デュエル・マスターズ

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DMGP2024-2nd Day2(オリジナル)Round 6:ZweiLance vs. ストマチャチェ

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:瀬尾 亜沙子

 人は、「自由」に憧れるものだ。

 だが生きている以上、様々なしがらみが生まれる。2024年度からスタートしたデュエチューブリーグZweiLanceがリーダーを務めるTeam SAGAは、前期こそリーグ優勝を果たしたものの、ちょうどこの大会の前週に行われた後期の第1節では、1勝5敗という大きなビハインドを背負った立ち上がりとなった。

 そのZweiLance本人はこのグランプリの開催前日、Card Rush Prosに所属したことを発表したばかり。そんな中、前日のアドバンスでもベスト32に入賞と十分立派な成績を残しはしたが、やはりトップ8に残れなければ、記憶としても記録としても若干インパクトには欠けるかもしれない。

 だがそもそも、どこまでいっても運が絡むデュエル・マスターズというゲームにおいて、プロとはどういう存在であるべきなのだろうか?

 単純に勝利というならば、既に十二分に積み上げている。GP7thでの3位入賞は、《卍月 ガ・リュザーク 卍 / 「すべて見えているぞ!」》としてカード化もされた。そして今日、オリジナルの成績もここまでで5-0。2つのフォーマットにまたがり2日連続で変わらないパフォーマンスを出せるとすれば、それはプロだからこそ成せる業かもしれない。

 無論対戦相手のストマチャチェもここまで5-0できている強豪。ならばストマチャチェがZweiLanceに勝てばプロだろうか?……否、そんなわけもない。  いずれにせよこれから始まるのは、6-0をかけたフィーチャーマッチでの一戦。そして、「プロとは何か?」……その答えの一端は、ここで明らかとなる。

Game

 じゃんけんで先攻はストマチャチェ。《闇参謀グラン・ギニョール》をマナチャージしたストマチャチェに対し、《天災 デドダム》をマナチャージしたZweiLanceは、相手のデッキがまだ不明なため、マナチャージをしっかりと見るべく少し前に身を乗り出す……すると続いて置かれたのは《竹馬の超人 / テイクバック・チャージャー》。ZweiLanceほどになれば、この時点でデッキは明らかだろう。

 「ガイアハザード退化」《禁断英雄 モモキングダムX》を「退化」させて早期に《自然の四君子 ガイアハザード》を立てることで、クリーチャーを展開できない不自由を対戦相手に押しつけるデッキだ。

 だが、そのためには相手よりマナを伸ばさなければならない。ゆえにZweiLanceはシンプルにして最大効率の対策をとりにいく。《ヨビニオン・マルル》を埋めてからの《地龍神の魔陣》《飛翔龍 5000VT》をマナに埋めて加速。さらにストマチャチェが《禁断英雄 モモキングダムX》を埋めてターンを返すのみだったのに対し、《終末の監視者 ジ・ウォッチ》チャージから《ヨビニオン・マルル》を召喚。「ヨビニオン」1枚目で公開された《天災 デドダム》が着地し、後攻3ターン目に早くも6マナにまで到達してターンを終える。  先攻4ターン目を迎えたストマチャチェも《生魂転霊》チャージから《禁断英雄 モモキングダムX》を召喚し、《自然の四君子 ガイアハザード》を下に敷きつつ余った2マナで《生魂転霊》で「退化」。だがこれでもまだ6マナ。マッハファイターで《ヨビニオン・マルル》を処理するが、ZweiLanceに課した不自由はせいぜい《自然の四君子 ガイアハザード》への攻撃誘導くらいだ。

 そんなストマチャチェを尻目にZweiLanceは、《CRYMAX ジャオウガ》チャージから《地龍神の魔陣》。もしこれで多色が3枚めくれていたらあわや大事故というところだがそんなこともなくしっかり《フェアリー・Re:ライフ》をマナに置き、素出し《流星のガイアッシュ・カイザー》で逆にストマチャチェに対応を迫る。

ストマチャチェ「ハンド3枚?」

 ZweiLanceはそれに答えるように、手札を広げて見せて返す。見間違えようもなく、3枚だ。  返すストマチャチェのアクションは、《天災 デドダム》チャージから《絶望と反魂と滅殺の決断》を唱え、マイナス2回で《流星のガイアッシュ・カイザー》を処理というもの。もしこの時点で3枚の中に《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》などあろうものなら、着地を許した時点で勝負が決まりかねない。

 だが、ゲームの主導権はいまだZweiLanceにある。

ZweiLance「少し考えます」

 《フェアリー・Re:ライフ》チャージから《天災 デドダム》でさらにマナを伸ばすと、3枚の中から《ロスト・Re:ソウル》をマナに置きつつ《流星のガイアッシュ・カイザー》を再び素出し。とにかく自分の手札を切らさない。マナも伸ばし続ける。難しい要求を、淡々とこなし続ける……呼吸のように。

 その一連の仕草はまるで、波紋の立たない水面のごとく流麗な所作だった。  既に着地した《自然の四君子 ガイアハザード》を前に何のプレッシャーもなく、ZweiLanceは最適手を打ち続ける。なぜなら、予期された不自由は自由と変わらない。そして不自由は、自ら背負うことで責任となるからだ。

 それでもストマチャチェは手打ちの《S・S・S》で、《流星のガイアッシュ・カイザー》を戻しながらタップキルと合わせて《天災 デドダム》2体を処理。ZweiLanceの盤面を空にする。負けなければ、ゲームは終わらない。そしてそうである限り、この状況からでもか細い勝機が見えてくる。

 しかし返すターン、ZweiLanceはついに10マナに到達する。そして降臨するのは、《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》  《自然の四君子 ガイアハザード》が手札に戻り、墓地からこのゲーム3度目の着地となる《流星のガイアッシュ・カイザー》が蘇生する。

 残された少ないリソースで、しかも登場時能力も封じられたストマチャチェにできることは限られている。マナチャージののち、墓地から《絶望と反魂と滅殺の決断》。マイナス2回で《流星のガイアッシュ・カイザー》をこちらも3度目の処理。

 だがZweiLanceは4度目の《流星のガイアッシュ・カイザー》を力強く送り出すと、さらに《終末の監視者 ジ・ウォッチ》までをも召喚。そして、《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》迷わずT・ブレイクする……「G・ストライク」でもあったのだろう、他に殴れるクリーチャーがいないのを見て、ストマチャチェは3枚のシールドをそのまま手札に加える。

ストマチャチェ山札あと何枚ですか?」

ZweiLance4枚です」  ここで、ストマチャチェは最後の狙いである山札切れによる大逆転のプランを通しにいく。《自然の四君子 ガイアハザード》チャージから9マナをタップして召喚したのは……≪Volzeos-Balamord≫!

ZweiLance「効果読みますね」

 しかしZweiLanceは冷静に《終末の監視者 ジ・ウォッチ》でターンを飛ばすと、「エクストラEXライフ」含めた4枚のシールドを前に、最後のプランを深く検討する。念のために《飛翔龍 5000VT》2枚を召喚してから、「エクストラEXライフ」2枚ごとディスペクターを一発解体する手打ち《深淵の逆転撃》  それはもはや逆転ではない。圧倒的なリソース差をつけることでストマチャチェに「≪Volzeos-Balamord≫で耐えて山札切れを狙うしかない」と思わせた、おそらく何ターン前からか思い描いていたゲームプランの完遂だ。

 槍は折れない。槍は曲がらない。

 そのまま《終末の監視者 ジ・ウォッチ》でW・ブレイクすると、「G・ストライク」は1枚のみ。《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》だけは止まったものの、その横を《流星のガイアッシュ・カイザー》が華麗に駆け抜けていった。

Winner: ZweiLance

 プロがプロたる所以。それは自ら不自由を背負い、責任を果たす姿を見せることだ。

 デュエキングがDreaMだというのなら、見ている者に夢を見せよう。決して派手ではないプレイを一つ一つ積み重ねて、それでも勝利して魅せよう。

 重みを背負って、槍騎士は行く。次は生放送でのインタビューが待っている。慣れた重みを両肩に乗せながら、ZweiLanceはフィーチャーテーブルを後にした。
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