか、って言うのは配信を見ている人たちも不思議に思っていると思うんですよ」原「急な展開ですね」
--「いや、一応DMGPのカバレージに載るインタビューなので、DMGPに関係あることも聞かなければと……」
原「これ、事の始まりは単純に実況メンバーが、今もやっていただいているWotC社の真木さん・押目さん・小林さんの3人だけで当初はやってたんですが、やはり、大会の数も増えてきたし、その3人だけで回すのも色々大変になってきたからタカラトミーさんからも誰か出ませんかって真木さんからお声がけいただいて」
--「そこで、よし、じゃあオレが行こう!!ってなったんですか?」
原「いやいや、そういうわけではないです。とはいえ、誰にやってもらおうかって考えた時にマサオさん(渡辺 雅夫)かなーと思いつつ、あのメンバーの中にいきなりマサオさんだけ飛び込ませるのはかわいそうだなと思って……で、ちょうど1年前くらいのグランプリですかね、そこで私が実況デビューさせていただいたわけです」
--「最初に実況に参加した時はどうでしたか?」
原「最初、二日間対応させていただいて……いや、これは本当に大変な仕事だなと思いましたね。ただ、その中で、選手の活躍を特等席でみることができて……これは大変なだけでなく、特別な仕事だなと思いましたね。非常にエキサイティングな体験でした」
--「元々はマサさんのための道を作るために少しだけやろう、くらいの気持ちだったのが、今となってはもう、自分自身が実況の仕事にハマっちゃったって感じですか」
原「もう、まさしくそうですね(笑)。とりあえずは真木さんから『もう、マサだけでいいよ』って言われるまでは自分も続けたいなって思っています」
--「もう、結構何回もやられていて、かなり熱中して実況をされていると思われるのですが、これまで実況をしてきて一番印象に残っているのはいつですか?」
原「そうですね……もちろん毎回すごいんですが、今日のチーム戦はすごい感動しましたね。やっぱ、人と人のつながりが見えると感動しちゃいます。あと、全国大会2023はとにかく緊張しました」
--「それは実況の中でもおっしゃっていましたね。朝の段階で、すでに知った顔のプレイヤーなのに、いつもと緊張感が違ってすごい怖かったみたいな話をしてましたね」
原「そうですね……でもちょうど自分が担当のラウンドでZweiLance選手が実況席にきて……その時は、とにかくすごいかっこいいなと思いましたよ。それがなんだかんだで一番印象に残ってるかもしれないです」
--「どちらかというと、試合の内容もアツいけど、それ以上に選手そのものが印象に残ってる感じですか」
原「はい。やっぱり、自分はどうしても選手というか、人を見てしまいますね。最近だとにわか選手なんかも笑顔が素敵だしさわやかだなぁと気になってますし。あと、実はデュエマのYoutubeをすごい観ているので、デュエチューバーの方の実況は別の意味ですごい緊張しますね」
--「わー!いつも観てる人がいる!!みたいな感じですか」
原「そうですそうです。緊張をしながらも楽しいというか……とにかくドキドキしますね」
--「そこはもう完全にファンの目線になっちゃってるってわけですね。実際、アーチー選手とかも大好きですよね」
原「アーチー選手は今日も話しかけてくれてすごい嬉しかったですね。ただ、難しいのは、やっぱ実況している時に好きな選手を応援したくなっちゃうんですけど、そこは平等な立場で実況しなきゃっていうのを心がけています」
大型競技イベントこそがカードゲームだ!
--「実際、そういった原さんが好きなプレイヤーも多いということで……実際、デュエマは子ども向けのTCGであるというのは大前提なのですけど、その一方で、タカラトミーさんは大型の競技イベントにも子ども向け施策と同じくらい力をいれておられますが、その辺はなぜかって部分について簡単に説明していただけますか?」原「えーと、これって当然、会社としてって質問ですよね」
--「じゃあ、ま、最初はそれで答えていただけますか?」
原「そうですね……デュエマ最大の魅力はやはりカードゲームとしての面白さって部分だと思っているんですよね。今回、『逆転こそがカードゲームだ!大人も子どももひっくり返せ!』というコピーでCMをやらせていただいていますが、そういう逆転のゲーム性って言うのがデュエマの一番の魅力なのは間違いないんです。で、そんな魅力を一番よく体験できるし見せることができるのが競技イベントなんですよね」
--「デュエマの魅力である面白さを一番体験できるし、そして、DMGPの配信とかではそれをかっこよくみせることができると」
原「そうです。もちろんイベントにも参加していただきたいですけど、それだけじゃなく『かっこいい逆転ができるカードゲームだ!』っていう部分に、特に大型イベントの配信とかテキストカバレージなどで憧れてもらえたら嬉しいなと思っています」
--「なるほど。それこそ、大型競技イベントと子ども向け施策って相反するものって思われる方もいるかもしれませんけど、例えば配信で無茶苦茶かっこいい逆転劇を見た子どもたちにも『自分もああいう逆転をしたい!』って思わせることができるって話ですね」
原「はい。まさに『大人も子どももひっくり返せ!』って言葉の通りです」
--「……一応、個人としての質問だとどう答えますか?」
原「いや、でも結局同じなんですけどね……自分としてはイベントを見るのも楽しいし、それこそ自分も憧れて、本当は自分も参加したいなって思っちゃったりしてますね」
--「そう、自分自身が思っている事を、きっとみんなも思ってくれるはずだっていうことで、会社としての施策になっていると」
原「それだと公私混同っぽいですけど、やっぱ、このイベントを見たワクワク感と、そのワクワク感から『すぐプレイしたい!!』って思わされるデュエマの面白さは私だけの感情ではなく、みんなもそう思ってくれるって信じてますね」
--「この熱を見てやらないわけがないだろうと」
原「あと、私がYouTubeを見る一番の理由って言うのが、普段、こういう大型競技イベントで真剣にプレイしている人たちのプライベートが見れるからってのはありますね。あー、この人ってこういう風に笑うんだ、とか、普段はこんなに楽しそうにプレイするんだ、みたいなのを見たいと思ってYouTubeを観ちゃってる所はあります」
--「完全にただのファンじゃないですか(笑)」
原「完全にただのファンのおじさんなんですけどね(笑)。ただ、そういう二面性があるという部分が、また、デュエル・マスターズの新しい魅力につながっているというか……大型競技イベントでかっこいい姿を見て、本人のチャンネルではプライベートも見て、みたいにプレイヤーのファンになって憧れて自分もやりたくなる、なんてこと、他のカードゲームでもほとんどないなと思うと、デュエマの強みとして個人的にも、もちろん会社としても力を入れていきたいと思っています」
--「そこで、そのカッコよくて憧れられるイベントとしてデュエチューブリーグが、そして、参加したいイベントとしてエリア予選が復活するわけですが、それぞれについて簡単にでよいので説明をしていただけますか?」
原「まず、コロナ禍があって一時期大型イベントをできないでいたので、まずはとにもかくにも大型イベントを復活させなければということでDMGPや超CSを復活させてみたのですが、もう、コロナ前以上の熱意をもって皆さんが参加して下さっているなと。それならば、『自分がエリアのヒーローになるチャンス』としてのエリア予選もやはり復活させなければと考えました」
--「実際、今回のDMGP2024-1stも4500人が二日間というすごい人数と熱気のイベントですからね」
原「はい。しかも、主催者のみなさんも以前と同じように、いや以前以上にデュエマの事を好きでいてくださっていて。2024年のイベントカレンダーはすごいですよ。コロナ前にはなかったファンフェスやジュニアGPのような新しいイベントも増えて。本当に、主催者の皆さんもデュエマをもっとよくするためにって僕らと同じように考えてくれて色々提案して下さるんですよ」
--「そして、こういうイベントが主催者とユーザーと販売側で熱気を共有できる場となっている感じですよね」
原「そうですね。そしてイベントの熱気を踏まえて、じゃあ、もっとこの熱気を他のどんなところに届けられるのだろう?って考えた結果が今年の色々なイベントの施策につながっていますね。エリア予選もそのうちのひとつです」
--「その一方で、今年から始まったデュエチューブリーグは、逆というか……もう少しクローズドなイベントですよね。こちらはどのような思いでスタートすることにしたんですか?」
原「ひとつはもちろん、先ほども言ったようにあこがれのプレイヤーを作りたいという部分なのですが、むしろ今回一番大きいのは、そんなあこがれられるようなプレイヤーが最新のカードをどういう風に使ってくれるのか?が見たいというのがあるということですね」
--「それは新商品のプロモーションとしてもそうですし、ファンとしても見たいということですね」
原「そうですね。あのレベルのプレイヤーたちですら、公開された直後のカードだと、全然使い方も違うし、それこそ『うわ、そんなことされるの!?』みたいな驚きの表情を見れたりしたじゃないですか。あれがとにかく面白かったですし、きっと皆さんも楽しんでくれたと信じていますね」
--「そういう意味では大成功だと」
原「第一節の放送は大成功だったと思います、まずは前期の半年間を全力でやりたいですね。そして、その中で少しでもデュエチューブリーグの選手のファンが増えてくれると嬉しいなと思っています」
--「つまり、三本柱のうちのイベントと宣伝として大型大会とデュエチューブリーグをやっているぞと」
人への愛こそがカードゲームだ!
--「さて、せっかくですから原さんの好きなカードとか教えていただけますか?1番好きなカードを1枚」原「え、1枚ですか」
--「そうですね。原さんは結構自身でもプレイされていますし、是非、一番好きなカードを」
原「うーん……1枚に絞るのは難しいな……最初の頃は《解体人形ジェニー》がとにかく好きで、かっこいいと思ったのは≪魔刻の斬将オルゼキア≫でしたね」
--「闇のカードが好きなんですね」
原「そうですね、闇のカードが好きで……あ、4マナの方のジャシン帝(《アビスベル=ジャシン帝》)はイラストも効果もかっこよくて大好きですね」
--「ちなみに、今日のイベントを通してみて、むしろ触りたいって思ったカードは何ですか?」
原「うーん……」
--「《水晶の王 ゴスペル》ですか、やっぱ?」
原「いや、最初にパッと思いついたのは《水晶の王 ゴスペル》でしたね。正直、今、自分が使っているゴスペルデッキって結構古いバージョンのままいじっていないので、アドバンスのゴスペルを使ってみたいなと……というか、今回のイベントを通して一気にアドバンスへの興味が強くなりましたね」
--「普段はあまりアドバンスをやらないのですか?」
原「いや、そうですね普段はオリジナルのデッキを組んでいるのですが、どうせ息子は超GRとか使っているので、アドバンスでもいいだろっていう。とにかく今回でアドバンスをやりたいとすごく思っちゃいましたね。自分が一番プロモーションされてどうするんだっていう(笑)」
--「これはすぐ《ラッキー・ダーツ》探さなきゃって」
原「そう、《ラッキー・ダーツ》すごいよかったですね!あと、《復活の祈祷師ザビ・ミラ》は昔、普通に自分が買ってた頃のカードで懐かしいのに今も現役かって思うと、やっぱりアドバンスに興味がでちゃいましたねぇ……」
--「ちなみに、闇文明好きの原さんに質問なんですが、仕事の闇というか仕事をしていてストレスを感じる瞬間ってどんな瞬間ですか?」
原「どんな質問ですか、それ(笑)」
--「いい機会なので聞いてみたいなと思いまして」
原「うーん……そうですね、私、デュエマだけじゃなくてTCG部門全体の責任者というのが今の立場なんですが……そうするとデュエマ以外の仕事も多くて、デュエマに時間使えないじゃないか!っていうのがストレスですね(笑)」
--「それ、会社的にセーフな回答なんですか?(笑)」
原「いや、もちろんデュエマの担当者としての返答で……WIXOSSで同じ質問されたら逆のことを言うかもしれませんよ(笑)。ただ、そのくらいデュエマをよくするために時間を使いたいと思っているのは本当で、とにかく時間が足りないって感じるのはストレスとはちょっと違うかもしれませんが、やっぱもっとやりたいって思ってますね」
--「ちなみに、部門の責任者ということですが、原さんが部下に求めるものってなんですか?」
原「次々になんですか、その質問(笑)」
--「いや、やっぱ、部下に求めるものって自分の信念や美学であることが多いなと思うんですよ。なので、そこを聞いたら原さんの本音が聞けるかなと思いまして」
原「でも、これは実際にいつも部下には言っているんですけど自分の商品を好きになれって伝えてますね。僕らは人に楽しんでもらってそれで商品を買ってもらう仕事なんだから、自分が好きじゃないものを人が楽しんでくれるわけがないと思ってます」
--「そこに愛がなければ人を楽しませる事なんてできないってことですね。ちなみに、デュエマの担当としては原さんには5人の部下が居ますが、その原さんの求めていることについては応えられていますか?」
原「中々個性豊かなメンバーなので、みんな多分それぞれ別の答えを持っているとは思うんですけど、それぞれのスタイルで好きになってくれていると私は感じています」
ここで、せっかくなので、実際に原さんの5人の部下にデュエマの好きな所を聞いてみた。
川守田 悠(プロモーション担当)
「とにかくデュエマの好きなところは人。カードゲームを遊んでくれているプレイヤーだったり、裏方も含めて関わってくれている人たちがみんな好き。彼らを楽しませたいと思っています」
後藤 悠太(公式サイト運営及び神アート・ドラゴン娘プロモーション担当)
「ゲームとしては、とにかく神ゲーであること。こんなにダイナミックに相手と会話できるゲームは他に知りません。そして、コンテンツとしては面白ければ何でもできるところ。「こんなに楽しいからみんなもやろう!」といつも呼びかけられている感覚が昔からあります。最後に公式としては関係者が会社を超えて、本気でデュエマの面白さを作っているところが好きです」
小倉 秀司(イベントディレクター)
「自分が認定ジャッジ全体の統括を担当しているからかもしれませんが、ジャッジを含めて裏方の人がデュエマをとにかく愛している、それが常に伝わってくるということがこのコンテンツに関わっていて一番楽しくて面白い瞬間ですね」
渡辺 雅夫(CM・販促物・カード周辺品の企画制作)
「面白いこととは何かというのが今でもなお固まっていない。土としては耕されていてどんな種をまいても盛り上がって花が咲く可能性はあるけど、だからと言って型にはまった決まった面白さに捉われていない。どんな面白さにも可能性がある。あと、誰かひとりが完全にコントロールしているわけでないので、みんなが自由に提案をすることができる」
白倉 翔磨(DM大会イベントの準備及び運営)
「夢がある。ユーザーに夢を与えている。こんなに人に夢を与えているデュエマは最強だと思う。そして、かつて自分もユーザーだったのを考えても、今のユーザーを裏切ることはできないと思っている」
この答えを見る限りは、原さんの想いはメンバーにしっかりと伝わっているようだ。
--「それでは最後の質問ですが、2024年のデュエマは好調ですか?」
原「はい、いきなりつよいデッキの効果もあって、すごく順調なスタートを切らせていただいています。正直、無茶苦茶売れています。でも、ここで油断せずに、ずっとみなさんに面白いデュエマを提供し続けられたらと思います」
--「本日はありがとうございました」
かつて、専門店へと飛び込み営業をし、人と人を繋げた男が、その意思を部下に伝え、部下も人のつながりをコンテンツの重要な部分だと考えるようになっている。
一方、本人は、今なお大会の実況を見て、デュエチューブリーグを見て、YouTubeをみて、なによりイベントの参加者をみて、プレイヤーへの愛を高め続けている。
そして、自分が愛したカードゲームと、そのプレイヤーたちは、きっと他の人たちにも愛されるはずだと強く信じて疑いがない。
人への愛こそがカードゲームだ!
それが「デュエマを売る側」としての矜持、美学だ。
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