全国大会2024注目プレイヤー事前インタビュー:~後編~
ライター:河野 真成(神結)
(前編はこちら)この記事は前回に引き続き、今回ランキングにて全国大会への出場を決めたプレイヤーの中から、注目プレイヤーをピックアップしインタビューを行ったものである。
後編となる今回は、後期ランキングから選出した3名のインタビューをお届けしたい。
後期ランキング2位:おろろん

しかし2023年度からCSに出始めて、そこから2年連続というのは異質であると言えよう。
それを実現したのが、おろろんである。
彼がどのような経緯でCSに出るようになったのか、全国大会出場はどのように実現したのが、話を伺った。
サガと共にやってきた
――本日はよろしくお願いします。おろろんさんのランキングを見たんですけど、CS参加をするようになったのってほぼ2023年からですよね。おろろん「そうですね」
――デュエマ自体を始めたのはいつ頃だったのでしょうか?
おろろん「本当に初めて触ったのは、『レイジVSゴッド』です。ただそれが最新弾というわけではなく、その後買ったのが≪超戦覇龍 ガイNEXT≫の弾でした。その後はしばらく別のゲームで遊んだあと、《蒼き団長 ドギラゴン剣》が登場した後に、またデュエマを買ったんですけど、周りにやっていた人があまりいなくて。その後は革命ファイナルの終わりにでた『ファイナルメモリアルパック』に強いカードがたくさん収録されていたので、買って遊んで……といった感じです」
おろろん「その後、双極篇のときにまたボチボチ遊んでいたのですが、高校入学のタイミングもあって、また離れて……。高校卒業と同時にまた時間も出来たので、《絶望神サガ》からもう1回、みたいな。サガからは今までずっと続けています」
――ランキングページを見ると、昔のエリア予選とかには参加していたみたいですね。
おろろん「エリアは出てました。DMPランキングに登録しないと参加できない、みたいだったので、そこで登録して」
――となると、ショップ大会とかには比較的前々から通っていたんですね。
おろろん「そうですそうです」
――CSに参加するようになったキッカケってなんだったのでしょうか?
おろろん「行ってたショップにいた友達が、CSにちょくちょく出ていたんですよ。それについて行った感じです」
――それでCSに通い初めてから1年目でいきなり全国大会へと行くわけですけど、私の中では『いきなりスゴイ人が現れたな』って印象なんですよ。デュエマ以外で何か他のゲームとかされていたんですか?
おろろん「いや、他のゲームを何か競技的にやっていたことはないですね。カードゲーム自体は他にも触ったタイトルはありましたけど、競技とかは全く関係ないですね」
――じゃあカードゲームそのものをデュエマで学んだ感じなんですね。せっかくなので23年度のお話から伺いたいのですが、勝てた要因とか、23年度の取り組みについて訊いてもいいですか?
おろろん「まず走ろうと思ったキッカケが、23年度の前期組を見て『面白そうだなぁ』と思って。それで走り始めたんですよ。(この辺りで後方のガヤが騒がしくなる)」
――……すみません、後ろに誰かいらっしゃったりします?
おろろん「あ、みみみとデデンネです」
――調整のお邪魔をして恐縮です。それで、話は戻しますが、23年度のランキングを走るキッカケは周りの人たちの影響だと。
おろろん「それでいざ走るとなったとき、まずは数が大事だなと思いまして。とにかくいっぱいCSに出たんですよ。でもやっぱり、最初は情報が全然足りなかったです。最新の一番強い構築とか。でも、数出ているうちに、周りのランカーの方とかが仲良くしてくれるようになったんですよ。そこでランキングを応援したり、協力してくれるようになって、勝てるようになっていったというのが大きいかなと思っています」
――というと、最初からガツンとスタートダッシュを決めたというよりは、後からジワジワ積み重ねた感じですか?
おろろん「そういう部分もあるんですけど、最初は結構運がよくて、等倍優勝とか0.6倍優勝とかあって、だからランキングを走り出すために必要なポイントはあったかな、というふうに思っています」
――ちょっとアレな言い方にはなりますけど、最初は上手くランキング争いに入れて、そこから実力で勝ち進めるようになった、って感じですかね。
おろろん「そうですね、そんな認識です」
――23年度前期から入ってそのままランキングにいったわけですけど、CSにのめり込んでいったキッカケって何かありましたか?
おろろん「いや、特にキッカケとかはなくて、単純に楽しかったんですよ。楽しくて通っているうちに、いつの間にか行くのが当たり前になっていた、みたいな感じでした」
――ちなみに確認なんですけど、23年度のハンドルネームは『愚かな浪人生』だったと記憶しているんですけど、実際昨年浪人生だったというようなことは……。
おろろん「いや、浪人はしていたことはありますけど、去年浪人だったわけじゃないですね(笑)」
――よかったよかった、浪人期間中にランキング走る人なんているわけないもんね。
マーシャルは「意味ある」
――では改めて、今期の話を聞かせてください。今年も後期ランキングを走っていたわけですが、後期に走ることは決めていたんですか?おろろん「これは決めていました。前期は別のゲームをしていたというのもありましたが、前期の環境が【火水マジック】とか、あまりに自分に合っていないなぁと思うデッキだったのと、走る期間が6ヶ月っていうのもあって、嫌な条件が重なっていたんですよね」
――後期であれば4ヶ月ですからね。
おろろん「ですので、走るのであれば後期って考えていました。勿論その時点で環境がどうなるかはわからないですけど、前期よりはデッキの選びようもあるだろう、と」
――ところでせっかくなので伺いたいのですが、おろろんさんは後期ずっと【マーシャルループ】を使っていましたよね? 『マーシャル意味ある』派閥(※)だったと思うんですが、意味ある理由ってどんなのを考えていましたか?
※文字通り、「ランキングを走る上でマーシャルを使う事に意味があるかないか」の論争のこと
おろろん「意味ある理由? 意味ある理由か……難しいな……」
――『意味ない』派の方々の理屈としては『同型戦が引き合いになるしかないのに、今のランキング制度だと優勝しなきゃいけないから、安定はしても優勝が厳しい』という感じでした。
おろろん「それでいうと、自分はランキングを走る上では一番強いデッキを使うべきだと思っていますし、後期のランキングの中で一番強いデッキは間違いなく【マーシャルループ】だったので、マーシャルを使うことが一番意味あるかな、という考えです」
――ありがとうございます。
まだまだ勉強中
――24年度後期ランキングは非常に順調だった印象なのですが、実際のところはいかがだったのでしょうか。おろろん「【マーシャルループ】が出てくる前に【火光水ゴスペル】なんかで優勝も出来て、あと勝ったタイミングもよくて、『ここで勝てなかったら24年度ランキングは撤退しよう』と思ってたタイミングで勝てまして。ポイントの盛り方も効率よかったと思います。あと【マーシャルループ】が出てくる前の環境って、あんまり好きじゃなくて。【水闇COMPLEX】と【ファイアー・バード】と【火光水ゴスペル】で、どれかを使うとどれかに負けるみたいな。その中で【マーシャルループ】という全部に勝てるデッキが出てきたのもよかったです」
――ちょっと話が遡ることもあるんですが、23年度から始めて、それで2年連続での全国ということなんですが、短期間で強くなれた要因とか考え方って何かありますか?
おろろん「それでいうと、自分は自分のことをそんなに上手いと思っていないんですよ。23年度の後期は、【水闇魔導具】が一番簡単で最適だったから上手くいって、24後期も【マーシャルループ】が一番簡単だったから勝てたみたいに考えています。最近はちゃんと難しいデッキも回せるようになったかなとは思うんですけど、それも上手い人のを見たり聞いたりしてやっているのが大きいんですよね」
――では最後になんですが、全国大会への意気込みをお願いします。
おろろん「23年度の全国が16位とかで終わって、結構悔しかったんですよ。その反動もあって、今年は去年以上に練習を頑張っているので、優勝したいですね」
――ありがとうございました。後ろの2人にもよろしくお伝え下さい。
後期ランキング13位:にわか

悔しさをバネに今年度のランキングをDTLと並行しつつ通年で挑み、後期に劇的な結果で全国大会権利を獲得。
今年に懸ける想いや、DTLの舞台裏、そして趣味?等について話を聞いた。(なお、デュエマ経歴などについては、昨年のインタビューを確認して欲しい)
雪辱を期して
――今年も全国大会出場おめでとうございます。早速で恐縮なんだけど、まずは去年の全国の話から聞かせてくれないかな……。にわか「人生で一番のチャンスを逃したな、という後悔がありますね」
――まぁ色々あったと雖も、トータルで言えばプレミで優勝逃してるもんね。
にわか「そうですね。それで(全国大会の)次の日から、ランキングを走ろうと決意して。1年間飲まれることになったわけですね」
――全国大会権利は後期での獲得だったけども、前期ってどうだったんです?
にわか「走ろうとして頑張ったんですけど、4000くらいボーターと差が付いて終わりました」
――前期15000ptsですね。となると実績的にはほぼ通年走ってたわけですね。年間ポイントランキングで言えば、相当上の方ですよ。
にわか「そうなんですよ」
――通年なら1位かな、と思ってざっと見たんですけど、ごめんkaisoraっていう化け物がいました。え、なんでこの人後期も1位にいるの……? ……と、話は戻すんだけど、ランキング走るって決めて、確か全国の会場からそのままCSに向かったよね?
にわか「そうです。そのまま向かいました。ただやっぱり神様に嫌われたのか、そこから3連続で0pts引いたんですよね」
――結果的に前期はダメだったけど、心折れることなく後期に挑んだのはかなりスゴイと思うんですよ。しかも通年でデュエチューブリーグ(以下DTL)と並行しながら。一旦前期の取り組みから訊いてもいいですか?
にわか「僕、ランキング始まってからも学業優先でやって、週2~3回くらいしか出られなかったんですよ。ただ全然上手くいかずで、特に前期は【火水マジック】が強かったんですけど、全然上手く使えないんですよね」
――前期は中々上手くいかなかった、と。
にわか「学業優先で、CS行って、更にDTLの調整もあって、そしてGPのタイミングだとマイケル(チームSAGA)さんたちとの調整もあったので、それが完全に別グループだったのもあって、両立が難しいなぁとは思っていました」
――DTLはルールが違うと言えど、チーム内で回して強いと感じたカードを外持っていくというのは、情報共有的に難しいものがありますからね。
にわか「そうなんですよね。そこら辺は大変だったなというのがありました」
――DTL自体が今年から始まったということもあって、やってみないとわからないことが多かったでしょうね。踏まえて後期なんですが、チームも移籍して、後期のランキングも始まりました。前期と後期で変えたことって何かありましたか?
にわか「デッキ的な話でいうと、前期は【火水マジック】を毛嫌いして、結果使えないまま終わったんですけど、まずそれはやめようと思いまして。僕は23年度は魔導具がたまたまハマったお陰で勝てて、そのアドバンテージで最後もなんとかなったんですけど、前期はそれで上手くいかなかったわけじゃないですか。だから後期からは、ちゃんと全部のデッキを触ろうと」
――自分の使えるデッキと環境が噛み合ったタイミングで勝つのも大事ですけど、再現性という話となると、結局自分のトータルのスキルを上げないといけないですよね。
にわか「あと学校の時間割も、後期は上手く調整して平日のCSも出られるようにしました。平日は保険みたいに考えていて、もちろん土日のCSで勝つのが優先なんですけど、平日の等倍勝つだけで全然違うので、なるべく平日もいけるようにしましたね」
――DTLのチームもSAGAへと移籍して、結果マイケルくんと同じチームになったけど、その影響もありました?
にわか「そうですね。後期の1発目のリーグのルールがアドバンスだったんですけど、そのままGP込みの調整も出来たので、それが楽でやりやすかったですね。リーグの調整自体、普段やっていることをそのまま出来るというのが、すごくありがたかったです」
――後期ランキングも序中盤までずっと圏外にいた時期が長かったと思うんですけど、どうだったんですか?
にわか「途中でkaisoraくんが(関西から)助けに来てくれたりもしたんですけど、まぁ家族で沖縄旅行とかにも行ってたので。最初『ハンデハンデ』とは言ってたんですが、段々(ボーダーから)離れてはいきましたよね。もう無理かなと思ったこともあったんですが、辛さとかはなかったですよ。『まぁ、旅行行ってたしなぁ』くらいに考えていました」
――先ほど『色んなデッキを使うようにする』と仰ってましたけど、そう言えば後期は色んなデッキを使い分けていましたよね?
にわか「【マーシャルループ】は最後に使っていましたけど、その前だと【水闇COMPLEX】とか、【光水ヘブンズ・ゲート】とか、色々使いましたね」
――からの、最後の最後で大捲り。
にわか「アナカラー(水闇自然マルル)とマーシャルが火を噴きましたね。アナカラー強かったですね。ショートカットルートが目の前に飛び込んできたみたいな……」
――本当に綺麗なまでの滑り込み。ちなみに後期勝てた要因ってなんだったと思いますか?
にわか「ポイントを盛れた要因は確実にアドバンスの2.4倍が超デカイと思います。そこで2400、600みたいに取れたので。そのお陰でなんとかランキング順位を保てて、最後に優勝したらなんとかなる、ラインまでいけました」
――で、いけた。
にわか「あと色んな人が助けてくれました。チーム組んでくれたのもそうですし、デッキ教えてくれたり。特にのすけさんとみみみちゃんに1個ずつデッキを教えてもらったんですよ。COMPLEXとアナカラー。そしたら教えてもらった日にどっちも優勝できたんですよ」
――それは教えた方も浮かばれるでしょうね。ちなみに、今期のランキングシステム変更を受けて、何か変えたことってありましたか?
にわか「なんだろうなぁ、デッキの選択の仕方はだいぶ変わったよなーっていう。前回はアベレージが高ければ、毎日180とか獲るだけで結構強くて、その中でたまにボンと(優勝して)伸びればいいなーという感じだったんですよ。でも今のシステムは勝てなきゃいけないというのがあったんで。『通りがいいデッキ』とかではなく、『デッキそのものが一番強い』みたいなのを選ぶのは大事かと思いますね」
閑話休題
――ちなみに、DTL最終節の話を聞きたいんだけども……。にわか「え、なんの話かちょっとわかんない」
――まぁまぁ、アレ本当にカード見てニコニコしてたようにしか見えなかったんだけど、正しいの?
にわか「……正しいですよ」
――首を傾げられてた《冥界を統べる新月のハーデス》は何なの(笑)
にわか「(笑)いや、なんかコイツだけ見たことあるな、って。他のカードたちは知っているようで知らないカードたちだったのに、ハーデスだけ見知った顔なんですよ。そもそもあの状況、本当にやることなかったんですよ。1戦目は緊張してそんな余裕なかったんですけど、2戦目の前にカイザ(魔王軍)さんと話したら、スーパー緊張なしでいけたんですね。で、そこで手札見たらめっちゃ癒やされることに気付いたんです」
――あ、あれは本当に素なんだ。
にわか「緊張から解放された瞬間でした。解放されて手札みたら、めっちゃいいイラストだよなぁ、って」
――DTL最終節、同接多かったしコメントでも『とりあえずにわかって人は覚えた』みたいなのも見ました。
にわか「DTLはファンが付きにくいよね、みたいな話もあったんで、ラッキーかなぁとは思いました」
――ちなみにリゼ・ヘルエスタ様が一番好きなのはまぁ知ってはいるんですけど、他の今回カードになって嬉しいなぁっていうのはありました?
にわか「カード化されて嬉しいだと、社さんとか加賀美社長は前々からデュエマを配信で取り上げていたりしたので、そういう人たちが来てくれてすげえ嬉しいっていうのはありますね。あと単純に夜見れなさんは可愛くて面白くて好きだったので……」
にわか「あの、カードのイラストの方が、普段とかなりタッチが違うんですよ。立ち絵のデザイナーの方と、イラストレーターの方で、また違うタッチでカードが描かれているので、新鮮だったんですよね」
にわか「ダメだ、どんどんキモくなってしまう」
にわか「れなさんの顔って、元々線がはっきりカクッとなっているんですけど、今回のカードイラストだと丸いタッチのも多くて。特に《月と破壊と魔王と天使》とか」

にわか「だからちょっと初めて見たとき新鮮で驚いて、やられましたって感じで。マジでこれは好きだなぁって思って、いま《月と破壊と魔王と天使》を無限に集めているんですよ」
――貴重なお話をありがとうございます。
にわか「大丈夫かな、これ」
新しい記録を作りに
――最後になりますが、全国大会への意気込みをお願いします。にわか「今年は去年以上に練習して、完璧に仕上げていこうかと思います。特に疲れと緊張に強くなって、完璧なまま決勝まで勝ち切りたいですね。昔の方は知らないんですけど、2年連続で全国に行った人って最近はいない筈なので、新しい記録を作りにいきたいと思います」
――ありがとうございました。
後期ランキング15位:あっとん
地方から全国へ。ランキング制度の改変があり、それが数字上可能になったとて、実現するのが困難なのに変わりはない。だが今年のあっとんは、それを実現した。福岡の地から全国へ、その切符を掴んでみせた。
初優勝はなんと今年に入ってというあっとん。彼がどのように全国大会への道を切り拓いたのか、話を伺った。
福岡の超新星
――インタビュー受けていただきありがとうございます。よろしくお願いします。今回はあっとんさんがどういう方なのか非常に興味がありましたので、ぜひお話を伺えればと。あっとん「よろしくお願いします」
――まず初めに、皆さんにお伺いしているんですが、ご自身のデュエマ経歴を教えていただければと。
あっとん「本当に初めて触れたと言えるのが、小学生のときで、アニメなんですよね。ちょうど、エピソード1とか2とか、そこら辺だったと思います」
――あっとんさんっていま大学生でしたっけ?
あっとん「そうですね。いま大学2年です。当時は勝太くんのぐらいのアニメをよく見て、同級生の友達とカードゲームしていたって感じでした」
――カード自体も、友達と遊ぶような感覚でした?
あっとん「そうです、それこそ公園でやるみたいな感じでした」
――そこから例えばショップにいくとか、大会に出る、みたいになったのっていつからだったんですか?
あっとん「小学生の時は本当に遊んでいるだけだったんで、中学生に上がるときに辞めているんですよ。中学生になってまでカードゲームで遊ぶの恥ずかしいみたいな感じで、みんなもやらなくなっちゃって。じゃあ自分も辞めるかって感じで中学生を過ごしていたんですけど、1人だけ小学校からずっと友達が『大会出てみん?』みたいに誘ってくれて。デッキ自体は持っていたんですよ、【闇単デスザーク】とか、【光単ヘブンズ・ゲート】とか。で、それで行ったのがCSでした。それで、1回出みたらおもろいやん、という」
――それ以来、ずっとデュエマを続けているんですか?
あっとん「うーん、中学3年までは続けていましたね」
――中学時代のエピソードが何かありましたら、ぜひ聞かせてください。
あっとん「中学時代はデッキ1つしか持ってなかったんですよ。最初は【闇単デスザーク】だったんですが、ちょうどその時【ジャバランガループ】があって。そのデッキがめっちゃ楽しそうだったんですよね。だから『自分のデスザークと交換してくれ!』って頼んで。まぁ値段の話はともかく、そこからはずっとジャバランガしか使わなかったですね。《ジョット・ガン・ジョラゴン》にボコられようが、《ヴォルグ・サンダー》がプレ殿しようが、ずっと使ってました」
――当時の《凶鬼07号 ジャバランガ》って《復活の祈祷師ザビ・ミラ》のフィニッシュしていたんだっけ?
あっとん「そうです。だから《ヴォルグ・サンダー》のプレ殿後は、《黒神龍ザルバ》とか入れて回していました(笑)」
――その後は1回デュエマからは離れたんですか?
あっとん「高校受験タイミングでコロナが来ちゃったんですよね。自分に大会を勧めてくれた友達も、高校受験の時に辞めていましたし、自分も家から出られないし、あと高校受験自体もデュエマのし過ぎで1回失敗しちゃってるので……。それで一旦、デュエマは辞めようかなと。それで高校では、家でも出来るデジタルのカードゲームをやっていました」
――そこからデュエマに復帰したのは、どういったタイミングだったんですか?
あっとん「元々北九州で毎年やってたKDF(北九州デュエマフェスティバル)って大会が復活したんですよ。コロナで中断していたんですけど。じゃあ折角だし、出てみたいなって。その時は安かった【火光自然ヴァイカー】を使ったんですけど、そしたら久々のCSなのに入賞したんですよ。環境デッキって使ったら強いんだ、楽しいんだって思いました(笑)その後は大学受験とか色々ありましたが、色々終わってからいっぱいデュエマやろうということで、そこからはずっとですね」
――あっとんさんのランキングを見ていたんですけど、初優勝は今年度に入ってからなんですね。
あっとん「そうですね、マジックvsアビスの環境に入ってからですね。【水闇サガ】の時から、一応ちゃんとやってはいるんですけど決勝負けばかりで」
――銀メダルの数を見て、苦労したんだなぁとは思いました。
あっとん「【火水マジック】期に入ってからは殴るデッキがちょっと楽しくなってずっと使っていたんですけど、中々勝てなかったんですよ。でもそのときたまたま友達から【闇自然アビス】を借りて、回し方もよく知らないで《邪幽 ジャガイスト》出したら勝ちだろくらいのテンションで使っていたら、バカ運がよくてそのまま優勝してしまったんです(笑)」
――勝つときってそういうもんですよね。
あっとん「予選3回戦くらいまではキツいなぁみたいな感じで戦っていたんですけど、その時は相手が事故ってくれて。4回戦から先はジャガイストテレスコテレスコ(《邪幽 ジャガイスト》から《謀遠 テレスコ=テレス》を2体出すこと)を決めまくって、負けそうな試合は《フェアリー・ギフト》から《邪幽 ジャガイスト》出して勝ちました」
福岡の英雄へ
――それで後期ランキングが始まった後、比較的早めに優勝はしていたと思うんですけど、ランキングについてはどう考えていました?あっとん「マジで何も考えてなかったんですよ。県ランキングとかすら興味がなくて。CS出て勝ったら嬉しいな、くらいです。ただ【ファイアー・バード】使っていたら、異様に戦績が良くて。【ファイアー・バード】に初めて触れたのは広島でやってた超flat-CSの前なんですが、それまで使ってたマジックに対してバードが有利で。前日慌てて組みましたね。ちょっと練習して挑んだら、予選7-0だったんで、こいつ強いやんって。その後のKDFのチーム戦では優勝したんですけど、16年に全国に出た尖迅さんと、17年に全国でたしーたさんと組んで貰って」
――北九州の方々と仲良いんですね。
あっとん「それこそくわけん(※北九州にあるコミュニティ)の方々とか、砕月さん(2016年全国大会2位)とかと調整させてもらっています」
――ちなみに余談なんですけど、グラファさん(※北九州で活動しているジャッジ)とかって元気なんですか? スゴイ忙しいみたいですけど……。
あっとん「元気ですよ。忙しいみたいですけど、たまーに北九州のCSにポッときていきなりジャッジしています(笑)」
――他にジャッジされている方だと、あとは長老さん(※同じく、北九州で活動しているジャッジ)とかですかね?
あっとん「長老さんも元気です。僕が全国決まった時も、自分よりもあの人の方が自慢していたんですよ。『うちのあっとんはアベレージ370あるぞ!』とか(笑)」
――(大爆笑)
あっとん「そんな感じで、北九州の方々には良くしてもらっています」
――ちょっと脱線しましたが、ランキングを振り返ってみると、あっとんさんはとにかく2.4倍の優勝が多いと思うんですが、ランキングを意識したのっていつ頃だったんですか?
あっとん「あれ?って思ったのが11月末とか、12月くらいですね。ただ、その時はエリアの練習がメインでした。基本的に地方のプレイヤーはエリアを勝つしか全国の道はないと思っていたんですよ。なのでCSは出続けていましたが、一応出るだけでメインはエリアでした。それこそしーたさんとか砕月さんとか、エリアで全国行っていますし、あと仲良い友人にやっすーって奴がいるんですけど、去年超CSⅥ福岡で勝って全国行ったんですよね」
――【アカシックフィオナ】で優勝してた人ですね。
あっとん「ですので、ここで負けたら全国は無理ってくらい練習して、当日予選全勝して。いけるやんって思っていたら、トリガーが30枚くらいあるドロマー(光水闇)踏んで負けました」
あっとん「その時点で、全国は無理やって諦めて。次の日が確か2.4倍のCSだったんですよ。一応ここを勝てばってくらいのポイントはあったんで、行ったんですよ。そしたら、なんかバードが強すぎて優勝しちゃって。まだまだやれるぞ、って言われてるのかな、と」
――そこから一気に、全国大会を意識した、と。
あっとん「『絶対に全国獲るぞ』っていうよりは、走らないで後悔するのが嫌だったんですよね」
――そして1月の終盤で2.4倍優勝し、遂に圏内に。
あっとん「勝った直後にすぐキャリーケース用意して、東京遠征を決めましたね。最終日だけは出られなかったんですが、ベスト8は取れて一定の結果は出したので、あとはお祈りって言って帰りました。あと、受けなきゃいけない大学のテストもあって(笑)」
――そして見事、全国大会を決めました。
あっとん「2日前のにわか選手の優勝はちょっと震えましたし、最終日は大学のテスト受けていたんですけど、優勝すればボーダーに乗れるぶらっきー選手が勝ち進んでいることは知ってて」
――テストどころじゃない。
あっとん「いや、もう本当に。ぶらっきー選手が優勝したら逆転されるんですけど、4-0から入ってて。しかも決勝の相手がゴスペルらしいって聞いてたから、(ファイアー・バードを使っていた)ぶらっきー選手が有利だよなぁ、という」
――そのぶらっきー選手は、実質的な準決勝で【マーシャルループ】に敗れました。
あっとん「LINEは意識的に見ないようにはしていたんですけど、なんかめっちゃ盛り上がってたから、ついチラッと見に行ったんですよ。そしたら、配信とかしてて(笑)」
ありがとうファイアー・バード
――結果的に全国大会出場となったんですけど、上手くいった要因ってなんだったと思っていますか?あっとん「マジで鳥以外使わなかったからだと思います。これは東京行ったときに感じたんですが、東京ってみんな環境デッキ使っているじゃないですか。でも九州って自分の好きなデッキ使う人が多くて。【水闇COMPLEX】とかも多くて一時期は【マーシャルループ】の使用も考えたんですが、変なメタデッキに当たって負けるくらいなら、(ファイアー・バードを)めっちゃ練習して、COMPLEXに有利取れるようにしよう、って。ファイアー・バードって決めてから、デッキを迷うこともなかったのも良かったです」
――逆にここは苦しかった、みたいな点ってありました?
あっとん「本当に環境読みだけは出来なかったんですよ。何も知らないデッキとも当たりますし」
――この前九州の方のCSで、《ドラグ変怪》が2連覇していて震えました。
あっとん「そういうのがあるんですよ。だから環境読みも出来ないし、知らないデッキばっかりですし、環境デッキでも構築が違ったりとかしていて。どのカードをケアするか、常に頭に入れておくのが大変でした」
――例えばヘブンズ・ゲートに《冥界を統べる新月のハーデス》を入れる人もいれば、《∞龍 ゲンムエンペラー》もたくさん入れる人もいる、みたいな?
あっとん「そうです。採用カード的に《∞龍 ゲンムエンペラー》は入って無さそうだなぁ、って思って《ハンプティ・ルピア》で手札覗いたら、《闘門の精霊ウェルキウス》も《∞龍 ゲンムエンペラー》もどっちもある、みたいな」
――そういう意味では、広く対応できる【ファイアー・バード】は、相性よかったんでしょうね。
あっとん「《ハンプティ・ルピア》がデッキ教えてくれるので、《ハッター・ルピア》よりも《ハンプティ・ルピア》に感謝した方が多いかもしれません(笑)」
多様なスキルを持ち味に
――ちなみにデュエマ以外の趣味とかハマっていることって何かありますか?あっとん「高校時代に始めたDCGは、それこそ友人ずっとやってて。そのうち、2人くらいめっちゃ強い人がいるんですよ。ファイナリストみたいな。その2人に、マジで一生育てられたと思っています」
――いまのゲームスキルって、DCGから学んだ部分も多いんですね。
あっとん「そうですね。例えば自分のライフをリソースに使って待つとか、そういった押し引きの部分は、今のファイアー・バードに生きていると思います」
――では、最後に全国大会への意気込みをお願いします。
あっとん「全国というと、砕月さんは2位で終わって、しーたさんもベスト8とかで、たぶんまた九州に優勝トロフィーないんですよ。自分のお世話になっているお店とか、九州の友達に優勝トロフィーを持って帰って、そして来年以降も1人くらいは九州からランキングで全国で欲しいなというのと、その先駆けになれたらな、と思います」
――ありがとうございました。
プレイヤープロフィール
おろろん:2023年度ランキングより登場した次世代エース候補。23年度後期3位、24年度後期は全国大会確定時点で2位。
23年の【水闇魔導具】や今期の【マーシャルループ】など、特定のデッキを使い続けるタイプのプレイヤーである。マーシャルループは「意味ある」派。
なお本文中にもあるように、彼のインタビューはみみみ・デデンネ両名同席の元で行われており、実際のインタビュー時には時折外野からの野次も飛んだりもしていた。
にわか:
全国大会2023年準優勝他、実績多数。DTLでは前期FTG→後期チームSAGAに所属。模範的ヘルエスタ王国民。
末っ子気質なためか、よく可愛がられている。ここに書き切れないエピソード多数。
ちなみに現在、某デュエル・マスターズプレイヤーに非常に理解のあるラーメン屋でバイトしているようで、「ランキング期間中も雇っていただいて、本当に助かりました」と感謝のコメントをしていた。
あっとん:
福岡に現れた超新星。
24年度後期ランキング争いに突如エントリーすると、ファイアー・バードを使いこなし、見事全国大会への道を切り拓いた。地方プレイヤーの星。
なお、趣味というわけではないが格闘技を13年やっていたようで、「時間切れが楯差じゃなくて格闘技で決められるようにならないかな」などとコメントしていた。
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