DMGP2024-1st Day2(オリジナル):デッキテク
ライター:河野 真成(神結)
撮影:瀬尾 亜沙子
予選ラウンドでの活躍は勿論のこと、最終的には3面【5c蒼龍】を使用したチーム「朝は太極拳」が2位でフィニッシュ。見事に結果を残している。 しかし事前にこのような活躍を予期していたプレイヤーは少ないのではないだろうか。
ではどうして【5c蒼龍】は強かったのか。
そして、どういった経緯でこのデッキに辿り着くことが出来たのか。
今回は、このデッキの制作者であるどんよくに話を聞くことが出来た。
5c蒼龍と《ディスタス・ゲート》
どんよくのリストは、以下の通り。
どんよく DMGP2024-1st オリジナル構築 |
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【5c蒼龍】自体はそれなりに長い歴史を持つデッキではある。革命ファイナル編で《獅子王の遺跡》や《蒼龍の大地》といったカードが登場して以来、大きく基盤を変えずに、環境上でそれなりに存在感を示すこともあった。
では、何故そのデッキがいま強いのか。
どんよく「GPに向けてCSの様子を何度か見ていたんですけど、【闇自然アビス】がダントツで多いんですよ。それ以外だと、少し後ろ目のデッキが多くて、あと【火水マジック】がいるという感じでした。それなら、マジックさえ当たらなければいけるんじゃないかと思ったんですよね」
そして実際、CSに持ち込み優勝。手応えを感じると同時に、課題も感じたという。
どんよく「試合内容を振り返ってみるとほぼ《Disアイ・チョイス》と《ブレイン・スラッシュ》のセットで勝っていたんですよね。ですが最初のリストだと、そもそも《ブレイン・スラッシュ》が有効にならない場面も多かったんです」
《ブレイン・スラッシュ》は強力な墓地蘇生札であるが、下準備が必要なのは、多くのプレイヤーが知っていることだろう。それは例えばバトルゾーンに水と闇のカードを揃えたり、墓地に蘇生させたいクリーチャーを置いたり、といったものになる。
だからこの準備を始めるまでに殴られると弱いというのもまた、多くのプレイヤーが知っている筈だ。
そこで辿り着いたのが、《ディスタス・ゲート》だった。
どんよく「このリストは《ディスタス・ゲート》1枚で完結するようになっています。もちろん、踏んだら1ターン貰える《S・S・S》も4枚です」
《ディスタス・ゲート》であれば、1枚踏んだ瞬間に下準備の必要なく《Disアイ・チョイス》+《ブレイン・スラッシュ》の起動が可能だ。
故にこのデッキは、かつての【5c蒼龍】というよりもやや【ブレスラチェイン】に近しい特色をしていると言えるかもしれない。そしてチェインをしない代わりに、《聖魔連結王 ドルファディロム》による強力な盤面リセットを用意している、という訳だ。
環境上の強みとリストの工夫
そもそもの【5c蒼龍】というデッキは、まずは《獅子王の遺跡》を撃ってマナを大きく伸ばし、8~10コスト帯で大型クリーチャーを連打するというデッキだった。そうなると、大型クリーチャーの着地はどんなに早くとも4ターン目に《獅子王の遺跡》を撃って以降。つまり、5~6ターン目といった辺りになる。 だがその5c蒼龍に対するイメージこそが、このリストの強みとなっている。
どんよく「初見で対戦すると、大型クリーチャーが出てくるのは5~6ターン目以降だと考えて準備すると思いますが、このデッキの実態は4.5ターンくらいなんですよね。相手の予想より早く着地させることで、対応出来なくさせるといったことが出来ます」
どんよく「大型クリーチャーを出すチャンスの多い天門系のデッキには当然有利です。またマジックについてですが、(先述しているように)大型クリーチャーの着地ターンに関する認識が違うので、マジック側はまだ余裕があると思って《単騎連射 マグナム》や《ファイナル・ストップ》といったカードを探すべく、溜めてくれることも多いです。闇自然は、マナを伸ばしていれば勝てます」
その他に意識した相手としては、【水闇COMPLEX】を挙げてくれた。
【水闇COMPLEX】は流行の【闇自然アビス】や【水火マジック】に対して強く出られるデッキだ。
どんよく「特にチーム戦だと【水闇COMPLEX】の数は多いと思っていました。逆にマジックは少なめ。【水闇COMPLEX】には《聖魔連結王 ドルファディロム》だけでは勝てないため、《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》や《終末の監視者 ジ・ウォッチ》などの大型クリーチャーを採用しています。」 ちなみに、どんよく曰く「蒼龍は使うなら絶対に3面」とのことだった。
どんよく「蒼龍を使うなら、絶対に【水闇COMPLEX】を入れたチームには負けちゃいけないんですよ。でも3人中1人が【水闇COMPLEX】の対戦相手に、たまたまそこにチームメイトの【闇自然アビス】が噛み合ったりしたらその時点で蒼龍使っている意味ないなと思いまして。チームメイトには鬼の説得をしましたね(笑)」
まとめ
最後に、どんよくはこんな話をしてくれた。どんよく「今日の結果を振り返ってみても、やっぱり『これしかない』ってなっていますね。使っている人は何人かいますが、負けている人を探すのが難しいくらい、だいたいみんな勝っています。今回のGPはこれしかなかったと思っています」
リストに違いはあるものの、結果として【5c蒼龍】3面は準優勝を飾っている。
どんよくのチームは惜しくも予選突破を逃してしまったが、フィーチャー卓での活躍を含め、デッキの考案などを考えると、今大会での主役の一人を担ったと言っても過言ではないかもしれない。
どんよくが作り上げた【5c蒼龍】。
これまでとは違った動きが出来るデッキとなっており、ぜひ一度試してみては如何だろうか。
プレイヤープロフィール
どんよく:都道府県は兵庫。2022年上期ランキング2位、下期ランキング1位。最強位決定戦出場。
関西を代表するプレイヤーの1人。「どんちゃん」の愛称で呼ばれることも。
これまでの主な使用デッキは【JO退化】や【4c邪王門】など。特に(ランキング期間外ではあったものの)2022年1月~2月にかけての活躍ぶりは凄まじく、メダルが付かない日がない程に勝ち続けていた。そのため、ランキングページが太〇の達人の譜面みたいだったとかなんとか。
その結果が示している通り、高い実力を持っている上に練習熱心。筆者は何度もボコボコにされた。
アイドル好きでもあり、彼のXをフォローしておくとアイドルのポストがTLを埋め尽くすことになる……かもしれない。
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