DMGP2026-1st Day2(オリジナル)決勝Round 3:Grimoire vs. ゼニスザーク秩序
ライター:清水 勇貴(yk800)
撮影:後長 京介
世界には無数の愛があり、人それぞれに表現の仕方がある。ゼニスザーク秩序「このTシャツ、フィーチャーはまずいっすかね? ……上着羽織らないとダメ? そうか〜……」
ジャッジの案内に肩を落とすゼニスザーク秩序。「推し」のライブTとタオルを身に纏い、自らをアゲてここまでを戦い抜いてきた彼。それもひとつの「愛」の形なのだろう。
そして、対面に座る彼もまた、異なる「愛」を持ってこのテーブルに座っていた。
最近よく見かけるようになった、好きなカードを入れて外に見えるようにしたデッキケース。そこから顔を覗かせているのは、つい先日発売された最新弾のボックス封入特典、蒼斬しのぶイラストの《終止の時計 ザ・ミュート》だった。
Grimoireは極めて独自性の高いデッキを使って予選を突破し、決勝ラウンドをすでに2回勝ち上がってきたという。そのデッキにはどんな「愛」が込められているのだろうか。
今、愛と愛が激突する。
Game
順位先攻を取ったのはゼニスザーク秩序。《ポッピ・冠・ラッキー》から《裏斬隠 テンサイ・ハート》とマナを並べ、《旋略のS アドミラル・アレグル》をバトルゾーンに送り込む。光水闇、いわゆるドロマーカラーで構成された【邪眼帝】デッキでここまでを勝ち進んできたゼニスザーク秩序。
ハンデスとメタ(妨害)を主軸にしたデッキで、中長期戦を主戦場としている。
彼の構築は特に【der’Bande】を強く意識したと思われるチューンが施されており、《裏斬隠 テンサイ・ハート》をフル投入してコスト3のクリーチャーをまとめてストップさせたり、《飛翔龍 5000VT》で相手の面展開を止めたりといったアプローチが色濃く反映されているデッキリストだ。
ニコニコとゲームを進めていたゼニスザーク秩序とGrimoireだったが、後攻・Grimoireの2ターン目のプレイを境に空気が変わる。
1ターン目の《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》に続いて、Grimoireは《コッコ・武・ルピア》をマナに置き、2マナ。
おおよそ見慣れないG城の登場に、ゼニスザーク秩序の顔に影が差す。これは一体、なんのデッキなのか? しかし、わからないならわからないなりの戦い方がある。「万全」を積み重ねれば危ない橋も危なくなくなるのだから。
3ターン目を迎えたゼニスザーク秩序は《世界のY チャクラ・デル・フィン》を召喚。シールドを追加して、《旋略のS アドミラル・アレグル》で《我竜塔第八層 バルザーク》……の横のシールドをブレイク。
無理に薮を突いて蛇を出す必要もない。ましてや、出てくるのは蛇ではなく、「龍」かもしれないのだから……。見慣れないデッキにも迅速に対応していくゼニスザーク秩序。
シールドブレイクに反応して《世界のY チャクラ・デル・フィン》はハイパーモードを解放し、Grimoireの呪文は機能停止。
軽量呪文が軒並み止まれば、相手はクリーチャーを出さざるをえなくなり、それに反応して《旋略のS アドミラル・アレグル》のドローが回る。
「逆転神VS切札竜」の新カードたちを駆使し、ゼニスザーク秩序は緒戦を制さんと盤面とリソースを積み重ねていく。
一方のGrimoireは《紅き団長 ドギラゴン悪》をチャージ、2マナで《カクラリコ》を召喚する。ターン問わず、「相手のクリーチャーが召喚以外の方法で出た時」に反応し、そのクリーチャーをデッキの上か下に置かせるメタクリーチャーだ。
《旋略のS アドミラル・アレグル》の1ドローは譲る形となったGrioireの展開。しかし、《ウルの天宝》や《~邪眼帝~》など、踏み倒しでの展開を数多く擁するゼニスザーク秩序にとって無視はできない存在だ。どこかで除去したいところだが……。
《我竜塔第八層 バルザーク》、《カクラリコ》と次から次に繰り出される「相手ターン中に手札を捨てる」手段の数々。シグナルは十二分に発せられている。
《~邪眼帝~》をマナに埋めたところで、展開の手が止まったゼニスザーク秩序。まずはZラッシュを発動しないと始まらないとばかりに、《世界のY チャクラ・デル・フィン》でシールドをブレイクしにかかるが……。
Grimoireはここで第一の伏兵を切る。
《裏斬隠 テンサイ・ハート》。
2枚ドローして、手札を1枚捨てる。ここで捨てたカードのコストに応じて相手のクリーチャーの攻撃・ブロックを制限できるのだが、今回はもはや関係ない。大事なのは、相手のターン中に手札を捨てられることなのだから。
Grimoireの手札から飛び出す、《斬隠蒼頭龍バイケン》!
相手のターン中に手札から捨てられる際、かわりに出てくる能力を持っている。類似の能力を持ったカードをデッキに数多く採用し、《霊騎秘宝ヒャックメー》や《超鯱城》+《闘竜麗姫アントワネット》コンボで相手ターン中に大量の手札を捨てて一気に打点に変換するデッキが過去に存在したが……。Grimoireのデッキはまさにその現代版、といえるだろう。
《斬隠蒼頭龍バイケン》の能力により、攻撃中の《世界のY チャクラ・デル・フィン》は手札へ。Zラッシュによる呪文ロックの線がなくなったゼニスザーク秩序が、追撃を行う理由は薄い。《旋略のS アドミラル・アレグル》は立てたまま、Grimoireのターンへ。
Grimoireは単色マナを埋めて4マナを作ると《我竜塔第八層 バルザーク》を追加し、《虚ト成リシ古ノ蛇神ノ咆哮》を詠唱。
手札を1枚捨て、《旋略のS アドミラル・アレグル》を破壊し、2枚の《我竜塔第八層 バルザーク》がディスカード(手札を捨てること)に反応してGrimoreの手札を潤していく。
これだけ引いていれば、殿堂カードが揃うこともある——《斬隠蒼頭龍バイケン》で攻撃時、革命チェンジ《時の法皇 ミラダンテⅫ》! T・ブレイクに加えて《カクラリコ》でもう1点歩き、ゼニスザーク秩序のシールドは一気に2枚まで削られた。
召喚ロックがかかったうえで生命線のシールドもあとわずか。苦しい状況のゼニスザーク秩序だが、あくまで冷静に対応していく。
《真気楼と誠偽感の決断》を5マナ払って唱え、ドローして捨てるモードとクリーチャーの除去を選択すると、手札を整えつつ墓地に《ウルの天宝》を送り込んで《時の法皇 ミラダンテⅫ》をシールドへ。
ひとまず相手の打点を《カクラリコ》のみに抑え、ゼニスザーク秩序は次ターンの敗北をできるだけ遠ざけることに成功した。
しかし、一方のGrimoireにとっても戦況有利は変わらない。《虚ト成リシ古ノ蛇神ノ咆哮》で1捨て2ドロー、2枚の《我竜塔第八層 バルザーク》で2ドロー、《氷柱と炎弧の決断》で1捨て2ドローを2回。
ここぞとばかりにリソース拡充にターンを費やすGrimoire。差し引き5枚の手札を増やし、その手札は一気に7枚まで膨れ上がる。
このデッキ——Grimoire本人の言を借りれば【火水バイケン】は、カウンターデッキだ。しかし、同時に、大量のカウンターをバックアップとして運用し、《カクラリコ》をはじめとした小型クリーチャーの打点を通していくビートダウンデッキの側面も持ち合わせている。
ここで攻めない理由はないとばかりに《カクラリコ》で1点を刻むGrimoireだが、ゼニスザーク秩序はこのチャンスを見逃さない。ウラ・ニンジャ・ストライク、《裏斬隠 テンサイ・ハート》。
残念ながら《斬隠蒼頭龍バイケン》ミラーとはいかなかったが、ここでゼニスザーク秩序は2枚目の《ウルの天宝》を墓地に落とした。反撃のチャンスがあるとしたら、この瞬間が最後のチャンスだ。
1点を受け入れてターンをもらったゼニスザーク秩序は、前のターンに引き続き《真気楼と誠偽感の決断》を手札から唱える。
今回選んだモードは……墓地からS・トリガー付きのカードを実行するモードを2回。前のターンから墓地に溜め込んでいた2枚の《ウルの天宝》が、同時にバトルゾーンへ蘇る!
1枚目、《~世紀末の善悪~》。
3枚引いて手札の《アーテル・ゴルギーニ》と《世界のY チャクラ・デル・フィン》を捨てる。2枚ハンデス、恐怖の瞬間——Grimoireの手札から《斬隠蒼頭龍バイケン》がこぼれ落ち、そのままバトルゾーンに登場する。
《斬隠蒼頭龍バイケン》の強制バウンスが割り込み処理で《~世紀末の善悪~》に当たり、G-NEOの耐性によって《ウルの天宝》が手札へ。
2枚目、《~邪眼帝~》。
山札の上から2枚を墓地に置き、《~世紀末の善悪~》で捨てておいた《アーテル・ゴルギーニ》を蘇生。《カクラリコ》を除去して、《世界のY チャクラ・デル・フィン》でシールドを回復。さらには登場したばかりの《斬隠蒼頭龍バイケン》に強制タップを当て、Grimoireの打点が完全に消え去った!
しかし、ここでGrimoreの待機効果が処理される。《我竜塔第八層 バルザーク》のドローを見届けたのち、《カクラリコ》を順に処理。《~邪眼帝~》のG-NEO耐性で進化元の《ウルの天宝》、《~世紀末の善悪~》がデッキボトムへ、《アーテル・ゴルギーニ》は除去耐性を使って《世界のY チャクラ・デル・フィン》を代わりに破壊。
ゼニスザーク秩序はパワー6000以上のクリーチャーのみを盤面に残し、《斬隠将撃龍ニバイケン》の襲来に備える。
ちょうど《カクラリコ》の「離れた時」能力から《斬隠将撃龍ニバイケン》が飛び出したが、バトル対象はなし。ゼニスザーク秩序のケアが完璧に噛み合った。
シールド2枚、相手の打点は《斬隠将撃龍ニバイケン》1体。ブロッカーは2体用意できている。苦しい状況ながら少し盤面を押し戻し、いよいよここから逆転を狙っていけるか……。そう思われた時だった。
突如ベールを脱ぐ、Grimoire第二の伏兵。
2枚引いて1枚捨てる効果を2回。通常であれば2番目の踏み倒しモードへ繋げる能力だが、このデッキにとっては関係がない。相手ターン中に手札を捨てられるということは、すなわち……。
2体目の衝撃、《斬隠将撃龍ニバイケン》。蜃気楼の龍が虚実の境を超えて、ゼニスザーク秩序へと襲いかかる。
6マナを揃えたGrimoireは《カクラリコ》を横に添えながら、《斬隠将撃龍ニバイケン》で攻撃、宣言D・D・D。攻撃中の《斬隠将撃龍ニバイケン》を《轟く邪道 レッドゾーン》へと進化させる。
登場時の能力で《アーテル・ゴルギーニ》が破壊されるも、ゼニスザーク秩序は除去耐性持ちブロッカーを最後まで残すべく《~邪眼帝~》を身代わりに差し出す。
そして起き上がる《轟く邪道 レッドゾーン》。ゼニスザーク秩序はすかさず《裏斬隠 テンサイ・ハート》を出すも、《轟く邪道 レッドゾーン》が攻撃制限を寄せ付けない!
一縷の望みに賭けて2打点を素通しするも、ゼニスザーク秩序の2枚のシールドに、トリガーはなし。
ブロッカー1体で《轟く邪道 レッドゾーン》、《斬隠将撃龍ニバイケン》の2体のアタッカーを受け切る術はゼニスザーク秩序に残されておらず、Grimoreの見事なカウンターにより、ゲームは幕切れとなった。
Winner:Grimoire
Grimoire 「実は、ずっと昔からバイケンが好きだったんですよ」
勝利者インタビューを終え、配信部屋から出てきたGrimoireに話を伺えないか申し出ると、彼は快く応えてくれた。
Grimoire「スーパーデッキに入ってたフルアートのバイケンがめちゃくちゃ格好良くて、もう10年以上前なんですけど……いつかこいつでデッキ組んでやるぞーって思ってたのが、ニバイケンの登場でようやく形になった感じです」
しかし、最後にどうしても聞いておきたいことがある。デッキケースの窓から覗いていた、あのカードはなんだったのか。
「もちろん、しのぶちゃんも好きですよ! ……バイケン派生で」
しのぶも好き……しかし、バイケンだから好き。あくまでもオリジナルとしてのバイケンへの愛を貫くGrimoire。
長年愛し続けたカードと共に、どこまで高みに登るのか。変幻自在のシノビを操る彼の背中から、目が離せない。
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Grimoire DMGP2026-1st オリジナル構築 |
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ゼニスザーク秩序 DMGP2026-1st オリジナル構築 |
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