DMGP8th DAY2 準決勝:plus a vs. セキボン
セキボンにとって全国大会とは、どんなに焦がれても届かない舞台だった。
2017年度。
7月、北の大地から本州を超え、遥々やってきた熊本超CSで望外の準優勝。そこから全国出場を視野に入れつつ、CS
そこで獲得したDMPランキングのポイントを元手に、時には遠征を重ねてまでポイントを求めた。
当時彼の相棒は『緑単猿ループ』と『白緑メタリカ』。もともとコンボデッキを得意とする彼と相性がよく、遠征先でも優勝を重ねることが多かった。
しかし、当時DMPランキングで全国行きが許されたのはたった3人。
その門は狭く、先行したギラサキ、dotto、darkblueの背中は遥かに遠く…この年、全国行きは叶わなかった。
だけれどそれは、彼にとって諦める理由になるはずがなかった。
2018年度。
DMPランキングでの全国出場ボーダーが大幅に下がり、リベンジに燃えるセキボンはCSに出続けた。
昨年度のように大型大会で結果を残すことはできなかったが、CSでの勝率は昨年以上。単純な優勝回数で言えば全プレイヤーで唯一10回を数えた。
特にランキングシーズン終盤…彼が操る『白ゼロサバキZ』はとてつもなく強かった。
不利対面を覆すことも多く、そこにはプレイの練度以上の何か…勝負強さが垣間見えるほどだ。
賭ける想いも昨年度より強く、1月の土日はポイントを求めて毎週飛行機に乗って本州にやってきた。
ボーダーラインを突破するには1月中に「ポイント2.4倍のCSで2回優勝する」という非常に高いハードルが課せられた。
無茶だと思われかねないだろうが、それが達成できるほどの現実味を帯びていたのが彼の『白ゼロサバキZ』なのだ。
門は去年よりも広く、前を走るプレイヤーの背中もギリギリ見える位置にあった。
そして地元・北海道で開かれる数少ない2倍CSで優勝。前を走るおんそく、カイザたちの背中がハッキリ見えた。
あとはもう1度優勝するだけ。飛行機に乗り込み、2.4倍CSに出続ける……
それでも、届かなかった。
10回のCS優勝を重ねても、そのうちいくつかは人数が足りずポイントが出ないもの。認定ジャッジが少ないので、昨年度から導入されたジャッジボーナスも大きな差になって数字に表れる。
彼が暮らす雪降る街は、全国を目指すにはあまりに過酷すぎる環境だった。
2019年度。生活環境が変わり、昨年のように遠征を重ねることが難しくなっていた。
ポイントでの全国挑戦は今度こそ終わり。薄々そう思いながらもデュエル・マスターズはやめられない。
いつものように有給を取り、飛行機に乗って東京へ降り立ち……
GP8thの2日目。
気付けば、セキボンは最後の4人に残っていた。
予選で2敗してしまったものの、首の皮1枚繋がって127位というギリギリ中のギリギリで突破。
そんな状況で突破したからなのか、決勝1回戦はらしくなく緊張していた。調整仲間であった「マラかっち」の面々に罵詈雑言を受けるほどのミスをしつつ、なんとか弥生町を下す。
それでも、ここから気持ちを切り替えられるのがセキボンの強さ。2回戦以降は相棒たる『白ゼロサバキZ』の強さを遺憾なく発揮し、並み居る強豪を退けてここまで勝ち上がってきた。
GP8thから、全国大会への切符は3位にまで配られる。
ここで勝てば全国、負けても3位決定戦で勝てば全国。セキボンが3年間求め続けたその切符は、もう目の前まで来ている。
当の本人はというと……
セキボン「いや、めちゃくちゃきついんだけど……」
GP8th、過去最大のピンチに陥っていた。
対面に座るplus aの場には…赤黒く染まった5枚のカード。間違いなく最終禁断フィールド、《》である。
大型大会で目立った結果を残したことがなく、「信じられない」と言いながらここまで来たニューカマーの使用デッキは……防御力と妨害性能に長けた『黒緑ドルマゲドン』。
セキボンは当然知っている。己が操る『白ゼロサバキZ』は、『黒緑ドルマゲドン』に対して最悪の相性であることを。
それも「100回やって10回勝てるか怪しいレベル」というほどに、環境に存在するデッキで最も勝率が悪いことを。
さらに言うとここで負けても地獄は続く。
隣の卓で行われるBeckyとデデンネの試合。言い換えると…『黒緑ドルマゲドン』と『メタリカミッツァイル』の対戦なのだ。
呪文メタカードが多く積まれている『メタリカミッツァイル』に対する苦戦は必至、それに『黒緑ドルマゲドン』に対しては先述の通り…。
そう、ベスト4に進んだ他の3人が全員不利対面なのだ。
準々決勝からはマッチ戦。当然その相性差はより色濃く出る。
だけれど目の前に3年間求め続けた全国の切符がある。いくら不利対面でも知ったことか、目の前のplus aを倒せばそれが手に入るのだ。
plus aにしても望外のチャンスだ。
初めてのGPベスト4、さらに相手は海の向こうからもその名を聞くセキボン。
緊張はしているが、全国のチャンスが目の前に転がり込んできたのだ。負けるわけにはいかない。
GP決勝の舞台、そして全国への切符を賭けて。
2人の戦い……いや、挑戦が始まった。
腕を大きく振りかぶることで相手の選択肢を奪う(?)「セキボン式じゃんけん」。
結果はplus aがあっさり勝利。セキボンはうめく。
結果としてこのじゃんけんはこの勝負の趨勢を大きく分けることとなった。
2ターン目に《霞み妖精ジャスミン》での初動に成功したplus aは次のターン、4マナをタップする。
《拷問ロスト・マインド》!!
『黒緑ドルマゲドン』の強さの1つである4コストの妨害、それもとりわけクリティカルなものがセキボンの手札を襲う。
結果として3ハンデスに成功し、丸裸になった残りの手札は《煌メク聖戦 絶十》《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》。多少余裕がある手札ではあるが、きついことには変わりない。
さらにplus aは続くターンに《凶鬼09号 ギャリベータ》。今後のリソース源を確保しつつ、禁断を剥がし始める。
4ターン目、セキボンはカウンターの機を見るべく《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》から入る。
plus a《獣軍隊 ヤドック》を置いて《煌龍 サッヴァーク》を牽制しつつ、《凶鬼09号 ギャリベータ》がドローを進める。
セキボンはなんとか紋章を引き当て、《剣参ノ裁キ》で《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》を回収。《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》がいるためドローも進む。
…が、plus aは待ってくれない。《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》が《悪魔龍 ダークマスターズ》を回収し、刻一刻とタイムリミットが近づいていく。
さらに《凶鬼09号 ギャリベータ》侵略《S級不死 デッドゾーン》!!
進化クリーチャーであるため《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》で飛ばない打点、さらに《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》を破壊し、シールドに移動させたうえでブレイク込みで手札に送還する動きだ。
このトリプルブレイクに対しセキボンは《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》2枚をサバキZ。《獣軍隊 ヤドック》と《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》を磔にする。
とはいえセキボンにできることも多くはない。5マナ《煌メク聖戦 絶十》から3軽減をつけて1マナ《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》でお茶を濁すのみ。
それに対してplus aは《S級不死 デッドゾーン》をコストを払って召喚、封印を残り1枚としつつ、展開の起点となる《煌メク聖戦 絶十》を除去。
そのままトリプルブレイクでシールドを削りに行く……
が、セキボンの残り1枚の手札は3枚の紋章を裏向きにして現れた…《煌世主 サッヴァーク†》!!
《S級不死 デッドゾーン》をブロックで処理し、plus aの盤面がいったん更地になる。
とはいえ手札は《煌世主 サッヴァーク†》のみだったため後続はなく、《》の禁断爆発まで秒読み。コマンドもたった今墓地に送られた《凶鬼09号 ギャリベータ》によって確保され、ここからセキボンが逆転する術は少ない。
が、そのデッキトップは一筋の光を照らす…《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》!!
《煌世主 サッヴァーク†》のブレイク数を増やす…つまり、裏向きの盾を大量に作ることで時間を稼ぎ、わずかな勝機を手繰り寄せるために必要なカードを引き当てた。
当然《煌世主 サッヴァーク†》の攻撃時にこれを宣言。シールドを全て割り、自身のシールドを5枚追加する…
…ことはできなかった。plus aのシールドがそれを阻む。
最初のトリプルブレイクから現れたのは《フェアリー・ライフ》と…≪デーモン・ハンド≫!!
表向きのシールドがなく《煌世主 サッヴァーク†》が破壊されてしまう。
セキボンは《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》をブレイクに向かわせ、残りのシールドを1枚に削る。ここでもトリガーで《フェアリー・ライフ》。
plus aの目に映るは息も絶え絶えのセキボン。シールドが増えようが構いやしない…ここで一気に攻める。
まずは《凶鬼09号 ギャリベータ》を墓地から召喚し禁断爆発、≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫が現れる。
さらに《Dの牢閣 メメント守神宮》を貼って守りも固め、もはや猶予は与えない。≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫でトリプルブレイクへ向かう。
手札がなかったセキボンだが、ここでシールドに埋まっていた《煌メク聖戦 絶十》がサバキZで登場。
その効果でデッキトップから捲られたのは…《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》!
とはいえplus aの目に映るセキボンは虫の息、目の前の≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫に対抗しつつ、自らにとっての脅威を形成することなどできるはずもない。
セキボンのターン開始時《Dの牢閣 メメント守神宮》のDスイッチも発動させ、万全の状態でターンを返す。
セキボンは《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》1軽減から3マナを捻り、《集結ノ正裁Z》。
その回収は…《》と《トライガード・チャージャー》。
…………これが始まり。
我々の前で魅せられたものは、まさしく日本一の『白ゼロサバキZ』使い…セキボンによる大魔術だった。
3軽減から≪音奏 ハイオリーダ≫を出すと、《トライガード・チャージャー》で《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》をはじめ、表向きの盾が大量に貼り付いたシールドを爆発させる。
2枚のサバキZで《煌メク聖戦 絶十》と《集結ノ正裁Z》、後者の効果で回収されるは《転生ノ正裁Z》2枚。
さらに《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》が引き当てた≪音奏 ハイオリーダ≫2枚目が出され、《トライガード・チャージャー》を2回を挟み、その流れで1枚の《転生ノ正裁Z》を撃ち込み…
《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》を出し、全てのマナを使い切った。
………先ほどまでまっさらだったセキボンの場は。
≪音奏 ハイオリーダ≫が引き連れた、12枚のGRクリーチャーによって埋め尽くされていた。
そしてその中には…5枚のジョーカーズによって与えられた疑似スピードアタッカー能力を持つ、《The ジョラゴン・ガンマスター》が2枚!!!
その種族は「マスター・ドラゴン」。それは彼らの2回目の攻撃時、これが詠唱されることを意味する。
そう…先ほど回収された《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》!!
先のターンに召喚された《煌メク聖戦 絶十》とともに、2枚のシールドに突っ込む。
しかしシールドには先ほど磔にされた《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》がいる。plus aのマナゾーンから《威牙の幻ハンゾウ》が回収される。
《Dの牢閣 メメント守神宮》でブロッカーを得ていることもあり、《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》をチャンプブロックに回さざるを得なかったものの何とか耐え凌いだ。
……が、《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》のもう1つの効果。
唯一の攻め手である≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫が、起き上がらない。
…いや、仮に起き上がったとしても眼前には≪音奏 ハイオリーダ≫が引き連れた大量のブロッカーがいる。これを突破する手段は現状の手札には皆無。
その山札に解答はあった。祈りを込めてドローをするが、その盤面を打ち崩す能力を持ったクリーチャーはない。
plus aは投了の意思を示すとともに、その名を叫んだ。
plus a「ドミノォ~……」
それが意味するところは《壊滅の悪魔龍 カナシミドミノ》。
それを引き当てられなかったセキボンは…たった1ターンで、鮮やかな大逆転劇を演じてみせた。
plus a 0-1 セキボン
plus aにとってセキボンが起こした大魔術は、まるで信じられないものだったことに違いない。
『白ゼロサバキZ』は本来、《煌龍 サッヴァーク》などの召喚酔いを解いてからでないと攻撃に向かえないデッキだ。
まさか更地の盤面から≪音奏 ハイオリーダ≫を駆使して《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》と致死打点を同時に用意してくるなんて、事前に知らなければ対応できるわけがない。
一方セキボンは、plus aが取ったプレイに光明を見た。
先述の通り彼のチーム「マラかっち」における調整結果では、『白ゼロサバキZ』は『黒緑ドルマゲドン』に大幅不利という結論が出されていた。
大量のハンデス、《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》が効かない《S級不死 デッドゾーン》の存在など厳しい要素は多々あるのだが、最たる原因は…≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫の禁断開放。
一切のケアが不可能である≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫の禁断開放でこちらの勝ち筋を潰され、メインの防御札である《煌世主 サッヴァーク†》や《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》をハンデスで射貫かれて丁寧に詰められてしまうと『白ゼロサバキZ』側に対抗手段は存在しえないのだ。
だが、先ほどplus aがとったプレイはどうだ。
plus aは薄い攻め手でシールドに向かった結果、≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫が実質《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》で飛ばされないだけの打点に変貌。結果としてセキボン側の細い勝ち筋を通してしまった。
当然plus aとて繊細なプレイが求められる『黒緑ドルマゲドン』を使ってここまで勝ち上がった猛者だ。メタゲームに多く蔓延る相手に対しては正着手を打ち続けたに違いない。
それでもセキボンは、このゲームを通して確信した。
plus aは、『白ゼロサバキZ』に対するプレイを知らない。
セキボンが『白ゼロサバキZ』で勝ち上がった要因のひとつに、このデッキの初見対応の難しさが挙げられる。
《煌メク聖戦 絶十》が絡んだ展開がどこまでとてつもないものかは目の前での練習を挟まないと分かりづらく、プレイ難度の高さから恵まれた調整環境でないと『白ゼロサバキZ』を適切に扱えるプレイヤーが存在しない。
よって多くのプレイヤーにとってセキボンの『白ゼロサバキZ』は、異次元の動きを行う未知のデッキに見えてもおかしくない…もちろん、plus aにとっても。
しかし…先述の通り、plus aは『黒緑ドルマゲドン』の名手であることはここまで勝ち上がってきたことから明らか。
Game1でセキボンの『白ゼロサバキZ』の動きは見せてもらった。今度はそれを封じるべく…先攻を取ったplus aは、ゲームプランを構築していく。
plus aは2ターン続けて《フェアリー・ライフ》、セキボン2ターン続けて《憤怒スル破面ノ裁キ》とお互い初動は良好。
先に動く権利を得たplus aは《凶鬼09号 ギャリベータ》。封印を剥がしつつドローを進め、次弾と妨害を探しに行く。
しかし、時間的な話で言えばセキボンは4ターン目を無事に迎えるだけで十分だった。4ターン目は…『白ゼロサバキZ』のコンボ始動時間。
セキボンは《トライガード・チャージャー》で表向きが重ねられたシールドを爆発させる!
…が、4ターン目を迎えてもコンボパーツが足りなければどうしようもない。
2枚のサバキZから宣言されたのは…《集結ノ正裁Z》と《転生ノ正裁Z》。どうやら《煌メク聖戦 絶十》がないようだ。
《集結ノ正裁Z》で《煌メク聖戦 絶十》を拾うことも叶わず、仕方なく《転生ノ正裁Z》からサバキZで《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》を撃ち《凶鬼09号 ギャリベータ》に対処する。
となれば、《フェアリー・ライフ》を2回撃ったことで7マナに到達したplus aの時間だ。
plus aの切り札たる、《悪魔龍 ダークマスターズ》が降臨!!
その効果でセキボンの≪音奏 ハイオリーダ≫《トライガード・チャージャー》《集結ノ正裁Z》を撃ち抜き、その手札は《剣参ノ裁キ》のみに早変わり。
とはいえセキボンはできることをやるのみ。《剣参ノ裁キ》→《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》回収、《憤怒スル破面ノ裁キ》で表向きの盾を増やし有事に備える。
plus aは《Dの牢閣 メメント守神宮》を貼って…少し考え終了。
セキボンは《剣参ノ裁キ》2回で《》《転生ノ正裁Z》を回収。表向きにするシールドはこのタイミングで散らし始める。
≪マッド・デーモン閣下≫で残りの封印を1枚としつつ、《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》を回収しターン終了。
セキボンは先のゲームで展開の起点となった≪音奏 ハイオリーダ≫で《バツトラの父》。
plus aは禁断開放のターンとなった…が、ここでGame1の反省を生かす。
あのときは≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫を打点として使用し、逆転の芽を与えてしまった…
が、もう余計なリスクを背負う真似はしない。禁断開放の前に…《拷問ロスト・マインド》!!
これが《煌世主 サッヴァーク†》以外の手札を全て叩き落とし、《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》で《悪魔龍 ダークマスターズ》を回収して後続のハンデスまで確保。
そして…満を持して≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫が解放。
≪音奏ハイオリーダ≫を潰して後続の手札を奪い去り、逆転の芽を封じる。
セキボンは《煌メク聖戦 絶十》で《煌世主 サッヴァーク†》を表向きのシールドとして貼り付け、いったんの防御手段を得る。
とはいえ、その手札に眠る《煌世主 サッヴァーク†》は《悪魔龍 ダークマスターズ》で叩き落され…plus aはついに《悪魔龍 ダークマスターズ》でプレイヤーへ攻撃。表向きの盾を減らすようなブレイクを行う。
ここでサバキZ《転生ノ正裁Z》《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》、《煌世主 サッヴァーク†》の盾を手札に加えて《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》をシールドに送還。
plus aは止まらず≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫でプレイヤーに攻撃。
ここでセキボンは先ほど回収した《煌世主 サッヴァーク†》を出し、戦闘破壊される わけにはいかないためそのまま攻撃を通す。ここのブレイクでサバキZ《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》、残りの殴り手である≪マッド・デーモン閣下≫を磔に。
……が、ここからもう1度セキボンがカウンターすることはできなかった。
plus aが今まで残しておいた…《Dの牢閣 メメント守神宮》のDスイッチが満を持して発動される。
これで《煌世主 サッヴァーク†》の動きが封じられ、plus aは続くターンも攻めに回ることができる。
とはいえ《煌メク聖戦 絶十》が生き残った状態で手札を得たセキボン、何もできないわけではない。
《剣参ノ裁キ》で《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》を加えて軽減を乗せ、≪音奏 ハイオリーダ≫!
ここから《剣参ノ裁キ》で回収なし、さらに《剣参ノ裁キ》で《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》を回収し…
≪音奏 ハイオリーダ≫が合計3回のGR召喚、《煌銀河 サヴァクティス》2体と《バツトラの父》を出すことに成功。
2体のブロッカーと追加シールド1枚。無事にターンが回ってくれば《煌世主 サッヴァーク†》が動き出す…
が、ターンが帰ってきたplus aはこの壁を突破する手段を持っていた。
それは…手札から《S級不死 デッドゾーン》、そして《悪魔龍 ダークマスターズ》攻撃時に侵略《S級不死 デッドゾーン》!!
これで≪音奏 ハイオリーダ≫《バツトラの父》が潰され…《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》で処理できない3体のクリーチャーがセキボンに襲い掛かる!!
粘り強く戦ったセキボンだがついにここでギブアップ。
Game1の反省を生かした詰将棋を完遂し、plus aは3戦目に持ち込む。
plus a 1-1 セキボン
plus aとて『黒緑ドルマゲドン』を使ってここまで勝ち上がってきただけの実力がある。慣れない中でも完璧な詰め筋を見せ、有利対面たる所以を見せてくれた。
対するセキボンもプレイの隙を突くのは最早難しく、
後攻plus aの《フェアリー・ライフ》でゲームスタート。
セキボン3ターン目に《憤怒スル破面ノ裁キ》を引き、4ターン目に備える。
plus aはここで妨害カードを挟んでコンボに備えたいところだが……
プレイされたのは《フェアリー・ライフ》。《悪魔龍 ダークマスターズ》に備えてマナを伸ばすだけとなり……
セキボンが3試合目にして初めて、先にアクションを起こす権利を得る。
4マナ目をチャージしたセキボンはコンボ始動、《転生ノ正裁Z》から《煌メク聖戦 絶十》をサバキZ!
《煌メク聖戦 絶十》効果で置かれたのは…なんと野生の《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》!!
これを《転生ノ正裁Z》とは別の場所に置き、残る1マナで手札から《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》を貼り付ける。
plus aは4マナの妨害を撃てなかった…つまりこのターンも妨害カードがなく、《凶鬼09号 ギャリベータ》で入るしかない。
さあ、《煌メク聖戦 絶十》と《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》2枚を得たセキボン。
相手の妨害も回避し、もう1度大魔術の時間が訪れる。
まずは5マナ目をチャージし、《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》の2軽減を乗せた《剣参ノ裁キ》を2枚使い、《集結ノ正裁Z》と《煌龍 サッヴァーク》を回収。
《集結ノ正裁Z》で《煌世主 サッヴァーク†》《転生ノ正裁Z》を回収し、満を持して《トライガード・チャージャー》!
これのサバキZで《煌メク聖戦 絶十》を2枚召喚、《煌世主 サッヴァーク†》意識で表向きを散らす。
さらに≪音奏ハイオリーダ≫が満を持して降臨。《The ジョラゴン・ガンマスター》を出しつつ…
ついにこのデッキの切り札たる《煌龍 サッヴァーク》が降臨!!
《凶鬼09号 ギャリベータ》を磔にしつつ、このターンまでに展開した合計8打点に除去体制を付与。
《》の封印はまだ1つしか外れておらず、禁断爆発はまだ先。ということは…少なくとも返しのターンまでこの盤面を維持することができる!!
plus aはこれ以上の展開は許すまいと《悪魔龍 ダークマスターズ》で《トライガード・チャージャー》《転生ノ正裁Z》2枚を落とす…が、もはや手遅れ。
セキボンはもはやいらないとばかりに《煌世主 サッヴァーク†》を置いて《憤怒スル破面ノ裁キ》からスタートし…「いっぱい軽減」と宣言しながら大量の紋章を唱えていく。
そして≪音奏 ハイオリーダ≫が大量のGRクリーチャーを引き連れて…実質スピードアタッカー化した《The ジョラゴン・ガンマスター》が追加され、合計9打点。
《オリオティス・ジャッジ》がトリガーするも《煌龍 サッヴァーク》で難なくケア。追い打ちをかけるように《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》を絡めれば………
セキボンが、2年越しの悲願を達成した瞬間が訪れた。
plus a 1-2 セキボン
Winner:セキボン
セキボンにとって全国大会とは、どんなに焦がれても届かない舞台だった。
それを目指す長い旅路の果て、最後に立ちはだかったのは超不利対面という高い壁。
だけれど、旅の中で彼が得たものは壁を乗り越えるには十分すぎた。
2018年度から使い続け、そのポテンシャルを最大まで引き出した『白ゼロサバキZ』。
そして彼だからこそ持ち合わせた…執念にも近い、全国大会への想い。
これで全国大会を目指す彼の物語はいったん終わりを迎える。
物語は1年後の3月…日本一を目指す戦いへ。
そして、今日の物語はもう少しだけ続く。
GP8thもうひとりの王者を目指し…セキボンはフィーチャーテーブルへと向かう。
2017年度。
7月、北の大地から本州を超え、遥々やってきた熊本超CSで望外の準優勝。そこから全国出場を視野に入れつつ、CS
そこで獲得したDMPランキングのポイントを元手に、時には遠征を重ねてまでポイントを求めた。
当時彼の相棒は『緑単猿ループ』と『白緑メタリカ』。もともとコンボデッキを得意とする彼と相性がよく、遠征先でも優勝を重ねることが多かった。
しかし、当時DMPランキングで全国行きが許されたのはたった3人。
その門は狭く、先行したギラサキ、dotto、darkblueの背中は遥かに遠く…この年、全国行きは叶わなかった。
だけれどそれは、彼にとって諦める理由になるはずがなかった。
2018年度。
DMPランキングでの全国出場ボーダーが大幅に下がり、リベンジに燃えるセキボンはCSに出続けた。
昨年度のように大型大会で結果を残すことはできなかったが、CSでの勝率は昨年以上。単純な優勝回数で言えば全プレイヤーで唯一10回を数えた。
特にランキングシーズン終盤…彼が操る『白ゼロサバキZ』はとてつもなく強かった。
不利対面を覆すことも多く、そこにはプレイの練度以上の何か…勝負強さが垣間見えるほどだ。
賭ける想いも昨年度より強く、1月の土日はポイントを求めて毎週飛行機に乗って本州にやってきた。
ボーダーラインを突破するには1月中に「ポイント2.4倍のCSで2回優勝する」という非常に高いハードルが課せられた。
無茶だと思われかねないだろうが、それが達成できるほどの現実味を帯びていたのが彼の『白ゼロサバキZ』なのだ。
門は去年よりも広く、前を走るプレイヤーの背中もギリギリ見える位置にあった。
そして地元・北海道で開かれる数少ない2倍CSで優勝。前を走るおんそく、カイザたちの背中がハッキリ見えた。
あとはもう1度優勝するだけ。飛行機に乗り込み、2.4倍CSに出続ける……
それでも、届かなかった。
10回のCS優勝を重ねても、そのうちいくつかは人数が足りずポイントが出ないもの。認定ジャッジが少ないので、昨年度から導入されたジャッジボーナスも大きな差になって数字に表れる。
彼が暮らす雪降る街は、全国を目指すにはあまりに過酷すぎる環境だった。
2019年度。生活環境が変わり、昨年のように遠征を重ねることが難しくなっていた。
ポイントでの全国挑戦は今度こそ終わり。薄々そう思いながらもデュエル・マスターズはやめられない。
いつものように有給を取り、飛行機に乗って東京へ降り立ち……
GP8thの2日目。
気付けば、セキボンは最後の4人に残っていた。
予選で2敗してしまったものの、首の皮1枚繋がって127位というギリギリ中のギリギリで突破。
そんな状況で突破したからなのか、決勝1回戦はらしくなく緊張していた。調整仲間であった「マラかっち」の面々に罵詈雑言を受けるほどのミスをしつつ、なんとか弥生町を下す。
それでも、ここから気持ちを切り替えられるのがセキボンの強さ。2回戦以降は相棒たる『白ゼロサバキZ』の強さを遺憾なく発揮し、並み居る強豪を退けてここまで勝ち上がってきた。
GP8thから、全国大会への切符は3位にまで配られる。
ここで勝てば全国、負けても3位決定戦で勝てば全国。セキボンが3年間求め続けたその切符は、もう目の前まで来ている。
当の本人はというと……
セキボン「いや、めちゃくちゃきついんだけど……」
GP8th、過去最大のピンチに陥っていた。
対面に座るplus aの場には…赤黒く染まった5枚のカード。間違いなく最終禁断フィールド、《》である。
大型大会で目立った結果を残したことがなく、「信じられない」と言いながらここまで来たニューカマーの使用デッキは……防御力と妨害性能に長けた『黒緑ドルマゲドン』。
セキボンは当然知っている。己が操る『白ゼロサバキZ』は、『黒緑ドルマゲドン』に対して最悪の相性であることを。
それも「100回やって10回勝てるか怪しいレベル」というほどに、環境に存在するデッキで最も勝率が悪いことを。
さらに言うとここで負けても地獄は続く。
隣の卓で行われるBeckyとデデンネの試合。言い換えると…『黒緑ドルマゲドン』と『メタリカミッツァイル』の対戦なのだ。
呪文メタカードが多く積まれている『メタリカミッツァイル』に対する苦戦は必至、それに『黒緑ドルマゲドン』に対しては先述の通り…。
そう、ベスト4に進んだ他の3人が全員不利対面なのだ。
準々決勝からはマッチ戦。当然その相性差はより色濃く出る。
だけれど目の前に3年間求め続けた全国の切符がある。いくら不利対面でも知ったことか、目の前のplus aを倒せばそれが手に入るのだ。
plus aにしても望外のチャンスだ。
初めてのGPベスト4、さらに相手は海の向こうからもその名を聞くセキボン。
緊張はしているが、全国のチャンスが目の前に転がり込んできたのだ。負けるわけにはいかない。
GP決勝の舞台、そして全国への切符を賭けて。
2人の戦い……いや、挑戦が始まった。
Game 1
先攻:plus a腕を大きく振りかぶることで相手の選択肢を奪う(?)「セキボン式じゃんけん」。
結果はplus aがあっさり勝利。セキボンはうめく。
結果としてこのじゃんけんはこの勝負の趨勢を大きく分けることとなった。
2ターン目に《霞み妖精ジャスミン》での初動に成功したplus aは次のターン、4マナをタップする。
《拷問ロスト・マインド》!!
『黒緑ドルマゲドン』の強さの1つである4コストの妨害、それもとりわけクリティカルなものがセキボンの手札を襲う。
結果として3ハンデスに成功し、丸裸になった残りの手札は《煌メク聖戦 絶十》《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》。多少余裕がある手札ではあるが、きついことには変わりない。
さらにplus aは続くターンに《凶鬼09号 ギャリベータ》。今後のリソース源を確保しつつ、禁断を剥がし始める。
4ターン目、セキボンはカウンターの機を見るべく《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》から入る。
plus a《獣軍隊 ヤドック》を置いて《煌龍 サッヴァーク》を牽制しつつ、《凶鬼09号 ギャリベータ》がドローを進める。
セキボンはなんとか紋章を引き当て、《剣参ノ裁キ》で《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》を回収。《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》がいるためドローも進む。
…が、plus aは待ってくれない。《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》が《悪魔龍 ダークマスターズ》を回収し、刻一刻とタイムリミットが近づいていく。
さらに《凶鬼09号 ギャリベータ》侵略《S級不死 デッドゾーン》!!
進化クリーチャーであるため《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》で飛ばない打点、さらに《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》を破壊し、シールドに移動させたうえでブレイク込みで手札に送還する動きだ。
このトリプルブレイクに対しセキボンは《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》2枚をサバキZ。《獣軍隊 ヤドック》と《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》を磔にする。
とはいえセキボンにできることも多くはない。5マナ《煌メク聖戦 絶十》から3軽減をつけて1マナ《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》でお茶を濁すのみ。
それに対してplus aは《S級不死 デッドゾーン》をコストを払って召喚、封印を残り1枚としつつ、展開の起点となる《煌メク聖戦 絶十》を除去。
そのままトリプルブレイクでシールドを削りに行く……
が、セキボンの残り1枚の手札は3枚の紋章を裏向きにして現れた…《煌世主 サッヴァーク†》!!
《S級不死 デッドゾーン》をブロックで処理し、plus aの盤面がいったん更地になる。
とはいえ手札は《煌世主 サッヴァーク†》のみだったため後続はなく、《》の禁断爆発まで秒読み。コマンドもたった今墓地に送られた《凶鬼09号 ギャリベータ》によって確保され、ここからセキボンが逆転する術は少ない。
が、そのデッキトップは一筋の光を照らす…《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》!!
《煌世主 サッヴァーク†》のブレイク数を増やす…つまり、裏向きの盾を大量に作ることで時間を稼ぎ、わずかな勝機を手繰り寄せるために必要なカードを引き当てた。
当然《煌世主 サッヴァーク†》の攻撃時にこれを宣言。シールドを全て割り、自身のシールドを5枚追加する…
…ことはできなかった。plus aのシールドがそれを阻む。
最初のトリプルブレイクから現れたのは《フェアリー・ライフ》と…≪デーモン・ハンド≫!!
表向きのシールドがなく《煌世主 サッヴァーク†》が破壊されてしまう。
セキボンは《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》をブレイクに向かわせ、残りのシールドを1枚に削る。ここでもトリガーで《フェアリー・ライフ》。
plus aの目に映るは息も絶え絶えのセキボン。シールドが増えようが構いやしない…ここで一気に攻める。
まずは《凶鬼09号 ギャリベータ》を墓地から召喚し禁断爆発、≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫が現れる。
さらに《Dの牢閣 メメント守神宮》を貼って守りも固め、もはや猶予は与えない。≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫でトリプルブレイクへ向かう。
手札がなかったセキボンだが、ここでシールドに埋まっていた《煌メク聖戦 絶十》がサバキZで登場。
その効果でデッキトップから捲られたのは…《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》!
とはいえplus aの目に映るセキボンは虫の息、目の前の≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫に対抗しつつ、自らにとっての脅威を形成することなどできるはずもない。
セキボンのターン開始時《Dの牢閣 メメント守神宮》のDスイッチも発動させ、万全の状態でターンを返す。
セキボンは《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》1軽減から3マナを捻り、《集結ノ正裁Z》。
その回収は…《》と《トライガード・チャージャー》。
…………これが始まり。
我々の前で魅せられたものは、まさしく日本一の『白ゼロサバキZ』使い…セキボンによる大魔術だった。
3軽減から≪音奏 ハイオリーダ≫を出すと、《トライガード・チャージャー》で《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》をはじめ、表向きの盾が大量に貼り付いたシールドを爆発させる。
2枚のサバキZで《煌メク聖戦 絶十》と《集結ノ正裁Z》、後者の効果で回収されるは《転生ノ正裁Z》2枚。
さらに《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》が引き当てた≪音奏 ハイオリーダ≫2枚目が出され、《トライガード・チャージャー》を2回を挟み、その流れで1枚の《転生ノ正裁Z》を撃ち込み…
《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》を出し、全てのマナを使い切った。
………先ほどまでまっさらだったセキボンの場は。
≪音奏 ハイオリーダ≫が引き連れた、12枚のGRクリーチャーによって埋め尽くされていた。
そしてその中には…5枚のジョーカーズによって与えられた疑似スピードアタッカー能力を持つ、《The ジョラゴン・ガンマスター》が2枚!!!
その種族は「マスター・ドラゴン」。それは彼らの2回目の攻撃時、これが詠唱されることを意味する。
そう…先ほど回収された《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》!!
先のターンに召喚された《煌メク聖戦 絶十》とともに、2枚のシールドに突っ込む。
しかしシールドには先ほど磔にされた《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》がいる。plus aのマナゾーンから《威牙の幻ハンゾウ》が回収される。
《Dの牢閣 メメント守神宮》でブロッカーを得ていることもあり、《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》をチャンプブロックに回さざるを得なかったものの何とか耐え凌いだ。
……が、《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》のもう1つの効果。
唯一の攻め手である≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫が、起き上がらない。
…いや、仮に起き上がったとしても眼前には≪音奏 ハイオリーダ≫が引き連れた大量のブロッカーがいる。これを突破する手段は現状の手札には皆無。
その山札に解答はあった。祈りを込めてドローをするが、その盤面を打ち崩す能力を持ったクリーチャーはない。
plus aは投了の意思を示すとともに、その名を叫んだ。
plus a「ドミノォ~……」
それが意味するところは《壊滅の悪魔龍 カナシミドミノ》。
それを引き当てられなかったセキボンは…たった1ターンで、鮮やかな大逆転劇を演じてみせた。
plus a 0-1 セキボン
plus aにとってセキボンが起こした大魔術は、まるで信じられないものだったことに違いない。
『白ゼロサバキZ』は本来、《煌龍 サッヴァーク》などの召喚酔いを解いてからでないと攻撃に向かえないデッキだ。
まさか更地の盤面から≪音奏 ハイオリーダ≫を駆使して《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》と致死打点を同時に用意してくるなんて、事前に知らなければ対応できるわけがない。
一方セキボンは、plus aが取ったプレイに光明を見た。
先述の通り彼のチーム「マラかっち」における調整結果では、『白ゼロサバキZ』は『黒緑ドルマゲドン』に大幅不利という結論が出されていた。
大量のハンデス、《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》が効かない《S級不死 デッドゾーン》の存在など厳しい要素は多々あるのだが、最たる原因は…≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫の禁断開放。
一切のケアが不可能である≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫の禁断開放でこちらの勝ち筋を潰され、メインの防御札である《煌世主 サッヴァーク†》や《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》をハンデスで射貫かれて丁寧に詰められてしまうと『白ゼロサバキZ』側に対抗手段は存在しえないのだ。
だが、先ほどplus aがとったプレイはどうだ。
plus aは薄い攻め手でシールドに向かった結果、≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫が実質《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》で飛ばされないだけの打点に変貌。結果としてセキボン側の細い勝ち筋を通してしまった。
当然plus aとて繊細なプレイが求められる『黒緑ドルマゲドン』を使ってここまで勝ち上がった猛者だ。メタゲームに多く蔓延る相手に対しては正着手を打ち続けたに違いない。
それでもセキボンは、このゲームを通して確信した。
plus aは、『白ゼロサバキZ』に対するプレイを知らない。
セキボンが『白ゼロサバキZ』で勝ち上がった要因のひとつに、このデッキの初見対応の難しさが挙げられる。
《煌メク聖戦 絶十》が絡んだ展開がどこまでとてつもないものかは目の前での練習を挟まないと分かりづらく、プレイ難度の高さから恵まれた調整環境でないと『白ゼロサバキZ』を適切に扱えるプレイヤーが存在しない。
よって多くのプレイヤーにとってセキボンの『白ゼロサバキZ』は、異次元の動きを行う未知のデッキに見えてもおかしくない…もちろん、plus aにとっても。
しかし…先述の通り、plus aは『黒緑ドルマゲドン』の名手であることはここまで勝ち上がってきたことから明らか。
Game1でセキボンの『白ゼロサバキZ』の動きは見せてもらった。今度はそれを封じるべく…先攻を取ったplus aは、ゲームプランを構築していく。
Game 2
先攻:plus aplus aは2ターン続けて《フェアリー・ライフ》、セキボン2ターン続けて《憤怒スル破面ノ裁キ》とお互い初動は良好。
先に動く権利を得たplus aは《凶鬼09号 ギャリベータ》。封印を剥がしつつドローを進め、次弾と妨害を探しに行く。
しかし、時間的な話で言えばセキボンは4ターン目を無事に迎えるだけで十分だった。4ターン目は…『白ゼロサバキZ』のコンボ始動時間。
セキボンは《トライガード・チャージャー》で表向きが重ねられたシールドを爆発させる!
…が、4ターン目を迎えてもコンボパーツが足りなければどうしようもない。
2枚のサバキZから宣言されたのは…《集結ノ正裁Z》と《転生ノ正裁Z》。どうやら《煌メク聖戦 絶十》がないようだ。
《集結ノ正裁Z》で《煌メク聖戦 絶十》を拾うことも叶わず、仕方なく《転生ノ正裁Z》からサバキZで《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》を撃ち《凶鬼09号 ギャリベータ》に対処する。
となれば、《フェアリー・ライフ》を2回撃ったことで7マナに到達したplus aの時間だ。
plus aの切り札たる、《悪魔龍 ダークマスターズ》が降臨!!
その効果でセキボンの≪音奏 ハイオリーダ≫《トライガード・チャージャー》《集結ノ正裁Z》を撃ち抜き、その手札は《剣参ノ裁キ》のみに早変わり。
とはいえセキボンはできることをやるのみ。《剣参ノ裁キ》→《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》回収、《憤怒スル破面ノ裁キ》で表向きの盾を増やし有事に備える。
plus aは《Dの牢閣 メメント守神宮》を貼って…少し考え終了。
セキボンは《剣参ノ裁キ》2回で《》《転生ノ正裁Z》を回収。表向きにするシールドはこのタイミングで散らし始める。
≪マッド・デーモン閣下≫で残りの封印を1枚としつつ、《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》を回収しターン終了。
セキボンは先のゲームで展開の起点となった≪音奏 ハイオリーダ≫で《バツトラの父》。
plus aは禁断開放のターンとなった…が、ここでGame1の反省を生かす。
あのときは≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫を打点として使用し、逆転の芽を与えてしまった…
が、もう余計なリスクを背負う真似はしない。禁断開放の前に…《拷問ロスト・マインド》!!
これが《煌世主 サッヴァーク†》以外の手札を全て叩き落とし、《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》で《悪魔龍 ダークマスターズ》を回収して後続のハンデスまで確保。
そして…満を持して≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫が解放。
≪音奏ハイオリーダ≫を潰して後続の手札を奪い去り、逆転の芽を封じる。
セキボンは《煌メク聖戦 絶十》で《煌世主 サッヴァーク†》を表向きのシールドとして貼り付け、いったんの防御手段を得る。
とはいえ、その手札に眠る《煌世主 サッヴァーク†》は《悪魔龍 ダークマスターズ》で叩き落され…plus aはついに《悪魔龍 ダークマスターズ》でプレイヤーへ攻撃。表向きの盾を減らすようなブレイクを行う。
ここでサバキZ《転生ノ正裁Z》《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》、《煌世主 サッヴァーク†》の盾を手札に加えて《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》をシールドに送還。
plus aは止まらず≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫でプレイヤーに攻撃。
ここでセキボンは先ほど回収した《煌世主 サッヴァーク†》を出し、戦闘破壊される わけにはいかないためそのまま攻撃を通す。ここのブレイクでサバキZ《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》、残りの殴り手である≪マッド・デーモン閣下≫を磔に。
……が、ここからもう1度セキボンがカウンターすることはできなかった。
plus aが今まで残しておいた…《Dの牢閣 メメント守神宮》のDスイッチが満を持して発動される。
これで《煌世主 サッヴァーク†》の動きが封じられ、plus aは続くターンも攻めに回ることができる。
とはいえ《煌メク聖戦 絶十》が生き残った状態で手札を得たセキボン、何もできないわけではない。
《剣参ノ裁キ》で《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》を加えて軽減を乗せ、≪音奏 ハイオリーダ≫!
ここから《剣参ノ裁キ》で回収なし、さらに《剣参ノ裁キ》で《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》を回収し…
≪音奏 ハイオリーダ≫が合計3回のGR召喚、《煌銀河 サヴァクティス》2体と《バツトラの父》を出すことに成功。
2体のブロッカーと追加シールド1枚。無事にターンが回ってくれば《煌世主 サッヴァーク†》が動き出す…
が、ターンが帰ってきたplus aはこの壁を突破する手段を持っていた。
それは…手札から《S級不死 デッドゾーン》、そして《悪魔龍 ダークマスターズ》攻撃時に侵略《S級不死 デッドゾーン》!!
これで≪音奏 ハイオリーダ≫《バツトラの父》が潰され…《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》で処理できない3体のクリーチャーがセキボンに襲い掛かる!!
粘り強く戦ったセキボンだがついにここでギブアップ。
Game1の反省を生かした詰将棋を完遂し、plus aは3戦目に持ち込む。
plus a 1-1 セキボン
plus aとて『黒緑ドルマゲドン』を使ってここまで勝ち上がってきただけの実力がある。慣れない中でも完璧な詰め筋を見せ、有利対面たる所以を見せてくれた。
対するセキボンもプレイの隙を突くのは最早難しく、
Game 3
先攻:セキボン後攻plus aの《フェアリー・ライフ》でゲームスタート。
セキボン3ターン目に《憤怒スル破面ノ裁キ》を引き、4ターン目に備える。
plus aはここで妨害カードを挟んでコンボに備えたいところだが……
プレイされたのは《フェアリー・ライフ》。《悪魔龍 ダークマスターズ》に備えてマナを伸ばすだけとなり……
セキボンが3試合目にして初めて、先にアクションを起こす権利を得る。
4マナ目をチャージしたセキボンはコンボ始動、《転生ノ正裁Z》から《煌メク聖戦 絶十》をサバキZ!
《煌メク聖戦 絶十》効果で置かれたのは…なんと野生の《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》!!
これを《転生ノ正裁Z》とは別の場所に置き、残る1マナで手札から《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》を貼り付ける。
plus aは4マナの妨害を撃てなかった…つまりこのターンも妨害カードがなく、《凶鬼09号 ギャリベータ》で入るしかない。
さあ、《煌メク聖戦 絶十》と《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》2枚を得たセキボン。
相手の妨害も回避し、もう1度大魔術の時間が訪れる。
まずは5マナ目をチャージし、《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》の2軽減を乗せた《剣参ノ裁キ》を2枚使い、《集結ノ正裁Z》と《煌龍 サッヴァーク》を回収。
《集結ノ正裁Z》で《煌世主 サッヴァーク†》《転生ノ正裁Z》を回収し、満を持して《トライガード・チャージャー》!
これのサバキZで《煌メク聖戦 絶十》を2枚召喚、《煌世主 サッヴァーク†》意識で表向きを散らす。
さらに≪音奏ハイオリーダ≫が満を持して降臨。《The ジョラゴン・ガンマスター》を出しつつ…
ついにこのデッキの切り札たる《煌龍 サッヴァーク》が降臨!!
《凶鬼09号 ギャリベータ》を磔にしつつ、このターンまでに展開した合計8打点に除去体制を付与。
《》の封印はまだ1つしか外れておらず、禁断爆発はまだ先。ということは…少なくとも返しのターンまでこの盤面を維持することができる!!
plus aはこれ以上の展開は許すまいと《悪魔龍 ダークマスターズ》で《トライガード・チャージャー》《転生ノ正裁Z》2枚を落とす…が、もはや手遅れ。
セキボンはもはやいらないとばかりに《煌世主 サッヴァーク†》を置いて《憤怒スル破面ノ裁キ》からスタートし…「いっぱい軽減」と宣言しながら大量の紋章を唱えていく。
そして≪音奏 ハイオリーダ≫が大量のGRクリーチャーを引き連れて…実質スピードアタッカー化した《The ジョラゴン・ガンマスター》が追加され、合計9打点。
《オリオティス・ジャッジ》がトリガーするも《煌龍 サッヴァーク》で難なくケア。追い打ちをかけるように《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》を絡めれば………
セキボンが、2年越しの悲願を達成した瞬間が訪れた。
plus a 1-2 セキボン
Winner:セキボン
セキボンにとって全国大会とは、どんなに焦がれても届かない舞台だった。
それを目指す長い旅路の果て、最後に立ちはだかったのは超不利対面という高い壁。
だけれど、旅の中で彼が得たものは壁を乗り越えるには十分すぎた。
2018年度から使い続け、そのポテンシャルを最大まで引き出した『白ゼロサバキZ』。
そして彼だからこそ持ち合わせた…執念にも近い、全国大会への想い。
これで全国大会を目指す彼の物語はいったん終わりを迎える。
物語は1年後の3月…日本一を目指す戦いへ。
そして、今日の物語はもう少しだけ続く。
GP8thもうひとりの王者を目指し…セキボンはフィーチャーテーブルへと向かう。
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