DMGP2024-1st Day2(オリジナル) 準々決勝:朝は太極拳 vs. 天頂と停滞と水晶の決断
ライター:小屋 悠雄(Sword)
撮影:後長 京介
《∞龍 ゲンムエンペラー》のプロモーションカードにまで手が届いた24人の戦士が次に目指すのは、全国大会への切符である。
まさに、夢の奪い合いである。 そしてこの準々決勝でぶつかるのは、3面5C蒼龍で勝ち上がってきた「朝は太極拳」と3面光水火ゴスペルで勝ち上がってきた「天頂と停滞と水晶の決断」である。 デッキの対面相性という点で考えると光水火ゴスペルの方が有利に思えるが、呪文のS・トリガーが多く採用されている5C蒼龍に対しては、《水晶の王 ゴスペル》《キリモミ・ヤマアラシ》《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》の3枚に加え、《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》のような呪文メタを添えながら相手のシールドを割りにいく必要があるため、実質4枚コンボとなってしまい、再現性が担保しきれない部分もあるのだ。
つまり、光水火ゴスペル側が早急に上記の4枚を揃えられるかがこの勝負の鍵になってくる。その上で、今回の試合を見ていただきたい。
今回はA席のあーくんvs.龍星の対戦をお届けする。
A席:あーくん vs. 龍星
Game 1
先攻:あーくん 順位先攻を取ったあーくんは《零獄接続王 ロマノグリラ0世》をマナチャージしてエンド。対する龍星は《S・S・S》をマナチャージしてエンド。
あーくん「それかぁ…」
何かを察したからか、相手のマナチャージを見て苦笑するあーくん。
龍星は2ターン目に《エマージェンシー・タイフーン》を唱えて2枚ドロー、《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》を捨ててターン終了。
悪い予感が当たってしまったあーくんだが、まだ負けていない。《獅子王の遺跡》をマナチャージし、《フェアリー・ミラクル》で火マナを落として2枚マナ加速を狙いに行く。
マナに落ちたのは《S・S・S》、2枚マナ加速に成功する。
それに対して龍星は《氷柱と炎弧の決断》で1捨て2ドローを2回選択、最高の動きで返していく。墓地に落としたカードは《勇愛の天秤》2枚。
これで龍星の墓地にある呪文は5枚、次のターンには多色マナを置いても《キリモミ・ヤマアラシ》と《水晶の王 ゴスペル》のコンボが成立する状況となった。
後がないあーくんだが、ここは相手がどちらかのパーツを引いていないことに賭けて《獅子王の遺跡》で3枚マナ加速をしてターンを返す。
ターンが帰ってきた龍星。《銀河の伝説》をマナチャージし、手札にある多色カードを見せてアンタップ。しかしここでB席の雨宮と相談を始めた。どうやらパーツが揃っていないようである。
そして少し相談した後に、タップしたマナは光1枚。
この場面を見ていた全員が全てを悟った。どんな状況においても全てを覆しかねない最強の呪文。 《ラッキー・ダーツ》
あーくん「(仲間に向かって)楯どこにする?w」
珍しいものを見つけた子供のようなテンションでチームメイトに相談を持ちかけ、そしてチーム内の協議の結果、龍星目線で一番右のシールドが選ばれる。
試合を見ていた全員が集中した運命のシールドチェック…
少考の末、そのままシールドに戻った。
そして残った3マナで再び《氷柱と炎弧の決断》で1捨て2ドローを2回選択し、手札を回していく。2回目のコストに《水晶の王 ゴスペル》を捨ててターンを終える。
あーくん「ゴスペル捨てられた、多分次走られる。」
あーくんのターンは返ってきたものの、未だに緊張状態は続く。
ここであーくんは、《砕慄接続 グレイトフル・ベン》を召喚し、墓地のカードを2枚マナに置いてターンを返す。これにより次ターンの龍星の使用可能マナが5であるため、手札の《水晶の王 ゴスペル》が1体だけならリーサル打点を組めない状況を作った。
龍星にターンが渡り、ここで長考に入る。この状況からどう打開して次のターンに勝ちに行ける盤面を作れるか。
筆者視点から考えられる選択肢は、
1.《水晶の王 ゴスペル》を場に出し、墓地の呪文を回収してターンを返す。
2.何もせずマナチャージだけしてターンを返す。
3.《キリモミ・ヤマアラシ》があるなら、スピードアタッカーとなった《水晶の王 ゴスペル》で《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》を唱えながら攻撃、EXターンでルーター呪文から唱えて3枚目以降の《水晶の王 ゴスペル》を探しに行き、ゲームを畳みに行く。
4.ルーター呪文でギリギリまで手札を回し、次のターンに勝ちに行ける状況を作る。
主にこの4つに絞られる。
手札を吟味していた龍星は《氷柱と炎弧の決断》を手に取った。効果選択にも時間を割き、悩みに悩んだ龍星がようやく口を開く。
龍星「……捨てドロー2回で」
決死のルーティングを決めて、このターンを終える。
しかしあーくんはその隙を見逃さず、10マナで《終末の監視者 ジ・ウォッチ》を召喚し、確実に次のターンをもぎ取りに行く。
龍星も負けじと《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》から《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》を捨て、《終末の監視者 ジ・ウォッチ》を破壊しつつ《砕慄接続 グレイトフル・ベン》のEXライフシールドを剝がすが、ここまでターンが回ればあーくんの独壇場である。
《流星のガイアッシュ・カイザー》からリソースを補給し、水と闇のクリーチャーが場にいることを確認した上で《ブレイン・スラッシュ》を唱え、《Disアイ・チョイス》を捨ててそのまま蘇生。マナからの《蒼龍の大地》によって2体目の《砕慄接続 グレイトフル・ベン》が飛び出す。そして再びマナから《Disアイ・チョイス》を召喚、効果でマナから《ブレイン・スラッシュ》を唱え、墓地から《聖魔連結王 ドルファディロム》が降臨。
こうなってしまうと龍星は《水晶の王 ゴスペル》から呪文を拾い、《氷柱と炎弧の決断》で打点を咎めることしかできず、最後はマナから《終末の監視者 ジ・ウォッチ》を出すことで相手の盤面を空にし、《勝利宣言 鬼丸「覇」》によってEXターンを獲りながら駆け抜けていったのだった。
あーくん 1-0 龍星
ここで、あーくんというプレイヤーについて少しだけ話しておく。
あーくんは、デュエル・マスターズというゲームに特に心酔しているプレイヤーの1人である。細かいプレイングやゲームメイク、常に相手の表情とプレイを観察することによる手読み、対面している相手へのプレッシャー、プレイヤーとしての観点で言えば全てが強く鋭い。
しかし、メンタルにおいてはとても繊細だったため、それが響いた結果2023年度後期のランキングでは上位に勝ち残れず、2023年度の全国大会に出場できずに終わってしまった。
その悔しさを胸にまた全国優勝の夢へと歩みを進め、信頼しているチームメイトと共に今、ベスト8として全国出場をかけて全力で戦っているのである。
Game 2
先攻:龍星 後がない龍星だが、最初の動きは3ターン目の《氷柱と炎弧の決断》で1捨て2ドロー2回という悪くはないものの若干のスロースタートを切ってしまう。一方のあーくんは返しのターンに《天災 デドダム》を召喚、手札を減らすことなくマナ加速に成功していく。墓地に落としたのは《聖魔連結王 ドルファディロム》。
龍星の4ターン目、《エマージェンシー・タイフーン》を2回詠唱し、コンボパーツを揃えるために全力でデッキを掘りに行き、ターンを返す。
この頃から緊張によってあーくんの手は震えていた。その震えを振り払いながらも、《零獄接続王 ロマノグリラ0世》マナチャージし、落ち着いて2体目の《天災 デドダム》をプレイ。次のターンへの希望を繋ぎにいく。
龍星の5ターン目、ここで走れないと少し厳しい状況になるが、このターンの動きはまず《エマージェンシー・タイフーン》から入る。そして火1マナを捻る…かと思いきや、3マナを捻った。《氷柱と炎弧の決断》を唱え、手札を回してターンを終えてしまう。
龍星はことごとく《キリモミ・ヤマアラシ》に嫌われていたのである。 あーくんのターンが回り、認識を照らし合わせるためにB席のtakiとの相談に入る。相談を終えた後のプレイは、まさに一瞬だった。
《Disアイ・チョイス》をマナチャージ。そして6マナで《Disアイ・チョイス》を召喚し、マナから《ブレイン・スラッシュ》を唱える。手札を増やしてから《砕慄接続 グレイトフル・ベン》を捨ててそのまま蘇生。そして《砕慄接続 グレイトフル・ベン》の効果でマナから《Disアイ・チョイス》を召喚し、再びマナから《ブレイン・スラッシュ》を唱え、《聖魔連結王 ドルファディロム》が蘇生され、このターンを終える。
龍星は再び《聖魔連結王 ドルファディロム》に屈する形となり、《水晶の王 ゴスペル》を召喚してから《氷柱と炎弧の決断》で手札を回すことしかできない。
次のあーくんのターンには、2体目の《聖魔連結王 ドルファディロム》が召喚され、頼みの綱である《S・S・S》すらも盤面でケアされる。
そしてあーくんの総攻撃に、龍星はなす術もなく散っていくのであった。
あーくん 2-0 龍星
Winner:あーくん
一方、C席のえむつーvs.さわねの対戦は《水晶の王 ゴスペル》と《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》の盤面を2試合ともしっかり作られ、あえなく0-2で1本落とすことになった。 しかし、B席のtaki vs.雨宮の対戦は2試合とも《水晶の王 ゴスペル》が盤面に立たず、その間にtakiが《流星のガイアッシュ・カイザー》や《砕慄接続 グレイトフル・ベン》などで盤面マウントを維持したまま2-0で勝利したのである。 これにより「朝は太極拳」が3面とも不利対面だったにも関わらず、2-1で準々決勝を制したのであった。
Winner:朝は太極拳
準々決勝を終えた「朝は太極拳」は、冷静にその場から立ち去って行った。この試合の内容に対して深く振り返る様子は無く、そのままベスト4のインタビューに向かった。
まるで全国大会出場しか見えていない男たちの背中は、とても勇ましく見えた。
涙の全国大会出場まで…あと1勝。
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