全国大会2019 準決勝:おんそく(東京都)vs. セキボン(北海道)
ライター:小林 龍之介
撮影者:後長 京介
「関西のアイドル」おんそくとセキボン。
おんそくはGP8th DAY1で、セキボンはGP8th DAY2で全国大会の出場権を得た。
古くから活躍するプレイヤーであり、YouTubeに出演していることも共通点である。
言葉少なにシャッフルを進めていく2人。ここまでくればあとは互いのプレイで語り合うのみ。
GAME1
先攻:おんそく先に動いたのはセキボンだ。2ターン目に《禁断英雄 モモキングダムX》で《未来王龍 モモキングJO》を準備する。
おんそくは《豊潤フォージュン》でブーストしながらドローを進める。
3ターン目、セキボンは小さく「よしっ」と呟くと、ノーチャージで《バッドドッグ・マニアクス》を唱えて《未来王龍 モモキングJO》を開放する。
早くもゲームは動き出した。
最初のアタックでは《キャンベロ <レッゾ.Star>》へと侵略しW・ブレイク。これはそのまま通る。
次のアタックも《キャンベロ <レッゾ.Star>》へ侵略しW・ブレイク。これもそのまま通る。
3度目のアタックは《アルカディアス・モモキング》を乗せて最後のシールドをブレイク。
ここでもS・トリガーは無かった。
一見勝ったように思えるが、おんそくのマナには《一王二命三眼槍》が見えている。【邪王門カツキング】デッキは盾0枚になってからが勝負なのだ。
セキボンは《百鬼の邪王門》を最も警戒すべきカードと考え、《アルカディアス・モモキング》を剥がさずにターンエンドした。実際におんそくは《百鬼の邪王門》を抱えて待ち構えていた。逸る気持ちを抑えれば確実な勝利に繋がる。
召喚制限、呪文制限、タップインとがんじがらめで帰ってきたターンだが、おんそくはこの展開を予想し手札を整えていた。
4マナで《奇天烈 シャッフ》を召喚し、”6”を宣言して《アルカディアス・モモキング》の動きを止めたのだ。
肩透かしを喰らった形のセキボン。
しかし、一旦《未来王龍 モモキングJO》に退化すれば《奇天烈 シャッフ》の6縛りから抜けてアタックが可能になる。
セキボンは《バッドドッグ・マニアクス》用の火1マナを残しながら《進化設計図》を唱えた。ここで《アルカディアス・モモキング》が加われば《百鬼の邪王門》をケアして詰められる。……が、捲れた進化は《キャンベロ <レッゾ.Star>》1枚のみ。
《百鬼の邪王門》から簡単に受けられてしまう攻撃しかできないため、相手の動きが弱いことを願い《アルカディアス・モモキング》を残してターンを終了した。
厳しい時間を切り抜けたおんそく。《キャンベロ <レッゾ.Star>》の縛りから解放され、ここから美しい反撃が始まる。
まずは《ダンディ・ナスオ》で《アルカディアス・モモキング》のタップインを処理し、5マナで《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を召喚。《百鬼の邪王門》を手札に加えながら《アルカディアス・モモキング》をバウンスした。
これでおんそくを縛るものは何もない。
《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》で《未来王龍 モモキングJO》にアタックするとき、《蒼き団長 ドギラゴン剣》に革命チェンジしながら《百鬼の邪王門》を2枚唱える。
《百鬼の邪王門》2枚からは《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》が2体並び、《蒼き団長 ドギラゴン剣》の効果で《一王二命三眼槍》が出てくる。鬼エンドが発動し、デッキの下から出てきたのは先ほど一旦仕舞われた《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》。
《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》の効果で手札に《バサラ》《一王二命三眼槍》まで揃えたおんそく。
一瞬で並んだ多色の軍勢がセキボンを打ち砕いた。
GAME2
先攻:セキボンセキボンは順調に2マナで《禁断英雄 モモキングダムX》を召喚し、退化の準備を整える。
動きのないおんそくに対して、3ターン目にノーチャージで《》を呪文面で放ち、退化しつつ手札を補充するセキボン。
《未来王龍 モモキングJO》のアタック時、《神帝英雄 ゴッド・モモキング》を乗せてW・ブレイク。ここでは《フェアリー・Re:ライフ》のG・ストライクが発動して動きが止まる。
3キルは防いだものの、おんそくは《天災 デドダム》でリソースを伸ばすのみ。まだセキボンの攻勢は続く。
≪堕牛の一撃≫で再び現れた《未来王龍 モモキングJO》は、《禁断のモモキングダム》に進化してW・ブレイク。S・トリガーはない。
次のアタックで《禁断のモモキングダム》2枚目が最後のシールドをブレイクする。S・トリガーはない。
《アルカディアス・モモキング》を乗せてのダイレクトアタックは《一王二命三眼槍》が受け止めた。
ここで考えるセキボン。1ゲーム目と似た《アルカディアス・モモキング》を残すかどうかという状況だが、セキボンの脳裏にある考えがよぎった。
セキボン「相手のデッキには《バサラ》がある。」
1ゲーム目で得た情報は無駄にできない。ここで《バサラ》が出てきたらセキボンの盤面は崩壊してほぼ負け確定だが、無かった場合のリターンは大きい。
1ゲーム目と違い手札は潤沢にある。《奇天烈 シャッフ》で6宣言されても次の《未来王龍 モモキングJO》を用意するのは簡単だ。
《バサラ》はあるのかないのか。
おんそくの二重三重に張り巡らされたトラップを、セキボンは慎重に読み解いていく。
セキボン「1ゲーム目であえて見せてきたということは、逆に《バサラ》の枚数は少ないのではないか」
セキボンが導き出した答えは、《バサラ》の存在を割り切ってのターンエンド。
おんそくのデッキに採用された《バサラ》は2枚。そして、手札には0枚。
このターンエンドの勇気がセキボンを勝利に導いた。
《奇天烈 シャッフ》が6を宣言するが、《アルカディアス・モモキング》を従えた2体目の《未来王龍 モモキングJO》がおんそくの罠を貫いた。
なお、最終ターンのトップドローが《バサラ》だったこと、おんそくは全くそれを表情に出さなかったことを記録しておこう。
GAME3
先攻:おんそくこのゲームでもセキボンの2ターン《禁断英雄 モモキングダムX》がファーストアクションとなる。
《フェアリー・Re:ライフ》でマナを伸ばすのみのおんそくに対して、セキボンは止まらない。
《進化設計図》で《禁断のモモキングダム》と《神帝英雄 ゴッド・モモキング》加えて、《バッドドッグ・マニアクス》で《未来王龍 モモキングJO》を開放する。
最初のアタックでは《キャンベロ <レッゾ.Star>》侵略と《神帝英雄 ゴッド・モモキング》を乗せてW・ブレイク。《神帝英雄 ゴッド・モモキング》の効果で2ドローし《禁断のモモキングダム》を捨ててアンタップ。
再び《神帝英雄 ゴッド・モモキング》のW・ブレイク。2ドローし《禁断のモモキングダム》を捨ててアンタップ。
3度目のアタックでもS・トリガーはない。2ドローし《未来王龍 モモキングJO》を捨ててアンタップ。
さて、おんそくのシールドが無くなった。ここからが本番だ。
ここまでの2ゲームでは《アルカディアス・モモキング》による《百鬼の邪王門》ケアを目指してきたセキボンだが、3ゲーム目では《アルカディアス・モモキング》が見つからないときのプレイを魅せてくれた。
ダイレクトアタックに向かう際に《キャンベロ <レッゾ.Star>》へと侵略。
これで《未来王龍 モモキングJO》→《キャンベロ <レッゾ.Star>》→《神帝英雄 ゴッド・モモキング》→《キャンベロ <レッゾ.Star>》の4回除去要求となる。
このスター進化の強みを活かした要求に対しておんそくの手札にあるのは《百鬼の邪王門》1枚のみ!
祈るように捲られたのは、呪文2枚と《バサラ》2枚だった。
おんそくは静かに「負けですね」と頭を下げる。
WINNER:セキボン
どのゲームも《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》がトリガーしていれば大きく流れが傾いていたはず。2ゲーム目は《バサラ》か《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を引いているだけでセキボンの盤面を切り崩せたのだ。
様々な不運はあったが、全てを受け入れておんそくは決勝に臨むセキボンにエールを送った。
セキボンに意気込みを聞くと、まず出てきたのは仲間への感謝だった。
セキボン「調整メンバーであるマラかっちのみんなに感謝を伝えたい。今日一緒に戦ったよしゆき、dotto、◆ドラ焼き、カイザ。自分よりもたくさんデッキを回してフィードバックをくれた25、sabaki、taki、Vのもれ、北のあーさん、ドッシュ。対戦相手となってくれた北海道のタク.、大谷。みんなの思いを背負って戦ってきます」
参加した5人中3人がベスト8に駒を進めたマラかっち。
確かな絆がセキボンたちを支えている。
さあ、待ち焦がれた栄光を掴むまであと1勝だ。
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