デュエル・マスターズ

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DMGP2024-1st Day1(アドバンス)Round 1:すずの音 vs. 午後茶

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:後長 京介

 「王道」の時代が幕を開ける。

 デュエル・マスターズの販売スケジュールの王道は往々にして年度単位、すなわち4月始まりの3月締めだ。そしてつい一週間前、王道篇第1弾「デーモン・オブ・ハイパームーン」が発売したばかりのこの時期に、アドバンス・個人戦とオリジナル・チーム戦の2日間にわたり両日約4500名が参加するという、かつてないほどに大規模なグランプリが開催される運びとなった。

 となれば、その開幕となる第1回戦目のフィーチャーマッチにはやはり、王道のプレイヤーが相応しいだろう。

 おそらく見ず知らずであろう対戦相手とも早くも紳士的に談笑しながら現れたのは、ちょうど一年前にDMGP2023-1st 1日目(アドバンス)で優勝し、アドバンス・フォーマットの王者となったすずの音だ。

すずの音「1年ぶりのGP、1回戦目からこれかー」

午後茶「こんなことになるなんてなー……」

すずの音「1回戦はBye(不戦勝)持ちの選手が結構いるんで、呼べる人があんまりいないからかなと……」

 対する午後茶はフィーチャーに呼ばれるなど想像もしていなかったようで、少し緊張気味。それでも王道の対戦前会話を繰り広げながら、アドバンスの王道仕草である超次元・超GR確認をする。

すずの音「そちらはGRありですかね?」

午後茶「GRありで。そちらはなしで?」

すずの音「なしで大丈夫です」

 《G.R.QX.》というレアな裏目はあるが、基本的にはブラフであろうとあり得と思われる超GRを用意すらしていないというのは、一見王道ではない行動だ。

 だがすずの音といえば、先月開催された全国大会2023 日本一決定戦でも「光水火ライオネル鬼羅スター」を使用していたほどの《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》愛好家として知られており、その時も超GRは用意していなかった。ならばこれもシャッフルやデッキ登録のトラブルを極力減らすための、合理的な王道の選択なのかもしれない。

午後茶「フィーチャーじゃなくてもGPの1回戦ってめっちゃ手震えるんで、生放送もありだったらもっと大変だったかもしれない……w」

すずの音「こういう会話も抜かれてるかもしれませんよw」

午後茶「はー、やばい緊張してる……」

 対する午後茶は《禁断 ~封印されしX~》を提示している。王道ならば「水火マジック」などが想起されるところだが、さすがにこれだけでは何とも言えないところだ。  やがて両者の準備が整うと、「デュエマ・スタート」という王道のアナウンスとともに、ついにデュエル・マスターズ グランプリの第1回戦が始まった。

Game

 じゃんけんで先攻となったすずの音は、手札を見るやいなや迷わず《エヴォ・ルピア》をチャージしてターンを終える。デッキ選択が予想通りであることはもちろんだが、起点として最も強力なカードをマナチャージする立ち上がりからは、王道ムーブ確定の相当強力な手札の気配が窺える。

 対する午後茶のマナチャージは《テック団の波壊Go!》。さらに続けて《T・T・T》をマナチャージしたすずの音の返しで《砕慄接続 グレイトフル・ベン》をマナチャージし、王道のビッグマナ系統のデッキであることを匂わせる。

 だが先攻3ターン目、すずの音が早くも王道のアクションを見せる。そう、すなわち。

 召喚したのは新戦力、《獲銀月 ペトローバ》発売してから一週間しか経っていない、登場したてホヤホヤの新カードで世間の度肝を抜けるのが、このタイミングのGPならではの王道の醍醐味だ。

 そして《終末縫合王 ミカドレオ》チャージから《フェアリー・Re:ライフ》を唱えたのみでターンを返した午後茶に対し、新ギミック「ハイパーモード」が、GP王者の手によって躍動する。

 すなわち《蒼狼の大王 イザナギテラス》召喚からの《T・T・T》で手札を補充したすずの音は、そのまま《蒼狼の大王 イザナギテラス》をタップして王道のギミック「ハイパー化」を起動すると、《獲銀月 ペトローバ》を攻撃に向かわせたのだ。 すずの音「楯追加はなしで」

午後茶「え、任意なんですね」

 さらに新カードならではの王道の効果確認を挟んだのち、補充された手札から《獲銀月 ペトローバ》の能力で登場したのはもちろん王道の《エヴォ・ルピア》そこに即座に王道の《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》が乗ると、さらなる《エヴォ・ルピア》《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》の王道セットを挟んで上で王道の《奇天烈 シャッフ》までもが着地する!!

 宣言された数字は王道の「6」。「光水火ライオネル鬼羅スター」ならではの王道の大連鎖ののち、ようやくW・ブレイクが解決する。

 ここで午後茶も《ガイアッシュの海地図》をトリガーさせ、《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》のうち1体の攻撃を止めるのだが、すずの音がさらなるトリガーを嫌って無理攻めはせずに落ち着いてターンエンドを王道ならぬ堂々宣言すると、返す午後茶はマナチャージしても5マナしかない状況であり、軽減能力を上手く生かせない。 午後茶「ハンドが何枚くらいですか?」

すずの音「4ですね」

 やむなく《水上第九院 シャコガイル》チャージから午後茶が唱えたのは《ドンドン火噴くナウ》《龍月 ドラグ・スザーク / 龍・獄・殺》を墓地に落とすことで《奇天烈 シャッフ》を除去し、残る3枚のシールドに生存への望みを託す。

 ……の、だが。

 返すターン、《氷柱と炎弧の決断》で再び手札を補充したすずの音は、再び「ハイパー化」した《獲銀月 ペトローバ》《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》《スロットンの心絵》《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》と王道のダメ押しで、なおも攻撃の手を緩めない。

 やがて最終的に4人もの「帝」が勝利への花道を駆け抜けた結果、トリガーした2枚目の《ガイアッシュの海地図》だけでは、GP二冠を目論むすずの音の王道を阻むのには足りていないのだった。


Winner: すずの音

午後茶「通ります……お見事です」

 ダイレクトアタックに対し自らの敗北を認めた午後茶は、悔しさをにじませた。

午後茶「一応《光開の精霊サイフォゲート》が入ってたんですけどね……」  午後茶もまた、王道篇第1弾「デーモン・オブ・ハイパームーン」の新カードによる奇襲を狙っていた。踏んでいれば新カードを新カードで逆転する王道の展開が待っていたが、そうはならなかった……だが、そうしたままならなさもまたデュエル・マスターズの王道と言える。

すずの音「なるほど。《単騎連射 マグナム》までアクセスできれば安心だったけど、待てなさそうだったんで行っちゃいました」

午後茶「待ってくれれば《ガイアッシュの海地図》の2軽減から展開できたんで、良い判断でした。《ドンドン火噴くナウ》を踏んでくれれば……悔しい……《獅子王の遺跡》でも良かったけど引けなかった……」

すずの音「あそこは《獅子王の遺跡》を踏むと面倒くさいんで止まった感じですね」

午後茶「悔しい……まあしゃーないか……ああぁーしょうがないか……」

すずの音「まあでも、どの道《奇天烈 シャッフ》《単騎連射 マグナム》は必ず絡めますよw」

午後茶《奇天烈 シャッフ》はそこまで……重くないは嘘ですけど……タマシードのトリガーとか宣言外すもあるんでいけるかなーと思ったんですけどねー……」

すずの音「かなり宣言を迷って、《ヘブンズ・ゲート》の読みもあっての『6』でしたね。致命傷になりそうなやつをとにかく避けようとした結果でした」

午後茶《ガイアッシュの海地図》を踏ませたのは良かったけど……始動が綺麗だったなー」

すずの音「初手エヴォキラセットで手が良かったです」

 午後茶が対戦を振り返るのに合わせて、すずの音もプレイを遡って他の選択肢を検討していた。反省なくして王道なし。勝って兜の緒を締めるこうした謙虚さが、GP王者たる所以なのだろう。

 いずれにせよ、今日のチャンピオンまでの道のりはまだ始まったばかりだ。







 ちなみに、上記の文章は筆者が王道のカバレージに挑戦してみた結果であることを最後に明記しておく。

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