超CSV新潟 準々決勝:レコード vs. デデンネ
ライター:河野 真成(神結)
撮影者:堀川 優一(アノアデザイン)
つまり試合が早く終わった選手には相応の待ち時間が発生するわけだが、【火単我我我ガイアールブランド】を使用していたレコードは、持ち前の速度を活かしていち早くTOP8進出を確定させていた。
そして非常に印象的な程に、そのことを喜んでいた。要するに「本当に嬉しいんだろうな」というのが、見ているこちらにもよく伝わった。
レコード「ずっと夢だったんですよ。『TOP8プロフィール』、書きたかったんです!」
彼の様子にもっとも適した言葉を探すならば、『ウッキウキ』だろうか。
その念願が叶ったプロフィールの内容については、是非そちらの記事を確認してもらいたい。都合上、筆者はまだ写真や内容は目に出来ていないが「1つの夢や目標が叶った直後の写真・記述」がそこには存在している筈である。
では、レコードの次なる夢・目標は何か?
ここまでくれば……というのが、率直なところだろう。“アレ”だ。
残るは8人。そしてここで、GP8thで“アレ”を掴んだデデンネとの対戦を迎える。
Game1
先攻:レコード 順位先攻を持っているのはレコード。火単の先攻である。そして世界最強の動きである1マナ《凶戦士ブレイズ・クロー》が炸裂し、早くも苦い顔をするデデンネ。
デデンネのデッキは【水闇自然ジャオウガ】であり、とにかく序盤は耐え凌ぐしかない。ここは殴り返しの《とこしえの超人》を置いて、ターンを返す。
レコードは2ターン目に《斬斬人形コダマンマ GS》を召喚すると、まずは《凶戦士ブレイズ・クロー》で1点。
デデンネは返しに《若き大長老 アプル》を召喚し、《とこしえの超人》で《凶戦士ブレイズ・クロー》を殴り返してターンを終えた。ここまでは、1ターン目の時点で互いに想定していた通りの進行だろう。
3ターン目、レコードは《ダチッコ・チュリス》から《烈火大聖 ソンクン》をバトルゾーンに送り込み、更に攻勢を強めていく。
効果によるブレイクと合わせて、デデンネの残るシールドは2枚となった。
この《烈火大聖 ソンクン》は、デデンネからするとかなり重い。《Disメイデン》のようなブロッカーを設置してもあっさり突破されてしまう。
その上、デデンネはどうもマナの様子が怪しい。1ターン目に《とこしえの超人》を出さざるを得なかった都合もあるかもしれないが、マナの色が2色しかないのだ。
デデンネは《極楽鳥》を召喚すると、そこから水マナを生み出して、《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》の呪文側を唱える。「2」を宣言し、《ダチッコ・チュリス》と《斬斬人形コダマンマ GS》の動きを止める。
そして《とこしえの超人》で《烈火大聖 ソンクン》と相討ちするが、破壊時の効果によって《極楽鳥》が破壊された。
行動制限を受けているレコードは、ここは一旦《U・S・A・BRELLA》で小休止とする。《キユリのASMラジオ》を防ぎながら、盤面だけで打点も足りている。
実際、水マナがなく《キユリのASMラジオ》も有効でないとなると、デデンネは相当苦しい。
ここでの動きは《若き大長老 アプル》を追加するに留まった。
ターンが返ってきたら、レコードのやることは1つ。追加のスピード・アタッカーは引けなかったが、《カンゴク入道》を召喚した後、盤面の3体で攻撃に向かう。
これを凌ぐG・ストライクはデデンネになく、まずはレコードが速度を活かして先勝した。
レコード 1-0 デデンネ
少し【火単我我我ガイアールブランド】と【水闇自然ジャオウガ】のマッチアップについて、補足しておこうと思う。
≪ボン・キゴマイム≫、《烈火大聖 ソンクン》という互いのキーカードがある中で、ジャオウガ側は元来、《我我我ガイアール・ブランド》を対策するために《キャディ・ビートル》も採用していた。
基本的には先攻をもった方が有利であるが、ジャオウガ側は後攻でも《キャディ・ビートル》を引けていると《ダチッコ・チュリス》+《烈火大聖 ソンクン》なども防ぐことが可能で、並べたところに≪♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり≫を当てることで《CRYMAX ジャオウガ》到達までの時間を稼ぐ、という戦い方をしていた。
《キャディ・ビートル》は広い対面にふんわり有効なカードだが、一番の仮想敵は火単だったのだ。
そして火単自体がやや下火になったことで、《キャディ・ビートル》の枠はサガに対してよりクリティカルな《若き大長老 アプル》へと変わったのだ。
結果として、火単側にとっては負担が減ったマッチアップになっていた。
我我我は強い。そして警戒が薄れているときの我我我は、それはもう手に負えないくらい強い。
Game2
先攻:デデンネ 直前のゲームの敗者であるデデンネが先攻。先ほどとは変わって、まずは《天災 デドダム》をチャージと貴重な色を確保する。対してレコードは再び《凶戦士ブレイズ・クロー》からのスタート。
デデンネは《幻緑の双月 / 母なる星域》を召喚して殴り返しのクリーチャーを立てながら、マナを伸ばしていく。手札を大きく消費する行動だがが、対火単ならではのプレイといえるだろう。
レコードも《斬斬人形コダマンマ GS》を召喚しつつ、《凶戦士ブレイズ・クロー》でシールドを減らしていく。
3ターン目、デデンネは3マナで《天災 デドダム》をプレイすると、浮いたマナから《極楽鳥》を追加する。≪幻緑の双月≫が《凶戦士ブレイズ・クロー》と相討ちし、ターンを終了した。
《極楽鳥》も含めて考えると、デデンネは既に6マナある。相応な確率で《CRYMAX ジャオウガ》の着地が見えるところだ。
レコードは、慎重に考えた。まずは《ダチッコ・チュリス》をプレイする。
レコード「ダチッコ+ソンクンで《極楽鳥》を取る択も一応あったんですけど、ブーストからの≪母なる星域≫+《CRYMAX ジャオウガ》で面を叩かれると本当に何もなくなってしまうので」
状況を再度確認したということだろうか。残る1マナで召喚したのは《我我我ガイアール・ブランド》。 盤面は《斬斬人形コダマンマ GS》+《我我我ガイアール・ブランド》。デデンネを守るシールドは4枚。
そう、いわゆる”ジャスキル”という奴だ。
まずはコダマで1点、そして我我我で2点。破壊時効果でアンタップ、コダマで再び1点……!
そしてここに、G・ストライク宣言はなかった。
レコード 2-0 デデンネ
Winner:レコード
レコードが勝利を収め、自分の夢の一歩先へと進んだ。
彼はずっと晴れやかな表情だった。念願を叶えたのだから、それはそうだろう。
しかし本人の話によると――これはネタバレにもなってしまうが――残る準決勝・3位決定戦では不本意なプレイが続き、思った結果を得られなかったとのことだった。
もちろん、最善のプレイを尽くしたところで、結果がどうなるかわからない。
しかし次なる夢や目標までに存在する壁や、その高さを実感したのではないだろうか。
見えていないものを夢にすることは難しいし、言葉にしても絵空事になりがちだ。
だがレコードは、それを目にする権利を得た。手を伸ばすところまでいったのだ。
だとしたら、次なるレコードの夢は……。
それはいつか、彼自身がハッキリと言葉にしてくれることだろう。
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