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超CSⅣ静岡 決勝Round 3:さば猫 vs. じまれい

ライター:清水 勇貴
撮影者:瀬尾 亜沙子

 「なんか、ヤバいデッキがあるらしい」。

 ライターチームの中で小さな話題となっていたのがさば猫の持ち込んだオリジナルデッキだ。

 曰く、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》がアンタップしたままメテオバーンを使って相手のシールドを消し飛ばした」だとか。

 曰く、「意気揚々と出てきたメタクリーチャーが《ツクっちょ <メイ様.Star>》にどつかれて破壊された」だとか。

 曰く、「【ガイアハザード退化】ではないけれど《自然の四君子 ガイアハザード》が出てくるらしい」だとか。

 新入りライターであるところの筆者がそのデッキを目にした先輩ライターから聞いた話は、およそ不可思議なものばかりだ。

 しかも、そんなデッキが決勝ラウンド3回戦まで勝ち残っているらしいとか。

 筆者は思った。まるで全貌の見えないこのデッキを合法的に見られる機会があるとして、見に行かない理由があるだろうか?

 いや、ない。ないのだ。

 というわけで筆者は真実を確かめるべく、フィーチャー卓の奥地へと向かった——!
先攻:じまれい

 先攻のじまれいは1ターン目に《大樹王 ギガンディダノス》を埋める立ち上がり。確信は持てないが、じまれいのデッキはおおよそ【巨大墓地ソース】だろう。
 《巨大設計図》から大量のハンドリソースを抱え込み、《樹食の超人》で墓地へと変換してフシギバースやコスト軽減を駆使して大型のロッククリーチャーを並べていく。

 4〜5ターン目に安定して強固なロック体制へと持ち込める点が評価されて直近のオリジナル環境でも活躍しており、今大会においても多くのプレイヤーが選択している。
 一方のさば猫が1ターン目にマナに埋めたカードは……一体なんだ?
じまれい「すみません、マナに埋めたカード確認してもいいですか?」

さば猫《Duplicates of G.O.D.》ですね」

じまれい「……もっかいすみません、テキストも確認していいですか?」

 《Duplicates of G.O.D.》《極まる侵略 G.O.D.》を彷彿とさせるその名の通り、コスト9、光文明の究極進化クリーチャー。

 登場時の能力で相手の呪文のプレイと、コスト8以下のクリーチャーの召喚を封じる能力を持っているらしい。

 ……じまれいの顔に困惑の色が浮かぶが、さば猫は悠々とターンエンドを宣言する。

 《巨大設計図》があればよかったのだが、残念ながら持ち合わせがなかったじまれいは、《レレディ・バ・グーバ / ツインパクト・マップ》の呪文側を唱える。

 公開した3枚の中に、期待した《超七極 Gio / 巨大設計図》の姿はない。後続リソースを確保するべく、じまれいは《龍装鬼 オブザ08号 / 終焉の開闢》をピックアップする。

 未だ謎に包まれたさば猫のデッキだが、《フェアリー・ギフト》を埋めて《ジャスミンの地版》を使い、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》がデッキトップから落ちてもまだわからない。
 とはいえ、じまれいの駆る【巨大墓地ソース】は序盤の動きを全て自分のやりたいことに費やすデッキだ。

 取れる行動に変わりがあるわけでもなし、《龍装鬼 オブザ08号 / 終焉の開闢》で墓地を肥やしながら、前のターンにプレイした《レレディ・バ・グーバ / ツインパクト・マップ》を回収していく。

 我が道を征くのはさば猫も同じだ。《ライフプラン・Re:チャージャー》を唱え、手札を調整しながらのマナ加速。回収したのは《自然の四君子 ガイアハザード》。じまれいの目つきが変わる。
 4ターン目、マナを追加したじまれいは≪ツインパクト・マップ≫を唱えて《超七極 Gio / 巨大設計図》を見つけ出すと、そのまま《巨大設計図》としてプレイ。

 デッキに4枚の《巨大設計図》がめくれてしまったが、3枚を手札に加えてさば猫へとターンを渡す。

さば猫「じゃあターン貰います……。6マナで《MAX-Gジョラゴン》を召喚、1枚引いてガ……いや、《モンキッド <ライゾウ.Star>》をコピーします!」

 いよいよ明かされたさば猫のデッキのメインエンジン。

 《MAX-Gジョラゴン》の登場時能力によるクリーチャー能力のコピーは、なんらかの状態をターン終了時までの間付与する能力。つまり、進化や退化をした先にも「クリーチャーの能力を得」た状態が引き継がれるのだ。
 このルールを利用し、《モンキッド <ライゾウ.Star>》の能力をコピー。その上に侵略やコスト1の進化クリーチャーである《ツクっちょ <メイ様.Star>》を重ねることで「このクリーチャー」が出た時の能力を誘発させ、矢継ぎ早に進化クリーチャーを展開していくのがコンボの本懐である。

 では、このデッキの勝ち筋はなんなのか。いざご覧あれ。

さば猫「今埋めた《モンキッド <ライゾウ.Star>》でアンタップ自然マナが出来たので1マナで《MAX-Gジョラゴン》から《ツクっちょ <メイ様.Star>》召喚、能力でマナから《モンキッド <ライゾウ.Star>》《ツクっちょ <メイ様.Star>》の上に進化します。で、《モンキッド <ライゾウ.Star>》の能力が2回ストックされたので1回ブースト空撃ちで2回目で9マナになったので《Duplicates of G.O.D.》、一応もう1体も出して山掘っとくか……。あ、先に《Duplicates of G.O.D.》の登場時能力解決して呪文とコスト8以下の召喚をロックしときます。《モンキッド <ライゾウ.Star>》のストックがもう1回あるので《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》出してそのままメテオバーンまで。呪文と召喚ロックしてますが何かありますか? ……了解です。じゃあ最後の《モンキッド <ライゾウ.Star>》ストックで《MAX-Gジョラゴン》を出します。アタッカー2体いるんで、ダイレクトアタックで」

Winner:さば猫

さば猫「いや〜!初手でだいたい揃ってたんですけど《モンキッド <ライゾウ.Star>》だけいなかったんですよ! 直前まで《ライフプラン・Re:チャージャー》で見えた《自然の四君子 ガイアハザード》をコピーするつもりだったんですけど、《MAX-Gジョラゴン》のドローで上から引いたんで、全部解決しました」

 その奇妙奇天烈なコンボを誇るように、あっけらかんと語るさば猫。

 とはいえ妥協策であったはずの《自然の四君子 ガイアハザード》による時間稼ぎですらも、マナ枚数の少ない【巨大墓地ソース】に対してクリティカルに刺さったであろうことは想像に難くない。

じまれい「いや、こういうコンボがあることは知ってましたけど、4ターン目にもう負けるとは思ってなかったですね……。正直《ライフプラン・Re:チャージャー》を使われたときに『そうかな?』って思ったんですが、それまではデッキタイプも分からなかったです……」

 終始唖然としたまま勝負を終えることとなったじまれい。そもそも彼の動きがあまり強い動きではなかったこともあるとはいえ、その心中は察するに余りある。

 さば猫の持ち込んだ正体不明のデッキの正体。それは究極進化の進化条件とルールの仕様を突き、新カードを使ったコンボを見事に40枚のリストへと昇華させた、独創的なチェインコンボデッキだった。

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