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全国大会2024 中国・四国エリア予選決勝戦:3can/えもとも vs. レイン@29

ライター:河野 真成(神結)
撮影:瀬尾 亜沙子

 「悪魔神、復活」の発売を経てなお、《芸魔王将 カクメイジン》は強かった。  それはこの決勝のカードが【火水アグロマジック】vs【火水ターボマジック】であることが、何より表していると言えるだろう。
 
 とはいえ、ここに至るまでは様々なことがあった。

 【火水アグロマジック】を使う3can/えもともは、そもそも予選16位。それは決勝トーナメントの全ての対戦において後攻となることを約束された順位である。
 
 野球やラップバトルなど、幾つか後攻が有利とされるゲームは世の中に存在するが、少なくとも現代のデュエル・マスターズでは、基本的には先攻が有利とされている。

 それは先攻が自分の動きを押し付けられるのに対して、後攻側は対応を迫られることが多く、対応するというのは難易度の高い行為であるからだ。

 そもそも、対応する間もなく先攻の押し付けでそのまま蹂躙出来てしまうケースも多い。
 
 だからこそ、3can/えもともの快進撃は偉業である。  1回戦で予選全勝だったNEOROCHIの【火水闇ジャオウガ】を撃破すると、勢いに乗った。続く準々決勝では、ぺんとらの【水自然ジャイアント】を捲り、更に準決勝では今大会を席巻したデッキと言える【光闇メカ】を使うフルヤ葵をも下した。
 
 もちろん、比較的後攻からでも勝ちやすいデッキであることを踏まえても、まったくもって偉業である。
 
 一方のレイン@29のデッキは【ターボマジック】だ。  ここまでのエリアでは、準優勝が2回。強力なデッキなのは間違いない。しかしこちらは、どちらかと言えば予選の方が厳しい戦いが多かっただろう。
 
 というのもこのデッキは、先攻の《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》《芸魔隠狐 カラクリバーシ》といった押し付けをダイレクトに喰らってしまうデッキであるため、早期のビートダウン系のデッキには何も出来ずに負けてしまうことも多い。

 殴るデッキが多いと予想された中で、使用を諦めたプレイヤーもいたことだろう。
 
 ところがレイン@29は予選を好成績で突破すると、本戦トーナメントでは視界が開けたかのようなビクトリーロードが敷かれていた。

 1回戦は、受けに定評のある《超光喜 エルボロム》のデッキと、相性的には有利なデッキだった。《聖霊超王 H・アルカディアス》《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》の合わせ技に苦戦したものの、《「狡智」の頂天 レディオ・ローゼス》でこれを突破し撃破。
 
 続く準々決勝・準決勝の相手は【水自然ジャイアント】という、もっとも当たりたかっただろうデッキが続けざまにやってきたのだ。予選全勝だった【火水闇ジャオウガ】が早々に敗れ、【火水アグロマジック】が逆側の山にしかいなかったのも幸いだった。
 
 こうした形で実現した、《芸魔王将 カクメイジン》の同士の対決。
 
 地元倉敷にある大原美術館の設立者、大原孫三郎は「わしの眼は十年先が見える」とよく言ったという。
 
 私には十年先はおろか、この中四国エリアの分布も、この決勝のカードも見えなかったし、そしてこの決勝の行方もまるで見えないが、単純な相性で言えば3can/えもともの【火水アグロマジック】が有利だろう。

 3can/えもともとしても、ここまでの対戦の中では、一番やりやすい相手ではある筈だ。
 
 しかし相手はこの環境を勝ち上がってきた【火水ターボマジック】であり、しかも後攻。
 
 偉業をそのまま成し遂げるか、それともターボマジックがその悲願を達成するか。

 中四国エリアの決勝戦が始まった。

先攻:レイン@29

 先攻のレイン@29《芸魔隠狐 カラクリバーシ》のチャージからスタート。
 対して3can/えもとも《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》のチャージから。
 
 2ターン目、レイン@29は≪「いいダシがとれそうだ」≫からスタートすると、《光牙忍ハヤブサマル》を墓地へ。3can/えもともはこの相性に強い《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》を召喚して、ターンを終了する。  しかしレイン@29は構わず≪「いいダシがとれそうだ」≫を唱えると、2つめの裏向きマナを用意する。ここで≪歌舞音愛 ヒメカット≫の効果が入り、3can/えもともも貴重な2ドローを手に入れる。
 
 後攻で2ドローを追加したマジックが、走らないという方が不自然だ。
 
 3can/えもともはまずは3マナで《氷柱と炎弧の決断》から入ると、2回ドローを選択。
 そして≪歌舞音愛 ヒメカット≫を《芸魔隠狐 カラクリバーシ》へと革命チェンジすると、効果で唱えたのは《調律師ピーカプ / ♪音速で 本番中に チューニング》の呪文側。
 
 この1点は素通りすると、《芸魔隠狐 カラクリバーシ》はアンタップ。続けざまに《芸魔王将 カクメイジン》へと革命チェンジを決める。
 
 レイン@29のマナは3で、《光牙忍ハヤブサマル》の行方もわかっている。この2点は、絶対に通るのだ。
 
 3can/えもともはまずは《氷柱と炎弧の決断》から唱えると、2コストの2体出しを選択。《AQvibrato》に≪歌舞音愛 ヒメカット≫が場に並ぶ。

 更に≪♪音速で 本番中に チューニング≫を唱えると、《芸魔王将 カクメイジン》ではなく、その横を対象にする。要するに、何か踏んでしまったとしても、可能な限り楯を詰めてしまおうという算段だ。
 
 そしてこの《芸魔王将 カクメイジン》のW・ブレイクもそのまま通り、3can/えもともに優勝の文字が見えてきた。
 
 3can/えもとも《AQvibrato》《芸魔隠狐 カラクリバーシ》へと革命チェンジさせると、再びの《氷柱と炎弧の決断》。これで手札の≪歌舞音愛 ヒメカット≫2体並べ、後続すらも抱えられる万全の展開に。
 
 このブレイクも、トリガーはなし。残る楯は、あと1枚。
 
 やがて最後のシールドに向けて≪歌舞音愛 ヒメカット≫を《芸魔隠狐 カラクリバーシ》へと革命チェンジ。唱える呪文はなし。
 そしてトリガーも……何もなし!  ダイレクトアタックを宣言する3can/えもともに、歓喜の瞬間が訪れた。  そこにあったのは、大きくガッツポーズを決めた3can/えもともと、  自らの右手を差し出したレイン@29の姿だった。
 
WINNER:3can/えもとも

 終了後、3can/えもともの勝利を待ち望んでいた友人たちにも、歓喜の輪が広がっていた。この日は仲間たちともに並び、優勝を祝う記念写真まで撮影していた。
 
 16位で予選を通過し、ずっと後攻の戦いが続いた。我慢を重ねてきた。
 そしてその我慢が、最後に花開いたのだ。  おめでとう、3can/えもとも
 
 この我慢強さ、粘り強さを、次なる舞台でも発揮して欲しい。
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