デュエル・マスターズ

メニュー
商品情報

DMGP2023-1st Day1(アドバンス) Round 5:Garabon vs. げんにい

ライター:林 直幸(イヌ科)
撮影者:瀬尾 亜沙子


 ~その火は小さくとも、燃え続ける~
 
 大昔、デュエル・マスターズが北米に商品を展開していた時期があった。
 英語版の発売に続いて、さらには「Kaijudo」と名前を変えて再リリースされるなど様々な施策が講じられたが、外国語版のデュエマは2014年に展開が終了してしまった。※GoA編からは、日本語版の商品が一部の国で流通を開始した。

 この歴史を見るに、かつての海外でデュエマは流行らず、廃れていった。
 私を含め、誰もがそう思っていただろう。

 だが、プレイヤーに1度点いた火が完全に消え去ることはなかった。
 誰かが薪をくべ続ける限り、その火は小さくとも、燃え続ける。


 目の前には文字通り青い目をした青年。
 私は恐る恐る、まず一言問いかけてみた。

「……日本語どれくらいできます?」

「……ちょっとだけ」

 Garabon
 少年時代、アメリカで開かれたデュエマの全国トーナメントで7位に入賞。生粋のアメリカ人だ。
 そんな彼は1年前、英語教師としてはるばる日本にやってきた。日本語はまだ練習中。

「海外プレイヤーが集まるDiscordサーバーがあります。練習はそこでしていました」

 彼の練習方法。それは海を越えた、海外プレイヤーとのリモートデュエマ。
 彼が話すDiscordサーバーを見せてもらった。なんと様々な国籍のプレイヤーが1000人以上もいるではないか!
 デュエマの歴史や対戦動画をメインコンテンツとした海外向けのYouTubeチャンネルも運営している。
 彼がいなければ日本国外でデュエマの名を聞く機会は減っていたかもしれないと思わされるほど、まさに海外コミュニティの発展に尽力している第一人者ともいえるだろう。

 そのコミュニティ内で日本に住むのは彼ともう1人いるが、GPにはGarabonのみが参戦。
 まさに海外コミュニティを背負って、ここまで3勝1敗とまずまずの成績を挙げている。

 相対するげんにいと笑顔で握手を交わし、和やかな雰囲気の中ゲームがスタートした。

※撮影時のみマスクを外しています。 先攻:Garabon

「全部上から揃ってしまった。運がよかったですね」

 圧倒的なワンサイドゲーム。
 この試合を一言で表すならば、その言葉以外当てはまらないような試合だった。

《地龍神の魔陣》でゲームが始まる。ここではマナ加速ではなく、手札を補充。
 おそらく補充したであろう《天災 デドダム》をプレイ。
 その間、相対する【水闇自然コントロール】は何もプレイできず、淡々とチャージエンドを繰り返すのみ。

 そして、5枚目のマナがアンタップイン。
【5cコントロール】の捻る5マナは、時として全てを奪い去る。
《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》の呪文側から《龍風混成 ザーディクリカ》、放たれるは《ロスト・Re:ソウル》!!
 何もできない相手に叩きつけられた必殺の「ネバーザーディロスト」。この一撃で、ゲームの趨勢は決まってしまった。

 そこからはあまりにも一方的だった。
《ブレイン・スラッシュ》《龍風混成 ザーディクリカ》が追加、もう1度《ブレイン・スラッシュ》を撃ち3体目まで展開。
 それが《灰燼と天門の儀式》を唱え、《CRYMAX ジャオウガ》までもが戦場に降り立つ。

 すぐには倒さない。続くターン、《龍風混成 ザーディクリカ》の召喚酔いが解け、万が一の逆転も許さない《メガ・マナロック・ドラゴン》
《龍風混成 ザーディクリカ》攻撃時《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》を合図に、大型クリーチャーたちが一気呵成に畳みかける。
 この総攻撃を受ける術は、【水闇自然コントロール】には存在しない。結局カード1枚をプレイすることすら叶わなかった。

 《13番目の計画》によってデッキが5枚増やされた、アドバンス仕様の【5cコントロール】が圧勝を収めた。
 最後に立っていたのは……げんにいだった。 WINNER:げんにい

「自然マナを引けなくて《キャディ・ビートル》を出せなかった…」と悔しそうに語るGarabon
 仕方なくマナに置くしかなかった《キャディ・ビートル》を出せていれば早出し《龍風混成 ザーディクリカ》を止められていただけあって、一方的に見えて勝負は紙一重。

 決着は豪快、しかし仕掛けるターンまでのギリギリの読み合い。
 デュエル・マスターズの面白さは、海の向こうにまで伝わっている。

 そこから冒頭に戻り、彼へのインタビューを一通り終えたあと。
 ひとつ、大事なことを聞き逃していた。

「あなたにとって、デュエマを続ける理由はなんですか?」

 当然の疑問だ。現代に様々な娯楽がある中、わざわざ自国でマイナーな趣味であるデュエマを選ぶ理由は少ない。
 しばらく考え、彼はこんな言葉を私にくれた。

「I still play Duel Masters because I love competing in tournaments and I have a lot of good memories playing Duel Masters when I was young!(競技シーンで戦うことが好きだし、幼い頃にデュエマをプレイした思い出がいっぱい詰まっている。だからデュエマを続けているんだ)」

 大昔、デュエル・マスターズによって幼いGarabonの心に灯った火。
 そこにくべられる薪は、まだまだ途切れそうにない。

PAGE TOP

TM and © 2024, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY