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全国大会2024 関西エリア予選:TOP5カード紹介

ライター:河野 真成(神結)

 年内最後のエリア予選となったのは、関西だ。
 九州エリアの1週間後、そして王道篇第4弾「悪魔神、復活」の発売日に開催された本大会。

 エリア予選の規定では発売後1週間経過したカードでないと使用出来ないため、王道篇第3弾「ゴールド・オブ・ハイパーエンジェル」までのプールでの対戦となった。

即ち、北海道エリアより続く環境の、その集大成だ。

 今回TOP5カードを選ぶにあたっては、そうした集大成の中でプレイヤーのオリジナティが光ったカードたちを紹介し、この環境の締めとしたいと思う。

5位:《DARK MATERIAL COMPLEX》

 関西エリアを語るには、まずこのカードの話をする必要があると思う。
 登場は2023年12月16日発売のアビス・レボリューション第4弾「竜皇神爆輝」。発売からちょうど1年のようだ。

 2024年シーズンに入り2ブロック環境の大会が増えていくと、【光闇メカ】というビートデッキから【光水闇COMPLEX】という受けデッキまで広く活躍した。

 一般的にオリジナルで強いカードが、2ブロックで弱いわけない。
 特に夏頃、メカで権利を取ったというプレイヤーは多かっただろう。

 しかしそこからカードプールの増加や研究が進むにあたって、流れは変わる。
 特に今エリア予選が開始するにあたっては、【水自然ジャイアント】の台頭に押されていた。
 結果、《DARK MATERIAL COMPLEX》の活躍の機会は大きく減少することになったのである。
 それは、ここまでのエリア優勝デッキを見ても結果に表れている。

北海道エリア:水自然ジャイアント
東北エリア :火水アグロマジック
東海エリア :火水アグロマジック
北陸エリア :火水アグロマジック

 まさかの無冠だった。
 ついでにマジックがすごい貫禄を見せていた。

 しかし、続く九州エリアで事情は変わることになる。

 「魔境」「独自のメタゲーム」と呼ばれるこのエリアを制したのが【火水闇プレジール】。攻めと守りのバランスに優れたデッキだが、ここに採用されていたのが4枚の《DARK MATERIAL COMPLEX》だった。

 遂にコンプ優勝、無冠も返上、爆湧きの会場、評価も上昇。

 先に置けば【光水自然ゼニス】などに対して大きなプレッシャーになるし、闇入りの【ジャイアント】の《死神覇王 ブラックXENARCH》に対して強く出られる。
 ついでに《イカリノアブラニ火ヲツケロ》からパワー比べも出来る。

 こうして1つの転換点を経て迎えた、現行プール最後となったのが関西エリアだ。
 以下にデッキ分布を記してみる。

 13 光闇メカ
 12 火水闇プレジール
 10 水自然ジャイアント
 8 火水アグロマジック
 6 火水ゼロ水晶マジック(ターボマジック)
 5 水闇ボウダン
 4 闇自然アビス
 4 光水自然ゼニス・セレス
 3 光水闇コンプ
 2 光水闇エルボロム
 2 闇自然ゼニス・セレス
 1 水闇COMPLEX
 1 水自然ゼニス
 1 火水闇ハイパーモード
 1 光水自然ビッグマナ
 1 光闇自然メカ

 なんと上位2トップに《DARK MATERIAL COMPLEX》がいた。
 ちなみに、比較のために参加人数が近しかった東北エリア(11/23開催)の分布を、以下に示しておく。

 25 水自然ジャイアント
 11 闇自然ゼニス・セレス
 10 火水アグロマジック
 7 光水自然ゼニス・セレス
 5 火水ゼロ水晶マジック(ターボマジック)
 4 火自然ゼニス・セレス
 4 光闇メカ
(以下省略)

 変わりすぎである。《死神覇王 XENARCH》《死神覇王 ブラックXENARCH》くらい違うと思う。

 詳細な分析はメタゲームブレイクダウンに譲るが、いずれにせよ関西エリア予選は「《DARK MATERIAL COMPLEX》を使うか、《DARK MATERIAL COMPLEX》に勝てるようにするか」という大会だった、と言えただろう。

 少々前提が長くなったが、これらを踏まえてトップ4となったプレイヤーたちのデッキから、残る4枚のカードをチョイスしていこう。

4位:《水晶の祈り / クリスタル・ドゥーム》

 準々決勝。【火水水晶マジック】を使うオガワは土俵際まで追い詰められていた。

 何故なら【水闇ボウダン】を使用する対面の無名人《超暴淵 ボウダン=ロウ》からの大量展開を決め、盤面を完全に支配しきっていたからだ。

 それも数体とかではなく、十数体のクリーチャーが並び、加えて《死神覇王 ブラックXENARCH》《爆藍月 スケルハンター》といった質をも伴うクリーチャーだった。

 だがオガワ《芸魔龍王 アメイジン》によって1ターンを凌ぐと、再び返ってきたターンの開始時に、無名人に問う。

「山札、何枚ですか?」
「残り4枚です」

 瞬間、ガッツポーズを決めるオガワ
 そう、彼の手にあったのは《水晶の祈り / クリスタル・ドゥーム》だったのだ。  直前で思い付いて採用したという1枚は、このデッキに於いては手札の質を上げながら裏向きマナを作るカードであり、それ以上でも以下でもない筈だった。
 《ローゼス・イノベーション》などがセットで採用されているわけではないし、そもそも《「使命」の頂天 グレイテスト・グレート》を採用していないので、下面を撃つ機会はないのだ。

 しかし上面の3枚ドローというのは強制効果であり、かつ対象となるプレイヤーを選択出来る。これによって自身の山札枚数にも気を払っていた無名人をデッキアウトに追い込み、オガワは劇的な勝利を遂げたのだ。

 この試合を目の前でみて、記録に書き残さないことなど不可能であった。採用を決断したオガワに最大限を敬意を表し、ここに挙げさせていただきたい。
 

3位:《鎧機天 シロフェシー》

 ここに来てまさかの最多使用数となった【光闇メカ】。
 リスト自体に様々な個性が出ているデッキで、水文明がタッチで採用されたものもあれば、《忍式の聖沌 y4kk0》を採用してよりアグロに寄せた構築もあった。

 その中で目を惹いたのが、今回ベスト4であるmegafoniaが使用していた《鎧機天 シロフェシー》だ。  《鎧機天 シロフェシー》の能力は、革命チェンジで場に出るとコスト5以下の呪文を封殺できるというもの。

 このコスト5ラインというのは《氷柱と炎弧の決断》などを軸とした【火水アグロマジック】に対して刺さるのは勿論のこと、《楽識神官 プレジール》で使用出来る呪文の範囲とまったく被るのだ。

 実際megafoniaも対アグロマジックには自身を持っているようで、ここに強く出られることを主張としてデッキを選択したという。

 勿論《死神覇王 ブラックXENARCH》などと合わせて完全制圧を目指す勝ち方もあるが、そこに繋げるまでの時間を作ることも可能で、殴り倒しを狙う上でも貢献できる1枚と言えるだろう。

 しかし、そんな《鎧機天 シロフェシー》にも弱点というか、天敵がいる。

 それがコスト6の《グレート・流星弾》だ。

 準決勝ではsabakiの【火水水晶マジック】を相手に《鎧機天 シロフェシー》によるロックを掛けたものの、先に裏向きマナ条件を作っていたsabakiはトリガーの《グレート・流星弾》からの《芸魔龍王 アメイジン》から反撃。
 そして最終的に≪♪必殺で つわものどもが 夢の跡≫で山札を掘りきるコンボを決め、結局コスト5以下の呪文を使う事なく勝利してしまったのである。

 【光闇メカ】で予選を突破したプレイヤーはmegafoniaを含めて3名いたが、結果としてその全員が【火水水晶マジック】に敗北して大会を去ることになってしまっていた。

2位:《偽りの名 システイス》

 今大会のメタゲーム上の勝者と呼ぶべきは、【火水水晶マジック】だったと思う。
 使用者6人で、3人が予選抜け。準優勝、ベスト4、ベスト8に1人ずつ。凄い。

 これは最初に書いた《DARK MATERIAL COMPLEX》を巡る環境に於いて、《DARK MATERIAL COMPLEX》に勝てる選択肢であったからだろう。

 一方でこのデッキは受けが弱く、【火水アグロマジック】などの速いビートデッキには厳しい。

 そんな弱点を少しでも補うべくsabakiが採用したカードが《偽りの名 システイス》だった。  北海道エリアでセキボンも使用していたカードだったが、その後のエリアでは非採用となることが多かった。
 sabakiの場合、《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》《黙示録の水晶》といったカードを全て抜いてまで採用している辺り、とにかくアグロ対面を意識していることがわかる。
 また受けトリガーとしてだけでなく、攻めでも有効に働くことがある。
 《芸魔王将 カクメイジン》の攻撃さえ通せばなんとかなるといこのデッキに於いては、相手のブロッカーを止めるために召喚することも。

 実際、準決勝ではメカのブロッカー軍団を止めて攻撃を通すシーンがあった。

 試合を前に25sabakiが「(水晶マジック側が)後攻でも勝てるような構築にしている」と話していたが、それはこのカードのことを指している。

 その言葉通り、決勝でこのカードがトリガーしていれば……順位は1位と逆だった筈だ。

1位:《パシフィック・ヒーロー》

 25というプレイヤーは、【火水闇プレジール】をアグロデッキと解釈した。
 《死神覇王 ブラックXENARCH》のような高コストの制圧カードや、《超楽識 フミビロム》とような躱しの手段となるカードを採用せず、「メタクリーチャーを並べて、《楽識神官 プレジール》で押し込む」というシンプルな構造を目指したものとなっている。

 その中でも秀逸といえる1枚が、《パシフィック・ヒーロー》だろう。  自身がジャストダイバーによる場持ちがいいのに加えて、なんとバラバラエティによって後から駆け付ける味方を実質的なジャストダイバーにすることが出来る1枚である。

 例えば2コスト→《パシフィック・ヒーロー》《楽識神官 プレジール》と進んでいったときに、《楽識神官 プレジール》やその能力(《鬼火と魍魎の決断》など)で後から出てきたクリーチャー全体を守ることが出来る。

 このカードこそ、25が【火水闇プレジール】というデッキをどう考えているか、一番わかりやすく示しているカードと言えるのではないか。

 そしてその活躍は、まさにヒーロー。パシフィックなヒーロー。

 ヒーローは決勝でもキッチリ仕事を果たし、25を優勝に導いたのである。
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