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超CSⅣ宮城 決勝Round 1:chaser vs. 北のあーさん

ライター:河野 真成
撮影者:堀川 優一

 今回の超CSⅣの会場は、「杜の都」仙台である。
 
 伊達政宗が開府したこの城下町は、東京から新幹線で1時間半ほど。東北となると遠い印象を受けるプレイヤーも多いかもしれないが、実は東京仙台間は意外と近い。
 駅から降りれば美味しい牛タンを食べることも出来るし、少し離れて漁港の方に行けば、生牡蠣などの海鮮物を堪能することも出来る。お土産のお菓子類も豊富と、食べ物については恵まれた土地である。
 もし目の前に来たデッキが『グルメ墓地ソース』であれば、このまま仙台のご当地グルメ情報を書き連ねてもよかったのだが、フィーチャーエリアに来たプレイヤーは幸いにも(?)グルメ墓地を使っていなかったので、これはまたの機会としたい。
 
 さて、それでは決勝ラウンド1回戦目のフィーチャーマッチを紹介しよう。
 
 対戦カードはchaser vs. 北のあーさん。ともに全国大会2018に出場したプレイヤーで、早くも注目プレイヤー同士の対決が実現した。
 そして本人たちもどうやらフィーチャーされることに薄々勘付いていたらしい。

chaser「やっぱり呼ばれましたね」

 どうやらフィーチャーエリアへの移動を見越して、試合の準備をせずに待っていたとのことだった。
 
 両者のデッキは予選の試合の中で確認できており、北のあーさんが『JO退化』、chaserが『光水闇ギャラクシールド』である。
 
 攻め切るか、守り抜くか。もっともシンプルな攻防だ。
先攻:北のあーさん
 決勝ラウンドは、予選の順位が高いプレイヤーが先攻となる。
 先攻を持った北のあーさんは、まずは多色である《》をマナチャージしてターンを終了。対してchaserは、《護天!銀河MAX》をチャージする。
 
 続くターン、北のあーさんは少し考えて《進化設計図》を唱える。結果は《禁断英雄 モモキングダムX》2枚を含む、4枚回収と大豊作だった。
 
 これにはどうやら、chaserも困ってしまったようだ。

 chaserのデッキの狙いは、序盤に軽量ハンデスを駆使してゲームを長引かせ、その間に万全の防御を築いてしまう、というもの。
しかし序盤でここまで手札を抱えられしまい、まして初動となる《禁断英雄 モモキングダムX》を複数持ちされてしまうと、ちょっかいを出す方法がない。
 
 ところが実際のところ、北のあーさんも《進化設計図》をプレイするかは少し迷っていたようだ。
 
北のあーさん「実は既に《禁断英雄 モモキングダムX》を引いていたので、こっちをプレイする選択もあったんですよ。ただ、今回は《未来王龍 モモキングJO》を持っていて、ロングゲームのプランも狙えたんです。その時にリソースになるカードが《進化設計図》しかなかったんで、(《進化設計図》を)撃ちました」
 
 手札の状況によって択を変えるというのは、ゲームの基本である。そしてその基本が、難しい。こうした判断をやってしまえるのが、プレイヤーとしての上手さなのだろう。
 
 既に膨大な手札を抱える北のあーさんに対して、chaserは《魔王と天使のカナシミ》を唱え、自身のシールドを回収しながら、少しでも手札を削りにいく。
しかし手札から落とせたのは《未来王龍 モモキングJO》《禁断英雄 モモキングダムX》が複数ある現状、恐らくもっとも必要ないカードであろう。
 
 北のあーさんは《禁断英雄 モモキングダムX》を召喚し、そのまま《バッドドッグ・マニアクス》を唱えて退化。攻撃宣言時に《禁断のモモキングダム》を進化させ、攻め込みにいく。
 
 しかしこの2点で、chaserの《天使と悪魔の墳墓》を踏んでしまった。  盤面は無事だがマナに置かれた2枚の《バッドドッグ・マニアクス》が墓地に置かれ、残るマナは1となってしまった。
 
 これは、かなりマズい。
ここで仮にターンを返したところで、次の自分のターンに取れる動きが弱い。例えば《禁断英雄 モモキングダムX》+退化札でJO2体目を作る、なんてことは出来なくなった。
 
 となると、北のあーさんからすれば、もうこのターンに決めに行くしかない。  逆にchaserには大きなチャンスがやって来た。シールドを攻撃してくれるなら、それは願ったり叶ったりなのだ。

 ギャラクシールドの魅力は、その防御力。トリガーからの切り返しにも定評がある。1枚でも《護天!銀河MAX》《「光魔の鎧」》を踏んでしまえばJOと言えど、ひとたまりもない。
 ないはずなのだ。

 ……1枚でも、踏めば。

 どうしたことだろう。
 続く2点、トリガーはなかった。
 まさかの素通りである。あの鉄壁の防御を誇る筈のギャラクシールドが、受け札なし。
 
 chaserは苦笑いを浮かべて、シールドを手札に加える。
  
 ……ということは、つまり。
 
Winner:北のあーさん


chaser「このデッキ、CSでも使っているんですけど、初めて『JO退化』に負けましたね」

 自慢の防御力を生かせる相手だっただけにその敗北は無念だったろう。試合後の言葉からは諦めはあれども、やはり悔しさも滲みとれた。

 一方、厳しい状況を突破した北のあーさんは、ここからしばらく勝ち進むこととなる。

 彼がベスト8を決める戦いで……3ターン目までに手札に4枚《未来王龍 モモキングJO》を揃えてしまうという無残な姿で発見されるのは、また別の話である。


登場プレイヤー紹介


・chaser
 福島県のプレイヤー。2018年度ランキングは福島県1位で、全国9位。同年、全国大会に出場。全国大会は11位と、惜しくも予選突破ならず。その他、GP6thで3位など、これまでにGPを3度予選抜けしている。
 趣味は筋トレとのことで、実際に鍛え上げられた腕を見ればその本気度を伺うことが出来るだろう。
 一方でデュエマだと筋肉系のデッキを好むというわけではないようで、むしろ『チェンジダンテ』『水闇光ハンデス』といったコントロール系のデッキを好んで使用している。
 この日の使用も『光水闇ギャラクシールド』と、やはりコントロールデッキだった。本戦では敗れてしまったものの、対JOには強い自信を持っていた。

・北のあーさん
 北海道のプレイヤー。2018年度の北海道エリアの優勝者で、同年全国大会に出場。GP9th優勝のイヌ科、全国大会2019優勝のセキボンらを輩出しているチームマラかっちに所属している。
 主に使用するデッキについては、オールラウンダーでその時強いデッキを選択する印象が強い。
 なお最近はそこまでデュエマに取り組んでいたわけではなかったとようだが、逆にそれで吹っ切れたのか、所謂“蛮族”(火ゼロの《ジョギラゴン&ジョニー ~Jの旅路~》《めっちゃ!デンヂャラスG3 / ケッシング・ゼロ》でG・ブレイカーを決めるデッキ)などのデッキを使ってデュエマを楽しみながら、CSを荒らしていたらしい。上手いプレイヤーの使う荒らしデッキほど、怖いものはない。
 この日の使用デッキは『JO退化』。事故が避けられないデッキとは言うが、4枚のJOを引き切ってしまうのはあんまりである。

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