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全国大会2018 Round 2:ばんぱく(東京) vs. 北のあーさん(北海道)

 デュエル・マスターズ全国大会2018、その日本一決定戦に集ったのは40名

 彼らは今日この場に立っているというだけで、既にして精鋭中の精鋭たる要件を満たしている。

 なぜなら今年の日本一決定戦に参加するためには、1: 年2回開催されたDMGPで上位に入賞するか、2: 毎年秋ごろに開催されるエリア予選を突破するか、3: DMPランキングで (1と2の権利獲得者を除いた) 上位10名に入るか……そのいずれかの条件を満たす必要があるからだ。

 その中でも、年間を通してDMGPやCSなどに出場し続けることで枠を争うことになるDMPランキングの最上位者たちは、継続的な大会入賞によりその実力を証明したという意味で、間違いなく真の強者であると言うことができる。

 2018年のDMPランキングで権利獲得者を除いて年間2位という圧倒的なパフォーマンスで参加権利を獲得したばんぱくもその一人だ。

 昨年の日本一決定戦に続いての2年連続の出場は、dotto、ギラサキ、おんそく、ばんぱくの4名のみ。昨年は辛くも予選敗退の憂き目にあっただけに、今年こそはという思いも強いことだろう。


 一方対戦相手は、2016年の決勝負けの記憶を乗り越えて北海道エリア予選で悲願の突破を果たした北のあーさん。エリア予選の決勝に2回も進出できるという時点で、彼もまた強者であることは疑いようもない。

 日本一決定戦は初出場だが、今回もいつものように日本全国を股にかけるSkype調整チーム"マラかっち"のサポートを受け、準備万端で乗り込んできた。

ばんぱく「今、2bye圏内ですか?」

北のあーさん「いや、トップ8入らないと2byeにならないんで、予選抜け前提ですね……」

 そんな2人の会話は、4月に迫ったDMGP8thでの不戦勝を獲得するためのDMPランキングに関するもの。最高峰の舞台での対戦を前にしても、早くも次を見据えている。

 それもそのはず、第1回戦では残念ながら両者ともに敗北してしまったため、トップ8で決勝ラウンドへ進出するためには、もはやただ一度の敗北も許されないであろう状態なのだ。

 参加者全員が強者ゆえに、いかなる強者であっても勝ちきれるとは限らない。それが、日本一決定戦という舞台。

 3回戦ある2ブロックラウンドの、その2回戦目。ギリギリの崖っぷちで、強者同士が火花を散らす。
先攻:ばんぱく

 ジャンケンで先攻を取ったのはばんぱく。《煌龍 サッヴァーク》をチャージしてターンを終えると、北のあーさんは《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》をチャージしてターンエンド。続けてばんぱくが《煌世主 サッヴァーク†》チャージから《憤怒スル破面ノ裁キ》を唱えると、北のあーさんも《煌世主 サッヴァーク†》チャージから《憤怒スル破面ノ裁キ》で鏡打ち。

 『絶十サッヴァーク』の同型対決。『青単ムートピア』や『バラギアラ』の出現などによって環境が変化したとはいえ、もともと2ブロックで開催されたDMGP7thの覇者となったアーキタイプだけに、両者ともにトップメタである『赤青覇道』に対しても十分戦えると判断した結果なのだろう。

 だが、こと同型対決となると。はたして2人がどこまでこのマッチアップの準備をしてきたかに、マッチアップの趨勢がかかってきそうだ。

 3ターン目、ばんぱくは2枚目の《煌龍 サッヴァーク》チャージから≪奇石 ミクセル≫を召喚、対して北のあーさんは《煌メク聖戦 絶十》チャージから《剣参ノ裁キ》《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》を手札に加える。表向きの紋章の数では北のあーさんが一歩先んじた形だ。

 さらに《堅珠ノ正裁Z》チャージから《集結ノ正裁Z》で手札を整えて追いすがるばんぱくに対し、北のあーさんが決定的な差を付ける1枚を送り出す。
 《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》。裁きの紋章のコストを下げられる上に追加のドローをももたらしてくれるこのカードがもたらすインパクトは、同型戦においては計り知れない。

 これに対し、ばんぱくは《堅珠ノ正裁Z》チャージからの≪ジャミング・チャフ≫。絶十サッヴァークというデッキはデッキ内の7割近くが呪文で構成されているゆえに、この対決ではほぼ追加ターン獲得に等しい。北のあーさんはやむをえず《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》をチャージしたのみでターンを返すしかない。

 だが、ばんぱくにとっても《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》を対処しないことには根本的な解決にならない。6ターン目、解決策を求めて《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》をチャージから《剣参ノ裁キ》を唱える。

 はたしてその3枚の中に、ばんぱくの求めるカードは……あった。
 《奇石 タスリク》青単ムートピア対策にもなるこのカードならば《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》がいる上でさらに追加の1マナを呪文に要求できる。ばんぱくの構築が光った瞬間だ。

 ばんぱくの目論み通り動きを縛られた北のあーさんは、《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》チャージから5マナで《集結ノ正裁Z》で手札を整えてターンを終えるしかない。

 ついに7ターン目。ここからどのようなゲーム展開に持ち込むべきか、ばんぱくが思考を巡らせる。
 やがて意を決して《煌メク聖戦 絶十》をチャージしたばんぱくは、《煌龍 サッヴァーク》を送り出して目の上のたんこぶだった《超煌ノ裁キ ダイヤモン将》をシールドに貼りつけると、そのシールドを≪奇石 ミクセル≫で割りにいく。

 ここで北のあーさんはマナゾーンに6枚しかカードがないため、《煌世主 サッヴァーク†》を出すことができず、おとなしくシールドを割られるしかない。さらに続けてばんぱくは《奇石 タスリク》で、表向きのカードが3枚貼りついたシールドをも割りにいく。

 北のあーさんも裁きの紋章を2枚捨てて《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》《集結ノ正裁Z》を「サバキZ」で使用するのだが、《煌龍 サッヴァーク》の前では表向きのシールドの数を1枚減らす結果にしかならない。
 それでも北のあーさんも返すターン、コストが重くなって5マナの《転生ノ正裁Z》から裁きの紋章を一気に3枚捨てて《煌メク聖戦 絶十》《煌メク聖戦 絶十》《堅珠ノ正裁Z》と「サバキZ」で出し、《剣参ノ裁キ》から《偽りの王 ナンバーナイン/歓喜の歌》を回収する……のだが、既に残りマナは1マナ。6軽減でも、これを出すことができない。

 《奇石 タスリク》が、いなければ。《剣参ノ裁キ》を唱えても、北のあーさんのマナゾーンにはまだ3マナが立っていたはずだった。やむなく《煌龍 サッヴァーク》を出してターンを返すしかない。

 ターンが返ってきたばんぱくは、明らかに終局までの手筋が見えた様子で《憤怒スル破面ノ裁キ》《剣参ノ裁キ》と唱えると、北のあーさんに最後の確認を行う。

ばんぱく「表4枚ですよね?」

 《煌龍 サッヴァーク》の攻撃時に、《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》。これに対して北のあーさんは今度こそ《煌世主 サッヴァーク†》を出し、≪奇石 ミクセル≫の効果は《煌龍 サッヴァーク》でかわすものの、残りのシールドの数は2枚。これをブロックしても、アンタップした《煌龍 サッヴァーク》に加えて《奇石 タスリク》≪奇石 ミクセル≫がまだ攻撃の機会を窺っている。

 《魂穿ツ煌世ノ正裁Z》《煌龍 サッヴァーク》で封じられてしまっている以上、北のあーさんにこの盤面を覆す手段がないことは、もはやお互いにとって明らかだった。

北のあーさん「……負けで大丈夫です」


Winner:ばんぱく


ばんぱく「たぶんこれ (《奇石 タスリク》)、入ってないですよね?」

北のあーさん「入ってないですね。同型戦どうなんだろうなーと思いつつも……」

 強者が強者たる所以。

 それは自らを強者と自覚しつつも、決して慢心をしないことだ。

 最高峰の舞台であれば、当然自分と同じことを考え、同様のデッキ選択を行うものもいる。

 そう考えて同型と青単ムートピアに強い《奇石 タスリク》を差したばんぱくのデッキ構築が、北のあーさんを上回った戦いとなったのだった。
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