デュエル・マスターズ

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超CSⅣ静岡 準決勝:雀 vs. けんけんラーメン

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影者:瀬尾 亜沙子

 朝には900名弱もいた参加者も、19時を回って残り4名にまで絞られた。

 残ったアーキタイプは、奇しくも綺麗に4つ。JO退化。墓地退化。ガイアハザード退化。そして、キリコ・グラスパー。「退化」と「ループ」という、現代デュエマを代表する2つのアンフェアなギミックのどちらかが今回のトーナメントを制覇することは、既に確定している。

 そして、こちら側の準決勝でけんけんラーメンがこれから相まみえんとしているのが、JO退化vs墓地退化というマッチアップだ。

 対戦開始前、けんけんラーメンはジャッジに帰りの新幹線の時間を確認される。が、いわく会場の外で保護者が待っているとのこと。

「え、てことは、おいくつなんですか?」

けんけんラーメン中2です」

「……若い世代だ、若者だ。勝てねぇ……どんどん活躍していって欲しいです」

けんけんラーメン「ありがとうございます。ダムド欲しいんで勝ちたいです」

 デュエル・マスターズは進化する。新しいカードや戦略は新たな世代へと受け継がれ、常にその在り方を最善最適な姿へと更新していく。

 ゆえにこの超CSⅣ静岡の結果が「退化」というギミックへと収束したのは、カードゲームとしての進化と相反した逆行を意味するものではなく、それぞれのプレイヤーが最強を求めた結果としての必然なのだ。
 2つの異なる「退化」を駆る2人が、決勝進出という己の最良たる結果への「進化」を求め、ここ準決勝で激突した。


Game 1

 決勝トーナメントへの進出順位で雀が先攻。《禁断のモモキングダム》チャージで終えたのに対し、けんけんラーメンは《オリオティス・ジャッジ》をマナチャージする立ち上がり。

 だが、ターンが返ってきた雀は《新世界王の破壊》チャージから早くも2ターン目に《禁断英雄 モモキングダムX》下にはしっかりと《未来王龍 モモキングJO》が敷かれる。

 けんけんラーメンも《エマージェンシー・タイフーン》チャージからの《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》《竜魔神王バルカディア・NEX》を順調に捨てるものの、なおも雀の勢いは止まらない。

 すなわち、《バッドドッグ・マニアクス》チャージからの《進化設計図》これにより《アルカディアス・モモキング》《キャンベロ <レッゾ.Star>》《禁断のモモキングダム》という最強の3枚が加わると、なおも余った1マナから《雪溶の鎖/堕牛の一撃》を唱えて「退化」に成功。

 これ以上望むべくもないぶん回りで、3ターン目にして早くも《未来王龍 モモキングJO》を攻撃に向かわせる。
 攻撃時に乗せたのはまずは《アルカディアス・モモキング》。T・ブレイクがけんけんラーメンのシールドを容赦なく剥ぎ取っていく。

 ここでけんけんラーメンも《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》の「G・ストライク」でかろうじてこのターンの連撃を止めるが、こうなると雀は逆にいささかの躊躇もなく、《アルカディアス・モモキング》を破壊せずにターンを終える。

 返すけんけんラーメンは《エマージェンシー・タイフーン》チャージからの《オリオティス・ジャッジ》《アルカディアス・モモキング》を対処するが、「スター進化」によって下の《未来王龍 モモキングJO》が無事残る。

 そして《無双龍騎 ボルバル・モモキング》をチャージした雀は、《進化設計図》《禁断英雄 モモキングダムX》を回収だけすると、再び《未来王龍 モモキングJO》を攻撃に向かわせる。
 《未来王龍 モモキングJO》にまとわせる鎧の選択は、攻撃時に《キャンベロ <レッゾ.Star>》「侵略」宣言、さらにその上に《禁断のモモキングダム》を重ねるというもの。「選ばれない」能力を持つクリーチャーによる不可避のW・ブレイクで、けんけんラーメンの身を守る残る2枚のシールドは、今まさにすべて剥がれ落ちようとしている。

 《オリオティス・ジャッジ》ならば《禁断のモモキングダム》を対処できるとはいえ、下に《キャンベロ <レッゾ.Star>》も重なっている以上、この場での唯一無二の解答札は《終末の時計 ザ・クロック》のみ。仮に耐えしのげたとしても《キャンベロ <レッゾ.Star>》の効果がかかっているが、とにもかくにも攻撃を止めないことにはお話にならない。
 はたして、この2枚のシールドに《終末の時計 ザ・クロック》はあるのか。

 シールドを確認したけんけんラーメンは、結論だけを簡潔に述べた。

けんけんラーメン投了します

「ありがとうございました」

雀 1-0 けんけんラーメン

 JO退化の強みは、その爆発的な速度と、そうした速度に見合わないほどの様々な方法によるS・トリガーケアにある。

 相手が呪文で受けるなら《アルカディアス・モモキング》を。クリーチャーでのカウンターには《キャンベロ <レッゾ.Star>》を。さらに《禁断のモモキングダム》は「G・ストライク」すら無効化する。それだけでなく、そもそもそれらがすべて「スター進化」クリーチャーとして単純な除去に対しては耐性がある。

 したがって、基本的にはJO退化側の判断が受ける側の楯の要求値を決めることになる。

 だが、そんなJO退化でもケアしきれないS・トリガーが《終末の時計 ザ・クロック》である。《キャンベロ <レッゾ.Star>》による保険がきかせられるとはいえ、《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》で再利用されてしまえばその保険すら無効化されてしまうのだ。


Game 2

 《戯具 ヴァイモデル》《エマージェンシー・タイフーン》から《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》《竜魔神王バルカディア・NEX》を捨てる上々の立ち上がりとなったけんけんラーメンに対し、雀の動きは《未来王龍 モモキングJO》《新世界王の闘気》からの《進化設計図》《禁断のモモキングダム》2枚と《無双龍騎 ボルバル・モモキング》を回収というもの。

 返すけんけんラーメンは《戯具 ヴァイモデル》をチャージしたのみでターンを返す。できることは、祈るくらいしかない。

 そして、雀の後攻3ターン目。《禁断英雄 モモキングダムX》は……ない!《無双龍騎 ボルバル・モモキング》チャージのみでエンド!

 けんけんラーメンに、待望の4ターン目が回ってくる。迷う要素は、もはやどこにもなかった。

 すなわち、《死神術士デスマーチ》召喚からの《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》。「墓地進化」のための下敷きとなっていた15マナのクリーチャーが、あらゆる物理法則を捻じ曲げて4ターン目にしてバトルゾーンに顕現する。
 なおも《竜魔神王バルカディア・NEX》での攻撃時、《∞龍 ゲンムエンペラー》が着地。雀を守っていた5枚のシールドすべてを割り切り、ターンエンド。このターンにトドメは刺せないまでも、《未来王龍 モモキングJO》のテキストは夢幻の無へと吸い込まれ、消えてしまっている。

「投了で」

 ここからの逆転手段は、皆無だった。

雀 1-1 けんけんラーメン


 墓地退化というデッキは、《ザババン・ジョーカーズ》のような尖ったカードを採用しない限り、基本的には最速でも4ターン目にしか「退化」できない。

 対してJO退化は最速3ターン目には発進できる。それは、先攻でも後攻でもJO退化の側にイニシアチブがあるということだ。

 さらに互いにぶん回りをぶつけ合っての3本目は、JO退化を駆る雀に先攻が戻る。

 だからゲームの焦点は、《終末の時計 ザ・クロック》が楯に埋まっているかどうか。

 たった4枚しか入れられない、最強のS・トリガー。デュエマプレイヤーの誰もが直面してきた43%の壁に、けんけんラーメンも臨む。


Game 3

 雀の《禁断のモモキングダム》チャージに対し、けんけんラーメンは《戯具 ヴァイモデル》をチャージ。

 そして先攻2ターン目を迎えた雀は、この局面で《雪溶の鎖/堕牛の一撃》をチャージ、すなわち《進化設計図》《禁断英雄 モモキングダムX》もない立ち上がり

 一方《龍脈術 落城の計》チャージから《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》を唱えたけんけんラーメンは、みたび《竜魔神王バルカディア・NEX》を捨てて来るべき時を待つ

 だが、返す雀は《バッドドッグ・マニアクス》チャージから《禁断英雄 モモキングダムX》《雪溶の鎖/堕牛の一撃》で2ドローしながら《未来王龍 モモキングJO》へと3ターン目にしっかりと「退化」する。
 とはいえ2ドローの内容は芳しくなく、ここで手札には進化クリーチャーが《キャンベロ <レッゾ.Star>》しかない

「うーん……」

 それでも、意を決して《未来王龍 モモキングJO》の攻撃時に《キャンベロ <レッゾ.Star>》を「侵略」。このW・ブレイクで《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》《エマージェンシー・タイフーン》がトリガーし、けんけんラーメンは手札を整えつつ《終末の時計 ザ・クロック》《戯具 ヴァイモデル》を捨てる。

 続けて雀は「シンカパワー」で1ドローするも、追加の進化クリーチャーを引けない。それでも、そのまま《未来王龍 モモキングJO》でのW・ブレイクを敢行する。
 だが、S・トリガー《オリオティス・ジャッジ》けんけんラーメンが《未来王龍 モモキングJO》を処理することに成功する。

 返すターン、けんけんラーメンは《サイバー・チューン》チャージからの《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》《伊達人形ナスロスチャ》を捨て、余った1マナから《竜魔神王バルカディア・NEX》を下に敷いた《死神術士デスマーチ》を立ててエンド

 あと1ターン。次の1ターンをしのぎきれば、《竜魔神王バルカディア・NEX》が降臨する。

 運命の先攻4ターン目。雀は《新世界王の破壊》チャージから《禁断英雄 モモキングダムX》。さらに《バッドドッグ・マニアクス》《死神術士デスマーチ》を破壊しつつ《未来王龍 モモキングJO》へと「退化」

 残るけんけんラーメンのシールドは1枚。そして、前のターンに連続攻撃がなかったのだから、雀が進化クリーチャーを引いているとすれば、このターンの通常ドローたった1枚しかない。

 そして、その1枚が。
 《無双龍騎 ボルバル・モモキング》

 最後のシールドがブレイクされる。それでも、これが《終末の時計 ザ・クロック》なら。

 43%。ある者は破り、またある者はふるい落とされてきたその壁を。

 けんけんラーメンは、最後まで乗り越えることができなかった

「シンカパワー。ダイレクトアタック」

けんけんラーメン「はい、通ります」

 鎧を脱ぎ捨て、身軽になった《未来王龍 モモキングJO》の最後の一刀が、けんけんラーメンの心の臓を貫いたのだった。

雀 2-1 けんけんラーメン


「3ターン目、溜めた方が良かったよな。たぶん」

 ゲームが終わると、勝負の行方を遠巻きに見守っていた友人に対し、雀が声をかける。

 3位決定戦があることをジャッジに確認したけんけんラーメンは、保護者にもう少し待っていて欲しいと伝えるのだろう。

 デュエル・マスターズがカードゲームである以上、人とのつながりがあってはじめて成立するものであることは変わらない。

 前回の大型イベントから3年という月日が経過し、その間に起こった様々な社会の変化のもとで、個々人がどのように「進化」し、あるいは「退化」したとしても。その事実だけは、動かせないのだ。

 やがて雀の友人が、意を決した様子で「俺、今からホテル取るわ」と返した。これから行われる最後の一戦を、見逃さないためにだろう。

 超CSの頂点。そして友人たちとの祝勝会まで、あと1勝。

Winner: 雀

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