デュエル・マスターズ

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DMGP2022 day2 Round 1:アイタ vs. らぴさー

ライター:高橋 穂
撮影者:後長 京介

 アドバンスの熱戦が明けて一夜。ここ東京ビッグサイトには、再び数多のプレイヤーが集っていた。

 昨日勝った者も負けた者も、昨日と違うフォーマット、違うデッキ、違うテーブルで新たな戦いを繰り広げることになる。

 ……ただ一人を除いて。

 フィーチャー席の≪卍月 ガ・リュザーク 卍≫側に座るのは、昨日まさにこの場所・この席で栄冠を手にした「今この会場で最も強いプレイヤー」ことアイタ

 激戦の果てに手にした昨夜の栄光のみに飽き足らず、「チームで作り上げた自信作の逸品」たるデッキを手に、両フォーマットでの連覇という前代未聞の夢をめがけてふたたび勝負に臨む。

 そんな「流れ」に乗っている彼の前に立ちはだかるのは、らぴさー

 綿密な環境の分析に合わせて独自のチューンナップを施したデッキで、ジャイアントキリングを果たさんとする。

 昨日から続く「流れ」は今日も続くのか、それともここで止められるのか。

 チアリのコールとともに、今日最初の勝負が幕を開けた。

先攻:アイタ

 じゃんけんでも流れに乗ったアイタ。

 じっくり手札を眺めてから行われたこの日最初の彼のチャージは、《十番龍 オービーメイカー Par100》
 彼が駆るのは、【自然単オービーメイカー】。マナ操作と展開力に長けたスノーフェアリーを基盤に、「伝説の邪神」にて登場した最上級フィニッシャーの《十番龍 オービーメイカー Par100》の高速展開による爆発力を加えた新進気鋭のコンボ・ビートデッキだ。

 新セットで登場して早々結果を残しているこのデッキだが、その押し付け性能とロックの威力は本物。「チーム内で共有した」というアイタたちだけでなく、会場内でも相当数の強豪プレイヤーが隠し玉として持ち込んでいるようだ。

 自己紹介を済ませたところで、《トレジャー・マップ》で必勝パターンのカギとなる《》を手札に加えてターンを返す。

 順調に見える王者アイタのムーブに対して、らぴさーは《王来英雄 モモキングRX》をチャージし、デッキを完全に絞らせないままターンを終える。
 そして、次のターンに引いたカードを見てアイタは長考。《十番龍 オービーメイカー Par100》を1マナで召喚するためには自身含め合計4枚の手札が必要になる都合上、次のドローも勘案して理想的な手札を維持し続ける必要がある。

 悩んだ末にチャージされたのは、先ほど手札に加えた《》。パターン成立からは一歩遠ざかった形となった。

 そして返しのターンのらぴさーのチャージが、さらにアイタを悩ませることになる。《革命の絆》だ。  そう、らぴさーのデッキは爆発力に定評のある【火自然ボルシャック】に光文明を足して革命0トリガーによるカウンター性能やロック効果などを増した【火自然タッチ光ボルシャック】というべきもの。

 シビルカウントによる《十番龍 オービーメイカー Par100》のロックは相手ターンにしかかからない都合上、革命0トリガーによる防御(と、進化元の登場時効果)は止めようがない。

 さらに、すでに見えている《王来英雄 モモキングRX》のシンカパワーを踏んだ《ボルシャック・ドギラゴン》による連続攻撃は、シビルカウントの頭数となるフェアリーたちを逆用してダイレクトアタックまでねじ込めてしまうのだ。
 何度も手札と盤面を指差してゲームプランを組み立てるらぴさー。納得したように頷くとターンを返す。

 だが、今日のアイタの元には「流れ」がついている。

 《十番龍 オービーメイカー Par100》をチャージして召喚された《雪精 ジャーベル》が引き寄せたのは、先ほど見送ったはずの《》!再び手札にキーパーツがやってきた形となった。

 1ターンの猶予の内に《ボルシャック・栄光・ルピア》でマナを伸ばすらぴさーに対して、アイタはついに動き出す。すなわち。

 ≪応援妖精エール≫×2→《雪精 ジャーベル》《雪精 ジャーベル》を手札に加える)→1コストでの《十番龍 オービーメイカー Par100》
 シビルカウント5を達成してロック体制を整えたこの巨大なドラゴンが、まずはマッハファイターで《ボルシャック・栄光・ルピア》を葬り去る。

 こうして盤面が固まれば、勝負は「らぴさーはいかに手札に革命ゼロトリガーを溜め込んだうえでラッシュを叩き込めるか」「アイタはその前に革命ゼロトリガーの防御を突破できる過剰打点を溜めて走り出せるか」にかかってくる。

 お互いの勝利条件が見えてきたところで、手札が防御手段になりうるらぴさーは不気味にドローゴー。これに対して、アイタも手札を確認すると何も召喚せずにターンを返す。

 じりじりとお互いの間合いを測るような1ターンの空白を挟んでらぴさーが繰り出したのは、《ボルシャック・秘伝・ドラゴン》《雪精 ジャーベル》1体をマッハファイターで落としつつブーストからの回収で《革命の絆》を確保する、一挙両得の好プレーだ。
 《十番龍 オービーメイカー Par100》のシビルカウントを切らすわけにはいかないアイタは、すぐさま次なる《雪精 ジャーベル》を繰り出してふたたびロック体制に突入しつつ《恋愛妖精アジサイ》を手札に加える。
 置きドローたる彼女が次のターンに登場すれば、今の「我慢比べ」によるリソース勝負はおおむねアイタが制することになるだろう。

 ならばとらぴさーが繰り出したのは、次のターンにゲームを終わらせうる《王来英雄 モモキングRX》

 登場時の自動進化効果こそシビルカウントで封じられているものの、【緑単オービーメイカー】にてアンタップ状態のこのカードを除去する手段は(持っていても状況的にまず出せないであろう)《十番龍 オービーメイカー Par100》のマッハファイターくらいしか存在しない。

 そしてその《十番龍 オービーメイカー Par100》はすでに3枚見えているばかりか、もし引いていたとしても手札枚数や≪応援妖精エール≫をすでに消費している関係でほぼ出ない。

 もちろん、ターンを返して前述の《ボルシャック・ドギラゴン》とのコンボに繋がれば【自然単オービーメイカー】の受けの薄さもあってゲームは即座に終わってしまうことだろう。らぴさーが脅威を繰り出すタイミングとしては、まさに完璧だった。


 明確なタイムリミットと、革命0トリガーによる逆転予告を同時に突き付けられたアイタ。だが、盤面には見かけ上の致死打点は揃っている。それならば、攻めるしかない。

 《恋愛妖精アジサイ》《武家類武士目 ステージュラ》を召喚してリソース勝負の継続を図った上で、大量の手札を抱えて鉄壁の要塞と化したらぴさーめがけてついに攻撃を開始する!

 ≪応援妖精エール≫で1枚ブレイク、《十番龍 オービーメイカー Par100》で4枚ブレイクした時点で、残るアタッカーは3体。

 《雪精 ジャーベル》のダイレクトアタック宣言時にらぴさーが予定調和的に宣言したのは、2枚の《革命の絆》の革命0トリガー。

 2枚のブロックに加えて、何らかの防御系登場時効果が使えれば完全に止められる目算のもと、山札の上がめくられる。
 『もう、ここまで来たら、リスクでもプレイでもない。ただの運だけのゲームだ。
ただし、その運だけのゲームに参加する資格があるのは、適切なプレイをして、リスクを背負ったプレイヤーだけだ。』

 「デュエキングパック」版の《メンデルスゾーン》のフレーバーテキスト、そしてその元となったDP2ndの準決勝の通りに。「流れ」が、適切なプレイとリスクを背負ったらぴさーを呑み込んだ。

Winner:アイタ


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