デュエル・マスターズ

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超CSⅤ新潟 Round 2:けっしー vs. 空華

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影者:堀川 優一(アノアデザイン)

デュエマの熱い夏が、今年もやってきた。

 4月に開催されたデュエル・マスターズ グランプリ2023-1stから3ヶ月。カードプールには主にアビス・レボリューション第1弾「双竜戦記」と第2弾「忍邪乱武」が加わり、「メクレイド」が環境に本格参入する初めての大型大会が、この超CSⅤ新潟だ。

 折しもオリジナル・フォーマットのメタゲームは大混戦の最中。はたして環境の覇者となるのは誰の、どのようなデッキタイプとなるのか。

 そんな中、第2回戦のフィーチャーマッチエリアに呼ばれたのは、Twitterのハッシュタグ#フィーチャーmeで「今日も新しいデッキを持ってきました」とアピールしていた京都の強豪にしてデッキビルダー、けっしーだ。

空華「緊張する……」

けっしー「緊張しますよね」

空華「僕も3-0したら#フィーチャーmeでツイートしようとしてたんですけど……」

けっしー「すみません、先にツイートしちゃってて」

空華「いえ、楽しくいきましょう」

 一方、タイミングは少し早かったにせよ、どうやら対戦相手の空華にとってもフィーチャーは望んだ状況の様子。

けっしー「生放送がないんでデッキがバレなくていいですね」

空華「GPのときはあるんですけどね」

けっしー「ただカバレージでも、魅せたいからってプレイがブレちゃったりするんですよね」

 今年3月に開催された、2022年度下半期の総決算となる最強位決定戦。そこでけっしーは、あの鮮烈な《"逆悪襲"ブランド》トップデッキを食らい、惜しくも最強位の座を◆ドラ焼きに目の前で奪われた格好となった。

 それでも、いわば「準最強位」であることはけっしーにとって誇らしい経歴であることは間違いない。フィーチャーテーブルに広げた最強位決定戦のロゴ入りの《アビスベル=ジャシン帝》のプレイマットが、堂に入っている。

 一方、空華はしきりに胸をさすって「緊張する……」と呟くばかり。だが、チャンスというものは常に覚悟のある時にだけ訪れるというわけではないのだ。  既に覚悟と実績を兼ね備えた者と、これから覚悟と実績を得ようとする者。

 魅せるのは、どちらのプレイヤーか。

Game

 じゃんけんで先攻は空華。開幕チャージしたのは《Disジルコン》で、水闇自然ジャオウガ、水闇自然オービーメイカー、水闇自然ハンデス、水闇自然サイクルペディア、水闇自然ムゲンクライム……などなど、最も多くのデッキタイプの可能性があるマナチャージだ。

 対し、けっしーのマナチャージは……《カダブランプー》!!!???  このカードを採用する可能性があるとすれば、光水火鬼羅スター?しかし「新しいデッキを持ってきた」という宣言にはそぐわない。

 ともあれ一方の空華は《とこしえの超人》チャージから《極楽鳥》を召喚し、《キユリのASMラジオ》にも《天災 デドダム》にもつながる最上のスタートを切る。

 返すターン、はたしてけっしーは《マーチングバトン ダイダイ》チャージから《天体妖精エスメル /「お茶はいかがですか?」》を召喚。さらにシールドからマナに落とした《キユリのASMラジオ》をひねって《とこしえの超人》。もはや、何がなんだかわからない。  それでも空華は《Disジルコン》チャージからの《天災 デドダム》でマナを伸ばしてから《とこしえの超人》を召喚し、マナに見えている《キユリのASMラジオ》だけ咎めてターンを返す。

けっしー「手札は2枚ですね?」

空華「2枚です」

 だがここでけっしーはノーチャージ《トレジャー・マップ》《》を手に入れると、《》2連打と《桜風妖精ステップル》から、《とこしえの超人》をマナに落として《十番龍 オービーメイカー Par100》  《桜風妖精ステップル》からのマナが自然単色縛りだったということで、見えている多色カードと《カダブランプー》の枚数的には多少のギャンブルではあっただろうが、後攻ということもあり強気に通しにいったのが功を奏した形だ。すぐさま《天災 デドダム》をマッハファイターで倒し、さらに《天体妖精エスメル /「お茶はいかがですか?」》でシールドを1枚だけブレイクしてターンを返す。

 一方、一転窮地に追い詰められた格好の空華は、それでも《∞龍 ゲンムエンペラー》チャージからの《絶望と反魂と滅殺の決断》《》《桜風妖精ステップル》を除去しつつ《とこしえの超人》《天体妖精エスメル /「お茶はいかがですか?」》を殴り返し、けっしーの盤面を《とこしえの超人》《》《十番龍 オービーメイカー Par100》の3体にまで削る。  返すターン、ドローを見たけっしーは考えに沈む。空華のシールドは4枚……つまりはジャスキル。タップ状態となった空華の《とこしえの超人》《十番龍 オービーメイカー Par100》で打ち取る選択肢もあるが、次ターンの《絶望と反魂と滅殺の決断》も確定しているため、このままではジリ貧だ。

けっしー「……うーん」

 空華のデッキを水闇自然ジャオウガと想定するとして、《絶望と反魂と滅殺の決断》まで入っているならば、ここまで見えているカードの種類的に受け札は普通に考えれば「G・ストライク」のみ。しかも《とこしえの超人》は既に2枚見えているのだ。

 はたして意を決したけっしーは、ドローしたばかりの《とこしえの超人》をそのまま召喚すると、既に出ていた《とこしえの超人》同士を相打ちさせた後に《十番龍 オービーメイカー Par100》で空華の残る4枚のシールドを一気に叩き割る。

 そして、その中に受け札は……。  《とこしえの超人》、「G・ストライク」!

 九死に一生を得た空華はここで一気に反撃に転じる。《天災 デドダム》《Disメイデン》《キャディ・ビートル》と流れるように展開すると、《極楽鳥》からのマナで9軽減ぴったりの《十番龍 オービーメイカー Par100》を召喚!  そう、空華のデッキは水闇自然ジャオウガではなく水闇自然オービーメイカーだったのだ。マッハファイターで《》が倒され、けっしーのバトルゾーンには《十番龍 オービーメイカー Par100》《とこしえの超人》だけが立った状態。あとはあの《Disメイデン》さえ超えられればダイレクトアタックが決められるのに……。

 だが、オービーメイカーはここからが果てしなく遠い。けっしーは引き込んだ《原始 サンナップ》を出して《十番龍 オービーメイカー Par100》を攻撃に向かわせるが、当然ブロックされて攻撃は通らない。

 そしてなおも空華は墓地から《絶望と反魂と滅殺の決断》を唱えてけっしーの《原始 サンナップ》《とこしえの超人》を処理すると、ついに《とこしえの超人》の呪縛から解放された《Disジルコン》を墓地から召喚。さらに《とこしえの超人》も追加したところで、《天体妖精エスメル /「お茶はいかがですか?」》で1枚減っていたけっしーのシールドを満を持して《十番龍 オービーメイカー Par100》でQ・ブレイクしにいく。

 ここでトリガーしたのは無限のチャンスが残る《天体妖精エスメル /「お茶はいかがですか?」》。さらに続く《キャディ・ビートル》のブレイクに対し、ここからトリガーの連鎖が始まればあるいは……と祈るように追加されたシールドを確認したけっしーだったが。

 やがてそのシールドを力なく手札に加えると、《極楽鳥》のダイレクトアタックを潔く受け入れたのだった。

Winner: 空華

空華「……めっちゃ熱かったです!

けっしー「いやー、ジャオウガに見えたけどオービーだったか……エスメルが1点行かん方が良かったか……?いや、変わらんか……」

空華「オービー対オービーってめっちゃ頭使いますよね」

けっしー「使いますねー。《キャディ・ビートル》がいなかったおかげで《十番龍 オービーメイカー Par100》立てられたけど、《キャディ・ビートル》が見えてたらオービーってわかってたからなー……」

空華「2ターン目に出せてたら楽でしたね。初手の《カダブランプー》がわからなくて……鬼羅スター?とか考えてました」

けっしー「定石で言うなら埋めないんですけど、面白いかなってw 《環嵐!ホールインワン・ヘラクレス》の攻撃時の2マナ加速からそのまま出せるんですよ。それでキャディ超えられると思って採用しました。でも、純粋に緑埋めてスタートしてたらあったかなー……にしても、オービー今強いですよね」

空華「強いですよね!《マーチングバトン ダイダイ》もいるんで、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》も止められるっていう」  自然単ベースと水闇自然ベースで型は違うものの、奇しくも実現した《十番龍 オービーメイカー Par100》同型対決。「忍邪乱武」の新カードの評価や環境に対するアプローチの答え合わせが合致した感触に、けっしーとしてもデッキ選択としては間違っていなかったとまだしも報われた思いだろう。

 かくしてフィーチャーマッチで見事ジャイアントキリングを果たした空華が、覚悟と実績を得る一歩目を踏み出したのだった。

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