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超CSV大阪 Round 4:ZweiLance vs. 田中リヤドネ

ライター:清水 勇貴(yk800)
撮影者:出端 敏夫

 Round 1では超CS新潟王者のユウキング/わいきんを、Round 2、3では本大会が開催された7月29日現在のDMPランキング上位1位、2位の選手をフィーチャーしてきた。

 であれば、Round 4でフィーチャーされるのはもちろんこの男。DMPランキング現在3位のZweiLanceだ。

 デュエチューブでもお馴染みの彼が本大会に持ち込んだのは、もちろん《蝕王の晩餐》型の【サガループ】。

 現在のオリジナル環境で最強の呼び声も名高い愛機だ。

 対する田中リヤドネは、準備の間も緊張の面持ち。試合開始前に自らの胸をどんどんと叩き、自身を鼓舞する一幕も見られた。

 全勝継続を賭けた1戦が始まる。

Game

先攻:田中リヤドネ  3ターン目まではお互いに《龍装者“JET”レミング/ローレンツ・タイフーン》《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》、それぞれの呪文面を2回唱えて手札を整える展開。

 すなわち、【サガループ】ミラーだ。

 うっかりどちらかが先にコンボを揃えればあっさりとゲームが終わってしまう一方で、お互いにコンボの揃いが悪ければじりじりとしたリソースゲームになる。

 墓地を活用する手段の多いこのデッキでは妨害するはずの一手が相手の手助けにもなりえ、かといって意識しすぎて自分の動きに注力しすぎると唐突な「上から《絶望神サガ》」に破壊されかねない。

 それぞれがそれぞれに裏目となる両極端な展開を並行して考慮しなければならない、ハードなマッチアップだと言えよう。

 さて、【サガループ】ミラーの序盤戦は基本的に先にルーターが撃てる先手側が心理的な優位を取りやすい。

 このゲームでも例に漏れず、後手のZweiLanceは鏡合わせに後を追う形となった。いつどこから《絶望神サガ》が飛んでくるかわからない恐怖に顔をこわばらせながらも、勝ち筋を求めて山札を掘り進める。  一方で、動きとしては先行した田中リヤドネも手札事情が芳しくない。コンボに辿り着けることが先手最大の利だが、どちらもコンボに到達できずリソース勝負にもつれこむと、途端にこの強みは機能しづらくなる。

 迎えた先攻4ターン目、田中リヤドネは《》の呪文面をプレイ。公開された手札に《絶望神サガ》の姿はなかったが、代わりに《》《蒼狼の大王 イザナギテラス》《龍素記号wD サイクルペディア》と、長期戦に長けたオールスターが勢揃いだ。

 中でも見逃せなかったのは、一気に山札を掘り進めてコンボ達成に大きく近付く《ストリーミング・シェイパー》。単純なリソースとしてもそう簡単にプレイさせるわけにはいかない。  田中リヤドネは迷うことなくこれを抜き去ると、またしばしの黙考に浸る。

 熟慮の末、余った2マナで《冥界の不死帝 ブルース /「迷いはない。俺の成すことは決まった」》をクリーチャーとしてプレイした田中リヤドネ。

 この時点で田中リヤドネの他の手札は《蝕王の晩餐》《ボルシャック・スーパーヒーロー / 超英雄タイム》の2枚で、山札を掘る手段がない。

 ≪「迷いはない。俺の成すことは決まった」≫は貴重な蘇生カードだが、ここまでに1枚も自分の《絶望神サガ》が見えていないこと、確認した手札から返しにコンボに入られる可能性が非常に低いことから、1ターンでも早く、1枚でも多く《絶望神サガ》を公開領域に落とし込むことを優先した。  返す後手のZweiLance。同じく≪ウォズレックの審問≫で相手の手札を確認しにいくが、こちらはただ手札から唱えるのではなく、《蒼狼の大王 イザナギテラス》経由で山札の上5枚から好きなカードを加えながらのプレイだ。

 公開された手札を見たZweiLanceは《蝕王の晩餐》を指さそうとして手を止める。脳裏にチラつくのは《龍素記号wD サイクルペディア》の存在か。

 《蝕王の晩餐》を捨てさせるとトップから《龍素記号wD サイクルペディア》を引かれれば《蝕王の晩餐》経由で≪サイバー・K・ウォズレック≫まで繋がりかねないが、逆に《蝕王の晩餐》を手札に残した場合は後々≪冥界の不死帝 ブルース≫を《絶望神サガ》に変換されうる。  どちらにも裏目がある展開。ZweiLanceは相手のマナの《龍素記号wD サイクルペディア》に目をやると、最終的に《蝕王の晩餐》を選んだ。

 ターンをもらった田中リヤドネ、残念ながらデッキトップから即座に解決札を引き込むことができない。

 先ほど公開した《ボルシャック・スーパーヒーロー / 超英雄タイム》をマナに埋めてターンを終了。デッキトップ1枚を墓地に落とすと、そこには待ちわびた《絶望神サガ》の姿が。両者の間に緊張の糸が伝う。  いよいよ詰めろのかかったZweiLanceではあるが、打てる手はそう多くない。《龍素記号wD サイクルペディア》から捨てられた《ストリーミング・シェイパー》を唱えると、《絶望神サガ》《蒼狼の大王 イザナギテラス》を含む4枚すべてが手札に加わり、こちらも逆王手を掛けていく。

 勝負の分かれ目となる、先攻の6ターン目。

 田中リヤドネの手札に残された最後の1枚は…………《百鬼の邪王門》。6マナをタップして即座に唱えると、山札の上から待ちに待った2枚目《絶望神サガ》《龍素記号wD サイクルペディア》が墓地に落とされる!

 すわループインかと思われたが、しかし田中リヤドネは冷静だった。

 自分の墓地にも相手の墓地にも≪「迷いはない。俺の成すことは決まった」≫が見えておらず、なおかつ自分には手札が一枚もない状態。

 《絶望神サガ》ループで山札を掘り進めはするものの、手札に《蝕王の晩餐》をキープできない以上、このままフィニッシュまで持ち込むには《蒼狼の大王 イザナギテラス》から適切にカードを引き込む必要があるのだ。

 《龍素記号wD サイクルペディア》を出して《蝕王の晩餐》を唱えると、そのまま≪サイバー・K・ウォズレック≫を蘇生。

 《百鬼の邪王門》で墓地に落ちていた《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》の呪文面と≪エマージェンシー・タイフーン≫を唱え、意気揚々とコスト3を宣言。ZweiLanceのループフィニッシュをひとまず止め、ここはターンを返した。

 「攻め」の手段を軒並み封じられたZweiLanceだったが、とはいえ田中リヤドネの手札には≪エマージェンシー・タイフーン≫で引き込んだカード1枚が残るばかり。

 相手の手札に何もないことに望みを託し、黙々とルーターを連打し、ターンを明け渡す。

 果たして田中リヤドネが3マナでプレイしたのは、3枚目の《絶望神サガ》  間で《蒼狼の大王 イザナギテラス》+≪「迷いはない。俺の成すことは決まった」≫をプレイしてボトムを固定しながらも、次々とカードを引いては捨てていく。

 ……しかし、「これにて決着」とは限らないのがデュエル・マスターズに潜む「魔」だ。

 山札を残り4枚、つまり《蒼狼の大王 イザナギテラス》で確認しているギリギリのところまで掘り進めた田中リヤドネは顔を青ざめさせる。

 2枚目の《蝕王の晩餐》と、それを引き込むための《デビル・ドレーン》、その両方がないことに。  急遽プラン変更を余儀なくされる田中リヤドネ。しかし無情にも、ここで制限時間残り1分のコールがジャッジから下された。

 田中リヤドネは《蒼狼の大王 イザナギテラス》を出し、手札に抱えていた≪「本日のラッキーナンバー!」≫を唱えてコスト3を宣言。

 召喚酔いの解けた≪サイバー・K・ウォズレック≫と墓地枚数条件を達成した≪冥界の不死帝 ブルース≫でプレイヤーを攻撃するが、これはZweiLanceの《蒼狼の大王 イザナギテラス》《龍素記号wD サイクルペディア》がブロック。

 ループフィニッシュされることなくターンをもらったZweiLanceだったが、ここで制限時間オーバー。キーカードを≪「本日のラッキーナンバー!」≫で止められてしまった彼にできることは《飛翔龍 5000VT》を召喚することだけだった。

 ZweiLanceのターン終了後、ジャッジ立ち会いの元でお互いにゲームの状況を確認するも、これと言った決定打はなくどちらが勝つとも言い難い戦局。

 両者敗北を嫌ったZweiLanceが投了を宣言する結末となった。 Winner:田中リヤドネ

田中リヤドネ「Zweiさんには前にCSで当たったときに大敗しちゃったので、今回はリベンジマッチのつもりで臨みました」

 ただでさえ開始が遅れたフィーチャーマッチ。制限時間いっぱいまで戦い抜いた彼は短いながらもインタビューに答えてくれた。

田中リヤドネ「終わり方はちょっと微妙な感じになっちゃいましたけど……負けずに戦い切れたのは素直に嬉しいですね」

 結果として無敗を継続する形となった田中リヤドネ。予選を絶好の形で折り返し、彼は猛者のひしめく上位卓へと歩みを進めた。

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