全国大会2018 ジャッジ大会 決勝第1回戦:うつな人(千葉) vs. iwata(神奈川)
うつな人「公式大会で当たったことあったっけ?」
iwata「初めてかも? CSとかなら何回かあるけど……」
うつな人はDM-03から、iwataはDM-07からそれぞれデュエル・マスターズを始めたという古参勢。そしてそれは、2人がプレイヤーとしてあるいは認定ジャッジとして、それだけ長くの間コミュニティを支えてきたということをも意味している。
うつな人「今期ポイント何点?」
iwata「0点(笑)」
日本一決定戦のジャッジ大会は、そうした彼らの功労に報いる趣旨もあるのだろう……。実際、全国各地から都内某所に集まった56人ものジャッジたちは、自らがプレイヤーとして公式の競技大会に参加できる貴重な機会を精一杯楽しもうとしており、他のエリア予選と比べてもここまで非常に和やかな雰囲気で行われたということは記しておきたい。
とはいえ、かかっているものは紛れもなく日本一決定戦の出場権利であり、予選ラウンドを通過した16名に関しては、あとたったの4勝でその権利まで手が届くというところまで来ているのだ。
ゆえに。そのうちの2人であるうつな人とiwataは、知り合い同士ということもあってにこやかに談笑しつつも、対戦の開始が近づくにつれて次第に真剣な表情を取り戻していった。かつて……おそらくはプレイヤーとして、CSや公認大会にすべてを賭して取り組んでいた頃のように。
互いのデッキをシャッフルし終えると、5枚のシールドを1枚ずつ丁寧に配置していく……気が付けばうつな人とiwataは、今この瞬間だけは認定ジャッジとしての姿を忘れ、全盛期の競技プレイヤーにも引けをとらない緊張感を纏っていた。
うつな人のデッキは、参加者56人中ただ1人の《卍 新世壊 卍》。対してiwataは予選で最大勢力だった青単ムートピア。《卍 新世壊 卍》デッキには4枚の《凶鬼卍号 メラヴォルガル》が入っているとはいえ、素出しすることはまず考えられないために実質的には青単対決と言っていい。環境がここまで青く染まるとは、はたして誰が想像できただろうか。
そしてこのマッチアップには、相性差を決定づける一つの要素が存在した。それは、「《超宮城 コーラリアン》は《卍 新世壊 卍》をも手札に戻せる」ということだ。
うつな人が《卍 新世壊 卍》の下に3枚以下のカードを置き、次のターンにはコンボに入れるという準備を整えてターンを返したとしても、iwataの側がそれを見て仕掛ければ、仮に攻めきれなかったとしても、うつな人のコンボを大きく減速させることができる。相性的には、iwataの側が有利なマッチアップと言えるだろう。
ただ、それは仮に10回、20回と同じマッチアップを繰り返して結果を集計した場合の話に過ぎない。勝負とは、今ここにしかないものであるということを……そしてそれゆえに頂点に焦がれるのだということを、幾多の大舞台での対戦を一番傍で目撃し、その都度プレイヤーたちの悲喜こもごもを目の当たりにしてきた2人は既に知っている。
だからこそ。彼ら自身が支えているものの重みを、知りに行くために。
日本一決定戦の出場権利をかけたエリア予選……そのトップ8進出を巡る戦いが、まずは始まった。
先攻:うつな人
ジャンケンで先攻はうつな人。《堕呪 カージグリ》チャージに対してiwataは《シンクロ・スパイラル》をチャージしてターンエンド。
だが返すうつな人は2ターン目のチャージに悩まず、すぐさま2枚のカードをタップする。それはすなわち、あのカードを持っているということ。
《卍 新世壊 卍》。先攻2ターン目にこのカードが置けたということは、うつな人によほどの不運なドローが重ならない限り、先攻5ターン目にはほぼゲームが決着するということを意味している。
iwataにもその未来は当然見えているため、与えられた猶予は実質あと3ターン。そして、その1ターン目である後攻2ターン目は、さすがに《絶海の虎将 ティガウォック》のチャージのみで終えるしかない。
対するうつな人は《凶鬼卍号 メラヴォルガル》をチャージすると、順調に《堕呪 ゴンパドゥ》を唱え、手札を整えつつ《卍 新世壊 卍》の下に置いて1ドロー。さらに《》で次なる水魔導具を探しにいく。
そしてiwataの後攻3ターン目は、《次元の嵐 スコーラー》チャージからの《エナジー・ライト》。残された時間は、あと1ターン。
先攻4ターン目、うつな人の動きに淀みはない。《堕呪 バレッドゥ》チャージからの《堕呪 バレッドゥ》で《凶鬼卍号 メラヴォルガル》を墓地に落とすと、続けて《堕呪 ゴンパドゥ》。これで《卍 新世壊 卍》の下には3枚のカードが敷かれ、やれることはやったとターンを返す。
ついに後攻4ターン目。ここで《超宮城 コーラリアン》を挟めないと《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》から一気に沈められかねないiwataは、《終末の時計 ザ・クロック》をチャージして悩む……そしてその末に、一つの結論を出した。
iwata「≪「本日のラッキーナンバー!」≫、『8』で」
うつな人「『8』、了解です」
《卍 新世壊 卍》の『唱えられなくする能力を無視する』効果は《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》にも適用されるので、仮に≪「本日のラッキーナンバー!」≫で『99』を指定したとしても意味がない。だが、『8』を指定したなら。《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》でエクストラターンは得られるとしても、出てくるドルスザクは召喚によるもののため、その登場を抑制できるのだ。
iwataの手札はまだ整っていない……だが次のターンのドロー次第では、仕掛けられるようになる可能性がある。その可能性に賭けた1手だった。そしてそれは確かに1ターンを稼ぎ出したのだ。
ただ結果として、ほとんど無意味な1ターンを。
なぜなら『8』を宣言されたうつな人は、まず《堕呪 ウキドゥ》を唱えてiwataのシールドを確認しつつ《卍 新世壊 卍》の下のカードを4枚にすると、続けてこう宣言したからだ。
うつな人「≪「本日のラッキーナンバー!」≫、コスト『1』で」
青単ムートピアの起点は《ガード・グリップ》《》《セイレーン・コンチェルト》という3種類の1マナ呪文。この3種類が封じられれば、《超宮兵 マノミ》や《超宮城 コーラリアン》のG・ゼロ条件を満たすことはほとんど不可能となってしまう。
せっかく稼いだ1ターンが無意味となってしまったiwata。ここで2枚目の《》があれば話は違ったのだが、《次元の嵐 スコーラー》をチャージしてからやむなく唱えたのは《エナジー・ライト》。そして力なくターンエンドを宣言する。
それはすなわち、ついに≪「本日のラッキーナンバー!」≫の制限がなくなったうつな人のターンがやってくるということを意味していた。うつな人はまず2枚目の《卍 新世壊 卍》を設置してから《堕呪 バレッドゥ》と《堕呪 ギャプドゥ》を唱えると、ターン終了時に1枚目の《卍 新世壊 卍》の使用を宣言。唱えるのはもちろん、《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》。
時間の波が軋みをあげて壊れていき、無月の下に集う異形のドルスザクたち。その数、4体……《凶鬼卍号 メラヴォルガル》が3体と、《》。
うつな人「1体目、《凶鬼卍号 メラヴォルガル》効果……」
iwata「……サレンダーで。負けでいいです」
Winner: うつな人
うつな人「……事故った?」
iwata「いやー……無理矢理動こうと思えば動けたんだけど、かなりリスクの高い動き方だったから1ターン見送って……まあでも山札の上を見る限り、どの道負けだったかなー」
見切り発車を嫌ったことは果たして正解だったのか。
勝負を振り返るiwata……しかし程なくして、それよりも大事なことがあると言わんばかりに、勝負を決定づけた1枚のカードを提示した。
iwata「それよりこのカード、ヤバすぎだろw 最強カードなんだけど」
うつな人「ね、最強カード!w 『召喚できない』は本当に強い」
iwataが提示したカードとは、もちろん《》。環境が青く染まっている理由として、S・トリガーを封じる以外にも実質エクストラターンを得るような使い方ができるこのカードの存在は、間違いなく挙げられることだろう。
iwata「初めてかも? CSとかなら何回かあるけど……」
うつな人はDM-03から、iwataはDM-07からそれぞれデュエル・マスターズを始めたという古参勢。そしてそれは、2人がプレイヤーとしてあるいは認定ジャッジとして、それだけ長くの間コミュニティを支えてきたということをも意味している。
うつな人「今期ポイント何点?」
iwata「0点(笑)」
日本一決定戦のジャッジ大会は、そうした彼らの功労に報いる趣旨もあるのだろう……。実際、全国各地から都内某所に集まった56人ものジャッジたちは、自らがプレイヤーとして公式の競技大会に参加できる貴重な機会を精一杯楽しもうとしており、他のエリア予選と比べてもここまで非常に和やかな雰囲気で行われたということは記しておきたい。
とはいえ、かかっているものは紛れもなく日本一決定戦の出場権利であり、予選ラウンドを通過した16名に関しては、あとたったの4勝でその権利まで手が届くというところまで来ているのだ。
ゆえに。そのうちの2人であるうつな人とiwataは、知り合い同士ということもあってにこやかに談笑しつつも、対戦の開始が近づくにつれて次第に真剣な表情を取り戻していった。かつて……おそらくはプレイヤーとして、CSや公認大会にすべてを賭して取り組んでいた頃のように。
互いのデッキをシャッフルし終えると、5枚のシールドを1枚ずつ丁寧に配置していく……気が付けばうつな人とiwataは、今この瞬間だけは認定ジャッジとしての姿を忘れ、全盛期の競技プレイヤーにも引けをとらない緊張感を纏っていた。
うつな人のデッキは、参加者56人中ただ1人の《卍 新世壊 卍》。対してiwataは予選で最大勢力だった青単ムートピア。《卍 新世壊 卍》デッキには4枚の《凶鬼卍号 メラヴォルガル》が入っているとはいえ、素出しすることはまず考えられないために実質的には青単対決と言っていい。環境がここまで青く染まるとは、はたして誰が想像できただろうか。
そしてこのマッチアップには、相性差を決定づける一つの要素が存在した。それは、「《超宮城 コーラリアン》は《卍 新世壊 卍》をも手札に戻せる」ということだ。
うつな人が《卍 新世壊 卍》の下に3枚以下のカードを置き、次のターンにはコンボに入れるという準備を整えてターンを返したとしても、iwataの側がそれを見て仕掛ければ、仮に攻めきれなかったとしても、うつな人のコンボを大きく減速させることができる。相性的には、iwataの側が有利なマッチアップと言えるだろう。
ただ、それは仮に10回、20回と同じマッチアップを繰り返して結果を集計した場合の話に過ぎない。勝負とは、今ここにしかないものであるということを……そしてそれゆえに頂点に焦がれるのだということを、幾多の大舞台での対戦を一番傍で目撃し、その都度プレイヤーたちの悲喜こもごもを目の当たりにしてきた2人は既に知っている。
だからこそ。彼ら自身が支えているものの重みを、知りに行くために。
日本一決定戦の出場権利をかけたエリア予選……そのトップ8進出を巡る戦いが、まずは始まった。
先攻:うつな人
ジャンケンで先攻はうつな人。《堕呪 カージグリ》チャージに対してiwataは《シンクロ・スパイラル》をチャージしてターンエンド。
だが返すうつな人は2ターン目のチャージに悩まず、すぐさま2枚のカードをタップする。それはすなわち、あのカードを持っているということ。
《卍 新世壊 卍》。先攻2ターン目にこのカードが置けたということは、うつな人によほどの不運なドローが重ならない限り、先攻5ターン目にはほぼゲームが決着するということを意味している。
iwataにもその未来は当然見えているため、与えられた猶予は実質あと3ターン。そして、その1ターン目である後攻2ターン目は、さすがに《絶海の虎将 ティガウォック》のチャージのみで終えるしかない。
対するうつな人は《凶鬼卍号 メラヴォルガル》をチャージすると、順調に《堕呪 ゴンパドゥ》を唱え、手札を整えつつ《卍 新世壊 卍》の下に置いて1ドロー。さらに《》で次なる水魔導具を探しにいく。
そしてiwataの後攻3ターン目は、《次元の嵐 スコーラー》チャージからの《エナジー・ライト》。残された時間は、あと1ターン。
先攻4ターン目、うつな人の動きに淀みはない。《堕呪 バレッドゥ》チャージからの《堕呪 バレッドゥ》で《凶鬼卍号 メラヴォルガル》を墓地に落とすと、続けて《堕呪 ゴンパドゥ》。これで《卍 新世壊 卍》の下には3枚のカードが敷かれ、やれることはやったとターンを返す。
ついに後攻4ターン目。ここで《超宮城 コーラリアン》を挟めないと《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》から一気に沈められかねないiwataは、《終末の時計 ザ・クロック》をチャージして悩む……そしてその末に、一つの結論を出した。
iwata「≪「本日のラッキーナンバー!」≫、『8』で」
うつな人「『8』、了解です」
《卍 新世壊 卍》の『唱えられなくする能力を無視する』効果は《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》にも適用されるので、仮に≪「本日のラッキーナンバー!」≫で『99』を指定したとしても意味がない。だが、『8』を指定したなら。《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》でエクストラターンは得られるとしても、出てくるドルスザクは召喚によるもののため、その登場を抑制できるのだ。
iwataの手札はまだ整っていない……だが次のターンのドロー次第では、仕掛けられるようになる可能性がある。その可能性に賭けた1手だった。そしてそれは確かに1ターンを稼ぎ出したのだ。
ただ結果として、ほとんど無意味な1ターンを。
なぜなら『8』を宣言されたうつな人は、まず《堕呪 ウキドゥ》を唱えてiwataのシールドを確認しつつ《卍 新世壊 卍》の下のカードを4枚にすると、続けてこう宣言したからだ。
うつな人「≪「本日のラッキーナンバー!」≫、コスト『1』で」
青単ムートピアの起点は《ガード・グリップ》《》《セイレーン・コンチェルト》という3種類の1マナ呪文。この3種類が封じられれば、《超宮兵 マノミ》や《超宮城 コーラリアン》のG・ゼロ条件を満たすことはほとんど不可能となってしまう。
せっかく稼いだ1ターンが無意味となってしまったiwata。ここで2枚目の《》があれば話は違ったのだが、《次元の嵐 スコーラー》をチャージしてからやむなく唱えたのは《エナジー・ライト》。そして力なくターンエンドを宣言する。
それはすなわち、ついに≪「本日のラッキーナンバー!」≫の制限がなくなったうつな人のターンがやってくるということを意味していた。うつな人はまず2枚目の《卍 新世壊 卍》を設置してから《堕呪 バレッドゥ》と《堕呪 ギャプドゥ》を唱えると、ターン終了時に1枚目の《卍 新世壊 卍》の使用を宣言。唱えるのはもちろん、《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》。
時間の波が軋みをあげて壊れていき、無月の下に集う異形のドルスザクたち。その数、4体……《凶鬼卍号 メラヴォルガル》が3体と、《》。
うつな人「1体目、《凶鬼卍号 メラヴォルガル》効果……」
iwata「……サレンダーで。負けでいいです」
Winner: うつな人
うつな人「……事故った?」
iwata「いやー……無理矢理動こうと思えば動けたんだけど、かなりリスクの高い動き方だったから1ターン見送って……まあでも山札の上を見る限り、どの道負けだったかなー」
見切り発車を嫌ったことは果たして正解だったのか。
勝負を振り返るiwata……しかし程なくして、それよりも大事なことがあると言わんばかりに、勝負を決定づけた1枚のカードを提示した。
iwata「それよりこのカード、ヤバすぎだろw 最強カードなんだけど」
うつな人「ね、最強カード!w 『召喚できない』は本当に強い」
iwataが提示したカードとは、もちろん《》。環境が青く染まっている理由として、S・トリガーを封じる以外にも実質エクストラターンを得るような使い方ができるこのカードの存在は、間違いなく挙げられることだろう。
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