DMGP2025-1st Day2(オリジナル)決勝Round 4:てるふぇすvs. はこと
ライター:小林 遼平(すばる)
撮影:坂井 郁弥

早朝から白熱した対戦に次ぐ対戦を乗り越え、今この場にいるのはてるふぇすとはことだ。
この戦いに勝利したものが《飛翔龍 5000VT》を手に入れることができる、TOP8がかかった文字通り大一番のフィーチャーマッチの様子をお届けしよう。

対戦開始前にジャッジからお互いの予選順位を確認されるものの……
てるふぇす「あれ?94位とか…そんなくらいだったと思うんですけど…はっきりとは覚えてないな」
無理もない。朝の9時前から予選9回戦、それに加えて決勝ラウンドとして既に3回戦。
今日だけでも都合12連戦である。本人の想定以上に疲労が蓄積していることが見て取れる一幕だ。
改めてジャッジからお互いの正しい順位が提示され、はことの先攻でゲーム開始。

最初のマナチャージは《大樹王 ギガンディダノス》。
使用デッキは十中八九GP直前に台頭してきた新進気鋭のデッキタイプである【ペテンシーフシギバース】で間違いないだろう。
対するてるふぇすの1ターン目。《爆藍月 スケルハンター》をマナチャージし、《バブル・ボール》を召喚。使用デッキはこちらも新進気鋭、というよりは前衛的なデッキタイプ【水単ハイパーエナジー】だ。
環境で目にする機会はそう多くないであろうカードに、はことも思わず目を丸くする。
とはいえ、今の段階でははことからしても何か手を打つタイミングではない。《終止の時計 ザ・ミュート》をチャージし、ターン終了。
返すターンのてるふぇすの行動は、《水面護り ハコフ / 蓄積された魔力の縛り》をマナチャージ。またしてもあまり見慣れないカードだが、呪文面の≪蓄積された魔力の縛り≫は意外と軽視できない一枚。一見雑多なようにも見える低コスト域のカードチョイスにも、妥協は一切ない。そのまま続けざまに《飛ベル津バサ「曲通風」》を召喚。
次のはことのターンにはおそらく《天災 デドダム》が出てくるターンのため、「ハイパーエナジー」のためにコストを散らしながら≪天災 デドダム≫の出力を抑えることを見込んでの送り出しだろう。
てるふぇすにいわゆる「後の先」を取られている状況のはこと、《環嵐!ホールインワン・ヘラクレス》をマナチャージし、お約束と言わんばかりに《天災 デドダム》を召喚。《飛ベル津バサ「曲通風」》の能力で「3枚見る」部分が「1枚表向きにする」に置き換えられ、《真気楼と誠偽感の決断》が公開され、手札に加わる。

てるふぇすの3ターン目。《洗打の妖精》をマナチャージし、「ハイパーエナジー」により《爆藍月 スケルハンター》を繰り出す。《バブル・ボール》の能力と合わせて3枚ドロー。これでかなり楽になっただろうか、心なしか少し肩の力が抜けたように見えた。
だが、もちろんはこともただ指をくわえて見ているだけではない。《逆転の影ガレック》をマナチャージし、横並びデッキの天敵、ご存じ《飛翔龍 5000VT》を召喚!
てるふぇすのバトルゾーンは《爆藍月 スケルハンター》のみに。もちろんこれが予見できていないてるふぇすではないだろうが、果たしてどこまで先を見ているのだろうか。


ただ、先のターンの《飛翔龍 5000VT》が睨みを利かせており、これ以上追加の行動は取れない。
とりあえず一安心といったところか、はことは《真気楼と誠偽感の決断》をマナチャージし、再び《天災 デドダム》を召喚。天災の侵略者がはことに見せた景色は≪ガレック≫、≪ペテンシー≫、≪デドダム≫の3枚。その中からはことは≪ペテンシー≫を手札、≪ガレック≫を墓地、≪デドダム≫をマナゾーンに置く選択をし、未来へ向かって歩みを進める。
《飛翔龍 5000VT》の演奏もひと段落し、自由を取り戻したてるふぇす。《斬隠テンサイ・ジャニット》をチャージし、先ほど≪飛翔龍 5000VT≫に退かされた≪バブル・ボール≫を再度召喚。続けざまにもう1体≪バブル・ボール≫の2号機を繰り出す。
てるふぇすはまだ止まらない。残る3マナをタップし、出したばかりの≪バブル・ボール≫を追加の≪~西方より来る激流の竜騎公~≫に進化!
先のターンの≪5000VT≫による抑圧の鬱憤を晴らすかのように、軽快にカードをプレイしていく。
そして意を決して≪~西方より来る激流の竜騎公~≫(進化元:≪爆藍月 スケルハンター≫)で攻撃宣言時、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》に「革命チェンジ」!
まだ見えていない《流星のガイアッシュ・カイザー》とは付き合わず、おそらくはことの手札に残っているであろう《真気楼と誠偽感の決断》を死に札にし続ける展開を選んだようだ。
果たして、この選択は吉と出るか、凶と出るか。
≪ラフルル・ラブ≫がシールドを2枚ブレイクすると…なんと、3枚目の≪ガレック≫が駆けつける!

「選択こそ逆転の本質。」
そのフレーバーテキスト通り、突如として逆転に向けた選択を迫られたはこと。墓地肥やしの能力をフルに使い、決まり手となる≪大樹王 ギガンディダノス≫を探しに行くか、はたまたパワーマイナス能力を重ねててるふぇすの勢いを少しでも削ぐか。
持ち主であるはずのはことが、≪ガレック≫に試されている。
はことは一息の後、「パワー-3000×3回」を選択し、≪バブル・ボール≫と≪~西方より来る激流の竜騎公~≫を破壊。もうちょっとゲームを続けようぜ、という意思表示にも見える行動を選択した格好である。
予想だにしない形で攻めの姿勢を崩されたてるふぇす。ターン終了を宣言。はことは手札を確認することなくマナをアンタップする。どうやら、≪流星のガイアッシュ・カイザー≫は持っていないようである。このターンの差し合いは一旦てるふぇすに軍配が上がったか。
はことは死に札になっている≪真気楼と誠偽感の決断≫を早々にマナチャージし、《怪盗妖精カサブランカ / 「信じていたのに裏切られるなんて!」》を召喚。能力で1枚マナ加速するのだが…なんと、ここで≪流星のガイアッシュ・カイザー≫がようやく姿を見せる。筆者含めこの対戦を見ている全員が思っただろう、「今か…」と。
はことは続けてもう1体≪カサブランカ≫を召喚するが、なんと2連続で≪流星のガイアッシュ・カイザー≫がマナゾーンへ。≪「信じていたのに裏切られるなんて!」≫なんとも皮肉なカード名である。

てるふぇすの視点から見ると、≪ガイアッシュ・カイザー≫という心配の種が一つ消え、ゲームを進めやすくなっているだろうか。≪飛ベル津バサ「曲通風」≫をマナチャージし、≪水面護り ハコフ≫→≪飛翔龍 5000VT≫を「さっきのお返しだ」と言わんばかりにテンポよくカードをプレイしていく。今度ははことのクリーチャーたちが≪5000VT≫の演奏に気圧され、一回休み。加えて《戦攻のシダン アカダシ / 「いいダシがとれそうだ」》を召喚し、そのまま三度≪~西方より来る激流の竜騎公~≫に進化。
このデッキ、あまりにもカードを引きすぎではないか?低コストのカードが大量ドローをもたらすことによる再現性の高さが、てるふぇすをこの舞台まで押し上げた要因の一つかもしれない。
そのまま≪~西方より来る激流の竜騎公~≫で攻撃宣言時、再度≪ラフルル・ラブ≫に「革命チェンジ」。徹底して≪真気楼と誠偽感の決断≫を使わせないという意思を見せ続ける。
その攻撃に、はことのシールドから《プリンセス・パーティ ~シラハの絆~》が飛び出し、≪ハコフ≫をシールド、≪ラフルル・ラブ≫をマナゾーンへ送る。「ジャストダイバー」で選ばれない≪飛翔龍 5000VT≫こそ残ってしまうものの、まだゲームを諦めさせない。
はことは≪カサブランカ≫をチャージし、またも≪飛翔龍 5000VT≫を召喚。こちらも徹底しててるふぇすの後続を拒否し続ける。
しかし、てるふぇすの≪飛翔龍 5000VT≫がノリノリで演奏を続けており、他に取れる行動がない。祈るようにターンを返す。
てるふぇすは溢れるほどに抱えた手札から、さらに≪飛翔龍 5000VT≫を重ね掛け。何があっても、はことの好きにはさせない。
デュエマで最も自由を重んじる種族は、自らの自由のために、相手の自由を許さない。
そして、「ジャストダイバー」状態の≪飛翔龍 5000VT≫を都合4度目となる≪~西方より来る激流の竜騎公~≫に進化______!
「ジャストダイバー」が切れている≪飛翔龍 5000VT≫で最後のシールドをブレイク!
シールドからは再び≪プリンセス・パーティ ~シラハの絆~≫が現れるものの、「ジャストダイバー」相手では手の打ちようがない。
そのまま≪~西方より来る激流の竜騎公~≫のダイレクトアタックが通り、この劇的な対戦の勝者は両のこぶしを突き上げ、天を仰いだ。

ちなみに、てるふぇすはDMGP2022 Day1でもベスト16まで勝ち進んでいたが、無情にも目の前で《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を逃している。
2年半前は乗り越えられなかった大きな壁を越えたてるふぇす。
頂点まで、あと2つ。

©ANYCOLOR, Inc.
TM and © 2025, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY