DMGP2024-2nd Day1(アドバンス)Round 1:すずの音 vs. mox
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:後長 京介
事前メタゲーム総括記事を見てもわかるように、つい一週間前に発売したばかりの最新パック「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」によって、「アドバンス」環境は激変した。旧環境の覇者と新カードが入り乱れる群雄割拠……そんな混沌とした「アドバンス」フォーマットの頂点を目指して約4000名が競うのが、今回のDMGP2024-2nd、その初日である。
そして、その1回戦。まだYouTube放送も始まっていないこの開幕にフィーチャーマッチエリアに呼ばれたのは、1年半前のアドバンスGPであるDMGP2023-1st Day1の王者。全盛期の「サガループ」を《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》と《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》のコンビでねじ伏せた実績を持つ「マスター・オブ・鬼羅スター」すずの音だ。さすが王者の貫禄か、手慣れた様子で超次元……≪蒼き覚醒 ドギラゴンX≫2枚《時空の禁断 レッドゾーンX》3枚にGP覚醒セット……を対戦前に公開する。
だがそれとは対照的に、フィーチャーテーブルの反対側に座る対戦相手は、どこか手元が覚束ない様子。
mox「めっちゃ緊張する……やばいって」
moxはグランプリに出場したこと自体は友人の付き合いで何度かあるようだが、フィーチャーマッチに呼ばれた経験などはもちろんなく、突然の事態に困惑しているようだ。
mox「わからん!って言いながらやるのが目標だったのに……」
すずの音「大丈夫ですよ。俺も毎回わからんですw」
mox「……まあでもラッキーですね、僕は」
すずの音「有力選手はBye使ってるんで、序盤は呼べる人が少ないんですよね」
mox「そうなんですね!やべー、テンション上がってきた!写真まで撮ってもらって……」
ここであまりの浮つきぶりに、心配だったら相手のデッキのシャッフルを代行できる旨をジャッジがmoxに伝える。
mox「いえ、記念なんで(相手のデッキに)触っておきますw……めっちゃ良いじゃないですか!もう帰ってもいいやこれで。満足だなぁ。ド素人がここに来ることってあるんですか?」
すずの音「全然ありますよ。中学生とか……」
mox「中学生より弱いかもですけど……w」 長い長い一日の開幕から、王者と(本人いわく)ド素人という異色のマッチアップ。番狂わせははたして起こるのか……だが、何が起こるかは最後までわからない。「逆転こそが、カードゲームだ」……それが、デュエル・マスターズというゲームなのだ。
Game
じゃんけんで先攻はmox。《理想と平和の決断》をチャージし、「光水ヘブンズ・ゲート」であることがほぼ割れたのに対して、すずの音は《ベイB セガーレ》チャージから《ベイB セガーレ》。「同居がありえない」というほどではないものの、おそらく今回のデッキはほぼほぼ《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》ではないようだ。だが、そのままmoxが《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》チャージでターンを返したのに対し、すずの音は《バーニング・フィンガー》チャージから《勇愛の天秤》を唱え、《勇愛の天秤》を捨てて手札を回す……なんだこのデッキ??? とはいえ序盤はできることが限られているmoxは、《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》チャージから《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》の呪文側を唱え、《闘門の精霊ウェルキウス》《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》と回収してターンエンド。自分の動きを進める。
すると返しのすずの音のアクションは《淡いと濃い ケローラ / ♪やせガエル 負けるなケローラ スパイラル》チャージからの《バーニング・フィンガー》。なるほど、これで少し輪郭が見えてきた。火と自然だけだと予想がつかなかったが、水文明の《淡いと濃い ケローラ / ♪やせガエル 負けるなケローラ スパイラル》までもが入るほどコンボパーツを揃えたいというのならば……おそらく、アレだ。
そんな観戦者の心情を知ってか知らずか、moxは《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》チャージから再び《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》。《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》と《闘門の精霊ウェルキウス》を回収すると、さらに《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》ですずの音の墓地をリセットする。
さて、そろそろ《ベイB セガーレ》の賞味期限も怪しくなってきた。ここらで攻めたい……というところで。
すずの音はチャージなしから《“必駆”蛮触礼亞》、《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》を切って登場したのは《頂上混成 BAKUONSOOO8th》! mox「新しいカードなんだよな、すみません……(カードを見て)つよっ」
GP8th2日目の決勝戦をモチーフにした、「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」の最新カードが躍動する。まずはW・ブレイク。これが通り、GR召喚が2回。《無限合体 ダンダルダBB》、《マシンガン・トーク》。攻撃したばかりの《頂上混成 BAKUONSOOO8th》が起き上がる。
さらに《マシンガン・トーク》でのブレイクが通り、GR召喚は《ジェイ-SHOCKER》。続けて《無限合体 ダンダルダBB》攻撃時に《マシンガン・トーク》と《ジェイ-SHOCKER》を戻して「Jトルネード」で墓地から《“必駆”蛮触礼亞》。効果で登場したのは《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》! 今度はDMGP2022のDay1の決勝戦。最新のGPディスペクター同士の夢の共演から、さらに《無限合体 ダンダルダBB》のブレイクも通り、GR召喚されたのは《The ジョラゴン・ガンマスター》。
そして、気づけば残るmoxのシールドは1枚。
《The ジョラゴン・ガンマスター》のブレイク、S・トリガーは……《ヘブンズ・ゲート》! mox「ちょっと考えていいですか、ごめんなさい」
だが、すずの音の盤面にはまだ《マシンガン・トーク》でアンタップした《頂上混成 BAKUONSOOO8th》が残っている。《ベイB セガーレ》も睨みを利かせている。
悩んだ結果、moxは《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》と《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》を送り出す。《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》が《ベイB セガーレ》とともにマナに行き、《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》のみが「EXライフ」とともに着地。そして、アクティブプレイヤーのすずの音がまずはGR召喚を解決。《The ジョギラゴン・アバレガン》。そして。
すずの音「ちょっとターン飛ばすか考えます……ターン飛ばします」
《ヘブンズ・ゲート》を、回収させない。
それでも、ひとまず九死に一生を得たmoxは考える。マナチャージして8マナ。ここから生きる道があるのか。 mox「全然簡単じゃねーじゃんこのデッキ……w」
デッキを渡してきた友人への愚痴と思しきものをこぼしながら、《der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡》をクリーチャー側で召喚。《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》を対象にしてEXライフを剥がすと、さらに《理想と平和の決断》でシールドを2枚追加してターンを終える。
すずの音「マナは?」
mox「8マナです」
返すすずの音は《ベイB セガーレ》を召喚、さらに3マナで《氷柱と炎弧の決断》を唱え、《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》のブロックを封じながら手札交換。
そして《The ジョギラゴン・アバレガン》での攻撃時に自分のシールドをブレイクしてから、満を持して《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》の「EXライフ」シールドをブレイク……S・トリガー、《光開の精霊サイフォゲート》! だが、ここで冷静にまずは《全能ゼンノー》をGR召喚したすずの音は、《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》の能力で《光開の精霊サイフォゲート》と《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》の効果ごと自ターンをスキップ!
さらに返すmoxが《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》から《闘門の精霊ウェルキウス》を出し、《∞龍 ゲンムエンペラー》を出そうとするのだが、《∞龍 ゲンムエンペラー》の着地は《ベイB セガーレ》に阻まれ、なおも《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》がターンを飛ばす!
そして、最新カードでmoxを翻弄したすずの音が満を持して「詰め」にかかる。《飛翔龍 5000VT》で《光開の精霊サイフォゲート》を戻し、さらに《“必駆”蛮触礼亞》からの2枚目の《頂上混成 BAKUONSOOO8th》で《闘門の精霊ウェルキウス》を倒すと、なおも《無限合体 ダンダルダBB》アタック時に《“必駆”蛮触礼亞》からこちらも2枚目の《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》!
《無限合体 ダンダルダBB》のブレイクで《マシンガン・トーク》と《ジェイ-SHOCKER》。《ジェイ-SHOCKER》アタック時に《The ジョギラゴン・アバレガン》戻して「6」指定しつつ最後のシールドをブレイク。S・トリガー《理想と平和の決断》でmoxはさらにシールドを2枚追加するのだが、《The ジョギラゴン・アバレガン》《無限合体 ダンダルダBB》とGRが連鎖。続けて《無限合体 ダンダルダBB》アタック時《The ジョギラゴン・アバレガン》を戻して《氷柱と炎弧の決断》。《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》のブロックを止めながらドローし、ブレイクが通る。《全能ゼンノー》と《The ジョラゴン・ガンマスター》が登場する。
mox「無限に出てくるやんwww」
そう、まさしく∞のGR召喚だ。これまで《∞龍 ゲンムエンペラー》に象徴されていた「無限」の概念は、今やアドバンスにおいては《頂上混成 BAKUONSOOO8th》に受け継がれた。
……ただし、受け側のシールドが続く限りは、の話だが。
mox「ありがとうございました」
Winner: すずの音
mox「全然わからんwww 1回も使ってないんです、このデッキ」
--「今回のデッキはご友人が制作されたものなんでしょうか?」
mox「そうです。『《∞龍 ゲンムエンペラー》出せばどうにかなる』って、適当にやり方だけ教えてもらって……あとは『とにかく待て』と。『殴ってくるのが早いから』と……でも、全然違いましたw」
--「すずの音さんは、流行の火光水型ではないんですね。ご自身で制作されたものでしょうか?」
すずの音「そうですね。最初は火光水型のメタビートを回していたんですが、『《ベイB セガーレ》入れたくね???』ってなって。それだと《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》も素出しできますし。で、《終止の時計 ザ・ミュート》に代わる受け札が何かないかなってことで、《白銀妖精コユキ》を入れました。ミラーも止まりますし、ファイアー・バードに対しても1点で踏ませられれば疑似《終止の時計 ザ・ミュート》になります。火水バクオンソーの太いドロー部分は変えずに、メタや受け札を差し替えた形ですね」
すずの音「最後のシールド、《ヘブンズ・ゲート》だけダメっていう状態で《ヘブンズ・ゲート》踏んじゃって、ゲームが面倒くさくなっちゃいました」
わずか一週間前に発売したばかりの最新カードを、テンプレ構築に満足することなく独自の型に仕上げてきっちり勝利をつかみとる。王者が王者たるゆえんをしっかり見せつけ、まずは快調なスタートを切った。
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