超CSV大阪 準決勝:サンジェルマン vs. ブラックブレット
ライター:山口 海斗(ジャイロ)
撮影者:出端 敏夫
アプリゲーム版のデュエルマスターズ、デュエルマスターズプレイスが主な活動場所であるブラックブレットが超CSⅤ大阪の準決勝という大舞台まで駒を進めているのは大きな出来事と言えるだろう。使用デッキは【水闇自然ジャオウガ】。《飛翔龍 5000VT》の登場によって窮地に立たされたデッキタイプの一つではあるが、《飛翔龍 5000VT》を上手く使えるデッキと捉えることもできる。堂々のBEST8だ。
対するサンジェルマンが使用するのは【光水ライオネル】。環境屈指の防御デッキでありながら、5マナ溜まればEXWINまで狙える爆発力も併せ持つ。従来、こういったピーキーなデッキは超CSのような長丁場の大会は苦手とされていたが、今この場にいる事を考えると、サンジェルマンのプレイスキルは相当なものだろう。
これ以降、試合は全て2本先取のマッチ戦となる。初めての2本先取を乗り越え、準決勝まで進めるのはどちらか。
Game 1
先攻:ブラックブレット ブラックブレットの《天災 デドダム》に対し、サンジェルマンは《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》を唱える。お互いに自身のリソースを伸ばす静かな立ち上がりだ。ブラックブレットは《キユリのASMラジオ》から《Disジルコン》《キャディ・ビートル》と着実にバトルゾーンを構築していく。現環境において、無闇な横展開は《飛翔龍 5000VT》によって咎められる。水文明を採用しているサンジェルマンの【光水ライオネル】にも《飛翔龍 5000VT》が採用されている可能性は捨てきれない。
しかしブラックブレットはそれも織り込み済み。《キユリのASMラジオ》によって出てきた《キャディ・ビートル》は《飛翔龍 5000VT》による蹂躙を喰い止めた。 サンジェルマンが思うように動けないうちに《天災 デドダム》《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》とバトルゾーンを着々と作るブラックブレット。《キャディ・ビートル》で《飛翔龍 5000VT》さえ止めていれば大量展開にで優位に立てる。そのセオリーが通じない展開があるとすれば…、いま、この瞬間だろう。
サンジェルマンは《スロットンの心絵》で《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》に進化すると、《ジョーカーズの心絵》でブラックブレットの展開に待ったをかけた。サンジェルマンのバトルゾーンに変動は無いが、ブラックブレットは≪ボン・キゴマイム≫を残して4体が山札に帰る。サンジェルマンが更に展開した《MAX・ザ・ジョニー》の攻撃こそ、≪ボン・キゴマイム≫によってできなかったが、ほぼほぼ更地にされてしまったブラックブレット。
しかし【水闇自然ジャオウガ】というデッキタイプの強さはむしろここからだ。まずは《リツイーギョ #桜 #満開》を召喚、続いて《天災 デドダム》で《幻緑の双月 / 母なる星域》を手札に呼び込むと呪文面をすぐさまプレイ、出したばかりの《天災 デドダム》を《CRYMAX ジャオウガ》に変換してサンジェルマンに詰め寄る。手札を、バトルゾーンをもぎ取り、サンジェルマンのシールドをT・ブレイク!
≪ボン・キゴマイム≫のダイレクトアタックこそ、《スロットンの心絵》によって出た《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》がブロッカーとなり拒んだが、依然ピンチが続くサンジェルマン。
《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》から《ジョーカーズの心絵》という得意パターンを引っさげて、今度はシールド3枚追加で守りに入る。
またしてもバトルゾーンを荒らされたブラックブレットであるが、相手が我慢比べを臨んでいるならむしろこちらの土俵だ。リソース供給勝負において、水闇自然の3文明は圧倒的に有利だ。
しかも、ブラックブレットはこの状況を既に見据えていたというのか、ゲーム序盤から常に≪母なる星域≫を抱え続け立ち回っていた旨味を存分に発揮する。《キユリのASMラジオ》で≪母なる星域≫のタネを作ると、マナゾーンから《CRYMAX ジャオウガ》を再始動。サンジェルマンの首を再度狙う。 1度ならまだしも、2度の《CRYMAX ジャオウガ》による攻撃はサンジェルマンも眉をひそめる。《護天!銀河MAX》をトリガーさせ、《リツイーギョ #桜 #満開》のダイレクトアタックだけは防いだが、厳しい状況に変わりはない。ターン開始時のドロー、《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》召喚によるドロー、解答を求めて山札を掘り進めるが叶わず。2度の《CRYMAX ジャオウガ》の攻撃で手札を、シールドを蹂躙され、打つ手が無いと悟ったサンジェルマンは次のゲームに進むことを了承した。
サンジェルマン 0-1 ブラックブレット
普段なら、《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》+《ジョーカーズの心絵》というコンボで相手の息切れを狙えていただろうが、その勝負はむしろ【水闇自然ジャオウガ】にとって願ったりの舞台。まずは貴重な1勝をブラックブレットが飾る。
Game 2
先攻:サンジェルマンサンジェルマンは動かない。
しかしこれは事故という訳ではない。手札に特定のカードを集めることが目的の【光水ライオネル】にとって、既に完成した手札であればドローは必須ではないのだ。具体的には《スロットンの心絵》《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》《ジョーカーズの心絵》、あとは《MAX・ザ・ジョニー》まであれば、相手の攻撃を待ち構える手札としては十分だろう。待ち構えるだけではなく、5マナ溜まった瞬間にそれらの手札を全て吐き出して《MAX・ザ・ジョニー》によるEXWINを狙えるのが【光水ライオネル】の強みでもある。
まだ動くときではない。約束の5ターン目が来るまで、サンジェルマンは動かない!
しかし鬼は全てを奪う。
デュエルマスターズの背景ストーリーで幾度となく語られてきた設定だが、ゲームのデュエルマスターズでも同じことが起きる。
《天災 デドダム》《キユリのASMラジオ》と【水闇自然ジャオウガ】の強さを遺憾なく押し付けるブラックブレット。《キユリのASMラジオ》から呼び出されたのは2体目の《天災 デドダム》に≪幻緑の双月≫。これにより、ブラックブレットはこのターン既に《キユリのASMラジオ》を唱えているにも関わらず、アンタップ状態のマナが3枚ある状態だ。
3マナあれば何ができる?3マナあれば、ヤツが呼べる! わずか4ターン目の顕現《CRYMAX ジャオウガ》!!サンジェルマンの完成された手札から無慈悲に《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》と《ジョーカーズの心絵》を奪い去ると、残るシールド3枚も割りぬいた。
サンジェルマン「今まで【アポロ】喰ってきたツケか…」
有効なシールドトリガーに恵まれなかったサンジェルマン、《天災 デドダム》によるダイレクトアタックを受け入れた。
サンジェルマン 0-2 ブラックブレット
Winner:ブラックブレット
デュエルマスターズプレイスのプレイヤーならではの、勝利への嗅覚があるのだろうか。デッキ構築、デッキ選択、プレイングのいずれも既存の常識から一度脱却して詰められたものである。
別の視点からデュエルマスターズを見つめなおすことで得られる見解があるのかもしれない。デュエルマスターズというゲームの奥深さを再認識しつつ、本文を締めさせていただく。
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