DMGP2023-2nd Round 1:おんそく vs. 寝豆腐
ライター:高橋 穂(北白河)
撮影者:後長 京介
その原因となるのは、多数のプレイヤーたちによる熱気と、異様を放つ巨大な櫓。
この櫓の正体は、ステージにしてフィーチャー席。 いつもと段違いの特別感を持つ決戦の地にて、最初に戦う二人の反応は分かれていた。
にこやかに櫓の端から手を振りファンサービスを行うのは、GP8thの覇者にしてYoutubeでもおなじみのデュエマ界のアイドル(?)ことおんそく。
ステージ上は慣れたものなのか、一発目からのフィーチャーマッチにも気負いは感じられない。
対してまさかまさかという表情を見せるのが、その対戦相手となる寝豆腐。
寝豆腐「大学の試験より緊張する……!」
突然の大舞台にかなり緊張しているようだが、それでも気合は十分。お互いのデッキをシャッフルするうちに、対戦前特有の静かに張り詰めた雰囲気を纏い始める。 王者がその強さを見せつけるのか、はたまた開幕からジャイアントキリングがなされるのか。 もはやおなじみとなったチアリのコールとともに、本日最初の大勝負が幕を開けた。
先攻:おんそく
記念すべきGPの最初の一枚……の前に、初手を眺めて「ちょっと考えます」と熟考するおんそく。ややあってマナに置かれたのは、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》。
現代デュエマの象徴と言えるパワーカードでデッキを絞らせないおんそくに対し、寝豆腐のチャージは《堕呪 ボックドゥ》。【水魔導具】系列のデッキであるという、これ以上ない自己紹介だ。
これを受け、おんそくは《一王二命三眼槍》をチャージ。カラーリングとしては【4c邪王門】か【闇ガイアッシュ覇道】が想起されるが、それでもなおその正体をどちらか悟らせない。
そしてこのゲームのファーストムーブとなったのは返しのターンの寝豆腐の《堕呪 バレッドゥ》!理想となる《卍 新世壊 卍》でこそないものの、《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》を捨てて着実に手札を整える構えを取る。
寝豆腐の動きを尻目に《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》を埋めて《コダマダンス・チャージャー》で手札を維持しつつマナを着実に伸ばすおんそく。シールド以上の受けとなる《百鬼の邪王門》の存在を言外にちらつかせ、【4c邪王門】である可能性が高まる。
ここでなんとか《卍 新世壊 卍》を張りたい寝豆腐だが、どうやらまだ山札に眠っている様子。《堕呪 バレッドゥ》で探しに行くも、引いた2枚のカードを見て苦笑い。またも《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》を捨て、さらに《堕呪 ゾメンザン》を空打ちして「素直に墓地を稼いで正攻法で《「無月」の頂 $スザーク$》の無月の門・絶を開く」ルートを進める。
だが、ここでおんそくのチャージが寝豆腐を混乱させる。すなわち、《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》! 先ほど垣間見えた【4c邪王門】ではなく【闇ガイアッシュ覇道】を代表するカードの登場に、寝豆腐もやや不思議そうな顔。ここにきて、またデッキが絞れなくなってしまった。
《終末王秘伝オリジナルフィナーレ》でさらにリソースを拡充してターンを返すと、悩まされるのが寝豆腐。
手札枚数や墓地の確認も挟みつつまずは《月下旋壊 ド・リュミーズ》で手札を回転させると、遅れてやってきたであろう《卍 新世壊 卍》が姿を現す。
十分な墓地もあり、無月の門・絶と無月の門99の二面作戦で攻めて行けそう…と考えたか、《堕呪 ゴンパドゥ》で手札を整えつつ《卍 新世壊 卍》のカウントを進める。
そしてターン終了時。すでに溜まった墓地の魔導具6枚により無月の門・絶が開き、《「無月」の頂 $スザーク$》が顕現。ハンデスとそれにより誘発するドローで、おんそくの返しのターンの動きに圧をかけていく! だが。「ターン終了時」を待っていたのは、《「無月」の頂 $スザーク$》だけではなかった。
おんそくの手から飛び出した(《月下旋壊 ド・リュミーズ》以来出番を待ち構えていた)《流星のガイアッシュ・カイザー》に、寝豆腐の表情が変わる! そう。おんそくのデッキは【4c邪王門】でも【闇ガイアッシュ覇道】でもなく、そのどちらでもあるハイブリッドデッキだったのだ。まさかのチューンをこの大舞台で持ち込む胆力は、日頃の鍛錬とアイドル活動(?)で培った賜物か。
十分なマナ・手札と《流星のガイアッシュ・カイザー》が揃えば、もはややることは一つ。
デッキの種明かしをするかのように《百鬼の邪王門》をチャージすると、出てくるのは2体目の《流星のガイアッシュ・カイザー》と、B・A・Dで1マナまで軽減された《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》!
《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》のブレイクで《堕呪 エアヴォ》がトリガーし、元からいた《流星のガイアッシュ・カイザー》が手札に戻るも、B・A・Dの自壊により無事に追加ターンが確定する。 潤沢な手札・マナとフリーのターンを手に入れたおんそくだが、マナを整理しつつ手札を何度も確認する動きを見るに「あとは詰めるだけ」というほど楽観的な状態ではない様子。
何としてでもさらなるフィニッシャーを探していきたいが、こちらが何か動いて墓地が増えると《「無月」の頂 $スザーク$》が寝豆腐にもドローを与えてしまうのは苦しいところだ。
それでも。まず、《天災 デドダム》。そして、2枚目の《天災 デドダム》。選択のたびに悩みながら、残ったマナから出てきたのは……
《コダマダンス・チャージャー》。フィニッシャーには辿り着けず、目の前に迫っていた勝利はおんそくの手からすり抜けることとなった。 こうなると、おんそくのデッキの多くを見た上で《「無月」の頂 $スザーク$》がもたらしたドローのある寝豆腐が有利となる。
しっかり墓地を確認しつつ《堕呪 バレッドゥ》《堕呪 ゴンパドゥ》と手を進めると、先ほどの《堕呪 エアヴォ》も含めて《卍 新世壊 卍》の無月の門99のスタンバイが完了。
ターン終了時にそこから放たれるのは、もちろん《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》。追加ターンと《「無月」の頂 $スザーク$》3体、そして《ガル・ラガンザーク》という途方もないリターンがもたらされる。
乱れ飛ぶ除去とハンデス、そしてそのたびに4体の《「無月」の頂 $スザーク$》がもたらす大量のドローにより、あれほど寝豆腐に混乱をもたらした不確定要素はいつの間にかかき消えていた。 先ほどおんそくにチャンスをもたらした追加ターンが寝豆腐に渡れば、あとは答え合わせ。
限界まで行われたドローで手に入れた≪堕呪 ブラッドゥ≫の墓地リセットと≪「本日のラッキーナンバー!」≫「6」宣言というバックアップの元、《「無月」の頂 $スザーク$》質の攻撃で最後の不確定要素たるおんそくの3枚のシールドが吹き飛ぶ。
応手は……ない!
こうして、決着という形で全ての情報が確定することとなった。
Winner:寝豆腐
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