デュエル・マスターズ

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金沢超CSⅡ 決勝第2回戦:むった vs. ユーリ

 ユーリは現在高校生。中学生の頃から実績を上げ続け、かつて"天才中学生"などとも呼ばれた。
「いけ、ユーリ」
「12時間半、徳を積んだ成果を見せてやれ」
 試合開始前のギャラリーは妙に賑やかだ。ユーリを応援するばんぱく、ちやすは共に3人で東京から金沢まで鈍行列車でやってきた。その時間、掛かること凡そ12時間半。並大抵の精神力ではない。彼ら3人は全員、予選を見事抜けたが残っているのはユーリだけであった。だからこそ、ユーリに懸ける期待も大きいのだろう。
 一方、"徳を積んだ"ということならば、むったも負けてはいない。
 むったも普段は関東で活動するプレイヤーだ。だが彼は何故か、8月1日には既に石川にいた。約10日間福祉活動をしたのち、超CS前日に旅館入り。ところが21時には着くはずだった他のSprits(彼が所属するチーム名)のメンバーの到着は遅れに遅れ、ただっ広い部屋で約10時間、彼は1人で待ち続けた。一度は精神が壊れかけたものの何とか持ち直し、現在に至るまで勝ち続けている。

 12時間半鈍行に乗ったユーリ。10日と10時間を待ったむった。筆者としては、正直どちらのケースも経験はしたくない。
 積んだ"徳"では互いに負けない。彼らの謎の「自慢大会」が行われた後、試合開始の合図がなされた。



先攻:むった

 予選ラウンドの順位が高いむったが先攻。《異端流し オニカマス》をチャージ。対するユーリは《追憶人形ラビリピト》をチャージして終了。
 2ターン目、むったは2マナで《異端流し オニカマス》を召喚。ユーリは《堕魔 ドゥポイズ》でこれを処理する。
 続くターンむったは3マナで≪終焉の開闢≫を唱える。
 むったのデッキは青黒赤の墓地ソース。最近だと黒赤の《“轟轟轟”ブランド》等を採用した墓地ソースも開発されているが、むったはこの3色の墓地には強い拘りも自信も持っている。墓地を3枚肥やすし、《爆撃男》を回収した。
 ユーリは《堕魔 グリペイジ》を召喚するが、これが《爆撃男》を引き抜いてしまい、《堕魔 グリペイジ》は破壊されてしまう。
 4ターン目、むったはいよいよ仕掛ける。
 まずは《戦略のD・H アツト》を召喚すると、《一なる部隊 イワシン》を絡めながら墓地の枚数を増やしていき《百万超邪 クロスファイア》を召喚。まずは2点、ユーリのシールドを攻撃していく。
 盤面を失っているユーリは苦しい。ひとまず《堕魔 グリペイジ》を召喚し、むったの《“乱振”舞神 G・W・D》を抜く。

 だがここでむったのドローは《》というもの。むったは墓地の枚数を確認すると、1コストで≪龍装鬼 オブザ08号≫側での使用を宣言し、《堕魔 グリペイジ》を破壊する。《百万超邪 クロスファイア》《戦略のD・H アツト》がすぐさま攻撃に転じ、ユーリのシールドはいよいよゼロとなった。
 シールドゼロ、盤面はゼロ、相手の盤面は3体。ユーリは《一番隊 バギン16号》《堕魔 グリギャン》《》を続けて召喚し無月の門を宣言。《》《戦略のD・H アツト》を、《卍 デ・スザーク 卍》≪龍装鬼 オブザ08号≫を破壊する。
 だが盤面にはむったのクロスファイアが無傷で残っている。
 このクロスファイアを止める手段はユーリのデッキにはなかった。

Winner:むった



 むったにとって散々練習を積んできた対面だった。
「ともかく先攻ならば5ターンまで盤面を処理し続けて優位を作り続ければ勝てます」
 ≪終焉の開闢≫《爆撃男》を回収したシーンも、ほぼノータイムでのプレイであり、明快に目指すプランがあった。
 デッキもそれに応えた。プレイとドロー、噛み合わせた上での勝利だった。

 ユーリとしてはほぼ何も出来ず、悔しい想いだったろう。それでも落ち込まないのが彼のよいところだ。
「いやー、12時間半では10日に勝てねえかぁ」
 ばんぱくがそんなことを漏らした直後のユーリの返しは、流石に秀逸だった。
「なあ、今から会場のごみ拾いに行かないか?」
 負けてもなおポジティブ、かつ当意即妙な対応ができるこの姿が、かつての"天才中学生ユーリ"であり、現在を形作っているのである。
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