ライター：金子 幹(鐘子)
撮影者：後長 京介

　さて、ここで席に着いたのは昨年度DMGP2023-1st Day1にて、【光水火ライオネル】で優勝を果たしたすずの音。

　対するは記憶に新しい直近のDMGP2023-2ndにて、【水闇魔導具】の同系戦を見事に制した関東の強豪monokuroだ。

　どちらも昨年度GPの王者同士のマッチアップの注目の一戦。

　特に既にRound1で敗北を喫しているすずの音の表情は、やや緊張している様子だ。

　今日という日を悔いの残らない戦いにすべく、彼らの戦いが今、幕を開けた。

先攻：monokuro

　最初に動いたのは先攻のmonokuro。

　《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》の呪文面で加速をしつつ4ターン目には動き出す流れ。
対してすずの音の最初のアクションは《パンドラの記憶》。

《超次元の王家》を超次元ゾーンに置き、一気に手札に5枚のカードを引き込んだ。
　monokuroの4ターン目、《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》の呪文面を唱えて《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》を場に送り出す。

　その能力で《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》をバトルゾーンに出しながら、《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》の「EXライフ」のシールドが6枚となった。

　さらにターン終了時、《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》の能力で《闘門の精霊ウェルキウス》を出すと、その能力で2体目の《闘門の精霊ウェルキウス》、そして追加で《冥界を統べる新月のハーデス》と一気に3体の大型ブロッカーが登場。

　《冥界を統べる新月のハーデス》は、純正なビートダウンの系譜であるすずの音の【光水火ライオネル】にとっては、最も重いブロッカーだろう。
　無論2体並んだ《闘門の精霊ウェルキウス》も同様だ。

すずの音「や、きーついな」

　たまらず声を漏らすすずの音 　すずの音は、続くターン《エヴォ・ルピア》から《「正義星帝」 ＜鬼羅.Star＞》を出し、その能力でさらに連鎖、《エヴォ・ルピア》からの2体目の《「正義星帝」 ＜鬼羅.Star＞》。

　そのまま攻撃に踏み切ると、1度目の《「正義星帝」 ＜鬼羅.Star＞》の能力で出したのは《ブランド-MAX》。

　次に《「正義星帝」 ＜鬼羅.Star＞》で攻撃すると、その能力で出したのは《奇天烈 シャッフ》。

　宣言した数字は盤面に並ぶmonokuroのブロッカー全てが同じコストであるため「9」を宣言した。

　これにより、《「正義星帝」 ＜鬼羅.Star＞》のシールドブレイクは通るものの、《冥界を統べる新月のハーデス》の能力が即座に誘発。《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》のシールドが焼却されるのを覚悟したうえで《ブランド-MAX》と《奇天烈 シャッフ》を破壊。

　そして、《ブランド-MAX》の能力により《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》の「EXライフ」シールドが6枚墓地に置かれたことで、さらに《冥界を統べる新月のハーデス》の「オシオキムーン」が誘発し、すずの音の盤面は文字通り更地となる。

　一旦盤面をさばききったmonokuroは、丁寧にすずの音を追い詰めていく。
　《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》を≪天命讃華 ネバーラスト≫に龍解すると、続く2ターンドローゴーを繰り返し、すずの音の様子を見る。
　一方のすずの音、《T・T・T》、《超次元の王家》のパンドラシフトで山を掘り進め、なんとか勝ち筋を見出さんと考えを巡らしているようだ。

　お互いの硬直状態が続く中、すずの音は6ターン目、新たに出した《「正義星帝」 ＜鬼羅.Star＞》により《奇天烈 シャッフ》を出すと、そのままmonokuroのシールドへ。
　同時に《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》に侵略し《冥界を統べる新月のハーデス》をフリーズした。

　しかし、当然ながらmonokuroの楯のトリガーは依然厚い。
　《水雲の聖沌 5u170n》がトリガーし、その能力で《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》を出すと、さらにそのタップ能力により盤面の攻撃を封殺。

　度重ねドローを繰り返したすずの音の山札の枚数も薄くなっていく一方で、2回目の《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》の能力に寄り、monokuroの山札も一気に一桁へ。

　こうなるとすずの音の勝ち筋は、依然盤面に鎮座する《闘門の精霊ウェルキウス》による強制ドローが現実的なラインとなる。

　が、それすらもmonokuroは見抜いていた。

　この《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》の能力で出した《魔導獣イエス・コレヨリ》により、すずの音の《奇天烈 シャッフ》1枚では解決できない盤面にしたうえで、返しのターン、《闘門の精霊ウェルキウス》の能力で《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》、≪閃光の神官 ヴェルベット≫を出し、すずの音のデッキのほぼすべての回答を封じて見せた。

　さらに、この《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》の能力であえて自身のバトルゾーンにいる《闘門の精霊ウェルキウス》を宣言し、山札切れ負けの可能性すら回避してみせたところで…次のターン、すずの音は投了を選択したのだった。

Winner：monokuro

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すずの音「この対面だとこちらが先攻が取れていれば…ですね。後攻だと唯一芽があるとしたら《単騎連射 マグナム》ですが、これも楯落ちしてちゃね。それに《冥界を統べる新月のハーデス》まで入ってるとなると…」

　試合後半ば諦念して語るすずの音。

　monokuroの至極丁寧なカウンターと詰めにより敗北を喫したすずの音だが、後にインタビューで彼が語った「後悔しないデッキ選択」という言葉。
　彼に昨年優勝をもたらした【光水火ライオネル】をこの舞台で使おうと思った経緯は、決してやすやすと推し量れるものではないだろう。

　次のマッチングが発表され、両者は次の試合に赴く。

　それぞれが後悔しない一日とするために。