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全国大会2018 ジャッジ大会 準決勝:グラファ(福岡) vs. うつな人(千葉)

グラファ「18時30分には会場を出ないと、飛行機の時間に間に合わなくて……」

 現在の時刻は17時50分。1試合20分計算でギリギリ、しかも決勝ラウンドの時間無制限を前提とすると、仮にこの準決勝で勝ったとするなら決勝の対戦は諦めざるをえない……そんな危機的状況にあって、しかしそう語るグラファの表情には余裕があった。

 なぜならグラファには、もし自分が準決勝と決勝で勝つなら確実に10分以内に終わるだろうという確信があったからだ。

 そう……今年のジャッジエリア予選は、大波乱の結果となっていた。

グラファ(赤単轟轟轟) vs. うつな人(新世壊)
ムラカミ@くわけん(赤単轟轟轟) vs. 砂利(白単メタリカ)

 トップ4のうち2人が『赤単轟轟轟』、しかもトップメタである『赤青覇道』の姿は無いという結果を、一体誰が予想できただろうか。いや、予想できたとすればそれは持ち込んだ当の本人たちだけだっただろう。なぜなら、まっつーがシェアし、本人は予選落ちとなったもののニシオカグラファムラカミ@くわけんと使用者4名中3名の決勝進出者を輩出した『赤単轟轟轟』というアーキタイプは、参加者56人全体の中でも、その4人しか使用者がいなかったからだ。

 そして、ついにこの『赤単轟轟轟』というデッキは、うつな人《卍 新世壊 卍》に対しても牙を剥こうとしていた……。《卍 新世壊 卍》はコンボが決まるのが基本的には最速5ターン目。対して『赤単轟轟轟』は妨害がなければ3ターンキルが平然と可能なデッキである。この圧倒的なまでの速度差が、グラファの自信を裏打ちしている。

 うつな人にもし対抗する手段があるとすれば……、それはジャンケンで先攻を取り、2ターン目に《卍 新世壊 卍》を設置して、水魔導具のS・トリガーを踏ませることくらいしかない。S・トリガーから水魔導具のS・トリガーを踏ませることができれば、それもそのまま《卍 新世壊 卍》の下に置けるため、4ターン目のコンボ始動も可能となる。

 日本一決定戦の出場権利まであと2勝という大事な局面。うつな人はこの高いハードルをクリアすることができるのか。
先攻:うつな人

 ジャンケンで勝ったのはうつな人で、まずは1つ目のハードルをクリアしていく。そのまま《堕呪 エアヴォ》をチャージしてターンエンドすると、対するグラファは1ターン目のチャージに時間をかけ、《ハタモチ・チュリス》チャージから《凶戦士ブレイズ・クロー》を召喚。

 早くも次のターンからシールドがブレイクされることが確定したうつな人。2ターン目のチャージは《堕呪 ギャプドゥ》で、2マナをタップする。

 そう、ここが一番大事な2つ目のハードル。うつな人は《卍 新世壊 卍》を……置けない。唱えたのは《堕呪 ゴンパドゥ》で、明らかに《卍 新世壊 卍》を探しにいく動きだ。
 一方グラファは順調に《一番隊 チュチュリス》をチャージして《一番隊 チュチュリス》を召喚し、《凶戦士ブレイズ・クロー》でブレイク、S・トリガーはない。

 《一番隊 チュチュリス》を放置すれば後手3キルも見えるうつな人は《堕呪 ギャプドゥ》2枚目をチャージして、やむなく《堕呪 カージグリ》で手札に戻すが、《卍 新世壊 卍》が置けていない現状、あまりにも分が悪い延命行動。事実、返すグラファは《グレイト“S-駆”》チャージから《一番隊 チュチュリス》《一番隊 チュチュリス》と再展開するだけだ。

 《凶戦士ブレイズ・クロー》の2度目の攻撃で《堕呪 カージグリ》がトリガーするものの、《一番隊 チュチュリス》のうちの1枚はバトルゾーンに残ってしまっている。うつな人に、もはや猶予は残されていない。
 そして先攻4ターン目。うつな人のアクションは、《堕呪 エアヴォ》をチャージしてからの《堕呪 ゴンパドゥ》。まだチャンスはある。残る2マナで《卍 新世壊 卍》を設置できれば、返しの攻撃をS・トリガーの水魔導具2枚でしのいでからのコンボスタートの可能性もある。

 だが、引けない。やむなく、残った2マナで《堕呪 バレッドゥ》を唱えてターンエンドするしかない。
 ついに《一番隊 チュチュリス》が定着したグラファのターンがやってくる。溜めに溜めたグラファのアクションは、《一番隊 チュチュリス》《グレイト“S-駆”》《“罰怒“ブランド》からの《“轟轟轟”ブランド》!!

 残るシールドは3枚。ここからの負け筋は限りなく細い。緊張に手を震わせるグラファが、まずは《“罰怒“ブランド》を攻撃に向かわせる。

 対し、W・ブレイクに対して両手を重ねて祈るうつな人…… そして公開されたのは、《終末の時計 ザ・クロック》  そう、これが本当に最後のチャンス。通常ドローで《卍 新世壊 卍》を引いて設置し、水魔導具1枚を唱える。そして最後の1枚のシールドが《終末の時計 ザ・クロック》で、次の6ターン目に2コストの水魔導具を3連打する…… それだけがうつな人に残された勝利への手筋だった。

 頼む、引いてくれ。そんな祈りが込められた、うつな人のドロー。

 ……だが、これだけ山札を掘っても。うつな人は、《卍 新世壊 卍》にたどり着けなかった。

 目の前には8打点。待ち受ける運命を悟ったうつな人は、それでも一応《堕呪 カージグリ》《“罰怒“ブランド》を手札に戻してターンを返す。

 やがてグラファが《凶戦士ブレイズ・クロー》から《“罰怒“ブランド》を出し直すと、結果としてはS・トリガーではなかった最後の1枚のシールドまでも割り切って、ダイレクトアタックを決めたのだった。

Winner: グラファ


うつな人「ついに来たかー、このときが……」

 と言いながら、うつな人は天を仰ぐ。《卍 新世壊 卍》デッキの最大の弱点は、4枚しか入っていない《卍 新世壊 卍》を引けないとどうやってもゲームに勝てないという点にある。予選ラウンドならまだしも、ただ一度の敗北も許されない決勝ラウンドにおいては、そのパターンだけは絶対にあってはならない事態だった。

うつな人「しゃーなし! こんなに引いて、ないならしゃーない!」

 ただうつな人もその点は理解して、《卍 新世壊 卍》の後引きを許容できるように構築によってケアしていた。《終末の時計 ザ・クロック》がターンを稼いでくれるなら、4ターン目や5ターン目の設置でも間に合うパターンは出てくる。普通のデッキが相手なら、それでも十分だったかもしれない。

 だからやはり誤算があったとすれば。『赤単轟轟轟』という環境最速のデッキを駆るグラファが、ここまで勝ち上がってきていたことそれ自体だったのだろう。
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