全国大会2019 優勝者インタビュー:セキボン選手
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影者:瀬尾 亜沙子
では、ここに至るまでの物語……セキボンがデュエル・マスターズとともに歩んできた道のりとは、一体どのようなものだったのか?
この機会に、インタビューさせてもらうことにした。
――「デュエル・マスターズはいつ頃、どういったきっかけで始められたんでしょうか?」
セキボン「僕が始めたのが第5弾(DM-05『漂流大陸の末裔』)なので……2003年ですか。なので、10歳くらいのときに小学校の友達に誘われて始めたのがきっかけですね」
――「自分の中で明確に『デュエマが強くなった』と思ったきっかけとなる人物や出来事はありますか?」
セキボン「僕の中で大きかったのが2回ありまして、1回目は《ボルバルザーク・エクス》が刷られたときで、そのカードを使ったデッキに『紅蓮ゾルゲ』っていうのがあったんですけど、北海道のとあるプレイヤー、えたーなるっていう人が使っていたのを見て、『こんな面白いデッキがあるんだ!』と思って。それで自分自身も使えるように練習したというのが、まずターニングポイントだと思います。デュエル・マスターズの競技的な部分に触れるようになりました」
セキボン「2回目は、大学2年生の頃にニコニコ動画で配信をしていたことがあったんですけど、当時僕がとても弱かったので、強い人たちに煽られる形で『弱いね』ってよく言われていたことがきっかけで。そのときは『なんだと???』と思ったけど、よくよく考えたら『確かに弱いな』となったので、自分自身で強くなるしかないなと思って、大会で上位の人のデッキを研究しはじめたというのがありますね」
――「この2年間のデュエル・マスターズへの取り組みはどういったものだったんでしょうか?」
セキボン「とても褒められたものではないですね……延期が続いたこともあり、そのたびに自分の中でモチベーションが高まるときもあれば、落ち込んだりして全然やる気が出ないこともあって。今回も調整チーム『マラかっち』に所属させてもらって情報交換とかやってたんですけど、モチベーションがないときは『やる気どうなってんだ?』とか詰められたりして、一生懸命やってる人たちに申し訳なかったです」
セキボン「でも今回の4回目(の延期)では、JO退化というデッキに出会ってからは『このデッキで最後までやろう』という気持ちで続いていて。そのおかげで周りのみんなも応援してくれるようになって、感謝の気持ちと、やっぱり申し訳ない気持ちとが入り混じってます」
――「デッキ選択や調整コミュニティについて、詳しく教えてください」
セキボン「デッキ選択の経緯に関しては、デッキを自分で作ったわけではないので詳しいことはわからないんですけど、『マラかっち』内で今回のJO退化が『このデッキ、結構やるぞ』と盛り上がっていたので、それに乗っかった形です」
――「その盛り上がったポイントとは、具体的に何だったんでしょうか?」
セキボン「《神帝英雄 ゴッド・モモキング》の採用ですね。こいつが1枚で手札を稼いでくれるので、このデッキって本来《進化設計図》や《雪溶の鎖/堕牛の一撃》を打てないとどうしても手札が溜まらないんですけど、とりあえず《神帝英雄 ゴッド・モモキング》で殴れば手札が稼げるのが大きいです」
セキボン「おまけに《神帝英雄 ゴッド・モモキング》が殴ったあとの盤面を捌く効果で、今まで勝てなかった対面、たとえば水魔導具の《ガル・ラガンザーク》なども、これまで立てられると負けに直結してたところをバウンスでなんとかできるようになりました。また、JO同型対決でもたとえ先に走られて《キャンベロ <レッゾ.Star>》効果を受けていても《神帝英雄 ゴッド・モモキング》単体で連続攻撃して勝てるようになったりしました」
――「今日一日の中で、印象的な出来事や瞬間、対戦や対戦相手があれば教えてください」
セキボン「予選最終戦の香夜選手との戦いが一番印象的ですね。水闇自然墓地退化相手で、こちらの手札があまり良くなくて、3ターン目時点で手札に《禁断英雄 モモキングダムX》は引き込めたけど、自壊カードを持っていないと。おまけに相手の墓地に《竜魔神王バルカディア・NEX》があって、前のターンの《地龍神の魔陣》でもカードをマナではなく手札に加えられていて。《死神術士デスマーチ》も既にマナに置かれているので、要は『絶対次のターンに負け』っていう状況。しかも自分のマナに闇マナは一個だけだったので、《怒りの影ブラック・フェザー》や《雪溶の鎖/堕牛の一撃》をトップしたとしても《禁断英雄 モモキングダムX》と同時には唱えられなくて。もう《バッドドッグ・マニアクス》じゃないとダメだ!という状況でターンが回ってきたんです」
セキボン「そこでのドローがまさしく《バッドドッグ・マニアクス》だったおかげで、《未来王龍 モモキングJO》で攻撃して抱えていた《アルカディアス・モモキング》を重ねつつ《キャンベロ <レッゾ.Star>》を「侵略」させて、《龍脈術 落城の計》を踏んで進化元の《未来王龍 モモキングJO》を手札に戻されたりしたけれども、「シンカパワー」で《キャンベロ <レッゾ.Star>》を剥がして《アルカディアス・モモキング》で3点行って勝利できて。そこで首の皮1枚つないだおかげでトップ8に残れたので……あれはまさしく、値千金のトップデッキでした」
――「今回優勝されたことを一番伝えたい人は誰ですか?」
セキボン「もう本当に全員です。マラかっち全員。まずはカイザ。本当に僕のことを応援してくれたので。あとは◆ドラ焼きとか、dotto、25、サバキ、taki……挙げたら挙げなかった人に怒られそうですけど(笑) ああ、それとドッシュも。それから、オリジナルとアドバンスでデッキを別々に用意するためにカードを貸してくれたタク.も。あとは《未来王龍 モモキングJO》の残り枚数をわかりやすくするためにバージョンを散らしたかったんですけど、それを快く貸してくれたフェアリーさんにも」
セキボン「本当に、本当に多くの人の助けがあってもぎ取った優勝だと思います。ここに挙げてない人もいっぱい、数えきれない。感謝です」
――「最後に、何か一言ありましたら」
セキボン「そうですね……念願が叶いました。ですが、まだまだこのゲーム、やりたいと思ってます!なので、また応援してくれると嬉しいなと思ってます。僕も今回の決勝で恥ずかしいプレイングもあったので、まだまだ精進しなければならないことがわかりましたし……あとは、YouTubeも始めたのでぜひちらっとでも見に来てくれると嬉しいです」
――「改めて、優勝おめでとうございます!」
セキボン「ありがとうございます!」
壁にぶつかるたびに自省し、周りの人たちの助けに対して素直に感謝する。その謙虚な姿勢が、セキボンを強くした。
そう……セキボンのデュエル・マスターズは、常に誰かとの関わりとともにあった。友人やライバル、尊敬する人たちや応援してくれる人たち……今日までセキボンが形作ってきたそれらの関係のすべてが、今日この日の日本一決定戦優勝というこれ以上ない結果に、セキボンを導いた。
それはまるで、人生そのもののように。
だからきっと、デュエル・マスターズが続く限り。
セキボンの戦いもまた、これからも続いていくのだ。
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