超CSV新潟 準決勝:レコード vs. 烈
ライター:白戸 龍之介(ドラ介)
撮影者:堀川 優一(アノアデザイン)
烈「…あ、すごい。なんかトラック入ってきた」
このトラックとは大型大会のために搬入されたクリーチャーのパネルや机、物販商品などを片付けるためにやってきた車のことだ。
会場の片付けも始まり出し、いよいよ終盤という雰囲気が選手たちを包み込む。
この日、最も長くデュエル・マスターズをやっていられるのは決勝戦まで残ったプレイヤーのみ。
準決勝は【水闇自然ジャオウガ】でここまで戦ってきた長野県のプレイヤー、烈と【火単我我我】で走り抜けてきたレコードのマッチアップ。
決勝の舞台に進むのはどちらか。
Game 1
先攻:レコード順位先攻により、先攻はレコード。
烈が拳を突き出すと、レコードもそれに合わせ、準決勝の火蓋が切って落とされた!
レコードは《“罰怒“ブランド》をチャージ。
早速《ブンブン・チュリス》を召喚し、攻撃の準備を整える。
烈はマナチャージを考える。ここまで【火単我我我】が残っていることに驚いていたのだろうか。
【火単我我我】の打点形成力は環境随一。少しでも隙があれば一瞬でケリがついてしまうアーキタイプだ。
【水闇自然ジャオウガ】もそんなアグロと戦うためにここまで進化してきたアーキタイプであるが……
【火単我我我】は最強位決定戦でも、DMGP2023 1stにおいてもその力を果敢に発揮してきた速攻デッキである。
しかし直近では、高速アグロとしてのシェアを【火自然アポロヌス】に奪われていたが、この大舞台に準決勝まで勝ち残ってきた。それはやはりレコードの実力が引き出したポテンシャルの高さなのだろう。
烈は思考を終えると、《天災 デドダム》をチャージし、しっかり文明の色をそろえてターンを終える。
返しのターン、レコードは《斬斬人形コダマンマ GS》を召喚し、シールドを1枚手札に加え、次のターンに走る準備を整える。
そして《ブンブン・チュリス》でシールドを果敢にブレイクしていく。
烈は《CRYMAX ジャオウガ》をチャージし、《極楽鳥》を召喚してターンを終える。
準備は整ったとばかりにレコードは《クミタテ・チュリス》を召喚。
そして火のクリーチャーが召喚されたことによりコストが軽減され、《我我我ガイアール・ブランド》にスター進化する!! これだけでも驚異的な打点だが、なんとここで終わりではない。《“轟轟轟”ブランド》がG・G・Gでレコードの元に駆けつける!! その効果で手札を1枚捨て《極楽鳥》を破壊。反撃の芽を摘み取ると《斬斬人形コダマンマ GS》でシールドをブレイク!
G・ストライクは見えない。
さらに《我我我ガイアール・ブランド》がシールドをW・ブレイク!!
G・ストライクがここで炸裂するが…時すでに遅し。
《我我我ガイアール・ブランド》の効果は止まらない!! レコード 1-0 烈
Game 2
先攻:烈1ゲーム目は圧倒的なスピードで決着がついた。
烈「そうかぁ…そういうことかぁ……」
3ターンキルの勢いに、意気消沈気味の烈だが、準決勝はマッチ戦。即、気持ちを切り替える。
負けた方が2ゲーム目の先攻となるため、烈のターンから始まる。 しかし、やはり先に動いたのはレコード。
レコードは初手を見て少し考えたのち、《U・S・A・BRELLA》をマナにチャージする。
そして《凶戦士ブレイズ・クロー》を召喚。 デュエル・マスターズが始まってから今までずっと最前線を戦い抜く凶戦士は超CSでも健在だ。
返しのターン、烈は《極楽鳥》を召喚し、その効果で自然のマナを生み出し《とこしえの超人》を召喚する。
プレイヤーに攻撃が出来ないためそのままでは打点にならず、【火単我我我】にそのメタ効果はほとんど効果がないのであるが、このクリーチャーのパワーは4000。火単の低コストクリーチャーを殴り倒すには十分なサイズを誇る。
2ターン目。レコードは《カンゴク入道》を召喚。 《カンゴク入道》は言わずもがな、【火単我我我】の強力な手札補充カード。
2ターン目にこのクリーチャーが立つだけで各種ブランドたちに繋げやすくなり、さらに【火単我我我】の特徴でもある溜めの動きを取りやすくなる。もちろん代償はバカにならず、相手のデッキが早期に殴る選択肢を持つ場合、命取りとなるタイミングもある。
そして《凶戦士ブレイズ・クロー》がシールドに殴り掛かっていく。
【火単我我我】、理想の2ターン目までのムーブだ。
ターンの終わりに《カンゴク入道》効果でシールドを回収。レコードのシールドが4枚となった。
シールドが破られ始めているのでそろそろ何とか捌いていきたい烈。
このターンは《とこしえの超人》をチャージし《Disメイデン》を召喚。
効果でマナに《天災 デドダム》を置き、《Disメイデン》の効果でアンタップ状態とはなるも、ここは展開せず。
《とこしえの超人》で《凶戦士ブレイズ・クロー》を破壊、レコードの打点を減らしていく。
4ターン目。レコードは少し考えると、《U・S・A・BRELLA》を召喚、《カンゴク入道》の効果でシールドを回収しターンを返す。
まだ鬼タイムの条件を満たしていない状態。《カンゴク入道》で攻撃するにはタイミングが早いのだ。
烈はレコードの手札の枚数を確認し、次の行動プランを吟味する。
マナをチャージして5マナに到達した烈。
このターンから続々と強力なアクションができるようになってくる中盤に差し掛かる。
そして強力な選択肢を持つ呪文、《絶望と反魂と滅殺の決断》を唱え、パワーマイナスを2回選択。しっかり盤面をリセットしていく。 攻め手を一気に失うレコード。
このタイミングで場のクリーチャーを持っていかれるのは手痛いが、《カンゴク入道》によって手札は残っている。
すぐさま《ダチッコ・チュリス》召喚しビート・ジョッキーのコストを軽減、《烈火大聖 ソンクン》を召喚。 《烈火大聖 ソンクン》は攻撃時と自身のクリーチャーが破壊されたときに4つの効果から好きな効果を選んで使用できる新時代のクリーチャーだ。
その性能は、メタクリーチャーを差し置いて《ダチッコ・チュリス》を採用するに値するレベルである。
特にクリーチャーを破壊する効果はこの対面においては欠かせない。
レコードは《烈火大聖 ソンクン》で攻撃を宣言。烈の《極楽鳥》を破壊し、そのままシールドをブレイク。
烈にターンが回る。
マナをチャージし、6マナに到達すると、烈は《極楽鳥》を召喚、さらにその効果でマナを生み出し、墓地から《絶望と反魂と滅殺の決断》を唱え、手札を2枚奪っていく!
カンゴクを失ったレコードはここですべての手札を失ってしまった。
さらに《とこしえの超人》で《烈火大聖 ソンクン》と相打ちさせ、着実にレコードを消耗させていく。
《烈火大聖 ソンクン》の破壊されたときの効果で《極楽鳥》を道連れにすることはできたものの、烈にタイミングをコントロールされてしまったととるべきだろう。
レコードは返しのターン、マナをチャージして終えることしかできない。
烈はここから怒涛の展開を見せる。
《天災 デドダム》、《Disメイデン》、《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》を立て続けに召喚し、レコードにプレッシャーを与えていく。 特に《Disメイデン》のブロッカーと《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》の2体が増えたことは、シールドを狙いたいレコードにとって痛手だ。
そしてレコードは返しのターン、《ダチッコ・チュリス》、《我我我ガイアール・ブランド》と本来なら引導火力となるようなレベルの展開を見せるが、《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》の効果でストップ。
時間をしっかり稼がれてしまう。
烈のターン。
《Disジルコン》をマナから召喚し、守りを固めつつ手札を交換すると、ここで《キユリのASMラジオ》!!
《極楽鳥》と《天体妖精エスメル /「お茶はいかがですか?」》をバトルゾーンへ送り出す。
そしてここで、《カンゴク入道》の代償が響き始める。
烈の打点がここで致死量となってしまったのだ。
攻勢に出る烈!!
《天災 デドダム》と《Disメイデン》でシールドをブレイクするが、G・ストライクで《極楽鳥》が止まる。
レコードは一命をとりとめたのだが……
レコード「ボン・キゴマイムの効果って破壊しても効果残りますか?」
《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》の効果をジャッジに確認すると、レコードは投了するのだった。
レコード 1-1 烈
Game 3
先攻:レコード両者とも譲らず、マッチは最終戦へ突入する。
泣いても笑ってもこのゲームが最後。
3本目はレコードの先攻から始まる。
マナチャージは《U・S・A・BRELLA》。
《凶戦士ブレイズ・クロー》を召喚し、またも最速のスタートを切る。
対する烈のマナチャージは《Disジルコン》。こちらも着実に使える文明の数をそろえていく。
2ターン目。《烈火大聖 ソンクン》をマナに置き、レコードは《カンゴク入道》を召喚する。
さらに《凶戦士ブレイズ・クロー》でシールドを1枚ブレイクする。
ここまではGame2とほぼ同じ展開。しかしこのゲームの先攻はレコード。そこが先ほどのゲームとの違いだ。
一般的に広まっている【水闇自然ジャオウガ】はG・ストライクはあるものの、シールドトリガーを積んでいないことが多く、先攻1コストのクリーチャーによる攻撃は中々手痛い攻撃である。
烈は《CRYMAX ジャオウガ》をチャージすると、《極楽鳥》を召喚。
さらに《極楽鳥》をひねり、《とこしえの超人》を召喚し、ターンを返す。
レコードは《U・S・A・BRELLA》を召喚し、烈が《Disジルコン》を召喚する隙を埋めると《凶戦士ブレイズ・クロー》でシールドをブレイクする。
さらにシールドを詰めていきたかったレコードだが、G・ストライクによって《カンゴク入道》が足を止める。
そしてまた自身のシールドを回収。これで残りあと3枚。
烈は2マナをためると《極楽鳥》を追加で召喚。
そして《極楽鳥》の力を使って《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》を召喚!!
相手のクリーチャーが出そろう前にこのクリーチャーが召喚できたことは大きい。
烈は残りの制限時間を確認し、一手先、二手先の状況をしっかり考える。
そして《とこしえの超人》の攻撃で《凶戦士ブレイズ・クロー》を破壊し、ターンを終えた。
4ターン目。そろそろゲームを決定づける一手を決めないと厳しくなる中盤戦に差し掛かる。
レコードはマナをチャージすると《ダチッコ・チュリス》、《我我我ガイアール・ブランド》、《“罰怒“ブランド》を立て続けに召喚!!
しかし《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》の効果でスピードアタッカーは沈黙している。
《カンゴク入道》と《U・S・A・BRELLA》でシールドをブレイクするが攻め切れはせず。
《“罰怒“ブランド》のマスターB・A・Dの代償で《我我我ガイアール・ブランド》破壊し、アンタップさせるとレコードはターンを終える。
《カンゴク入道》の効果で残すはシールド2枚。そろそろ危ういラインに入ってきた。
烈のターン。《Disメイデン》を召喚しマナを増やすと、さらに《天災 デドダム》を召喚。
途切れぬクリーチャーの展開に、さらなる一手。《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》で2コストを宣言する!!
これにより、レコードの《ダチッコ・チュリス》と《カンゴク入道》の動きがストップしてしまった。 《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》はクリーチャー側が特に強力で、数々の即死打点をキャッチできるようにジャオウガというアーキタイプを次のレベルに引き上げた立役者だ。しかしその下側の呪文も簡易版奇天烈シャッフと弱いところがない。
特にコストがまとまりやすい【火単我我我】にとって、このカードの下側を警戒するのは意図的に行うにはやや難しいだろう。
この一手は非常に重くレコードにのしかかる。
完全に追い詰められたレコードは、苦し紛れに《ブンブン・チュリス》を召喚、先ほど召喚した《“罰怒“ブランド》でW・ブレイクする。
だがここで、レコードの攻撃できるクリーチャーの数が尽きてしまう。
そして《カンゴク入道》の効果で残すはシールド1枚……
次のターンがないことを悟ると、レコードは敗北を認めたのだった…。
レコード 1-2 烈
Winner:烈
崩れ落ちるレコード。
烈「なんで勝ったんだ…?なんで勝てたんだ…?マジか、マジか。」
決勝戦にコマを進めたことに驚きを隠せない烈。
レコード「ソンクン埋めたのミスだー…!!」
レコードは慟哭する。
取り乱すレコードは自分を責め、他人からの言葉を恐れていたが、ここまで来れたプレイヤーにとやかく言えるのは、ここまで来れた人間だけ。そして、あと1試合がレコードを待っている。
烈「全国が見えてきたぞーー!!」
烈もまた、吠える。
徐々に終わりを迎えつつある朱鷺メッセの会場に響き渡る二つの声。
最強を目指して戦ってきたプレイヤーなら誰しも夢見る全国大会、日本一決定戦という舞台。
その切符があと一歩まで近づいてきている。
超CS新潟。残すはあと1試合。
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