全国大会2018:メタゲームブレイクダウン~2ブロック構築~
今年の全国大会は予選の1~3回戦を2ブロック構築、4回戦以降を殿堂構築で戦うというレギュレーションだ。即ち、2ブロック・殿堂それぞれの実力が問われている。
殆どのプレイヤーにとって不慣れなレギュレーション。各々、手探りのデッキ選択・調整となった筈だ。
そうした中で、各プレイヤーはどのような思考でどのようなデッキを選択したのだろうか?
ここでは2ブロック構築について取り上げ、各プレイヤーの選択やその過程を踏まえつつ、環境の分析を行っていきたい。
「2ブロックはカードもデッキも出揃っているので、(新殿堂施行前の)2月中に練習を終わらせることが可能だった」(dotto)
「『火水クラッシュ覇道』を使ってきたので、このデッキに慣れているし自信もあった」(同上)
「殿堂と2ブロックの練習量で言えば、殿堂9割の2ブロック1割だった。『闇単デ・スザーク』は殿堂で使えないことがわかっていたので他のデッキを使う必要があったが、2ブロックの『闇単デ・スザーク』はある程度目途が立っていた。プレイにも自信があったので、その分の時間を殿堂に使うことができた」(ZweiLance)
こうしたプレイヤーの言葉にもあるように、今大会の2ブロックは調整の段階でかなり計算が立つレギュレーションだったのだ。特に今まで培ってきたノウハウがそのまま生かせるというのは、2ブロックを練習してきたプレイヤーにとっては大きなアドバンテージだったに違いない。
一方でこうした環境であるということは新規デッキが生まれにくいということも意味しており、それは以下の分布表にも如実に示されている。
ではまず、アーキタイプの分布を確認したい。
今回新規デッキを持ち込んだプレイヤーは殆どおらず、『火水クラッシュ覇道』と『光ゼロサッヴァーク』の合計が全体の半数を占める結果となった。
だがこの数字以上に『火水クラッシュ覇道』の存在は大きかった。それは殿堂環境で圧倒的な力を見せつけた『ジョーカーズ』の使用者が一人もいないことからも窺い知ることが出来るだろう。
また各プレイヤーに話を聞く限り、「2ブロックは3試合しかなく、2-1すれば良し」と考えるプレイヤーも多かった。
こうした考えもまた、保守的なデッキ選択となった要因の一つであろう。冒険をするよりも、まずは実績のあるデッキを使って2勝し、“スタートライン”に立った方が効率が良いからだ。
だが、既存のデッキから果たして「何を選ぶ」のか。そこはプレイヤーの選択の分かれ目であった。
「覇道を後手から5割取れるデッキを白梟くんと探したが、結局最後まで見つからなかった」(Runo)
「間違いなく同型戦で多いので、それを踏まえた構築にした」(dotto)
他のデッキを土俵に立たせない。これが『覇道』の強さだ。
2ブロックは2勝すればひとまず及第と考えるプレイヤーが多い中で、もっとも安定した選択肢であったろう。
下馬評では一強環境を築くのではないかとも思われていたが、それでも総数は思ったよりも伸び切らなかった。
理由としては、この選択をすることにそれなりのリスクを伴っていたからだろう。
まず使用にあたっては、多数の同型戦を想定せねばならない。同型戦で有効な《ゼンメツー・スクラッパー》はコントロールデッキには腐り札となりやすく、採用に制限がある。
また、事前に最大母数だと認識されていたことで、『光ゼロサッヴァーク』へと流れるプレイヤーが増えた。結果的に使用者が減ったのである。
速いデッキによる同型戦を嫌うプレイヤーは多い。一強と思われた『火水クラッシュ覇道』が想定より少なかったことは、環境に僅かに変化をもたらし、その恩恵を別のデッキが授かっていくこととなる。
《煌龍 サッヴァーク》、《煌世主 サッヴァーク†》という2種のサッヴァークのカードパワーと、それを支える「裁キノ紋章」によって高い防御力を有する『光ゼロサッヴァーク』。
『火水クラッシュ覇道』がトップであるという想定は容易で、だからこそある程度有利に戦える『光ゼロサッヴァーク』を使用する理由が存在した。
優勝したギラサキを始め、準優勝のゴリえもん、当時ランキング1位だったユーリ、ばんぱくといった全国大会の中でも注目のプレイヤーたちがこのデッキを選択していたのも印象的だ。
彼らが一様に語ったのは、やはり『火水クラッシュ覇道』の存在だ。
「普段から練習している『火水クラッシュ覇道』は最高レベルのプレイヤーたちで、彼らとある程度戦えるのなら全国大会も『光ゼロサッヴァーク』でいけると思った」(ギラサキ)
「『火水クラッシュ覇道』は“バグ”みたいな強さで、その『覇道』に対して戦えるのが『トリガービート』と『光ゼロサッヴァーク』しかなかった。前者は他のマッチングにかなり不安を残すが、『光ゼロサッヴァーク』ならば3-0は難しくとも2-1の成績は残せるだろう、と」(ユーリ)
なお、ユーリやばんぱくらは、この同型戦が増えることまで見越して《奇石 タスリク》も採用していた。
この目論見は当たり、ギラサキは2ブロックを3-0で通過。ユーリも2-1でまとめた他、『光ゼロサッヴァーク』を選択した9人のプレイヤーのうち実に6人が2勝以上の成果を残している。彼らのプレイが優れているのは事実としても、勝ち組デッキだったことは間違いないだろう。
つまり、全国的に広く強いと認識されてわけではなく、限定された地域内に練り上げられたデッキだったのだ。
こうした分布となったのは、やはり『火水クラッシュ覇道』の存在が大きいだろう。より速度を出す構築が多い中で、殿堂環境と違い《Dの牢閣 メメント守神宮》が使えない以上、決して分の良い相手はとは言えない。
だが、結果的に彼らは勝ち組の一つとなった。
「『覇道』使う気だったが、前日調整でchaserさんとp-90さんのデッキを見てたら『バラギアラ』を使ってた。『覇道』と回してみたら思ったよりも取れてたんで、そこで『バラギアラ』に変更を決めた」(Runo)
これはかなり思い切った変更だったが、この決断は功を奏した。使用者5人のうち4人が2勝以上を挙げると、Runoは3-0。そのまま予選を抜け、白梟も9位とあと一歩のところに迫ったのだ。
この結果を生み出したのは何か。
彼らが殿堂環境でずっと『チェンジザダンテ』を使用しており、ビッグマナ系統に対する理解が深かったのは大きい。
そこに加えて、『光ゼロサッヴァーク』が思った以上に台頭したことも追い風となった。長期戦に於いては無類の強さを発揮する『バラギアラ』は、『光ゼロサッヴァーク』の相手を得意とする。『覇道』に勝ちにきた『サッヴァーク』を上手く捕らえたのだ。もし『火水クラッシュ覇道』の数がもうすこし多く、『光ゼロサッヴァーク』がもうすこし少なかったら、或いは違う結果となったかもしれない。
そして『バラギアラ』には、『火水クラッシュ覇道』にも負けない圧倒的なデッキパワーがある。もちろん『バラギアラ』自身も事故の起こりやすいデッキではあるが、相手が少しでも躓くと「天地」を「鳴動」させてしまう程の力を持っているのである。
『闇単デ・スザーク』の使い手、ZweiLanceは今回の選択を次のように振り返った。
「全国大会では『赤白轟轟轟ブランド』のようなデッキよりも、(『光ゼロサッヴァーク』や『バラギアラ』といった)堅実なデッキを選択する人が多いと思っていた。そうしたデッキには《追憶人形ラビリピト》が強力に刺さるし、殿堂よりもデッキに枠があるから《堕魔 グリペイジ》も枚数取れて『火水クラッシュ覇道』とも充分戦える」(ZweiLance)
結果、環境は想定の範囲内であった。本人が「及第点」とした2-1の成績でまとめ、最終的に予選突破を果たしている。
もちろん、このデッキを扱うのは難しい。実際、4人いた『闇単デ・スザーク』で2勝以上の成績を残したのはZweiLanceのみ。デッキパワーという意味では、上記の強力なデッキ群に及ばなかったのは事実だろう。
多くのプレイヤーが安定した結果を求める一方で、果敢に挑んだプレイヤーも少なからずいた。
デッキパワーは低いながらも『火水クラッシュ覇道』に大きく有利を取れる『トリガービート』を選択したカゲロウの勇気と決断力は称賛に値するだろう。このデッキは『光ゼロサッヴァーク』や『バラギアラ』に当たるとひとたまりもないが、速度で勝負するデッキには無類の強さを発揮する。
結果的に1-2と成績は振るわなかったが、間違いなく勝負にいったデッキ選択だった。
また、この3試合のために新たにデッキを作ってきたのがGP7th優勝のえんがわだ。彼が使用した『火単tクロックビートジョッキー』はジャッジ大会にてムラカミ@くわけんが使用した『火単ビートジョッキー』とはまた違うアプローチで作成された。≪マグナム・ルピア/クリムゾン・チャージャー≫を採用することで『光ゼロサッヴァーク』等への対抗手段を確保し、《“轟轟轟”ブランド》《“罰怒“ブランド》という二種のブランド、《ダチッコ・チュリス》+《》という『火水クラッシュ覇道』にはないギミックを採用している。殴り合いになった際は、シールドの《終末の時計 ザ・クロック》に懸けて五分に持ち込む。
「今回は3-0を狙いに行きました」(えんがわ)
と本人が語ったが、新たなデッキを作って全勝を目指した人は他にいなかっただろう。
最終的にRunoに破れて2-1となったものの、えんがわは予選を5-1でまとめベスト8へ進出を決めている。
前評判通り『火水クラッシュ覇道』を使う者。これを倒すべく『光ゼロサッヴァーク』を選択する者。自身のプレイスタイルとポテンシャルを信じて『バラギアラ』を選ぶ者。『火水クラッシュ覇道』と戦えて、『光ゼロサッヴァーク』『バラギアラ』に有利を取れる『闇単デ・スザーク』を選んだ者……。
40人の様々な思惑を、このデッキ分布から汲み取って欲しい。
さて、予選も前半の3試合を終えた。
大会は殿堂フォーマットへと移行していく。
殆どのプレイヤーにとって不慣れなレギュレーション。各々、手探りのデッキ選択・調整となった筈だ。
そうした中で、各プレイヤーはどのような思考でどのようなデッキを選択したのだろうか?
ここでは2ブロック構築について取り上げ、各プレイヤーの選択やその過程を踏まえつつ、環境の分析を行っていきたい。
現行ブロックの集大成となった2ブロック構築
殿堂環境で3月に新殿堂が施行された一方で、2ブロックに於いてはその影響は殆どなかった。この全国大会は、新DM+双極編の集大成となる大会になった。「2ブロックはカードもデッキも出揃っているので、(新殿堂施行前の)2月中に練習を終わらせることが可能だった」(dotto)
「『火水クラッシュ覇道』を使ってきたので、このデッキに慣れているし自信もあった」(同上)
「殿堂と2ブロックの練習量で言えば、殿堂9割の2ブロック1割だった。『闇単デ・スザーク』は殿堂で使えないことがわかっていたので他のデッキを使う必要があったが、2ブロックの『闇単デ・スザーク』はある程度目途が立っていた。プレイにも自信があったので、その分の時間を殿堂に使うことができた」(ZweiLance)
こうしたプレイヤーの言葉にもあるように、今大会の2ブロックは調整の段階でかなり計算が立つレギュレーションだったのだ。特に今まで培ってきたノウハウがそのまま生かせるというのは、2ブロックを練習してきたプレイヤーにとっては大きなアドバンテージだったに違いない。
一方でこうした環境であるということは新規デッキが生まれにくいということも意味しており、それは以下の分布表にも如実に示されている。
ではまず、アーキタイプの分布を確認したい。
アーキタイプ | 使用者数 | 2勝以上 | 3勝 |
火水クラッシュ覇道 | 12 | 5 | 1 |
光ゼロサッヴァーク | 9 | 6 | 2 |
バラギアラ | 5 | 4 | 1 |
闇単デ・スザーク | 4 | 1 | 0 |
火光轟轟轟ブランド | 3 | 1 | 1 |
水魔導具 | 2 | 1 | 0 |
オボロティガウォック | 1 | 0 | 0 |
水光自然ツインパクト | 1 | 0 | 0 |
水単ムートピア | 1 | 1 | 0 |
トリガービート | 1 | 0 | 0 |
火単轟轟轟ブランド | 1 | 1 | 0 |
合計 | 40 | 20 | 5 |
今回新規デッキを持ち込んだプレイヤーは殆どおらず、『火水クラッシュ覇道』と『光ゼロサッヴァーク』の合計が全体の半数を占める結果となった。
だがこの数字以上に『火水クラッシュ覇道』の存在は大きかった。それは殿堂環境で圧倒的な力を見せつけた『ジョーカーズ』の使用者が一人もいないことからも窺い知ることが出来るだろう。
また各プレイヤーに話を聞く限り、「2ブロックは3試合しかなく、2-1すれば良し」と考えるプレイヤーも多かった。
こうした考えもまた、保守的なデッキ選択となった要因の一つであろう。冒険をするよりも、まずは実績のあるデッキを使って2勝し、“スタートライン”に立った方が効率が良いからだ。
だが、既存のデッキから果たして「何を選ぶ」のか。そこはプレイヤーの選択の分かれ目であった。
各アーキタイプについて
火水クラッシュ覇道
今年のエリア予選の王者は、全国の舞台に於いても絶対数でトップに立った。その存在感は圧倒的で、試合前の段階でこのデッキに勝ちにくいデッキを環境の外へと追いやったのである。「覇道を後手から5割取れるデッキを白梟くんと探したが、結局最後まで見つからなかった」(Runo)
「間違いなく同型戦で多いので、それを踏まえた構築にした」(dotto)
他のデッキを土俵に立たせない。これが『覇道』の強さだ。
2ブロックは2勝すればひとまず及第と考えるプレイヤーが多い中で、もっとも安定した選択肢であったろう。
下馬評では一強環境を築くのではないかとも思われていたが、それでも総数は思ったよりも伸び切らなかった。
理由としては、この選択をすることにそれなりのリスクを伴っていたからだろう。
まず使用にあたっては、多数の同型戦を想定せねばならない。同型戦で有効な《ゼンメツー・スクラッパー》はコントロールデッキには腐り札となりやすく、採用に制限がある。
また、事前に最大母数だと認識されていたことで、『光ゼロサッヴァーク』へと流れるプレイヤーが増えた。結果的に使用者が減ったのである。
速いデッキによる同型戦を嫌うプレイヤーは多い。一強と思われた『火水クラッシュ覇道』が想定より少なかったことは、環境に僅かに変化をもたらし、その恩恵を別のデッキが授かっていくこととなる。
光ゼロサッヴァーク
『火水クラッシュ覇道』がトップであるという想定は容易で、だからこそある程度有利に戦える『光ゼロサッヴァーク』を使用する理由が存在した。
優勝したギラサキを始め、準優勝のゴリえもん、当時ランキング1位だったユーリ、ばんぱくといった全国大会の中でも注目のプレイヤーたちがこのデッキを選択していたのも印象的だ。
彼らが一様に語ったのは、やはり『火水クラッシュ覇道』の存在だ。
「普段から練習している『火水クラッシュ覇道』は最高レベルのプレイヤーたちで、彼らとある程度戦えるのなら全国大会も『光ゼロサッヴァーク』でいけると思った」(ギラサキ)
「『火水クラッシュ覇道』は“バグ”みたいな強さで、その『覇道』に対して戦えるのが『トリガービート』と『光ゼロサッヴァーク』しかなかった。前者は他のマッチングにかなり不安を残すが、『光ゼロサッヴァーク』ならば3-0は難しくとも2-1の成績は残せるだろう、と」(ユーリ)
なお、ユーリやばんぱくらは、この同型戦が増えることまで見越して《奇石 タスリク》も採用していた。
この目論見は当たり、ギラサキは2ブロックを3-0で通過。ユーリも2-1でまとめた他、『光ゼロサッヴァーク』を選択した9人のプレイヤーのうち実に6人が2勝以上の成果を残している。彼らのプレイが優れているのは事実としても、勝ち組デッキだったことは間違いないだろう。
バラギアラ
関東大会でユーリに優勝をもたらした『バラギアラ』は、今大会でも環境の一つと考えられた。だが総数自体はそれほど多くなく、使用者も北関東・南東北の白梟、chaser、p-90や彼らと交流の深いRunoらが4人で共有した格好だ。(残る一人は5c使いとして馴染み深いどてら)つまり、全国的に広く強いと認識されてわけではなく、限定された地域内に練り上げられたデッキだったのだ。
こうした分布となったのは、やはり『火水クラッシュ覇道』の存在が大きいだろう。より速度を出す構築が多い中で、殿堂環境と違い《Dの牢閣 メメント守神宮》が使えない以上、決して分の良い相手はとは言えない。
だが、結果的に彼らは勝ち組の一つとなった。
「『覇道』使う気だったが、前日調整でchaserさんとp-90さんのデッキを見てたら『バラギアラ』を使ってた。『覇道』と回してみたら思ったよりも取れてたんで、そこで『バラギアラ』に変更を決めた」(Runo)
これはかなり思い切った変更だったが、この決断は功を奏した。使用者5人のうち4人が2勝以上を挙げると、Runoは3-0。そのまま予選を抜け、白梟も9位とあと一歩のところに迫ったのだ。
この結果を生み出したのは何か。
彼らが殿堂環境でずっと『チェンジザダンテ』を使用しており、ビッグマナ系統に対する理解が深かったのは大きい。
そこに加えて、『光ゼロサッヴァーク』が思った以上に台頭したことも追い風となった。長期戦に於いては無類の強さを発揮する『バラギアラ』は、『光ゼロサッヴァーク』の相手を得意とする。『覇道』に勝ちにきた『サッヴァーク』を上手く捕らえたのだ。もし『火水クラッシュ覇道』の数がもうすこし多く、『光ゼロサッヴァーク』がもうすこし少なかったら、或いは違う結果となったかもしれない。
そして『バラギアラ』には、『火水クラッシュ覇道』にも負けない圧倒的なデッキパワーがある。もちろん『バラギアラ』自身も事故の起こりやすいデッキではあるが、相手が少しでも躓くと「天地」を「鳴動」させてしまう程の力を持っているのである。
闇単デ・スザーク
殿堂環境ではかなり厳しい立ち位置の『闇単デ・スザーク』だが、2ブロック環境では目立った弱点もなく不利な相手は殆どいないという優良デッキであった。『闇単デ・スザーク』の使い手、ZweiLanceは今回の選択を次のように振り返った。
「全国大会では『赤白轟轟轟ブランド』のようなデッキよりも、(『光ゼロサッヴァーク』や『バラギアラ』といった)堅実なデッキを選択する人が多いと思っていた。そうしたデッキには《追憶人形ラビリピト》が強力に刺さるし、殿堂よりもデッキに枠があるから《堕魔 グリペイジ》も枚数取れて『火水クラッシュ覇道』とも充分戦える」(ZweiLance)
結果、環境は想定の範囲内であった。本人が「及第点」とした2-1の成績でまとめ、最終的に予選突破を果たしている。
もちろん、このデッキを扱うのは難しい。実際、4人いた『闇単デ・スザーク』で2勝以上の成績を残したのはZweiLanceのみ。デッキパワーという意味では、上記の強力なデッキ群に及ばなかったのは事実だろう。
その他
デッキパワーは低いながらも『火水クラッシュ覇道』に大きく有利を取れる『トリガービート』を選択したカゲロウの勇気と決断力は称賛に値するだろう。このデッキは『光ゼロサッヴァーク』や『バラギアラ』に当たるとひとたまりもないが、速度で勝負するデッキには無類の強さを発揮する。
結果的に1-2と成績は振るわなかったが、間違いなく勝負にいったデッキ選択だった。
また、この3試合のために新たにデッキを作ってきたのがGP7th優勝のえんがわだ。彼が使用した『火単tクロックビートジョッキー』はジャッジ大会にてムラカミ@くわけんが使用した『火単ビートジョッキー』とはまた違うアプローチで作成された。≪マグナム・ルピア/クリムゾン・チャージャー≫を採用することで『光ゼロサッヴァーク』等への対抗手段を確保し、《“轟轟轟”ブランド》《“罰怒“ブランド》という二種のブランド、《ダチッコ・チュリス》+《》という『火水クラッシュ覇道』にはないギミックを採用している。殴り合いになった際は、シールドの《終末の時計 ザ・クロック》に懸けて五分に持ち込む。
「今回は3-0を狙いに行きました」(えんがわ)
と本人が語ったが、新たなデッキを作って全勝を目指した人は他にいなかっただろう。
最終的にRunoに破れて2-1となったものの、えんがわは予選を5-1でまとめベスト8へ進出を決めている。
まとめ
繰り返しになるが、今大会はまず『火水クラッシュ覇道』という絶対的な存在があり、そこに対してどうアプローチしていくかが各プレイヤーに委ねられた。前評判通り『火水クラッシュ覇道』を使う者。これを倒すべく『光ゼロサッヴァーク』を選択する者。自身のプレイスタイルとポテンシャルを信じて『バラギアラ』を選ぶ者。『火水クラッシュ覇道』と戦えて、『光ゼロサッヴァーク』『バラギアラ』に有利を取れる『闇単デ・スザーク』を選んだ者……。
40人の様々な思惑を、このデッキ分布から汲み取って欲しい。
さて、予選も前半の3試合を終えた。
大会は殿堂フォーマットへと移行していく。
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