デュエル・マスターズ

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DMGP2022 :主催者インタビュー

ライター:川﨑 大輔
撮影者:瀬尾 亜沙子

 約3年ぶりとなったDMGP2022。

 ここでは、DMGP2022の主催であるホビーステーションを代表してイベント担当者でもある上森 秀之氏にデュエマの大型イベントを主催することになったキッカケや、ついに開催できる大型イベントであるDMGP2022への思いを聞いてみた。

デュエル・マスターズとの出会い

川﨑 「初めまして、よろしくお願いいたします。最初の質問なのですが、今回のDMGP2022はホビーステーションさん主催のDMGPとしては、2nd、4th、7th、8thに続いて5回目……8thと今回は2日間なので実質的には6回目と7回目の主催ということであってますか?」

上森 「はい、あってます」

川﨑 「DMGP初期から長く主催をしていただいているホビーステーションさんですが……上森さんは2ndの時から担当をされているのですか?」

上森 「はい……というか、実はわたくし、デュエル・マスターズを取り扱い始める時から担当させていただいてまして、実は第一弾からデュエマに関わらせていただいているんですよ」

川﨑 「それはすごいですね。僕、実は極神編頃からの関りなので大先輩ですね。デュエマも、いつまで引っ張ってるんだって話ですが20周年を迎えた長いコンテンツとなりましたが、その間、色々と苦労はあったかと思います」

上森 「そうですねぇ。色々ありましたし、当初から関わっているという人も減ってきてしまいましたね。長いといえば、最近では親子二世代でのお客様も増えてきましたね」

川﨑 「ホビーステーションさんは広くて明るい店舗も多いですし、親子でも安心してデュエマができる、っていうのはありそうですね。ちょっとDMGPの話から脱線してしまう興味本位な質問なのですが、最初にデュエマを取り扱うってなった時の印象とか教えていただけますか?」

上森 「わたくし、元々はマジック:ザ・ギャザリングをやっていたんですが、やはり第一印象は『シンプルで物足りないんじゃないかな?』と思ったんですが、実際に触ってみたら、これはよく考えられてるな、練りこまれてるぞ!と感じましたね。マジックよりはマイルドにはなっているんですが、全然違うエキサイティングなゲームだぞと」

川﨑 「特にそう感じた要素はなんでしたか?」

上森 「シールド・トリガーは画期的だぞ、と思いました。盤面のスリルというか、ワクワク感がすごいと感じました」

川﨑 「ゲーム開始時に確定しているのに、いざその時になるまでわからない要素がゲームを決めますからね」

上森 「はい。しかも、外れても『はい、ハズレでーす』ってなるだけじゃなくて、手札に入ってアドバンテージになるっていうのもよかったですね」

川﨑 「実際、コロコロで発表された時から『いけるぞ』って感じられたんですか?」

上森 「そうですね。いけるぞと感じてましたし、実際に遊んでみて確信になりましたね。最初、相手のターンに何もできないって言うのは物足りなさにつながるんじゃないかなと思っていたんですが、やってみると、これはそういうゲームじゃなくて……ある種プロレス的というんですか、自分のターンに自分の全力をぶつけて、お互いの全力を出し合うゲームなんだって気が付きました」

川﨑 「言ってみれば『オレはこんだけの状況作ったけど、お前どうすんの?』みたいな感じですもんね」

上森 「で、相手が返して来たら『やるじゃん、でもこっちはまだこれだけできるけどね』っていう、お互いの全力のぶつかり合いっていうのが非常に面白いよくできたゲームだなと感じました」

DMGP2ndの思い出「一日を楽しめるイベントにしなければ」

川﨑 「というわけで、最初から関わっていらっしゃる上森さんですけど、第一弾から時が過ぎて、大体6年前に最初に主催となるDMGP2ndがあったわけですが、最初にDMGPの主催をやろう!ってなったキッカケってなんだったんですか?」

上森 「うーん、デュエル・マスターズって基本的に小学生の時にコロコロがきっかけで入ってくると思うんですけど、中学生や高校生になった時にやめてしまう人は多いと思うんですね。で、大人になってから戻ってくる人は結構いるんですが、その時、周りが子どもばかりだと年齢差があって楽しみ切れないだろうとは思って、『これは大人も続けていいゲームなんだよ』って言う事を伝えたかったのと、『一番を目指す』という目標を与えたかったというのが大きいですね」

川﨑 「先ほどの話にもありましたけど、デュエマは子供向けにマイルドに作られたゲームってだけではなくて、独自の面白さを持った遊び続けるに値するゲームであるってことが伝えたかったってことですか?」

上森 「そうですね。その気持ちはありました。その上で、やっぱり、大人が遊び続けるためにはなんか目標があった方が遊びやすいとは思うので、その中のひとつとして『一番を目指す』っていうものを色々な遊び方のひとつとして提案したかったんですよね」

川﨑 「あくまでも様々な選択肢のひとつとして、ってことですね」

上森 「はい。よく誤解されますけど、別にデュエル・マスターズの遊び方って別に競技を頂点としたピラミッドっていうわけではなくて、バブルのように色々な価値観の楽しみ方があるものだと思います。その中で真剣勝負をしたい、っていう人には『一番になる』っていう目標を提供してあげたかったってだけですね」

川﨑 「今回のサイドイベントでもデュエパーティが採用されていますし、様々な遊び方をできる人がでてくるというのは大事ですよね。さて、実際のDMGP2ndの会場での思い出とかはありますか?」

上森 「一番印象に残ってるのは、ユーザーが無茶苦茶緊張していたってことですね。受付の時からみんな程よい緊張感……ってレベルじゃないくらいガチガチになっていて、もっと一日を楽しんでもらわなければな、と感じたのを覚えています」

川﨑 「当時は公式の競技イベントにまだユーザーがなれていない時期でしたからね」

上森 「それは物販をやっている時に一番感じました。みんなもう買い物どころじゃない、俺たちは遊びじゃないんだ、真剣なんだ、みたいな空気がすごくて……ちょっと競技に寄せすぎてしまったのかもしれません。そこで、もっとみんなが楽しめるものをと考えて4th以降はサイドイベントなどをもっと充実させようと色々と企画させて頂いたりしました」

DMGP8thの思い出「閉じた世界にしたくなかった」

川﨑 「さて、この調子で4thや7thのエピソードもドンドン聞いてみたい気持ちはすごくあるのですが、それはまた別の機会に聞かせていただくことにして、一旦、今回のDMGP2022と同じく二日間開催だったDMGP8thについて少し質問させていただいていいですか?そもそも、まず、なんで二日間やろう!ってことになったんですか?」

上森 「まずひとつに、単純に一日だけだと増え続けているユーザーの需要に追い付けなくて参加できないユーザーが出てきてしまっていたということ、そしてふたつめは、当時フォーマットが増えていたのでそれに対応していきたいと考えたからですね」

川﨑 「DMGPの参加者、どんどん増え続けてましたもんね」

上森 「そうなんですよ。そうやって出たくでも出れない、っていう人が増えていってしまうと、競技イベントってものが閉ざされた空間みたいになっていく気がして……それが嫌だったんですよね。まぁ、今も対応しきれているとは言い切れないんですが……ただ、とにかく『一位になること』自体は狭き門だよ、だからこそ価値があるんだよっていうのがやりたいのに、参加すること自体、その門に挑戦することすらも大変だよって言われてしまうのはやっぱつらいなと思ってまして」

川﨑 「実際、DMGP自体は競技イベントであると同時にデュエマ好きのためのお祭りの側面もありますもんね」

上森 「競技に興味があるわけじゃないけど、お祭りに参加してみたいっていう人が参加することすらできない、ってなったら本当に競技をガチガチでやりたい人だけになっちゃいますから……本当はデュエマ好きが集まれるイベントでもあるわけで」

川﨑 「というわけで、フォーマットが増えているのも踏まえて2ブロックと殿堂ルールの二日間開催となったわけですけど……実際の所どうでした、やってみて。大変でした?」

上森 「大変でした、ねぇ(笑)」

川﨑 「僕もカバレージ担当でいましたが、まぁ、大変でしたね(笑)」

上森 「ただ、大変だったと言っても、運営的には1日目が終わった後にすぐに2日目に改善点を活かせたり、メンバーも慣れてたりというノウハウの蓄積もできるので単純にDMGPを2回やるよりは多少は楽だっていう部分もありましたね」

川﨑 「2日間であるメリットももちろんあったということですね」

上森 「とはいっても、当然、大変ではあったですよ、特に体力面が。二日目なんて体力ゲージが70%みたいな所からスタートですからね」

川﨑 「DMGP8thは大成功のイベントだったとは思いますし、今はいい思い出になってますけど、当時の現場はみんな体力の限界を迎えてましたよね」

DMGP2022企画始動「熱量を受け止めなければ」

川﨑 「さて、そんな中でDMGP2022の話に移っていくのですが。えっと、なんでDMGP2022をやろうと思ったんですか、いや、これ質問おかしいですね、やりたかったのはみんなやりたかったとは思うので。踏まえてのDMGP2022実現に向けての思い、みたいなことを聞かせていただけますか?」

上森 「やはりこの3年間イベントをやりたいという気持ちと、この状況下で参加者が不安にならずに参加できるイベントにできるのだろうかっていう葛藤はずっとありました。何度かグランプリをやろうという企画が立ち上がってはやはり無理だろうという事が繰り返されていたんですよね。その間、ずっと準備は続けていたので、ここで2022年だからいきなりやろう!ってなったわけではなく、ずっとやろうと思っていたのが、やっと実現できたって感じです」

川﨑 「悲願の開催ですよね」

上森 「2021年にも開催しようと企画はしていたのですがやはり無理で……その悔しさを今回ぶつけた形になりますね」

川﨑 「実際、デュエマも少し厳しい時期もあったとは思うんですが、やはりその中で盛り上げるためにイベントが必要だと」

上森 「そもそも超次元ゾーンが出た時に離れたちゃった人とかもいたんですが、その辺の人たちが王来篇などで戻ってきている手ごたえはあって、そんな中で人と人とが実際にあってコミュニケーションする場所を改めて復活させたい、デュエマで人と人とが繋がる場所を作りたいという気持ちは大きかったです」

川﨑 「それはもう、デュエマに限らず、TCG全体の話として、ですよね、もはや。そんな気持ちを2020年から抱き続けていたと。で、やっとできるから、もう、いっそ二日間やってしまおうとなったわけですね」

上森 「はい。やっぱ、とにかく参加者が多すぎるのはわかっていたので、これは二日間やらないと対応できないなと」

川﨑 「というか、冷静に考えると3800人を二日間って相当おかしい数字ですよね。最初に企画聞いた時に『え?マジかよ、やべぇな』って思いましたからね、僕。DMGPの歴史だけじゃなくて他のTCGまでみてもそうそう見る数字じゃないですよね」

上森 「そうですね(笑)。DMGP8thの時は3500人前後の人数でやらせていただいていたんですが、今回、それよりも増やすか、それとも感染対策などを考えて減らすかは非常に難しい所でした。ただ、やはり3年ぶりのグランプリということで、減らしてしまったらイベントを待っていたユーザーの熱量に対応しきれないだろうと、そして待っていた気持ちはわたくしたちも同じなので、その熱量は受け止めなければ、と考えて今回、3800人で感染対策も可能な会場を確保して開催することになりました。それでも熱量を受け止めきれなかったのは申し訳なくはあるんですが」

川﨑 「そうやって迎えたこのDMGP2022、今、開催されての率直な思いを聞かせていただけますか?」

上森 「やっぱり……3800人がこうやって楽しんでいるのをみると……月並みな言葉ですが感無量ですね。『戻ってきたな』と」

川﨑 「第一回戦がはじまった瞬間すごかったですもんね」

上森 「あのじゃんけんの大合唱とカードの触れ合う音を聞くと、もちろんまだ日常は大変ではありますが、それでも少なくとも大会は戻ってきたんだって実感しました」


DMGP2022について「熱量の高さを見誤った」

川﨑 「さて、今日は二日目なんですが、初日を終えてみて大変だったなって事はありますか?」

上森 「やっぱ、わたくしたちとしましても運営自体が3年ぶりだったんですが、なんていうんですかね、やっぱブランクは感じましたね」

川﨑 「超CSの時にジャッジマネージャーの中島さんに聞いた時にも出てきた話題だったんですが、なんというかちゃんとマニュアルを作っていたつもりでも実は結構現場の空気感に頼っていたのに気が付いたって感じの話ですかね」

上森 「そうですねー。その『こういうものだよね』っていう共通認識がイベント運営であったはずなんですが、時間が空いたのとスタッフの入れ替わりなどもあってそこらへんが薄れていたなってのいうのは感じました」

川﨑 「よくもわるくも熟練に頼っていたというか」

上森 「マニュアルの言語化と共通認識が薄れていたのは感じましたね……『何を誰がどこまで』っていう部分が結構阿吽の呼吸だったというか、その感覚を取り戻すのに時間はかかりましたね」

川﨑 「マニュアルを言語化するキッカケになったっていうのはあるかもしれませんね。実際に初日で印象に残った出来事はありますか?」

上森 「入り口で感染対策としての検温や消毒、あと本人確認に時間をかけすぎてしまって開始が30分遅れてしまったというのはありましたね。そこは昨日の時点で修正して今日はオンタイムで開始できました」

川﨑 「なんならもうスケジュールより少し早いですからね、今の時点(Round3開始時)では」

上森 「あとは、やはりGPチケットの早期完売ですね。これについては予想より明らかに早い時間に売り切れてしまって参加者の皆さんの期待に応えられなかったのについては大変申し訳なく思っています」

川﨑 「商品が売り切れたって話でしたが……」

上森 「実際、DMGP8thでの販売量より多くの商品を用意して来てはいたのですが……ユーザーの皆さんの『久々の大会だ!』という熱量を見誤ってしまっていたというか……そういう熱意に応えられなかったのは本当に申し訳なくて……」

川﨑 「予想以上の熱量だったと」

上森 「そうですね。ただ、正直少し中途半端な判断をしてしまっていましたね。サイドイベントが参加者限定のものだっていうのもあったんですけど、サイドイベントをやるって決めた以上は、もっとガッツリ商品を用意するという判断も……今から思えばするべきだったなと」

川﨑 「あと、参加者が増えているっていう事は早い段階でドロップする人も増えるっていうことですからね」

上森 「そうですね、それも影響が大きかったです」

川﨑 「実際の所、GPチケットが手に入らなくてイベントに参加できない人はいましたが、サイドイベント自体は予定の数行われていたんですか?」

上森 「はい。それは間違いないです。昨日も購入制限があって、今日はさらに購入制限を厳しくはして参加できる人数をできるだけ増やせるようにはしたんですが、そうすると今度はひとりが参加できる回数は減ってしまうのでポイントが溜められなくなってしまうっていう別の問題もあるんですよね」

川﨑 「そうなるとサイドイベント全体の構造の問題にはなりますね」

上森 「せっかく久々のイベントを楽しむぞ!一日楽しむぞ!という気持ちで来て下さった参加者の皆さんの熱意の高さを見誤った、応えられなかったのは重ね重ね申し訳ないと思っています。ここは次回以降でさらに改善して、参加者が一日楽しみ続けられるイベントを目指していきたいです」

さいごに

川﨑 「貴重なお話をありがとうございました。最後に、まとめといいますか、デュエマのイベントへの思いで締めさせていただけますか」

上森 「最初の話に戻ってしまいますが、とにかく人と人をつなげるコミュニケーションのツールだとカードゲームは思っていますので、デュエマと関わって20年ですが、60歳になっても、このコンテンツに触れていたいと思っています」

川﨑 「そして、この場を提供し続けたいと」

上森 「はい。皆さんが楽しめるイベントを作り続け、より楽しめるようにし続けていきたいです」

川﨑 「本日はありがとうございました」
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