デュエル・マスターズ

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超CSⅣ福岡 3位決定戦:けんし vs. onigirin

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影者:後長 京介

 普段は対戦しない様々なプレイヤーと対戦できるのが、超CSの魅力だ。

 デュエル・マスターズのユーザー層は本当に様々存在している。都会に住むプレイヤーもいれば地方に住むプレイヤーもいる。競技の最前線に身を置くプレイヤーもいれば、カジュアルに楽しむプレイヤーもいる。そもそもプレイヤーではなく、アニメやマンガ、背景世界設定などのコンテンツだけは追っているというユーザーすらも存在する。

 そして、環境が変わっても一つのデッキを使い続けるプレイヤーもいれば、新しいデッキを自分で作るプレイヤーもいる。

 埼玉からの遠征勢であるけんしと、地元福岡のonigirinは、そんな対照的な側面を持つプレイヤーだ。
 トップ8に入賞したアーキタイプがすべて異なるという、多様なオリジナル環境を象徴するまさかの事態が発生したこの超CSⅣ福岡で、惜しくも準決勝で敗退してしまった2人。

 そんな2人のデッキはけんしが水タッチ闇スコーラーなのに対し、onigirinが駆るのはケンジ・キングダム。速度的には奇しくも、4ターン目が焦点となるデッキ同士の対決となった。

 超CSの3位と4位とでは、正直賞品にそこまで大きな違いはないように見える。それに、3位と4位とで世間の評価が変わることもないだろう。だからこの対戦にかかっているものは、ほとんど純粋に名誉だけだ。

 既に撤収作業も始まっている会場での、この日最後のデュエル・マスターズ。

 2ゲーム先取のその1ゲーム目が、決勝戦とほぼ同時にスタートした。

Game 1

 先攻は予選順位の高かったけんし。《堕呪 カージグリ》チャージからの《ア・ストラ・センサー》《ストリーミング・シェイパー》を手札に加える順調な立ち上がりだが、対するonigirinも《超神羅ギュンター・ペガサス》チャージから《ヘルコプ太の心絵》《ツクっちょ <メイ様.Star>》を回収と、こちらも開幕からトップスピード。

けんし「読んでもいいですか?」  マナ置きされた《超神羅ギュンター・ペガサス》のテキストを確認したけんしは、2ターン目のドローを見て「ちょっと考えます」と断りを入れると、やがて《堕呪 ゴンパドゥ》チャージでターンを終える。《超宮兵 マノミ》《月下旋壊 ド・リュミーズ》《堕魔 ヴァイプシュ》などをノーリスクで探しにいけるこのカードを唱えず、かといって即断もしないということは、なんとなく手札の多くがマナに埋めたくないカードで占められている気配だ。

 返すonigirinは《ツクっちょ <メイ様.Star>》チャージから《晴舞龍 ズンドコ・モモキング》《ヘルコプ太の心絵》の上に「スター進化」してマナ加速。もし手札に《神羅ケンジ・キングダム》を引けているならば、けんしが先攻4ターン目を迎えるより早く、後攻3ターン目に先に発進できるという状況を整える。
 一方、ドローした《セイレーン・コンチェルト》を見て顔をしかめたけんしは、それでも《デビル・ドレーン》を埋めながら《ストリーミング・シェイパー》を唱える。だがここでめくれたのは《神出鬼没 ピットデル》《》《月下旋壊 ド・リュミーズ》《》というラインナップで、ひとまず4枚回収できたのはいいものの、ループパーツばかりがことごとく先に手札に来てしまう。

 しかし、onigirinの側もキーカードである《神羅ケンジ・キングダム》が引けていない。やむなく《天災 デドダム》チャージから《》《堕魔 ヴァイプシュ》の能力を妨害できる《若き大長老 アプル》を召喚しつつ、《晴舞龍 ズンドコ・モモキング》の上に《ツクっちょ <メイ様.Star>》を重ねたのみでターンエンド。

けんし「(究極進化MAXは) 究極進化の上に乗る、で合ってますよね?」

onigirin「そうですね」

 そうしてついに、けんしに先攻4ターン目が訪れる。いくら《若き大長老 アプル》があるとはいえ、殿堂カードである《ストリーミング・シェイパー》を唱えておいて水タッチ闇スコーラーが4ターンで勝負が決められないなど、まさか考えられない。

 すなわち、《神出鬼没 ピットデル》をチャージして4マナとしてからまずは1マナで《》。さらに2マナで《堕呪 バレッドゥ》を唱えると、続けて《堕呪 ウキドゥ》《堕呪 バレッドゥ》を捨てながら《月下旋壊 ド・リュミーズ》。さらに3ドローののち、もう一枚《月下旋壊 ド・リュミーズ》を宣言……。

けんし「宣言します…………します。はい」

 だが、けんしの様子が少しおかしい。そして、何となく宣言を巻き戻したそうにしていたけんしが、それでもそういうわけにもいかず宣言どおりの《月下旋壊 ド・リュミーズ》のコストとして捨てたのは、《堕呪 ゴンパドゥ》《堕呪 カージグリ》。安全にループで勝つために《若き大長老 アプル》をどかせる《堕呪 カージグリ》は手札にキープしておきたかったのだが、コストとして捨てざるをえないことに気づいたのだ。  しかもここまで《超宮兵 マノミ》が全く見えていないこともあり、殴って勝つプランには不安が残るところでのこのボーンヘッドで、けんしは思い描いていたプランの修正を迫られる。

けんし「ちょっと考えます」

 それでも、《若き大長老 アプル》にマナ回収を封じられた状態での《セイレーン・コンチェルト》《》をマナ置きし、さらに《ア・ストラ・センサー》《「見よ、これぞ超科学の神髄なり!」》を回収すると、ひとまず《次元の嵐 スコーラー》を召喚して追加ターンを得る。

 そして追加ターン、《「見よ、これぞ超科学の神髄なり!」》チャージで6マナからの《ア・ストラ・センサー》《堕呪 バレッドゥ》を回収、《堕呪 バレッドゥ》2枚捨てての《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》《「見よ、これぞ超科学の神髄なり!」》の「ビビッドロー」を宣言するが、残り5マナからこれを唱えてしまうと《堕呪 カージグリ》からの《》がつながらなくなってしまう。

 最後の望みを託した《ア・ストラ・センサー》を唱え……公開したのは《堕呪 カージグリ》 けんし「考えさせてください」

 けんしは墓地を広げながらプランを立てる。残る山札6枚も、度重なる《ア・ストラ・センサー》によってすべて固定されている。

 まずは《堕呪 カージグリ》《若き大長老 アプル》を手札に返しつつ、最後に残った1マナを使って《》を召喚。効果で選択したのは《セイレーン・コンチェルト》《堕呪 ゴンパドゥ》《堕呪 バレッドゥ》の3枚。

けんし「順番を考えます」

 《セイレーン・コンチェルト》《堕呪 ゴンパドゥ》《堕呪 バレッドゥ》の順で解決。マナから《デビル・ドレーン》を回収して《「見よ、これぞ超科学の神髄なり!」》を置き、《堕呪 ゴンパドゥ》からの《堕呪 バレッドゥ》だが、最後の《堕呪 バレッドゥ》で2枚引いたけんしが頭を抱える  《I am》が楯落ちしているのか、どうもループは無理そうな気配である。だがループしないということは、相手にターンを返すということでもある。となれば1体でも多くのブロッカーが欲しい……そんな状況で、墓地の《》の「虚無月の門」の宣言を忘れてしまったのだ。

けんし「いやー、クソ。焦ったなぁ」

 それでも、今はできることをするしかない。《超宮兵 マノミ》《超宮兵 マノミ》《次元の嵐 スコーラー》《次元の嵐 スコーラー》と勢いよく並べる。

onigirin「これって2ターン追加とかは……?」

けんし「ならないです」

 そして山札下から再び回収しておいた手打ちの《セイレーン・コンチェルト》でマナの《堕呪 カージグリ》を回収だけして、次のターンには倒しきれるよう《次元の嵐 スコーラー》でW・ブレイク。そしてそのままonigirinにターンを返す。
 他方、後攻4ターン目となるターンがようやく返ってきたonigirinは、《CRYMAX ジャオウガ》をチャージして5マナとしてから《ヘルコプ太の心絵》を使用。これで《神羅ケンジ・キングダム》が見つかれば、一気に大逆転の可能性も出てくる。

 長かった自分のターンから解き放たれたけんしは、頭を抱えながらonigirinが山札上から4枚を取る動きを見守る。朝から予選7回戦+決勝ラウンドが6回戦の計13回戦をこなした疲労から、頭が回っていない部分も相当あったのだろう。ともあれあとは、奇跡的にonigirinが再びターンを返してくれることを祈ることしかできない。

 はたして回収は……《SSS級天災 デッドダムド》《神羅ケンジ・キングダム》は、見つからなかった。

 onigirinはやむなく、《晴舞龍 ズンドコ・モモキング》《飛ベル津バサ「曲通風」》を召喚だけしてターンを返すしかない。

 かくして、九死に一生を得た格好のけんし。

 その場に大量に並んだムートピアたちの攻撃が、長かったゲームに決着をつけたのだった。

けんし 1-0 onigirin


けんし「長くかかっちゃってすみません」

onigirin「いえいえ」

 終わってみれば追加ターンを除いても先攻5ターン目の過剰打点での攻撃による決着とはいえ、いくつかのミスがあった上で後攻4ターン目を返してしまったけんしの側は、ターンが返ってくるまで生きた心地がしなかっただろう。

 だが、onigirinの側にとってはそもそも《神羅ケンジ・キングダム》が引けなかった時点でもともとノーチャンスに近かったため、特に気にする部分はないのかもしれない。むしろ《次元の嵐 スコーラー》の効果を正確に知らないという時点で、初見のループに感心する感覚で見ていた節すらある。

 ともあれonigirinの側に先攻が移り、2ゲーム目が開始する。

Game 2

 《超神羅ギュンター・ペガサス》チャージからの《ヘルコプ太の心絵》《CRYMAX ジャオウガ》を回収してターンを返したonigirinに対し、けんしは《次元の嵐 スコーラー》チャージからの《ア・ストラ・センサー》《堕呪 ゴンパドゥ》を拾う立ち上がり。

 続けてonigirinは《SSS級天災 デッドダムド》をチャージしながら《ヘルコプ太の心絵》《ツクっちょ <メイ様.Star>》に「スター進化」させておくが、返すターンにけんしは最高のタイミングでの「ビビッドロー」《「見よ、これぞ超科学の神髄なり!」》で手札を充実させる。  それでもonigirinは《CRYMAX ジャオウガ》チャージからの《天災 デドダム》、さらにアンタップインさせたマナから《ヘルコプ太の心絵》と続け、進化クリーチャーこそ手札に入れられなかったものの準備は万端。

 対するけんしの側も《I am》チャージから《堕呪 ゴンパドゥ》を唱え、手札を整えてターンを終える。先ほどのゲームとは違って表情には余裕が窺えており、《「見よ、これぞ超科学の神髄なり!」》で手札枚数もしっかり増やせていることを考えれば、4ターン目の発進はほぼ確定的だ。

 すなわちonigirinの先攻4ターン目が、どう転んでも事実上このゲームのラストターンとなる。

 そんな4ターン目のonigirinのアクション。《若き大長老 アプル》チャージ、《神羅ケンジ・キングダム》  だが、墓地に落ちた3枚は《ヘルコプ太の心絵》《異端流し オニカマス》《晴舞龍 ズンドコ・モモキング》という内容。すなわち、ハズレだ。ここぞという場面で運に見放されたことがショックだったか、これにはonigirinも少し戸惑いの表情を見せる。
 そうして水タッチ闇スコーラーのけんしの側に、後攻4ターン目がまわってくる。

 《堕呪 カージグリ》チャージ、《堕魔 ヴァイプシュ》《堕呪 カージグリ》捨てて《月下旋壊 ド・リュミーズ》《ア・ストラ・センサー》《セイレーン・コンチェルト》回収。《堕呪 ゴンパドゥ》《超宮兵 マノミ》3連打。《月下旋壊 ド・リュミーズ》を詠唱。さすがに止まらない。もう間違えることもない。

 やがて大量のドローと《デビル・ドレーン》による楯回収を挟んですべてのゾーンからコンボパーツを集め終えたけんしが、決定的な一言を告げる。
けんし証明に入ります

 ほどなくして《堕呪 ウキドゥ》無限詠唱のループが証明され、onigirinの山札切れが確定したのだった。

けんし 2-0 onigirin

けんし「色々とミスってしまって……1ゲーム目も『死んだんだろうなー』と投げたつもりのターンエンドでした」

 対戦を終えたけんしは、肩の荷が下りた様子だった。1ゲーム目ではミスもあり慌ただしい感じだったが、冷静さを取り戻した2ゲーム目ではループの証明も淀みなく、水タッチ闇スコーラーは相当に使い込んだデッキであるということが窺い知れた。

けんし「ずっと使ってますね。というかCSでも、このデッキ以外では1勝もできてないんです。0-2とか0-3ばっかりで……」

 一方、負けはしたもののonigirinは特に悔しがるでもなく、4位という最終的な成績に大満足の様子だった。

onigirin「今までデュエマフェスとかデュエバトル?くらいのイベントしか出たことがなくて、初めてのCSでベスト4なんてできすぎてるんで。それに《神羅ケンジ・キングダム》、さっきのが今日初めての不発でした。ほぼほぼ何かめくれてたんですよ。大体《CRYMAX ジャオウガ》とかでポンポン勝負が決まってたので」

onigirinこのデッキ、昨日組んだんですよ。《CRYMAX ジャオウガ》を踏み倒すにはどうすればいいかと考えて、《神羅ケンジ・キングダム》に行きつきました。ただ事故るんで、《天災 デドダム》を入れたらなんとかなるかなと。環境的に《飛ベル津バサ「曲通風」》も強いですし」

onigirin「でもこれだとラッカ鬼羅.Starに勝てないかなーと思って《CRYMAX ジャオウガ》とも相性の良い《異端流し オニカマス》を入れたりして、そんな感じで全部入れていったらこんなリストになりました。《撃髄医 スパイナー》も入れたかったんですがスペースがなくて、結果赤単と当たらなかったからラッキーでしたね」

 勝負である以上、勝ち負けは厳然と存在する。勝てば嬉しいし、負ければ悔しい。しかし勝敗を超えて変わらないものもまた、確かに存在する。

 めぐり合い、縁だ。onigirinが前日に《CRYMAX ジャオウガ》を見出したのも。けんしの相手がonigirinで、3位決定戦という人によっては重要に感じる対戦において、長考で迷惑をかけたり微妙に事故ったような勝ち方となったりしても不快に感じたりしないような、競技に染まりきらないある意味でおおらかな人柄だったことも。

 そしてこの対戦がカバレージとして残り、いま読者諸賢の目に届けられていることも。

 そう、すべては縁。超CSとは、人や場所との縁を作るイベントでもあるのだ。

onigirin「そういえば、参加賞もらわなきゃ」

けんし「あ、自分ももらってないですね」

 勝負を終えた2人は、冷めやらないイベントの熱に浮かされつつも、やがてそれぞれの日常へと帰っていく。

 こうしてまた一つ、超CSが幕を閉じる。だがつながれた縁は、途切れずに残り続けるのだ。

Winner: けんし

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