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DMGP2024-1st Day1(アドバンス) 3位決定戦:dotto vs. みみみ

ライター:山口 海斗(ジャイロ)
撮影:後長 京介

 「全国大会の出場権利がかかっている」という点では、決勝戦以上に3位決定戦は重たい。dottoみみみも、直近の全国大会2023に出場しているのだからその思いはなおさらだ。全国の舞台に立ったことのある者達にとって、今年も全国に行ける権利はどれほど魅力だろうか。

 直前の準決勝戦、惜しくも試験管の【闇自然アビス】を突破できなかったdottoはすぐに配信卓へと案内された。目に見えて憔悴していることが判る。それでも彼は勝利を描き、手を進める。

 もう一つの準決勝戦、みみみあーるん。の【水火マジック】に貫かれ3位決定戦にいた。想定していた有利な相手、《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》が引けていれば、《煌世主ノ正裁Z》でも良かった、《ファイナル・ストップ》さえ唱えられ無ければ。彼の後悔はどれほどのものだろうか。

 ゆっくりとお互いのデッキをシャッフルし、対戦の準備が整った。この時間、会場である幕張メッセは2人だけのもの。予選順位が上位のdottoの先攻にて3位決定戦は幕を開けた。


Game:1

先攻:dotto  《ハニー=マーガニー / 「こっちは甘いぞー」》の下面で手札・墓地を整えるdotto《正義ノ裁キ》を唱え手札・シールドを整えるみみみdottoは先ほど回収した《天災 デドダム》は使わず、《配球の超人 / 記録的剛球》の下面や2枚目の≪「こっちは甘いぞー」≫でなおも山札を掘り進める。みみみ《憤怒スル破面ノ裁キ》を唱え、ベストではないにせよ【サバキZ】の動きをする準備は完了だ。

 先に勝負を仕掛けたのはみみみ《トライガード・チャージャー》《正義ノ裁キ》《憤怒スル破面ノ裁キ》を重ねたシールドを手札に加え展開を始める。ここからが【サバキZ】の真骨頂。
 《煌メク聖戦 絶十》《集結ノ正裁Z》をサバキZにて使うと、《煌メク聖戦 絶十》の軽減能力+《トライガード・チャージャー》のチャージャー効果を使い1コストで《煌龍 サッヴァーク》を召喚。みみみは【サバキZ】のメインエンジンでもある《煌メク聖戦 絶十》を、《煌龍 サッヴァーク》による除去耐性を添えて展開することに成功した。

 と、ここまでのみみみの動きは(僅かな違いこそあれど)【サバキZ】がデッキタイプとして確立された2018年時点で再現可能である。それでもみみみは今日一日勝ち続け、数多の最新デッキを打ち倒してこの場にいる。全国大会2023でも同じデッキを使っていたみみみ。彼はどれだけこのデッキを練習し続けてきたのだろうか。

 しかし、それはdottoも同じ。【水闇自然DOOM】という、決して主流ではないデッキをここまで仕上げるのにどれほど要しただろう。デッキを50枚に増やしているのだからなおさらだ。シールドトリガーの枚数は?受けの強いデッキへのループ手段は?ループにしか使えないパーツは本当に必要?莫大な思考を張り巡らせ仕上げた70枚は、dottoの期待に答えるように序盤の動きを提供する。

 dottoは2ターン目に≪「こっちは甘いぞー」≫で回収した《天災 デドダム》をギリギリまで引き付けてから召喚。さらに追加の≪「こっちは甘いぞー」≫で最大限墓地を掘りに行き、満を持して《超神星DOOM・ドラゲリオン》の召喚までたどり着いた。  ここからは、dottoによる完璧な詰めが始まる。

 《超神星DOOM・ドラゲリオン》みみみに攻撃し、攻撃時の効果で《煌メク聖戦 絶十》を破壊せずに《煌龍 サッヴァーク》のパワーを-9000、《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》を墓地から送り出す。dotto《煌龍 サッヴァーク》《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》の対象に取るも、みみみの手札に戻さない。7コストという情報のみを参照し、《忍蛇の聖沌 c0br4》を場に出す。続く《忍蛇の聖沌 c0br4》の効果で《アーテル・ゴルギーニ》を送り出した。全てはこの瞬間の為の布石。《煌龍 サッヴァーク》を-9000したのも、《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》で手札に戻さなかったのも、全ては《アーテル・ゴルギーニ》の能力を120%活かすためのもの。

 「相手のクリーチャーを1体選ぶ。このターン、そのクリーチャーのパワーを-4000する。」効果を2回使い《煌龍 サッヴァーク》《煌メク聖戦 絶十》のパワーを0に。除去耐性を使わせること無く破壊することに成功。《超神星DOOM・ドラゲリオン》みみみのシールド3枚を割り切る。

 dotto《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》により思うように動けないみみみ《煌世主ノ正裁Z》を経由して《音奏 ハイオリーダ / 音奏曲第3番「幻惑」》の上面を出す。これにより、《煌世主ノ正裁Z》がシールドゾーンに入るタイミングでGR召喚をするがこれ以上の展開は望めない。dottoは手札に構えていた《アーテル・ゴルギーニ》で≪音奏 ハイオリーダ≫を丁寧に処理すると、《天災 デドダム》みみみの最後のシールドをブレイク。

 みみみは残る1枚のシールドをサバキZ。《煌世主ノ正裁Z》を経由して《無双の縛り 達閃 / パシフィック・スパーク》の上面を送り込むが、dotto《超神星DOOM・ドラゲリオン》の攻撃をまだ残している。攻撃時のパワーマイナス効果を使い、≪無双の縛り 達閃≫を破壊すると、下面の≪パシフィック・スパーク≫による全体タップの影響を受けずにダイレクトアタックに成功した。

dotto 1-0 みみみ

 過去に【サバキZ】を使っていた時期もあるdotto。今でこそ【サバキZ】への対面練習はしていなかったと言うが、当時の知見は血肉となって今に生きているのではないだろうか。そう思わせるほど、彼のプレイは勝利に向かって一貫している。


Game:2

先攻:みみみ  先攻の利をなんとしても活かしたいみみみだが、《正義ノ裁キ》をプレイするのみで、3ターン目をパスするという手痛い初動。対してdottoは、≪記録的剛球≫、《天災 デドダム》とマナを伸ばすことに成功。これにより、できる行動も大幅に増える。

 みみみの4ターン目、《トライガード・チャージャー》で裁きの紋章が無いシールドを引っこ抜き、サバキZの宣言も無くターン終了。シールドを1枚減らし、手札を減らさずマナを伸ばすだけに留まる。

 後にみみみは語る。

みみみ「サバキZを多用する構造上、《流星のガイアッシュ・カイザー》が入っているデッキは不利がつきやすく辛かった。」

 後にdottoは語る。

dotto「終始《流星のガイアッシュ・カイザー》はケアされている印象でした。4ターン目の《トライガード・チャージャー》は特に顕著だな、と。」

 対戦中、彼等は会話をしていた訳では無い。しかしその意思はプレイを通して相手に伝わっていた。

 みみみの完璧なまでの《流星のガイアッシュ・カイザー》のケア。そのおかげか、dottoは6マナ使って《忍蛇の聖沌 c0br4》の召喚のみと決して動きは強くない。しかし、《忍蛇の聖沌 c0br4》の登場時に墓地に置かれたのは《キャディ・ビートル》。せっかくマナを伸ばしたみみみだが、《キャディ・ビートル》がいては再度《トライガード・チャージャー》を絡めなければ7マナ以上の大きなアクションも取りづらい。

 みみみは使える6マナ全てを使い、《DG 〜ヒトノ造リシモノ〜》を召喚。シールドトリガーの連鎖による大爆発でこの場の打開を試みるが、《集結ノ正裁Z》《転生ノ正裁Z》で手札を増やすのみに終わってしまう。そしてこのターン、サバキZを使ってしまった。

 いや、dottoが使わせた、みみみは使わざるをえなかった。dotto《流星のガイアッシュ・カイザー》みみみの呪文踏み倒しを咎めると、ゲームを大きく自分に傾けた。  《流星のガイアッシュ・カイザー》さえいれば、《超神星DOOM・ドラゲリオン》が無くとも《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》の召喚が可能だ。先ほど魅せた”対象に取るも手札に戻さない”プレイで、《DG 〜ヒトノ造リシモノ〜》のコストのみを参照し、墓地から《機怪人形ガチャック2》を出して《DG 〜ヒトノ造リシモノ〜》の破壊に成功。シールドトリガーによる防御の保証が無くなった残るシールド2枚を《流星のガイアッシュ・カイザー》で攻めるdotto《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》みみみの防御を機能させず、Gama1同様に《煌世主ノ正裁Z》を経由して≪音奏 ハイオリーダ≫を出すも、もうみみみには《煌世主ノ正裁Z》を重ねられるシールドが無い。  dottoには攻撃のできる《天災 デドダム》《キャディ・ビートル》《忍蛇の聖沌 c0br4》の3体。対してみみみを守るシールドはもう無く、ブロッカーの≪音奏 ハイオリーダ≫が立つのみ。dotto《天災 デドダム》で攻撃したとき、みみみの口は開いた。

みみみ「どいつが好き?どれでトドメをさしたい?」
dotto「この中なら《忍蛇の聖沌 c0br4》かな。」

 それは、全国への切符を手にしたdottoに気持ちよく勝って貰おうというみみみからのプレゼント。みみみ《天災 デドダム》の攻撃を≪音奏 ハイオリーダ≫でブロックし、dottoが選んだ《忍蛇の聖沌 c0br4》による攻撃を受け入れた。

dotto 2-0 みみみ

Winner:dotto

 思い返せばDMGP7thの準決勝、同じ「サバキZ」というギミックで苦い思いをしたdottoにとって雪辱を果たす格好である。その結果が今年の全国大会出場権だというのだから、ドラマを感じずには居られない。

 後にdottoは振り返る。予選Round3では先攻3ターン目に《魔の革命 デス・ザ・ロスト》による手札全破壊から立て直したし、Round4では【闇自然アビス】の10体以上のクリーチャー展開をなんとか凌ぎ切った。Round5の《勝利宣言 鬼丸「覇」》による追加ターンすらも乗り越えたのは記憶に新しい。
 今日のプレイは一貫して「勝ちまでの道筋をしっかり通れていた」と一言。プレイにブレが無かったからこそ、「逆転」という結果がついて来たのだという。「逆転こそが、カードゲームだ。」これをdottoは身をもって示したのだ。

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