全国大会2018 Round 4:ギラサキ(滋賀) vs. Runo(埼玉)
3戦続いた2ブロックが終わり、Round 4からは殿堂レギュレーションへと移行する。
2ブロックでしっかりと結果を残したギラサキとRunoが、全勝卓で激突することになった。それぞれ関西、関東を代表するプレイヤーだ。
2017年度DMPランキング2位ギラサキは、今シーズンはGP7thで準優勝と実力を見せ付けた。対するRunoは地盤の関東を中心にギリギリまでランキングを走り、苦心の末に全国の切符を勝ち取った。
二人の共通点、それは"強いこと"。
そりゃそうだ、とツッコむ読者諸氏は正しい。だが敢えて勝手なことを書かせていただくと、二人の強さには微妙に違いがあるように見える。
細かなニュアンスではあるが、勝ち方に違いがあるのではないか、と筆者は感じている。
言うならばギラサキは"魅せる強さ"で、Runoは"自然な強さ"だ。観客を沸かせながら時に強力なプレイを発揮して勝つギラサキに対し、Runoは自然なプレイを続けていつの間にか優勢を築き、そのまま勝ってしまう。
ではこの二人が戦うと、どうなるのだろう? ギラサキが魅せるのか、Runoが制すのか。
試合前、二人の間にピリピリした空気はない。デッキのチェック、返却等でマッチングの発表から試合開始まで時間があった。だから少し、雑談も混じる。
ギラサキ「既に1回分のCSくらいの疲れがありますね……」
ギラサキの言葉にRunoも、笑いを浮かべながら同意した。
予選はまだ半分だが、互いに疲労も見え隠れする。それだけ厳しい戦いなのだろう。全勝していてこうなのだから、1敗ラインに立つ者は更にハードな筈だ。
Runo「今年(2019年)はランキング走るんですか?」
ギラサキ「いやぁ、厳しいですね……」
お互い、カードに使える時間は徐々に減っていくとのことだ。2017年にランキングを走って全国大会を決めたギラサキ、2018年にランキングを走ってここに立つRuno。ランキング制度がもたらす重圧、焦燥、過酷さ……経験した者同士にしか分からないものだ。筆者もそれは、想像することしか出来ない。
ギラサキは言う。
ギラサキ「dottoさんとか見てると、すげえなぁってなりますよね……」
やはりこれにも、Runoは同意した。
そしてこれと前後して、ヘッドジャッジのアナウンスが入った。間もなく、試合開始である。
先攻:Runo
先攻はRunoが持った。初手からのチャージは《》、《斬隠蒼頭龍バイケン》。Runoのデッキは『青白緑チェンジザドンジャングル』だ。
対するギラサキは《ヤッタレマン》を召喚と、こちらはジョーカーズの順調な立ち上がり。
3ターン目、Runoは《フェアリー・ライフ》をプレイ、残る2マナで≪奇石 ミクセル≫を召喚する。
ギラサキは「少し考えます」と言うと、手札と対話するかのようにじっと見つめ、時折首を傾げた。あらゆるプレイの先を読んだのか、熟考の末《メイプル超もみ人》をチャージすると、《タイク・タイソンズ》、《ポクチンちん》と召喚する。
ギラサキのデッキは、ジョーカーズはジョーカーズでも『緑ジョーカーズ』だ。このデッキは序盤の安定度と速度を高めることで、ジョーカーズとして強みを早期に、確実に押し付けるデッキだ。反面、防御には不安が残る構築となっている。
だが防御が薄いことは、Runoにとって別にポジティブな要素ではない。むしろ速度と安定度を押し付けられる分、通常の『ゼロジョーカーズ』以上に分が悪い。
さて、盤面に戻ろう。ギラサキの盤面には《ヤッタレマン》、《タイク・タイソンズ》、《ポクチンちん》だ。
特にこの《ポクチンちん》はRunoには苦しい。《超次元エナジー・ホール》から《ブーストグレンオー》を出し、《ヤッタレマン》は処理するが、《ポクチンちん》の対処という宿題を残してターンを返した。
返しのギラサキは、《ジョジョジョ・ジョーカーズ》から《ガヨウ神》を加えると《タイク・タイソンズ》をJチェンジし、先ほどマナに埋めた《メイプル超もみ人》を場に送る。それぞれの効果で累計2ブーストを果たしたギラサキは、≪奇石 ミクセル≫の制限をあっさり抜けた。即ち、続くターンの《ジョット・ガン・ジョラゴン》の着地が視野に入った。
Runoは≪龍装艦 チェンジザ≫を送り込み、≪ジャミング・チャフ≫を唱えるが、これは根本的な解決になっていない。
返しのギラサキは当然《ジョット・ガン・ジョラゴン》。アタック時の効果で《ガヨウ神》を連鎖させ、《アイアン・マンハッタン》、そして≪キング・ザ・スロットン7≫をも連鎖させ、《ソーナンデス》まで場に送り込む。
Runoはこの《ジョット・ガン・ジョラゴン》の攻撃に対し、ニンジャストライクで《怒流牙 佐助の超人》を宣言し、≪龍装艦 チェンジザ≫の効果で≪六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~≫ を手札から捨て、これを唱える。
《ジョット・ガン・ジョラゴン》の攻撃は受けることになるが、このシールドから《ディメンジョン・ゲート》をトリガーさせ、《ドンジャングルS7》を回収する。
だが「さぁ、反撃開始だ」とはならなかった。《アイアン・マンハッタン》の制限が、Runoに重くのしかかっている。
《ドンジャングルS7》召喚して《ジョット・ガン・ジョラゴン》を処理するが、本丸は落城寸前。≪龍装艦 チェンジザ≫も動かし、なんとか≪六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~≫を撃とうとしたが、残念ながら引き込むことは出来なかった。結果、《ドンジャングルS7》の攻撃誘導のみというジョーカーズに対しては余りに心もとない状況でターンを返すしかなかった。
もちろん、こうなればギラサキがあとは寄せを"魅せる"。
まずは《ヤッタレマン》を2体、《メイプル超もみ人》、《ポクチンちん》と並べ、《ソーナンデス》が《ドンジャングルS7》を攻撃時に《ジョット・ガン・ジョラゴン》へとJチェンジ。
場に《ジョット・ガン・ジョラゴン》が2体揃い、準備は整った。《ソーナンデス》効果で≪キング・ザ・スロットン≫が捨てられ、この効果で《燃えるデット・ソード》、そして《ワイルド・シールド・クライマックス》が場に降り立ち、《ドンジャングルS7》、≪奇石 ミクセル≫とRunoの盤面を次々に処理されていく。
最後の砦の《ドンジャングルS7》が陥落し、ギラサキを阻むものはなくなった。
こうなると後は容赦がなかった。《アイアン・マンハッタン》がストックし《ガヨウ神》を絡めて山札を減らし、《ポクチンちん》で戻す。2体の《ジョット・ガン・ジョラゴン》絡めてのチェインが始まると、Runoは逆転の望みがないことを察し、白旗を掲げたのだった。
Winner:ギラサキ
試合後、感想戦が始まった。
Runoは緑のジョーカーズを見たとき、枠の都合上《ワイルド・シールド・クライマックス》の存在を想定しなかったという。だがギラサキは環境的に《ドンジャングルS7》がいることを想定して、《ワイルド・シールド・クライマックス》を採用していた。それはギラサキが《ドンジャングルS7》を中心とするデッキを、評価していたからだろう。
ギラサキもまた、旧環境時代には『チェンジザダンテ』を愛用していた。逆にジョーカーズはあまり使ってなかったという。
ギラサキ「『チェンジザダンテ』は使い慣れてるんんですけど、使い続けるとプレイがおざなりになると思ったんです。だから逆に使い慣れていないジョーカーズを使うことで、丁寧なプレイを意識出来るな、と思いました」
でも緊張はしますね、と残してギラサキはフィーチャー卓を去った。最後のフィニッシュの場面は緊張したらしく、手数が余計に掛かってしまったと反省も忘れなかった。
それでも『緑ジョーカーズ』の強さはRunoに、そして画面の向こうの視聴者にしかと魅せつけた。
対するRunoは、早々に不利なマッチングを強いられ出鼻を挫かれた。
だがRunoの受難はこれでは終わらない。ジョーカーズ環境が、終わらせてくれなかった。断言するが、この日最も多く苦しい試合をしたのはRunoだった。
予選はようやく4回戦を終えたところ。戦いは、まだまだ続く。
2ブロックでしっかりと結果を残したギラサキとRunoが、全勝卓で激突することになった。それぞれ関西、関東を代表するプレイヤーだ。
2017年度DMPランキング2位ギラサキは、今シーズンはGP7thで準優勝と実力を見せ付けた。対するRunoは地盤の関東を中心にギリギリまでランキングを走り、苦心の末に全国の切符を勝ち取った。
二人の共通点、それは"強いこと"。
そりゃそうだ、とツッコむ読者諸氏は正しい。だが敢えて勝手なことを書かせていただくと、二人の強さには微妙に違いがあるように見える。
細かなニュアンスではあるが、勝ち方に違いがあるのではないか、と筆者は感じている。
言うならばギラサキは"魅せる強さ"で、Runoは"自然な強さ"だ。観客を沸かせながら時に強力なプレイを発揮して勝つギラサキに対し、Runoは自然なプレイを続けていつの間にか優勢を築き、そのまま勝ってしまう。
ではこの二人が戦うと、どうなるのだろう? ギラサキが魅せるのか、Runoが制すのか。
試合前、二人の間にピリピリした空気はない。デッキのチェック、返却等でマッチングの発表から試合開始まで時間があった。だから少し、雑談も混じる。
ギラサキ「既に1回分のCSくらいの疲れがありますね……」
ギラサキの言葉にRunoも、笑いを浮かべながら同意した。
予選はまだ半分だが、互いに疲労も見え隠れする。それだけ厳しい戦いなのだろう。全勝していてこうなのだから、1敗ラインに立つ者は更にハードな筈だ。
Runo「今年(2019年)はランキング走るんですか?」
ギラサキ「いやぁ、厳しいですね……」
お互い、カードに使える時間は徐々に減っていくとのことだ。2017年にランキングを走って全国大会を決めたギラサキ、2018年にランキングを走ってここに立つRuno。ランキング制度がもたらす重圧、焦燥、過酷さ……経験した者同士にしか分からないものだ。筆者もそれは、想像することしか出来ない。
ギラサキは言う。
ギラサキ「dottoさんとか見てると、すげえなぁってなりますよね……」
やはりこれにも、Runoは同意した。
そしてこれと前後して、ヘッドジャッジのアナウンスが入った。間もなく、試合開始である。
先攻:Runo
先攻はRunoが持った。初手からのチャージは《》、《斬隠蒼頭龍バイケン》。Runoのデッキは『青白緑チェンジザドンジャングル』だ。
対するギラサキは《ヤッタレマン》を召喚と、こちらはジョーカーズの順調な立ち上がり。
3ターン目、Runoは《フェアリー・ライフ》をプレイ、残る2マナで≪奇石 ミクセル≫を召喚する。
ギラサキは「少し考えます」と言うと、手札と対話するかのようにじっと見つめ、時折首を傾げた。あらゆるプレイの先を読んだのか、熟考の末《メイプル超もみ人》をチャージすると、《タイク・タイソンズ》、《ポクチンちん》と召喚する。
ギラサキのデッキは、ジョーカーズはジョーカーズでも『緑ジョーカーズ』だ。このデッキは序盤の安定度と速度を高めることで、ジョーカーズとして強みを早期に、確実に押し付けるデッキだ。反面、防御には不安が残る構築となっている。
だが防御が薄いことは、Runoにとって別にポジティブな要素ではない。むしろ速度と安定度を押し付けられる分、通常の『ゼロジョーカーズ』以上に分が悪い。
さて、盤面に戻ろう。ギラサキの盤面には《ヤッタレマン》、《タイク・タイソンズ》、《ポクチンちん》だ。
特にこの《ポクチンちん》はRunoには苦しい。《超次元エナジー・ホール》から《ブーストグレンオー》を出し、《ヤッタレマン》は処理するが、《ポクチンちん》の対処という宿題を残してターンを返した。
返しのギラサキは、《ジョジョジョ・ジョーカーズ》から《ガヨウ神》を加えると《タイク・タイソンズ》をJチェンジし、先ほどマナに埋めた《メイプル超もみ人》を場に送る。それぞれの効果で累計2ブーストを果たしたギラサキは、≪奇石 ミクセル≫の制限をあっさり抜けた。即ち、続くターンの《ジョット・ガン・ジョラゴン》の着地が視野に入った。
Runoは≪龍装艦 チェンジザ≫を送り込み、≪ジャミング・チャフ≫を唱えるが、これは根本的な解決になっていない。
返しのギラサキは当然《ジョット・ガン・ジョラゴン》。アタック時の効果で《ガヨウ神》を連鎖させ、《アイアン・マンハッタン》、そして≪キング・ザ・スロットン7≫をも連鎖させ、《ソーナンデス》まで場に送り込む。
Runoはこの《ジョット・ガン・ジョラゴン》の攻撃に対し、ニンジャストライクで《怒流牙 佐助の超人》を宣言し、≪龍装艦 チェンジザ≫の効果で≪六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~≫ を手札から捨て、これを唱える。
《ジョット・ガン・ジョラゴン》の攻撃は受けることになるが、このシールドから《ディメンジョン・ゲート》をトリガーさせ、《ドンジャングルS7》を回収する。
だが「さぁ、反撃開始だ」とはならなかった。《アイアン・マンハッタン》の制限が、Runoに重くのしかかっている。
《ドンジャングルS7》召喚して《ジョット・ガン・ジョラゴン》を処理するが、本丸は落城寸前。≪龍装艦 チェンジザ≫も動かし、なんとか≪六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~≫を撃とうとしたが、残念ながら引き込むことは出来なかった。結果、《ドンジャングルS7》の攻撃誘導のみというジョーカーズに対しては余りに心もとない状況でターンを返すしかなかった。
もちろん、こうなればギラサキがあとは寄せを"魅せる"。
まずは《ヤッタレマン》を2体、《メイプル超もみ人》、《ポクチンちん》と並べ、《ソーナンデス》が《ドンジャングルS7》を攻撃時に《ジョット・ガン・ジョラゴン》へとJチェンジ。
場に《ジョット・ガン・ジョラゴン》が2体揃い、準備は整った。《ソーナンデス》効果で≪キング・ザ・スロットン≫が捨てられ、この効果で《燃えるデット・ソード》、そして《ワイルド・シールド・クライマックス》が場に降り立ち、《ドンジャングルS7》、≪奇石 ミクセル≫とRunoの盤面を次々に処理されていく。
最後の砦の《ドンジャングルS7》が陥落し、ギラサキを阻むものはなくなった。
こうなると後は容赦がなかった。《アイアン・マンハッタン》がストックし《ガヨウ神》を絡めて山札を減らし、《ポクチンちん》で戻す。2体の《ジョット・ガン・ジョラゴン》絡めてのチェインが始まると、Runoは逆転の望みがないことを察し、白旗を掲げたのだった。
Winner:ギラサキ
試合後、感想戦が始まった。
Runoは緑のジョーカーズを見たとき、枠の都合上《ワイルド・シールド・クライマックス》の存在を想定しなかったという。だがギラサキは環境的に《ドンジャングルS7》がいることを想定して、《ワイルド・シールド・クライマックス》を採用していた。それはギラサキが《ドンジャングルS7》を中心とするデッキを、評価していたからだろう。
ギラサキもまた、旧環境時代には『チェンジザダンテ』を愛用していた。逆にジョーカーズはあまり使ってなかったという。
ギラサキ「『チェンジザダンテ』は使い慣れてるんんですけど、使い続けるとプレイがおざなりになると思ったんです。だから逆に使い慣れていないジョーカーズを使うことで、丁寧なプレイを意識出来るな、と思いました」
でも緊張はしますね、と残してギラサキはフィーチャー卓を去った。最後のフィニッシュの場面は緊張したらしく、手数が余計に掛かってしまったと反省も忘れなかった。
それでも『緑ジョーカーズ』の強さはRunoに、そして画面の向こうの視聴者にしかと魅せつけた。
対するRunoは、早々に不利なマッチングを強いられ出鼻を挫かれた。
だがRunoの受難はこれでは終わらない。ジョーカーズ環境が、終わらせてくれなかった。断言するが、この日最も多く苦しい試合をしたのはRunoだった。
予選はようやく4回戦を終えたところ。戦いは、まだまだ続く。
TM and © 2024, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY