DMGP2022 Day1 決勝Round 3:ばんぱく vs. ぬえろらいと
ライター:秋山 大空
撮影者:後長 京介
事前の予想通り「ガイアッシュ覇道」と「火自然アポロヌス」が多数の予選突破者を輩出する中、最新のデッキやオリジナリティ溢れるデッキもまた、確かな実績と共に存在感を放っていた。
席に着き、相手のデッキを確認したばんぱくは驚いた。
「60枚デッキと初めてやります」
「よく言われます」とぬえろらいと。
ぬえろらいとのデッキ枚数は《13番目の計画》を4枚投入の60枚。
基本は《龍素記号Sr スペルサイクリカ》、《龍風混成 ザーディクリカ》と《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》の呪文側をメインギミックに据えた5cコントロール。
≪ナウ・オア・ネバー≫で《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を出し、《》の呪文側を唱え、≪ナウ・オア・ネバー≫を唱える。
場に出た《龍素記号Sr スペルサイクリカ》からの《ディメンジョン・ゲート》で《次元の嵐 スコーラー》をサーチしG0で召喚。
得たEXターンで《ボルバルザーク・エクス》をサーチし、≪ナウ・オア・ネバー≫、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》、《ボルバルザーク・エクス》のループに持ち込むと言うフィニッシュ方法を採用している。
このカードを大量に引き込むコンボを使うには、40枚では山札の消費が追いつかず60枚にしたとのことだ。
《天災 デドダム》等のデッキの基盤を引きづらくなるデメリットがあるが、合計4枚投入している《ディメンジョン・ゲート》と《五郎丸コミュニケーション》がそれを補う。
更に環境にいるデッキに強い色々なクリーチャーを1枚ずつ投入し、2種類のサーチカードの効用を高めている。
所謂「シルバーバレット」。昨今のデュエル・マスターズではあまり見なくなった戦術だが、デッキの強さは予選全勝と言う戦績が証明している。
一方、ばんぱくが使用するのは「自然単オービーメイカー」。
新弾のカードがメインコンセプトの新しいデッキだが、予選Round中に2回フィーチャーされている注目のデッキタイプだ。
最速3ターンで《十番龍 オービーメイカー Par100》のシビルカウントを達成し、《とこしえの超人》等で相手の反撃を防ぎつつ殴り切る。
「ガイアッシュ覇道」が追いつけない3ターン目に過剰な打点を生成できる代わりに、手札破壊と言う弱点も存在するが、「水闇自然コントロール」が少ない今大会の環境に見事にマッチしていると言えるだろう。
最新弾メインのデッキと、既存のテーマながらも独自のギミックが詰まったデッキ。個性溢れるデッキの対決に、期待は膨らむばかり。
先攻:ぬえろらいと
ばんぱくは1ターン目の《トレジャー・マップ》スタート。少し考えた後、《最強虫 ナゾまる》を手札へ加える。
続くターンで《未来設計図》。メインカード《十番龍 オービーメイカー Par100》を手札へ。
一方ぬえろらいとも《天災 デドダム》でスタート。墓地に《龍風混成 ザーディクリカ》、マナに≪ナウ・オア・ネバー≫を用意する。
後攻3ターン目。《十番龍 オービーメイカー Par100》が登場してもおかしくないターンだが、険しげな表情を見せるばんぱく。
長考の末、ばんぱくが動く。《原始 サンナップ》、《原始 サンナップ》、《とこしえの超人》、《十番龍 オービーメイカー Par100》。
マッハファイターの《十番龍 オービーメイカー Par100》で《天災 デドダム》を攻撃。一気に盤面を整えたが、オービーのシビルカウントは満たせていない。
ここでぬえろらいとは、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》で《十番龍 オービーメイカー Par100》を手札に戻しつつ、《原始 サンナップ》を攻撃。
この手札枚数では、《十番龍 オービーメイカー Par100》の再召喚は難しい。ばんぱくは一旦ターンを終える…かに思われた。 ≪応援妖精エール≫を召喚し、《ソイソイミー》で《パキラキⅡ》をGR召喚。
3体召喚したため残った1マナで《十番龍 オービーメイカー Par100》を再びバトルゾーンに叩きつけ、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を殴り返す。
ターン終了時に手札の儀で《ウォルナⅣ》も追加し、今度こそシビルカウント達成。
一方《十番龍 オービーメイカー Par100》に動じることなく、着々と準備を進めるぬえろらいと。
《ディメンジョン・ゲート》でシールドの内容を確認しつつ《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を回収。《地龍神の魔陣》で手札の質を高める。
そして《イッコダス・ケイジ/種デスティニー》の呪文側で《とこしえの超人》を破壊。
ばんぱくのターン。バトルゾーンには殴り切れるだけの打点が揃っている。
だが、相手は60枚デッキ。墓地には《龍風混成 ザーディクリカ》。≪ナウ・オア・ネバー≫《灰燼と天門の儀式》は勿論、他に何が待っているかわからない。
マナから《最強虫 ナゾまる》2体を召喚しターンエンド。
その間に、ぬえろらいとは更に準備を進める。
《黒豆だんしゃく / 白米男しゃく》の呪文側で《五郎丸コミュニケーション》を回収し即使用。《CRYMAX ジャオウガ》を手札に加えてターン終了。
「自然単オービーメイカー」はメタクリーチャーでの封殺が得意な代わりに、シールドからの防御手段に薄いデッキだ。
《CRYMAX ジャオウガ》がいる以上、あまり時間はかけられない。
ターン開始時にミノまじかるを使用せず、押し切りを試みるばんぱく。
《十番龍 オービーメイカー Par100》でシールドを4枚ブレイクするが、ここは「5cコントロール」の防御性能が活きる時。
シールド・トリガー≪ナウ・オア・ネバー≫、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》。
まずは≪ナウ・オア・ネバー≫で《龍素記号Sr スペルサイクリカ》、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》で≪ナウ・オア・ネバー≫。
効果で《龍風混成 ザーディクリカ》を出し、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》で《十番龍 オービーメイカー Par100》を手札に戻す。
そして《龍風混成 ザーディクリカ》からの≪ナウ・オア・ネバー≫で《青守銀 シルト/解体事変》を出し、手札から1枚をシールドへ。
ばんぱくは気づいた。
「負けましたねこれ」
「なんでシルト入ってるのかな、と思ったけど、これか…」 ≪青守銀 シルト≫の効果でシールドに加えられたのは≪ナウ・オア・ネバー≫。
≪ナウ・オア・ネバー≫で場に出た《龍素記号Sr スペルサイクリカ》が≪ナウ・オア・ネバー≫を唱え、≪青守銀 シルト≫をバトルゾーンに。
《龍素記号Sr スペルサイクリカ》で手札に戻っている≪ナウ・オア・ネバー≫をシールドに追加…と、元の状態に戻る。
シールドをいくらブレイクしても、このループを止めない限り、ぬえろらいとに攻撃は届かない。
《十番龍 オービーメイカー Par100》で防げるのは相手ターンのクリーチャーの能力のみ。
ばんぱくのデッキに、このループを突破する手段は存在しない。
ターンを渡したばんぱくに、《CRYMAX ジャオウガ》が襲い掛かる。
Winner:ぬえろらいと
自身のTwitterにてデッキ紹介と共に、とある漫画の1コマを引用したぬえろらいと。
「どんな仕込みをされていようがその上を行って、最後は俺が勝つんだよ」
そんな、ぬえろらいとの意志を体現するような「シルバーバレット」が火を噴いた瞬間だった。
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