全国大会2017 準決勝:dotto vs. ピカリ
![](/wp-content/uploads/dmnt17_f02_b01.jpg)
筆者がフィーチャーテーブルに来た瞬間、そこには2回戦で見たそれとは違う、いつものように笑うdottoがいた。対面のピカリと声を揃えてこう叫ぶ。
「ついに来ちゃった~!!」
そう、何を隠そうこの2人は48枚完全ミラーマッチ。
カードボックス江坂店でおなじみ、2011年度全国王者であるあばばばとの3人で纏め上げた、特注の《Dの牢閣 メメント守神宮》をタッチした『赤青バスター』。
両名時間を見つけてはカードボックス江坂店に集まり共に調整をしていた仲。お互いの手の内は知り尽くしている。
昨日このデッキのミラーマッチも一応練習しておいたという。
が、「このミラーは怪獣大戦争や」とピカリは笑う。何が起きるか分からない。
デッキの強さはここまで2人合わせて1つの黒星しかついていないこと、何より2人が準決勝の舞台に立っていることにより示されている。
あとは、決勝の舞台に立つ方を決めるのみ。和やかだった2人の顔が真剣になる。
デュエマ、スタート。
![](/wp-content/uploads/dmnt17_f02_b02.jpg)
予選1位のdottoが先攻。
dottoは《勝利のアパッチ・ウララー》セット、《熱湯グレンニャー》セットと静かな立ち上がり。
ピカリは2ターン目にこのマッチ最重要カードである《異端流し オニカマス》のキャストに成功。
返すdottoも嵩張った多色をマナに逃がしながら《異端流し オニカマス》を着地させる。
赤青バスターのミラーマッチでしばしば発生する《異端流し オニカマス》同士の睨み合いとなった。
ピカリは《異端流し オニカマス》を意に介さず《“龍装”チュリス》。
ここで攻撃時《蒼き団長 ドギラゴン剣》、ファイナル革命で手札から《熱湯グレンニャー》を2体展開!!
実質的に1マナ上の動きを行いつつ、さらに手札が減らないビッグアクション。
dottoは少し考えた末、《異端流し オニカマス》でのバウンスは《蒼き団長 ドギラゴン剣》のみ。
《熱湯グレンニャー》を戻さなかった理由はすぐ明らかになる。
ターンが返ってきたdottoは《“乱振”舞神 G・W・D》で2体の《熱湯グレンニャー》を破壊しつつ2ドロー、そしてシールドを1枚ブレイク。
お互いにリソース勝負では引けを取らない。B・A・Dで出た《“乱振”舞神 G・W・D》は終了時に破壊される。
ピカリは《月光電人オボロカゲロウ》で3枚の手札入れ替えを行う。
![](/wp-content/card/cardimage/dmrp01-041.jpg)
閑話休題。
赤青バスターのミラーマッチにおいて、《異端流し オニカマス》の存在は非常に重要だ。
アンタッチャブル能力を持ったDMメタカード史上最強のこのカード、当然通常の赤青バスターに触る手段はない。
よって赤青バスター同士のミラーマッチではこのカードの睨み合いが起きる。デッキ名を冠した《蒼き団長 ドギラゴン剣》が絡まないゲームとなることは珍しくない。
が、dotto、ピカリ両名、そして共に調整したあばばばはミラーマッチの《異端流し オニカマス》に対する回答を用意していた。
それはdottoがドローを見て少し考え、ノーチャージで出した《Dの牢閣 メメント守神宮》。
![](/wp-content/card/cardimage/dmr23-030.jpg)
ピカリのターン開始時にDスイッチ。
いくら《異端流し オニカマス》といえど全体タップには無力。これで次のターン戦闘破壊を狙う。
そして48枚ミラーということは、ピカリも同じことを考えている。《Dの牢閣 メメント守神宮》貼り換え。
少し考えdottoのターン開始時Dスイッチ。これでピカリもdottoの《異端流し オニカマス》を破壊できる状態となった。
先に《Dの牢閣 メメント守神宮》を起動させたdottoが主導権を奪いにかかる。
dottoはしばらく考えたのち、《異端流し オニカマス》セットからの5マナで《熱湯グレンニャー》《プラチナ・ワルスラS》!
これで相手の《異端流し オニカマス》を除去しつつ、自分の手札を充実させる構え。
だが、ピカリはそれを許さない。《光牙忍ライデン》をニンジャストライク!
タップ対象はいないものの、《Dの牢閣 メメント守神宮》でブロッカーを付与されているため、そのままブロック。dottoの顔が歪む。
5マナとなったピカリは2マナ払って《異端流し オニカマス》、そして《月光電人オボロカゲロウ》の上に《プラチナ・ワルスラS》を進化。
そして《プラチナ・ワルスラS》同士を、《異端流し オニカマス》同士を相討ちにとる。
ピカリの場にのみ《異端流し オニカマス》が残る結果となり一歩リード。
![](/wp-content/uploads/dmnt17_f02_b03.jpg)
だがdottoも負けていない。
6マナ目をチャージし、《月光電人オボロカゲロウ》で4枚手札入れ替え。
先ほど失った《異端流し オニカマス》にたどり着き、ピカリの攻めを許さない。状況はイーブンに戻る。
ピカリは《月光電人オボロカゲロウ》で3枚入れ替え。
ここで《龍素記号Xf クローチェ・フオーコ》をG0で出し、ピカリの場には大型ブロッカー。
そして《月光電人オボロカゲロウ》の上に《プラチナ・ワルスラS》を乗せ、そのまま攻撃。
手札補充の後Wブレイクが通り、dottoの残りシールドは3枚。
dottoは《熱湯グレンニャー》を召喚、そして4マナで《Dの牢閣 メメント守神宮》貼り換え。
ピカリのターン開始時、もちろんDスイッチ。ピカリの軍勢が止められる。
ピカリはみたび《月光電人オボロカゲロウ》3枚入れ替え。
《熱湯グレンニャー》1ドローし……、2枚目の《異端流し オニカマス》に辿りついた!
相手の《異端流し オニカマス》を盤面から剥がせないdotto。これにはため息をつきつつドロー。
が、その顔から一瞬だけ笑みが零れた。
そろそろ制限時間を迎えようかという状態でなおも続く消耗戦。
それに終止符を打つべく、dottoは一言。
dotto「覚悟を決めるしかねえな」
そう言って出したのは、《月光電人オボロカゲロウ》の上に乗る《プラチナ・ワルスラS》、そして《“龍装”チュリス》!!
4ターン目の《“乱振”舞神 G・W・D》で1枚割られたシールドは4枚、そしてdottoの盤面には……5打点!! ちょうどピカリの喉元に刃が届く!
もちろん全軍突撃。ピカリのシールドが次々と割られていく。
これが通ればdottoの勝ち。トリガー《Dの牢閣 メメント守神宮》が出ればピカリに大勢が傾く。
1枚、1枚とシールドが割られていく…
制限時間ギリギリ、最後まで続いたゲーム。
あばばばとの3人で練り上げた最強のデッキ。
このデッキを決勝に持っていくdottoに対して、ピカリは最大限のエールとして、両手を差し出した。
Winner:dotto
dottoは試合終了後、少し涙を浮かべていた。
ピカリは大会終了後、「DMをやってきてで1番楽しくて、一生忘れられないデュエル」とこれを振り返る。
観戦席にいたあばばばに至っては、帰ってから準決勝の生放送を何度も見返すほど。
そう、このデュエルは3人で紡いだ物語。
そして、彼らの大会はもう少しだけ続く。
味方にすれば誰よりも頼もしいであろう、魔王に全てを託して。
あばばば、ピカリ、そしてdotto。
3人の集大成が、最後の1戦へと向かう。
TM and © 2024, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY